横浜フィナンシャルグループ 1Q 決算説明会速報

資金利益が1Qを牽引しSMTPFC出資と自己株200億円を両立、2Qの業績・還元見直しが焦点

配信日2026年8月6日 17:30 JST

サマリー

2026年度1Qの親会社株主に帰属する四半期純利益は320億円(前年同期比+49億円、通期進捗率24.8%)、ROE(東証基準)8.9%と良好な立ち上がり。コア業務純益は513億円(+109億円、進捗率27.7%)と資金利益の拡大が牽引し、国内預貸金利回り差は1.225%へ改善した。2025年12月の利上げに伴う住宅ローン基準金利上昇の効果は2Qから本格発現する見込みで、2026年6月の政策金利1.0%への引き上げは追加の上振れ要因となる。説明会では、SMTPFC(三井住友トラスト・パナソニックファイナンス)への15%出資について、バランスシート非拡大でROE向上に資する案件との位置づけが示され、負ののれん約50億円を含む上振れ要因を織り込んだ通期ガイダンスの2Q決算での実施を検討していることが示唆された。

ポイント(決算の要点と成長アクション)

  • 経営戦略と市場認識
    • 2025年12月の利上げに伴う住宅ローン基準金利上昇の効果が2Qから本格発現し、預貸金利回り差の拡大は加速する見込み。
    • 戦略的投資と株主還元は必ずしもトレードオフではなく、今回は両方を実行したと説明。
    • 地銀再編は大きく動き始めたとの認識のもと、神奈川銀行を先行統合した自社を再編の中心にいたいプレイヤーと位置づけ。
  • 足元の事業進捗と要因
    • 国内貸出金利回り1.534%(+0.277pt)、預貸金利回り差1.225%へ拡大し、貸出金利息は+132億円。
    • 法人役務は前年1Qの大口案件剥落で▲22億円も、パイプラインは前年と遜色なく、2Qに大型成約が出始めている。
    • 市場部門はキャピタル収益▲61億円を年度予算81億円のロスカット枠内で前倒し計上、利回り0.5%未満のJGB処理は完了。
  • 戦略的な重要施策や変化点
    • 7月30日にSMTPFC株式15%(約200億円)取得の最終契約を締結(取得予定日10月1日)。4社業務提携で審査モデル・電子契約等のノウハウ移転と協調リースを想定。
    • 8月5日に自己株式200億円の取得を公表。前回付した一般的な注意文言を今回は付さず、完遂できる見立てと説明。
    • 個人預金はインターネット上限1,000万円・店頭上限2,000万円の定期預金キャンペーン(店頭1年1.3%)を新たに開始し流出を抑制。

今後の見通しと戦略

  • 業績進捗、6月の利上げ、SMTPFCの負ののれん約50億円等の上振れ要因を精査中。1Q時点での修正は見送り、2Q決算での実施を検討していることが示唆された。修正時は株主還元も併せて見直す方針。
  • SMTPFC出資は持分法適用のため連結バランスシートは拡大せず、CET1への影響も軽微。下期にCET1比率を中計目標へ近づける追加の自己株式取得の可能性にも言及。
  • 負ののれんの具体的な用途は現時点で白紙。一方、別の質疑では、長期塩漬けとなっている含み損投信の整理に活用する可能性にも言及した。
  • 政策保有株式は2030年3月末までに連結純資産比10%未満へ縮減する方針を継続(2026年6月末19.5%、簿価912億円)。

ポジティブ要因

  • 収益拡大とコスト規律が同時進行し、OHRは43.1%(▲3.7pt)へ改善。
  • 貸出金17.3兆円(+3.1%)。中小企業融資は+6.8%(横浜銀行の資産管理会社向けを除くベースで+7.4%)、資産家向け融資+3.0%と伸長。
  • ストラクチャードファイナンス平残8,722億円(+17.2%)。LBOローン・非上場化案件が牽引し、年度計画8,900億円の前倒し達成も視野。
  • その他有価証券評価損益は2,351億円(3月末比+639億円)。円債入替により利回りは1.06%へ上昇、デュレーションは3.2年へ短期化。

懸念事項・リスク

  • 東日本銀行はROE3%台、OHR75.9%(2.1pt悪化)、実質業務純益14億円(進捗率18.4%)と低位。規模のあり方を含め多面的議論が必要と経営陣が明言。
  • 円債の評価損益(満期保有目的除く)は▲411億円、金利10bpsのパラレル上昇で▲22億円の追加影響を試算。
  • 株価急変動に伴うM&A市場の不確実性が、ストラクチャードファイナンスの案件形成に影響する可能性。
  • 預金総額は▲1.1%。公共預金▲25.8%は過度なレート競争を追わない方針の結果だが、個人預金の獲得競争は金利コストの増加を伴う。

業績ハイライト

3行合算の業務粗利益は783億円(+89億円)、資金利益723億円(+135億円)が牽引しコア業務純益は513億円(+109億円、進捗率27.7%)。FG連結の経常利益は454億円(+71億円)、親会社株主に帰属する四半期純利益は320億円(+49億円、進捗率24.8%)、ROE(東証基準)8.9%。市場部門はキャピタル収益▲61億円の計上で損益▲11億円となったが、通期計画のロスカット枠内での前倒し実施によるもの。

セグメント別業績 ※銀行業には一般事業会社の売上高・営業利益に直接対応する指標がないため、比較用に業務粗利益・経常利益を記載

セグメント名業務粗利益前年同期比経常利益前年同期比
3行合算783億円+12.8%(+89億円)474億円+22.5%(+87億円)
横浜銀行700億円+14.4%(+88億円)455億円+25.3%(+92億円)
東日本銀行59億円▲0億円14億円▲0億円
神奈川銀行23億円+9.5%(+2億円)4億円▲4億円
L&Fアセットファイナンス43億円+1億円25億円+3億円
FG連結811億円454億円+18.5%(+71億円)
  • 親会社株主に帰属する四半期純利益: 320億円(前年同期比 +49億円、進捗率24.8%)
  • ROE(東証基準): 8.9%(前年同期比 +0.6pt)
  • コア業務純益(除く投信解約損益、3行合算): 513億円(前年同期比 +109億円、進捗率27.7%)
  • OHR(3行合算): 43.1%(前年同期比 ▲3.7pt)
  • 国内預貸金利回り差: 1.225%(25年度1Q 1.064%)
  • 貸出金(3行合算、国内店分): 17.3兆円(前年同期比 +3.1%)
  • 預金(3行合算、国内店分): 20.3兆円(前年同期比 ▲1.1%)
  • 与信関係費用(3行合算): 22億円(与信関係費用比率0.05%)
  • 不良債権比率(3行合算): 1.2%(25年6月末 1.2%)
  • ストラクチャードファイナンス平残: 8,722億円(前年同期比 +17.2%)

Q&A一覧

  • Q: 政策金利前提の0.75%が6月に1.0%へ引き上げられ、業務粗利益への影響試算もリリースされたが、1Qでの上方修正はなかった。社内で修正の議論はあったのか、あったならなぜ見送ったのか。
    A: 業績の進捗、6月の利上げ、SMTPFCの負ののれんの影響も踏まえると、多くのものが上振れの状態にある。ただし負ののれんは振り分け方によって金額がブレる可能性もあり、現在精査している。業績見通しを修正すれば還元も併せて修正することになるため、社内で解像度を上げて議論したうえで、1Q決算での修正発表は見送った。9月に利上げがある可能性もあるので確定的なことは申し上げられないが、できれば2Q決算でガイダンスの見直しも検討したいと現段階では考えている。
  • Q: 法人役務は業績予想比の進捗が1Qとしても低く見える。大口案件の剥落影響を調整すれば通期はオントラックという理解でよいか。剥落影響以外の出来をどう評価しているか。
    A: 前年度1Qが非常に好調だったため前年同期比では下振れが大きく見えるが、年間でマイナス予算となることは認識している。パイプラインは非常に厚く、首都圏上場企業のコーポレートアクションも引き続き活発で、案件の在庫状況は前年と遜色ない。2Qにはすでに成約に至った案件も出てきており、予算をどれだけ下回るかではなく、どれだけ上回るかを議論している段階。オントラックというよりアップサイドが見込める状況にある。政策金利引き上げも含めた着地見通しは現在精査中で、より解像度を持って説明できるタイミングを作りたい。
  • Q: SMTPFCへの15%出資を決めた背景は。L&Fアセットファイナンスと同様に安く買えたのか。
    A: 昨年のL&Fアセットファイナンス買収以来、SMTBとは様々な話をしており、SMTPFCもその対象として交渉してきた経緯がある。リース子会社の浜銀ファイナンスは銀行法の制約の中で小口ファイナンスリース中心の事業となっており、スケールさせることが難しく、審査を含めたノウハウも不足していた。SMTPFCへの資本参加でこのニーズを満たせると考え、合意に至った。安く買えたかは相手のあることで申し上げにくいが、SMTPFC側も単独よりは地銀のトップバンクである横浜銀行の顧客基盤を活用した業容拡大を成長戦略として描ける。4社間業務提携ではモデル審査等のノウハウ提供を受け、浜銀ファイナンスの高度化・効率化につなげるほか、協調リースによるアセット拡大も可能と考えている。高いか安いかというより、SMTBがオーナーシップとしてベストは何かという考えのもと、芙蓉総合リースと当社を選んだ経緯と認識している。
  • Q: 東日本銀行のROEは今期計画を達成しても連結全体と比べかなり低い。業界全体のROEが切り上がる中で低さが目立つ。相応の資本を貼り付けている中での課題認識と改善策は。
    A: ROE3%台はグループの中でも大きな課題と考えている。規模と、東京の激しい競争マーケットでの立ち位置の中で最適解を模索しており、この中計では中小企業向けリレーションバンキングの立て直しに取り組んでいる。もともと大きな収益予算を張っておらず、踊り場を作っている状況である。一方で調達金利が上がる中、それを上回る貸出収益を上げるべく、どのサイズの企業のどのニーズを掘るかを悩みながら進めており、最適解までもう少し時間がかかる。ただし3%程度のROEで済ませてよいわけはなく、FGとして東日本銀行の規模のあり方も含めて多面的に議論していきたい。
  • Q: 1Qでキャピタルロス61億円、ガイダンス上81億円のロスとなっているが、さらにロスを出す必要性を感じているか。含み損を活用した追加処理や、有価証券ポートフォリオ入れ替えの必要性は。
    A: キャピタルロスはやろうとすればキリがないが、逆ザヤになるものは将来の負担が重くなるため積極的に進める。ただし利回り0.5%を下回る部分は処理をやり切っており、今後の利上げに合わせた追加処理はそれほど大きな規模にはならないと見ている。一方、投資信託には何年も含み損のまま塩漬けになっているものがあり、機会損失に加え信託報酬もかかる。安定調達比率や流動性比率を考えても、塩漬けにするより生きたお金にしていくべきであり、負ののれんはその資金回収の目的で使うこともあり得る。いずれにしても将来収益につながる形で財源を使っていきたい。
  • Q: ストラクチャードファイナンス平残8,722億円、前年同期比17%増と非常に強い。何が増えているのか。年度計画8,900億円の前倒し・超過達成の可能性は。
    A: ノンリコース不動産や大型データセンターではなく、企業の非上場化やM&Aに伴うLBOローンが大きく伸びている。リファイナンス案件も含め在庫は非常に貯まっており、2Qに入っても大型案件が成就しているため、残高の前倒し計画達成は十分可能性がある。ただし株価が大きく変動する中でM&A市場がどう動くかの不確実性はある。いずれにしても増加基調にあり、前倒し達成も視野に入れて進めている。

その他のQ&A

  • Q: 1Qの前倒し入れ替えで、3月末に2,000億円程度あった利回り0.5%以下の低利回り円債はどう変動したか。今後の処理見通しは。
    A: 0.5%を下回る部分のうちJGBは随分手前で損切りを済ませている。一部残る社債は残存期間が短く持ち切りも考えており、今回キャピタルロス61億円を計上した。予算に81億円のロスカット枠を組み入れており、その範囲内でやや大きめのロスカットを前倒しで実施した。入れ替えにより含み益を厚く保ちつつ利回りの高い資産へ移し、将来の資金利益の底上げを図っていく。
  • Q: 今回の自己株取得は一般的なスキームになった。前回あった「大きな投資があれば実行しないかもしれない」という説明が今回はない。インオーガニックの差し迫った度合いは感じていないということか。
    A: 前年度も同時期に100億円のバイバックを実施した。年度でこれぐらいできるという考えというより、まずはやり切れる規模を足元で示している。今回条件文言がないのは、SMTPFCを進めており、バイバック完了までに他にそうした意思もない見通しが立つ中で、確実にやり切れるという考えで進めているため。年度の見立ての見直しと合わせ、CET1比率を中計目標に近づけるには下期に追加を考える局面があるかもしれない。戦略投資と還元は必ずしもトレードオフではなく、今回はその両方を実行した。
  • Q: 新生銀行が地域金融機関14行と地域成長投資連携協定を締結した。神奈川近隣でストラクチャードファイナンスのシェアを取られるリスクをどう見るか。どのような強みで顧客を拡大できるか。
    A: SBIの枠組みは、参加行の多くが自らリードアレンジャーを務める経験がなく、SBIを通じてストラクチャードファイナンスに取り組みたいという連携と理解している。当社は地銀ながらLBOローン等のリードアレンジャーを担う力があり、営業部門によればそこまでできる地銀は他にない。案件をリスクテイクしてパートアウトする同様の取り組みをすでに行っており、競合という見方もできるが、首都圏マーケットではメガと協調・棲み分けしながら市場を盛り上げている。案件の大口化で1行でのリスクテイクはメガにも難しくなっており、当社経由かSBI経由かを問わず、全国の地銀がリスクテイクに参加する仲間が増えることは当社にとっても良いことと考えている。
  • Q: 貸出金利回りの改善度合いは横浜銀行、東日本銀行、神奈川銀行の順となっている。FG傘下での違いはどこから生じているか。
    A: 顧客層による違いがある。神奈川銀行は最も小規模な顧客を担当するため利回り自体は高いが、競争相手が信金の場合、マーケットの原理通りに金利を引き上げにくい面がある。横浜銀行は金融リテラシーの高い顧客が中心で価格転嫁がしやすく、近年ストラクチャードファイナンスのアセットを増やしてきた背景もあり、利回りの上昇ピッチが高い。東日本銀行はその中間に位置する。
  • Q: 法人・個人の預金戦略は。個人預金は昨年のキャンペーンが成功したが、今後預金追随率が上がる余地は限定的と考えてよいか。獲得戦略とコストの考え方は。
    A: 公共預金の大幅減は、入札で無理なレートを提示するプレイヤーが増えており、あえて追いかけていないことが主因。顧客ベースの預金はしっかり取る方針で、個人・法人とも施策を打っている。昨年度のキャンペーンでは2カ月で3,000億円を集め、現時点で約6割が残存。5億・10億円と大口で預け替えた顧客は高利回りを求めて流出した一方、1,000万円・2,000万円と小口でお預けいただいた顧客は現在もお預けを継続いただいているケースが多く、地元の銀行に資金を残していただける傾向が確認できた。そのため足元でインターネット上限1,000万円・店頭上限2,000万円の金利キャンペーン(1年定期・店頭1.3%)を新たに開始した。キャンペーンは継続的に実施していく考えである。また、自前のバンキングアプリで、マスリテール向け口座獲得にも注力する
  • Q: 預かり資産ビジネスは投資信託販売を含め堅調と見ているが、新NISAも始まっている中での進捗、手応え、伸びしろは。
    A: 保険には富裕層向けの相続税対策コンサルティング機能があり、その切り口の提案を強化している。円建て保険の商品性が改善し外貨建てから移ってきているが、相続対策のニーズには応えていきたい。一方で円建て保険は定期預金と経済効果がほとんど変わらない部分もあり、顧客の需要を捉えながら対応する。ここに収益のウェイト・期待を置くことは考えていない。
  • Q: 前回のバイバックでキャンセル条件的な文言を付けたのはSMTBのリース会社の件があったからで、今回はそれが完了したため付けなかったのか。
    A: 個別の案件があったからではない。インサイダーに該当する個別案件があればバイバックの公表自体ができないし、三井住友トラスト・パナソニックファイナンスの案件がバイバックの阻害要因になるという見立ても当時持っていなかった。ただし日頃から様々な案件が動いており、いつ案件が来るか分からないのは今も同じである。当時は株価が急上昇しPBR1倍を超えて伸びていく過程にあり、この株価水準でのバイバックより戦略投資を積極化すべきという議論もしていた。注意文言は停止条件というより一般的なことを書いたつもりだったが、アナリストから一般的なことなら書かない方がよいとの指摘も受けた。今回の200億円はやり切れる見立てを持っているため何も付けていない。バイバックの規模が大きく期間が長くなる場合には、ああした文言を書くことはあり得ると整理している。
  • Q: 住宅ローンへの取り組み姿勢は。顧客の囲い込みの観点も含め、リスクアセットの投入としてプロダクトを考え直す余地はあるか。
    A: 住宅ローンは採算性とデュレーションの長さというアセット上の特性があり、各地銀も悩んでいると理解している。当社も今回、強い増加予算は組んでいない。神奈川県内の新築着工戸数に不透明性があるためでもある。金利更改が半年に1回のため6カ月TIBOR等をベースに採算管理しているが、足元は6カ月TIBORと1カ月TIBORの開きが大きく、管理会計の手法によって採算の見方が大きく変わる。環境に合わせて、メガバンクやネットバンクの状況を見ながら機動的に戦略を切り替えていきたい。
  • Q: 地銀再編についての観察は。当面は県内再編が中心で、広域は少なそうか。
    A: 非常に大きく動き始めた印象を持っている。当社は周囲の動きに慌てるのではなく、すでに神奈川銀行をグループに取り込み先行してきたため、落ち着いて周囲を見極めたうえで、再編の中心にいたいと考えるプレイヤーの1人として、ベストな機会を捉えられる関係づくりに努めている。広域の地銀同士の再編も生まれており、預金吸収機能と運用機能のシナジーや、本部機能・システム統合による効率化を目指すケースもあり得るが、最も分かりやすいのは同一県内の垂直統合でシナジーが明確である。先んじて神奈川銀行のTOBを行ったことは正解だったと考えている。
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