タムロン 1Q 決算速報

監視・車載・医療の3領域が2桁増収で好調に推移。計画比でも売上・利益ともに上回り進捗

配信日2026年5月1日 19:10 JST

1Q決算を踏まえた評価点

監視&FA関連・モビリティ&ヘルスケア事業が2桁増収増益を達成し、写真関連OEMの減収を補完する事業ポートフォリオの分散効果が顕在化。売上・利益ともに計画を上回る進捗で、通期営業利益185億円達成への足掛かりを構築。

  • 監視&FA関連事業は売上高36億円(前年比+25.2%)、営業利益5.2億円(同+27.9%)と全カテゴリーで2桁増収。FA分野の在庫調整一巡が寄与
  • モビリティ&ヘルスケア事業は売上高35.7億円(前年比+19.1%)、医療用レンズが前年比約1.6倍と急成長。車載もADAS需要で2桁増収
  • 自社ブランド写真レンズは欧州が低迷基調からプラス転換、日本・米国も2桁増収。中国を除く主要地域で成長を確認
  • 為替影響は売上高+5.3億円、営業利益+3.0億円のプラス寄与。円安基調が業績を下支え
  • 本社配賦不能費用が前年比▲333百万円と縮小、間接コスト効率改善が営業利益の下支え要因

1Q決算を踏まえた懸念点

写真関連事業の売上高113億円(前年比▲16.7%)、営業利益23.9億円(同▲37.2%)と、OEM製品の一部受注機種の販売低迷が継続。粗利率は44.4%(前年比▲1.4pt)に低下し、原材料費・人件費上昇の吸収が課題。

  • OEM製品は金額ベースで前年比▲38.7%の急減。前年下期からの受注低迷が2四半期以上にわたり継続しており、回復時期が不透明
  • 粗利率44.4%(前年比▲1.4pt)。製品MIX悪化による粗利率低下▲320百万円、減収による粗利減▲690百万円が営業利益を圧迫
  • 為替差損が186百万円(前年41百万円)と拡大し経常利益率18.2%(同▲3.6pt)に低下。営業外損益の悪化が純利益の押し下げ要因
  • 棚卸資産が189.8億円(回転月数3.1ヶ月、前年度末2.4ヶ月)に増加。OEM減速下での在庫積み上がりに注意
  • 中国市場では自社ブランドが在庫過多により前年比▲57%の急減収。2Qは減収幅縮小、下期より挽回予定も同市場の動向に留意

注目点/今後確認したいポイント

  • OEM製品の一部受注機種の販売低迷について、2Q以降の回復シナリオ。通期OEM計画240億円(前年比▲2.9%)の達成に向け下期の受注動向が鍵
  • 2026年に年間10機種以上の新製品投入を計画。1QはA078をソニーEマウント用及びニコンZマウント用として発売済みで、残りは少なくとも8機種分を2Q以降に投入する計画の実行可能性とP/Lへの影響度
  • 米国関税政策の影響額は1Qで▲110百万円。2Q以降の通商政策変動リスクが業績予想の前提に与える影響の定量評価
経営陣への論点
  • OEM一部受注機種の販売低迷の具体的要因と回復時期の見通し
  • 2026年新製品10機種以上の投入スケジュールと各マウント別の内訳
  • 中国市場の在庫過多の解消見通しおよび販売回復に向けた具体的施策
  • 米国関税政策の追加影響に対する価格戦略・サプライチェーン対応
  • ライトタッチテクノロジー社への出資に伴う収益貢献のタイムライン
  • 医療用レンズの急成長(前年比約1.6倍)の持続性と30年30億円目標への中間マイルストーン
  • 棚卸資産回転月数悪化(2.4→3.1ヶ月)の要因と適正化の方針
  • キヤノンRFマウントの展開加速に向けた開発体制とカメラメーカーとの協業状況
  • 長期ビジョン「総合光学・センシングソリューション企業」に向けたM&A方針
  • 2026年通期為替前提(USD148円、EUR175円)と足元の乖離に対するヘッジ状況

主要業績ハイライト

勘定科目数値前年同期比
売上高18,485百万円▲5.0%
売上総利益8,209百万円▲7.9%
売上総利益率44.4%▲1.4pt
販売費及び一般管理費4,767百万円+2.0%
営業利益3,441百万円▲18.7%
営業利益率18.6%▲3.2pt
経常利益3,363百万円▲20.6%
親会社株主に帰属する四半期純利益2,712百万円▲4.5%
EPS16.82円▲3.6%
包括利益3,212百万円+198.2%

営業利益の前年比▲793百万円の内訳は、為替プラス+300、R&D以外販管費減+160、R&D費増▲140、米国関税▲110、製品MIX悪化▲320、減収粗利減▲690、その他+6。純利益は前年の特別損失(投資有価証券売却損407百万円)剥落により減益幅が縮小。

事業セグメント別の業績

セグメント名売上高前年同期比営業利益前年同期比利益率
写真関連事業11,305百万円▲16.7%2,390百万円▲37.2%21.1%
監視&FA関連事業3,602百万円+25.2%523百万円+27.9%14.5%
モビリティ&ヘルスケア、その他事業3,577百万円+19.1%901百万円+23.7%25.2%
調整額--▲373百万円--
合計18,485百万円▲5.0%3,441百万円▲18.7%18.6%
好調な事業
  • 監視カメラ用レンズ:売上21億円(前年比+28.8%)。高精細・高解像ニーズ拡大と用途多様化で約1.3倍に伸長。監視&FA関連事業全体の拠点別では欧州+51%、中国+29%と好調
  • 車載カメラ用レンズ:売上30億円(前年比+15.4%)。ADAS普及に伴うセンシング需要が旺盛、前期伸び悩みの中国市場も回復
  • 医療用レンズ:売上3億円(前年比+62.0%)。極小径・薄膜技術を活かした低侵襲医療用製品ラインナップ拡充が奏功
  • FA/マシンビジョン用レンズ:売上7億円(前年比+26.1%)。カメラメーカーの在庫調整一巡で需要回復
  • 自社ブランド写真レンズ(欧州):売上構成比が13%→17%に拡大、円換算ベースで前年比+34%。低迷基調からプラス転換
  • 自社ブランド写真レンズ(米州):円換算ベースで前年比+89%
不調な事業
  • OEM写真レンズ:売上38億円(前年比▲38.7%)。一部受注機種の販売低迷が前年下期から継続、数量ベースでも▲35.5%
  • 自社ブランド写真レンズ(中国):円換算ベースで前年比▲57%の急減。市場在庫過多が影響

業績予想比の進捗率

1Q売上高は通期計画91,000百万円に対し20.3%の進捗。会社は1Qが計画を上回って推移したと開示。前年通期の四半期構成は1Q:2Q:3Q:4Q=22.9%:26.2%:25.1%:25.8%であり、1Q進捗率20.3%は前年1Qの構成比22.9%をやや下回る水準。ただし会社は2Q以降の通商政策不透明感等を理由に通期予想を据え置いており、下期偏重計画(上期41,400/下期49,600)の達成可否が焦点。

勘定科目数値 (1Q実績)通期計画進捗率
売上高18,485百万円91,000百万円20.3%
営業利益3,441百万円18,500百万円18.6%
経常利益3,363百万円18,500百万円18.2%
純利益2,712百万円13,690百万円19.8%
  • 下期偏重の計画構成(上期41,400/下期49,600)。2Q以降の新製品投入集中により下期に売上・利益が集中する傾向
  • 前年は4Qに写真関連事業の売上が前年同期比+7.0%に回復しており、年後半の新製品効果が顕在化するパターン

業績予想の変更有無

通期および2Q累計の業績予想について修正なし。2026年2月6日公表値を据え置き。1Qは計画を上回る進捗であったが、通商政策の不透明感・中東情勢悪化に伴う資源価格や物流への影響・半導体不足の間接的影響等を考慮し、予想を維持。

株主還元への言及

2026年12月期の年間配当予想は37.00円(2Q末10.50円、期末26.50円)で据え置き。前年実績36.25円(分割調整後)から+0.75円の増配予想。配当性向は43.6%の見込み。還元政策は配当性向40%程度(年間20円下限)、総還元性向60%程度を目安に機動的な自己株式取得を実施する方針。

財務状況

自己資本比率82.5%と高水準を維持し、有利子負債依存度1.2%の実質無借金経営を継続。現金及び預金の減少は配当金支払(42.7億円)が主因であり、財務体質の健全性に懸念なし。

  • 主要数値
  • レバレッジ指標
勘定科目数値補足情報
総資産102,868百万円前期末比▲3.0%
現金及び預金30,819百万円前期末比▲12.9%
たな卸資産18,989百万円前期末比+13.3%、回転月数3.1ヶ月
└ 製品10,253百万円前期末比+9.5%
└ 仕掛品5,932百万円前期末比+15.9%
└ 原材料及び貯蔵品2,803百万円前期末比+22.7%
有利子負債1,208百万円借入金依存度1.2%
└ 短期借入金832百万円-
└ 長期借入金376百万円前期末比+52.2%
純資産84,861百万円前期末比▲1.2%
EBITDA4,293百万円営業利益3,441+減価償却費852

決算発表と同時に出たニュース

該当なし

足許四半期中の主要発表

  • 2026/02/02
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  • 2026/02/06
    2035年に向けた新長期ビジョンを刷新、総合光学・センシングソリューション企業への進化を宣言 タムロン、2035年に向けた長期ビジョンを刷新
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    フルサイズミラーレス向け大口径標準ズームレンズ「35-100mm F/2.8 Di III VXD(Model A078)」ソニーEマウント用・ニコンZマウント用を発表、3月26日発売 ポケットサイズで楽しむカジュアルポートレート、大口径標準ズームレンズ35-100mm F2.8 (Model A078)発売
  • 2026/02/19
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  • 2026/03/25
    原材料費・製造物流コスト上昇を背景に、2026年4月1日より一部ミラーレスカメラ用レンズの出荷価格および希望小売価格を改定 一部製品の価格改定に関するお知らせ

過去1年間の大量保有報告/重要提案

  • Effissimo Capital Management: 16.34%→17.38%(2026/04/07報告、義務発生日2026/03/31) - 純投資
  • Effissimo Capital Management: 15.30%→16.34%(2026/03/11報告、義務発生日2026/03/04) - 純投資
  • Effissimo Capital Management: 14.12%→15.30%(2026/02/17報告、義務発生日2026/02/09) - 純投資
  • Effissimo Capital Management: 13.06%→14.12%(2025/12/10報告、義務発生日2025/12/03) - 純投資
  • Effissimo Capital Management: 12.04%→13.06%(2025/10/23報告、義務発生日2025/10/16) - 純投資
  • Effissimo Capital Management: 10.87%→12.04%(2025/08/06報告、義務発生日2025/07/30) - 純投資
  • りそなアセットマネジメント(共同保有): 5.01%→6.15%(2025/06/20報告、義務発生日2025/06/13)

Effissimoによる継続的な買い増しが顕著であり、過去1年間で保有比率は10.87%→17.38%へ+6.51pt上昇。純投資目的を掲げるものの、筆頭株主級の保有水準に達しており、今後の動向に注視が必要。

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