タムロン 4Q決算プレビュー
新製品の年末寄与と写真OEM減速の綱引き。為替前提引き上げを吸収しつつ、利益率の底堅さを検証する四半期。
サマリー
年末商戦期の4Qは、10月発売の25-200mm G2やZ向け70-180mm F2.8 G2など新製品の立ち上がりが鍵。一方、写真関連のOEM減速と欧州の回復遅れが持続するかに注目。会社は通期計画を売上高87,000、営業利益18,000(いずれも百万円)へ下方修正し、4Qの実行力に焦点が移った。研究開発強化や販管費増の中でも、粗利確保と製品ミックス改善による「質的成長」が試される。
翌四半期の注目ポイント
| 注目点と焦点 | 示唆 |
|---|---|
売上成長新製品の初動(A075 25-200mm G2、A065 70-180mm F2.8 G2)の寄与幅 | 年末商戦の販売実績が通期達成の成否を左右。当レポート試算の4Q売上は23,897百万円(通期計画−3Q累計)。 |
収益性4Qの営業利益率 | 当レポート試算で19.3%(4,614/23,897)。値引きや販促強度次第でブレが拡大。 |
セグメントミックス自社ブランド交換レンズの伸長対OEMの減速 | 3Q累計で自社ブランド減収、OEM減収。4Qでの自社ブランド回復が全社OPM押上げ要因。 |
地域別動向欧州の回復遅れ解消、北米の持ち直し継続 | 欧州の需要戻りが遅い。欧州の回復が鈍ければ売上/粗利ミックス悪化懸念。 |
為替・価格会社前提USD/JPY 151、EUR/JPY 176(4Q)下での価格/コスト転嫁 | 円高影響の吸収力を検証。モデルミックスで補えるか。 |
研究開発・製品力研究開発強化による販管費増の投資対効果 | 受賞機種・G2刷新の継続投入がブランド力とASP維持に寄与。 |
資本政策配当方針と株式分割の影響 | 期末配当26.25円(分割考慮後)予定。自己株式取得/消却実施後の1株価値向上を評価。 |
FA・モビリティ監視/FAレンズの堅調さ、車載・医療の2桁増基調 | 非写真の安定成長が全社の下支え。2桁増維持でポートフォリオの耐性を評価。 |
前回決算(2025年12月期 3Q決算)を踏まえた主要論点
前期(3Q累計)は売上高63,103百万円(前年比-7.8%)、営業利益13,386百万円(同-20.0%)。写真関連の自社ブランド/欧州市場の不調/写真OEMの減速が重石となる一方、監視・FAやモビリティ/ヘルスケアが底堅く、資本効率は自己資本比率82.6%と強固。量から質への転換として、製品ミックスと価格戦略の巧拙が焦点。
1. 自社ブランド交換レンズの販売回復度
- 前期: 写真関連の売上高45,114百万円(-10.4%)、セグメント利益12,328百万円(-19.1%)。日本/インドは好調、米国は回復、欧州は回復遅れ。中国は3Q単では増収転換も累計は減収。
- 今期確認: 4Qに投入した新製品の年末商戦での販売実績、欧州回復の有無。
- 注目指標: 自社ブランド売上の前年比・前期比、主要機種の販売本数/ASP、セグメントOPM(当社非開示のため当レポートは方向性評価)。
2. 写真OEMの受注・出荷動向
- 前期: 写真OEMは市場停滞と一部受注機種の低迷で減収。
- 今期確認: 一部受注機種の出荷減継続見通しの深さと、代替案件の獲得状況。
- 注目指標: 写真関連のOEM売上比率(当レポート試算)、受注残の推移コメント、通期計画達成率。
3. 収益性と販管費コントロール
- 前期: 売上総利益28,311百万円(前年比-9.1%)、販管費14,924百万円(+3.6%)。営業利益率は21.2%(前年24.4%)。
- 今期確認: 4Qの販促費/物流費の季節増を吸収し、通期OPM≒20.7%(当レポート試算)を維持できるか。
- 注目指標: 4Q単独OPM、販管費率、粗利率の前期比改善幅。
4. 非写真領域(監視&FA、モビリティ&ヘルスケア)の牽引力
- 前期: 監視&FAは売上9,038百万円(-4.0%)、利益1,250百万円(-13.4%)。モビリティ&ヘルスケアは売上8,951百万円(+2.7%)、利益2,063百万円(-2.0%)。
- 今期確認: FA在庫調整の峠越え、車載/医療の2桁増継続。
- 注目指標: セグメント売上/利益の前年比、顧客在庫水準コメント、案件パイプラインの質。
5. 為替前提と感応度
- 前期: 対ドル円高のマイナス、ユーロ小幅円安。4Q前提をUSD/JPY 151、EUR/JPY 176へ引上げ。
- 今期確認: 為替前提下での売価・コスト転嫁状況、自然ヘッジの効果。
- 注目指標: 通期計画達成可否、為替差損益、地域ミックスの粗利影響。
6. 資本政策と株主還元
- 前期: 2025/2に自己株式1,000,000株取得、5/30に3,300,000株消却。株式分割(2024/7に1→2、2025/7に1→4)実施。
- 今期確認: 期末配当の確定、追加の自己株施策有無。
- 注目指標: 期末配当26.25円(分割考慮後)の実行、総還元性向の水準。
今期中の主要な適時開示
- 2025/11/062025年12月期 第3四半期決算短信(連結)および通期業績予想の修正公表 - 売上・各利益とも下方修正。4Qの新製品寄与とOEM減速の影響を織り込む姿勢を確認。
- 2025/10/2125-200mm F2.8-5.6 Di III VXD G2(A075)発売発表 - 年末商戦の牽引役。ソニーE向けのG2刷新でASPと数量の両面効果を期待。
- 2025/10/0770-180mm F2.8 VC G2(A065)Nikon Z向け発表 - Z向けラインの厚みが拡充、マウント拡大戦略を後押し。
前四半期の着地(2025年12月期 3Q実績)
同社は交換レンズを中心とする写真関連を主力に、監視&FA、モビリティ&ヘルスケアで事業多角化。研究開発強化とG2刷新による製品力向上を進める一方、3Q累計は写真OEMの減速と円高で減収減益。自己資本比率82.6%と財務は堅健で、非写真領域が底支え。
| 項目 | 金額(百万円) | 前年同期比 | 会社計画比 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 63,103 | -7.8% | 進捗率72.5%(通期計画87,000に対し) | 欧州の回復遅れ、写真OEM減 |
| 営業利益 | 13,386 | -20.0% | 進捗率74.4%(通期計画18,000に対し) | 粗利低下と販管費増 |
| 経常利益 | 13,470 | -19.2% | 進捗率74.0%(通期計画18,200に対し) | 為替差損影響等 |
| 当期純利益 | 10,059 | -17.7% | 進捗率74.2%(通期計画13,560に対し) | 特別損失(投資有価証券売却損)計上 |
| EPS | 62.20円 | - | 通期計画83.92円に対し進捗74.1% | 株式分割影響反映済 |
[通期計画に対する進捗率: 売上高 72.5%、営業利益 74.4%、経常利益 74.0%、当期純利益 74.2%(当レポート算出)]
会社情報
- 会社名: 株式会社タムロン
- 証券コード: 7740
- 上場市場: 東京証券取引所 プライム市場
- 決算期: 12月
- 次回決算発表予定: 2026年2月6日
- 主要事業: 写真関連事業(自社ブランド交換レンズ/写真OEM)、監視&FA関連事業、モビリティ&ヘルスケア・その他事業
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