横浜フィナンシャルグループ 1Q 決算速報

金利環境改善で資金利益が前年比+130億円、貸出金利回上昇と貸出残高拡大が牽引し4期連続増益を達成

配信日2026年8月5日 20:25 JST

1Q決算を踏まえた評価点

金利上昇局面の恩恵を最大限享受し、連結経常利益454億円(前年比+18.6%)、親会社株主帰属四半期純利益320億円(同+18.4%)とFG設立初年度の負ののれん益計上要因を除き、1Q過去最高を更新。3行合算コア業務純益513億円(同+109億円)が収益力の底上げを端的に示しており、利鞘改善の持続性が確認される決算。

  • 3行合算の国内資金利益694億円(前年比+130億円)。貸出金利回1.53%(同+0.28pt)、預貸金利回差1.22%(同+0.16pt)と利鞘拡大が継続
  • 3行合算OHR 43.1%(同▲3.7pt)に改善。人件費・物件費は増加も、トップライン拡大が経費増を吸収し効率性が向上
  • 株式等関係損益が連結40億円(同+31億円)に拡大。有価証券評価益は連結1,814億円(前期末比+635億円)と含み益が厚い
  • 自己資本比率5.8%(前期末比+0.4pt)に上昇。純資産1兆4,696億円(同+512億円増)と資本基盤の強化が進展
  • 三井住友トラスト・パナソニックファイナンスの株式取得(持分法適用関連会社化)に係る最終契約を7月30日に締結。非銀行事業領域の拡充に向けた布石

1Q決算を踏まえた懸念点

ポートフォリオ改善を目的とした円債売却・投信解約で3行合算その他業務利益が▲63億円(前年比▲28億円)と損失拡大。預金利息の増加(連結188億円、同+57億円)が今後の利鞘圧縮要因となり得る点にも留意が必要。

  • 連結与信関係費用27億円(前年比+26億円)。個別貸倒引当金繰入額21億円が新規計上され、不良債権比率は1.3%と横ばいながら要管理債権+15億円と増加傾向
  • 役務取引等利益は連結161億円(前年比▲16億円)に減少。投資信託販売額379億円は増加も、前期計上した大口案件の剥落が要因となり低下
  • 預金残高3行合算20兆1,252億円(▲前期末比6,461億円)。公金預金減少が主因だが、安定的な調達基盤維持が課題
  • 東日本銀行の経常利益14億円(前年比▲0億円)、OHR 75.9%(同+2.1pt)。収益性改善ペースに課題
  • 国債等債券損益(5勘定尻)は連結▲63億円(前年比▲29億円)。金利上昇局面での有価証券ポートフォリオ運営リスクが残存

注目点/今後確認したいポイント

  • 日銀追加利上げシナリオにおける預貸金利回差の見通し。預金金利上昇の影響が貸出金利回改善を上回る「逆ザヤリスク」の有無を確認
  • 三井住友トラスト・パナソニックファイナンス株式取得後の連結業績へのインパクト
  • 円債ポートフォリオ再構築の進捗と完了時期。含み損▲998億円(債券部分)の解消に向けたタイムラインと損益影響
経営陣への論点
  • 通期経常利益1,915億円計画に対する1Q進捗率23.7%の評価と、上振れ余地の定量的見通し
  • 預金金利引き上げ後の預金獲得競争の激化が利鞘に与える影響の想定シナリオ
  • 東日本銀行のOHR改善に向けた具体的施策と目標時期
  • 役務取引等利益の減収要因と回復に向けた施策
  • 円債ポートフォリオの再構築方針(デュレーション調整、外債比率変更等)
  • 自己株式取得の規模・期間・株主還元方針の全体像
  • 個人向け投資型商品残高34,046億円への到達を踏まえたウェルスマネジメント事業の中期戦略
  • 与信関係費用の通期見通しと個別貸倒引当金繰入増加の業種別要因
  • GHG排出量可視化等のサステナビリティ関連サービスの収益貢献見通し

主要業績ハイライト

勘定科目数値前年同期比
経常収益130,998百万円+15.9%
経常利益45,462百万円+18.6%
親会社株主に帰属する四半期純利益32,028百万円+18.4%
EPS28.81円+21.7%
包括利益75,462百万円+56.2%
連結粗利益81,135百万円+10.7%
└ 資金利益69,098百万円+20.0%
└ 役務取引等利益16,160百万円▲9.4%
営業経費37,219百万円+3.2%
連結OHR45.8%▲3.4pt
与信関係費用2,741百万円+3,603.4%
株式等関係損益4,043百万円+347.5%
連結業務純益43,257百万円+16.3%

事業セグメント別の業績

当社グループは銀行業の単一セグメントであり、セグメント情報の開示を省略。以下、傘下3行の合算ベースで実質的な事業構造を分析する。横浜銀行が業務粗利益700億円(3行合算783億円の89.4%)と圧倒的な収益構成比を維持。国内資金利益の増加を主因に3行合算の業務粗利益は前年比+89億円と拡大した一方、東日本銀行は業務粗利益59億円(同▲0億円)とほぼ横ばいにとどまった。

セグメント別業績表

セグメント名売上高(業務粗利益)前年同期比営業利益(実質業務純益)前年同期比経費率
横浜銀行70,038百万円+14.4%42,390百万円+22.0%39.4%
東日本銀行5,988百万円▲1.3%1,442百万円▲9.0%75.9%
神奈川銀行2,340百万円+10.7%709百万円+27.7%69.6%
3行合算78,366百万円+12.9%44,541百万円+20.7%43.1%
好調な事業
  • 横浜銀行・国内預貸金利息:409億円(前年比+65億円)。貸出金利回1.50%(同+0.29pt)上昇が寄与、貸出金平残も14兆6,580億円(同+4,985億円)と拡大
  • 横浜銀行・有価証券利息配当金:国内125億円(前年比+37億円)。有価証券利回2.25%(同+0.70pt)と運用利回り改善が顕著
  • 横浜銀行・株式等関係損益:38億円(同+36億円)。政策保有株式売却益39億円が貢献
  • 神奈川銀行:業務粗利益23億円(前年比+2億円)。資金利益20億円(同+2億円)と利鞘拡大の恩恵を享受、OHR 69.6%(同▲4.1pt)
不調な事業
  • 東日本銀行:業務粗利益59億円(前年比▲0億円)、実質業務純益14億円(同▲1億円)。役務取引等利益5億円(同▲0億円)が低調、OHR 75.9%と高水準が継続
  • 3行合算・役務取引等利益:115億円(前年比▲20億円)

業績予想比の進捗率

通期経常利益計画191,500百万円に対し1Q実績45,462百万円(進捗率23.7%)、親会社株主帰属純利益計画129,000百万円に対し1Q実績32,028百万円(同24.8%)。前期1Qの進捗率(経常利益24.7%、純利益25.4%)と概ね同水準であり、通期計画の達成は射程圏内。金利環境の追い風が通期にわたり持続すれば上振れ余地あり。

勘定科目数値(第1四半期)通期計画進捗率
経常利益45,462百万円191,500百万円23.7%
親会社株主に帰属する当期純利益32,028百万円129,000百万円24.8%
EPS28.81円116.06円24.8%
  • 銀行業特有の季節性として、年度末(3月)に公金預金の流出入が集中し預金残高が変動する傾向。当1Qも公金預金が3行合算で▲7,182億円減少
  • 下期偏重の傾向があり、例年2H(特に4Q)に与信関係費用の計上や有価証券損益の確定が集中

業績予想の変更有無

業績予想の修正なし。通期経常利益191,500百万円(前年比+23.5%)、親会社株主帰属純利益129,000百万円(同+21.1%)の計画を据え置き。

株主還元への言及

配当予想は据え置き。中間配当23.00円、期末配当24.00円、年間47.00円(前期38.00円から+9.00円増配)を予定。決算短信の注記において「自己株式の取得に係る事項の決定に関するお知らせ」を同日別途公表した旨が記載されており、自己株買いを実施する方針。なお、通期EPS予想116.06円の算定には当該自己株取得の影響は未反映。

財務状況

総資産25兆829億円と前期末比▲5,875億円の縮小は、現金預け金の減少(▲5,680億円)が主因。純資産は+512億円増加し、自己資本比率5.8%(+0.4pt)へ改善。貸出金は+199億円増と安定成長を維持しつつ、有価証券ポートフォリオの入替を推進。

  • 主要数値
  • レバレッジ指標
勘定科目数値補足情報
総資産25,082,919百万円前期末比▲2.3%
現金預け金3,584,362百万円前期末比▲13.7%
有価証券3,034,189百万円前期末比▲1.4%
貸出金17,687,342百万円前期末比+0.1%
預金20,264,272百万円前期末比▲2.9%
借用金1,968,123百万円前期末比▲0.4%
社債50,000百万円前期末比+42.9%
純資産1,469,601百万円前期末比+3.6%
└ 株主資本合計1,228,967百万円前期末比+0.7%
└ その他の包括利益累計額合計226,710百万円前期末比+23.5%
貸倒引当金89,072百万円前期末比+2.2%

決算発表と同時に出たニュース

  • 2026/08/05
    自己株式の取得に係る事項の決定に関するお知らせ

足許四半期中の主要発表

  • 2026/07/30
    三井住友トラスト・パナソニックファイナンスの株式取得に関する最終契約を締結。2026年10月1日に持分法適用関連会社化予定(決算短信 重要な後発事象より)
  • 2026/07/15
    横浜銀行が個人向け手数料割引制度「ゼロ手数料」をリニューアル。ATM等の手数料優遇条件を緩和し個人顧客基盤の利便性を向上 2026年7月15日(水)よりゼロ手数料の割引内容をリニューアルしました
  • 2026/07/03
    NTTデータのGHG排出量可視化プラットフォーム「C-Turtle FE」を横浜銀行・東日本銀行・神奈川銀行で導入。投融資先の排出量可視化を通じサステナビリティ支援を強化 GHG排出量可視化プラットフォーム「C-Turtle® FE」、地域金融機関31グループ・37行へ導入拡大
  • 2026/05/26
    マーケットエンタープライズと横浜銀行が業務提携し、個人顧客向け生前整理・遺品整理のワンストップ買取サービスを開始 マーケットエンタープライズと横浜銀行が連携、生前整理・遺品整理のワンストップ買取を開始

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