東京エレクトロン 通期 決算速報

売上高横ばいも純利益+5.6%増を確保、今期1H予想は売上+33.1%増と成長加速を示唆する決算

配信日2026年4月30日 18:45 JST

通期決算を踏まえた評価点

生成AI向け半導体設備投資の拡大を背景に売上高2兆4,435億円を確保し、純利益は特別利益(投資有価証券売却益1,154億円)の寄与で前期比+5.6%増の5,744億円と過去最高水準を記録。今期1H予想では売上高前年同期比+33.1%増の1兆5,700億円、営業利益同+42.2%増の4,310億円と成長回復を鮮明に打ち出した。

  • 国内売上高2,394億円(前年比+26.0%増)と大幅伸長、国内半導体投資の活況を反映
  • 今期1H営業利益予想4,310億円は営業利益率27.5%に相当、当期通期25.6%からの回復を示唆
  • 年間配当628円(同+36円)へ増配、配当性向50.1%を維持しつつ株主還元を強化
  • 営業CF5,397億円を確保し実質無借金経営を継続、自己資本比率71.5%(同+1.4pt)
  • 自己株式360万株(発行済の0.76%)の消却を決議、資本効率向上姿勢を明確化

通期決算を踏まえた懸念点

営業利益6,249億円(前期比▲10.4%)、営業利益率25.6%(同▲3.1pt)と本業収益力が後退。売上総利益率45.3%(同▲1.8pt)の低下に加え、研究開発費2,778億円(同+11.1%)等の販管費増が利益を圧迫した。中国市場の設備投資に一服感が示されており、海外売上比率90.2%の高さが地政学リスクの影響を受けやすい構造となっている。

  • 海外売上高2兆2,041億円(前年比▲1.7%)と微減、中国向け設備投資の一服感が顕在化
  • 売上総利益率45.3%(同▲1.8pt)に低下、プロダクトミックス変化やコスト増の影響を注視
  • 為替差損45億円を計上(前期9億円)、円安一巡時の業績への逆風リスク
  • 研究開発費2,778億円(売上高比11.4%、同+1.0pt)と先行投資負担が拡大
  • 通期業績予想を開示せず1H予想のみにとどめた点は、下期の不確実性を反映

注目点/今後確認したいポイント

  • 今期1H予想の売上高1兆5,700億円(+33.1%)の牽引役となるAI向け・先端ロジック向けの受注動向と地域別構成比。特に中国市場の回復有無が通期業績の鍵を握る
  • 営業利益率の回復度合い。当期25.6%→今期1H予想27.5%の改善が通期でも持続するか、売上総利益率の反転と販管費率の抑制状況を確認
  • 米中半導体規制の動向と東京エレクトロンの中国向け売上へのインパクト。輸出管理強化が顕在化した場合の代替需要の規模
経営陣への論点
  • 中国向け売上高の前期・当期比較と今後の見通し
  • 今期通期業績予想を1H開示時まで非開示とした背景にある具体的な不確実要因
  • 売上総利益率▲1.8pt低下の主因(地域ミックス・製品ミックス・原価構造のいずれか)
  • 生成AI向け装置の受注残高・受注動向の定量的な状況
  • 研究開発費の重点投資分野と投資回収の時間軸
  • 台湾子会社の罰金判決(1.5億台湾元)を踏まえた情報管理体制の再発防止策
  • インド拠点設立の事業規模・投資額・収益貢献時期の見通し
  • 新製品Prexa SDP等テスト領域の売上貢献度と成長ポテンシャル
  • HBM・先端パッケージング向け装置の競合優位性と市場シェアの現状
  • 自己株式取得の今後の方針と追加取得の可能性

主要業績ハイライト

勘定科目数値前年同期比
売上高2,443,533百万円+0.5%
└ 国内売上高239,400百万円+26.0%
└ 海外売上高2,204,106百万円▲1.7%
売上原価1,335,652百万円+3.9%
売上総利益1,107,880百万円▲3.3%
売上総利益率45.3%▲1.8pt
販管費482,944百万円+7.6%
└ 研究開発費277,866百万円+11.1%
営業利益624,936百万円▲10.4%
営業利益率25.6%▲3.1pt
経常利益630,338百万円▲10.9%
特別利益120,726百万円-
└ 投資有価証券売却益115,494百万円-
税金等調整前当期純利益748,180百万円+6.0%
親会社株主帰属当期純利益574,454百万円+5.6%
EPS1,254.57円+6.1%
BPS4,498.85円+12.0%
ROE29.6%▲0.7pt
総資産経常利益率23.0%▲4.8pt
包括利益624,335百万円+31.1%

営業利益は前期比▲72,383百万円の減益。売上総利益率の低下(▲1.8pt)と販管費増(+33,977百万円)が主因。一方、純利益は投資有価証券売却益115,494百万円の計上により増益を確保。

事業セグメント別の業績

セグメント名売上高前年同期比営業利益前年同期比利益率
半導体製造装置(全社)2,443,533百万円+0.5%624,936百万円▲10.4%25.6%
好調な事業
  • 国内市場:売上高2,394億円(前年比+26.0%)。国内半導体工場の増設・設備更新需要が寄与
  • 生成AI向け半導体設備投資:データセンター向けAIサーバー需要拡大が市場全体の成長を牽引
不調な事業
  • 海外市場:売上高2兆2,041億円(前年比▲1.7%)。中国での設備投資一服が主因
  • フィールドソリューション等の利益率改善が想定を下回った可能性(売上総利益率▲1.8pt低下)

業績予想比の進捗率

当期は通期決算のため進捗率評価は該当しない。2026年2月6日公表の通期連結業績予想に対する着地は増益となり、年間配当予想を601円→628円に上方修正。なお、今期(2027年3月期)は通期予想を非開示とし、1H予想のみを開示する方針に変更した。

勘定科目通期実績今期1H予想備考
売上高2,443,533百万円1,570,000百万円今期1H前年同期比+33.1%
営業利益624,936百万円431,000百万円同+42.2%
経常利益630,338百万円437,000百万円同+42.4%
純利益574,454百万円328,000百万円同+35.7%
  • 半導体製造装置は顧客の設備投資計画に依存し、四半期ごとの変動が大きい。近年は短期的な需給バランスや半導体価格の変化が一層激しく、業績のボラティリティが増大傾向

業績予想の変更有無

当期の配当予想を修正。2026年2月6日公表の通期連結業績予想に対し増益着地となったため、年間配当予想を1株当たり601円→628円(中間264円、期末337円→364円)に引き上げ。なお、今期は通期業績予想の開示期間を中間期のみに変更し、通期連結業績予想は中間期決算発表時に開示予定。

  • 年間配当:従来601円→新628円(+27円)
  • 修正理由:通期連結業績予想に対して増益着地となったため

株主還元への言及

業績連動型配当を基本方針とし、配当性向50%を目処に設定。年間配当は628円(前期592円、+36円)に増配。1株当たり年間配当金の下限50円を設定。自己株式については機動的な取得を検討する方針。当期は150,010百万円の自己株式取得を実施し、さらに360万株(発行済の0.76%)の自己株式消却を2026年4月30日に実施。

財務状況

実質無借金経営を維持し、自己資本比率71.5%(前期70.1%)と財務基盤は堅固。有形固定資産が前期比+147,629百万円増の589,335百万円となり、生産能力増強に向けた設備投資を積極的に実施。

  • 主要数値
  • レバレッジ指標
勘定科目数値補足情報
現金及び預金451,252百万円前期比+8.4%
現金及び現金同等物505,414百万円前期比+4.2%
有価証券(流動)54,998百万円前期比▲31.3%
流動資産合計1,835,466百万円前期比+1.9%
有形固定資産589,335百万円前期比+33.4%
└ 建設仮勘定101,476百万円前期比▲25.9%
投資有価証券225,453百万円前期比+12.7%
総資産2,860,997百万円前期比+9.0%
自己資本2,046,298百万円前期比+11.2%
負債合計791,001百万円前期比+2.6%

決算発表と同時に出たニュース

  • 2026/04/27
    台湾子会社Tokyo Electron Taiwan Ltd.の元従業員が関与した顧客機密情報事案で台湾裁判所が1億5000万台湾元の罰金支払いを命じる判決。会社側は組織的関与・機密情報の外部流出は否定、業績影響なしと説明 当社台湾子会社に対する判決について

足許四半期中の主要発表

  • 2026/04/24
    経産省「グローバルサウス未来志向型共創等事業」に採択。インドにサービス・人材育成拠点を新設し、現地企業・教育機関と連携した半導体製造人材育成エコシステムを構築 東京エレクトロン、経済産業省の令和6年度補正「グローバルサウス未来志向型共創等事業」に採択
  • 2026/04/16
    HPC/AI向け半導体の2.5D/3D先端パッケージングやKGD選別工程に対応する新型デバイスプローバPrexa™ SDPの販売を開始。テスト領域での事業拡大を企図 デバイスプローバ Prexa™ SDP販売開始のお知らせ
  • 2026/02/06
    2026年3月期第3四半期決算を発表し、通期連結業績予想および配当予想を修正 2026年3月期 第3四半期決算発表

過去1年間の大量保有報告/重要提案

  • ブラックロック・ジャパンほか13名: 7.34%→8.37%(報告義務発生日: 2026/02/27) - 純投資(投資一任契約・投資信託等に基づく顧客資産運用目的)
  • 三井住友トラスト・アセットマネジメントほか: 7.87%→7.55%(報告義務発生日: 2025/09/15) - 投資信託契約・投資一任契約に基づく運用(変更事由は提出者の商号変更)
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