横浜フィナンシャルグループ 通期 決算速報

資金利益拡大とL&Fアセットファイナンス子会社化で純利益1,065億円、5期連続増益を達成した決算

配信日2026年5月12日 20:50 JST

通期決算を踏まえた評価点

経常利益1,550億円(前年比+26.2%)、純利益1,065億円(同+28.6%)と2桁増益を達成。ソリューションビジネスの深化による預貸金利息・役務収益の伸長に加え、L&Fアセットファイナンスの子会社化(取込利益49億円)が収益基盤を厚くした。ROE7.9%(+1.5pt)へ改善し、来期9.0%を展望する点も資本効率向上を裏付ける。

  • 3行合算コア業務純益(除く投信解約損益)1,696億円(前年比+358億円)、預貸金利息+209億円・役務+24億円が牽引
  • 貸出金利回(国内)1.35%(+0.28pt)、総資金利鞘0.43%(+0.12pt)と利鞘改善が加速
  • 貸出金末残17兆3,763億円(3行合算国内店、+4.2%)、法人+7.6%・個人+2.1%とバランスよく拡大
  • 与信関係費用74億円(同▲20億円)、不良債権比率1.2%と低水準を維持
  • 自己株式取得400億円・年間配当38円(配当性向40.4%)と株主還元を拡充

通期決算を踏まえた懸念点

営業経費1,498億円(前年比+11.7%)と増加ペースが粗利益増加率を下回るものの、物件費・人件費の双方が拡大。預金利息577億円(同+88.4%)と調達コスト上昇が資金利益の伸びを一部相殺しており、金利環境次第では利鞘改善の持続性にリスクがある。

  • OHR48.7%(連結、▲2.8pt)と改善も、経費絶対額は前年比+157億円と増勢
  • 預金利息577億円(前年比+271億円)、調達コスト上昇が続けば利鞘圧迫要因に
  • 有価証券関係損益は国債等債券損益▲304億円(5勘定尻)と損失が拡大、債券ポートフォリオの入替コスト継続
  • 営業CF▲1,217億円と支出超過、貸出金増加に伴う資金繰り変動に留意
  • 東日本銀行のコア業務純益89億円(同▲7億円)と低調、グループ内収益偏重が進行

注目点/今後確認したいポイント

  • L&Fアセットファイナンスの来期取込利益53億円計画(+4億円)の蓋然性。不動産担保融資特有の信用コスト動向と、横浜銀行との顧客シナジー実現ペースが焦点
  • 来期連結純利益1,290億円(+21.1%)・ROE9.0%の達成可否。3行合算実質業務純益1,770億円(+379億円)計画は貸出金利回の更なる改善と経費率抑制の両立が前提
  • 三井住友トラスト・パナソニックファイナンスへの15%出資など非銀行領域拡大の進捗。リース・総合金融機能の収益貢献時期と規模感
経営陣への論点
  • 預金利息上昇が続く中での預貸金利回差の維持・拡大シナリオ
  • L&Fアセットファイナンスにおける外国人・高齢者向けローンの信用コスト推移と引当方針
  • 東日本銀行のコア業務純益回復に向けた具体施策とタイムライン
  • 有価証券ポートフォリオの入替方針と今後の債券損益見通し
  • 自己株取得の来期方針と総還元性向の目標水準
  • 神奈川銀行の不良債権比率3.0%(3行中最高)の改善計画
  • 人員372名増(連結6,313名)の背景と中期的な人件費コントロール方針
  • バーゼル Ⅲ 最終化完全実施ベース CET1 ⽐率 11.4% 程度(有価証券評価差額金除くベース)における資本政策の⽅向性

主要業績ハイライト

勘定科目数値前年同期比
経常収益490,724百万円+22.9%
経常利益155,018百万円+26.2%
親会社株主に帰属する当期純利益106,523百万円+28.6%
EPS94.02円+31.3%
包括利益196,514百万円+236.2%
連結粗利益307,136百万円+17.9%
└ 資金利益260,262百万円+25.1%
└ 役務取引等利益65,373百万円+9.5%
営業経費149,879百万円+11.7%
連結業務純益156,610百万円+24.8%
与信関係費用8,982百万円▲17.1%
総資産25,670,496百万円+3.5%
純資産1,418,344百万円+9.7%
自己資本比率5.4%+0.3pt
BPS1,263.05円+12.0%
年間配当38.00円+9.00円
配当性向40.4%-
ROE(東証基準)7.9%+1.5pt

事業セグメント別の業績

セグメント名売上高前年同期比営業利益前年同期比利益率
銀行業(単一セグメント)490,724百万円+22.9%155,018百万円(経常利益)+26.2%31.5%
好調な事業
  • 横浜銀行・法人向け貸出:末残7兆8,630億円(+9.1%)、うち中小企業向け+8.8%。シンジケートローン等の手数料収益188億円(+30億円)も拡大し、ソリューション型営業が奏功
  • 横浜銀行・役務取引等利益:421億円(+22億円)。法人向け預金・貸出業務収益356億円(+31億円)が牽引、為替業務101億円(+6億円)も堅調
  • 個人向け投資型商品:グループ合計残高3兆1,862億円(+10.5%)。投資信託(含むファンドラップ)8,302億円(+10.7%)、保険1兆5,389億円(+4.0%)と資産管理型ビジネスが拡大
不調な事業
  • 東日本銀行:コア業務純益89億円(前年比▲7億円)、貸出金平残▲261億円と縮小。不良債権比率2.6%と3行中高水準で収益性に課題
  • その他業務利益(3行合算):▲261億円(同▲135億円)。円債入替・投信損切りによる国債等債券損益▲304億円(5勘定尻)が重石

業績予想比の進捗率

来期(2027年3月期)予想が新たに開示された。連結経常利益1,915億円(+23.5%)、純利益1,290億円(+21.1%)と2桁増益を計画。3行合算実質業務純益1,770億円(+379億円)はソリューションビジネス強化による粗利益拡大を前提とする。与信関係費用100億円(+26億円)とやや保守的に見積もっている。

勘定科目数値(2026/3通期実績)来期計画(2027/3)前年比
連結経常利益155,018百万円191,500百万円+23.5%
親会社株主に帰属する当期純利益106,523百万円129,000百万円+21.1%
3行合算コア業務純益(除く投信解約損益)1,696億円1,851億円+9.1%
3行合算与信関係費用74億円100億円+35.1%
  • 銀行業特有の季節性として、年度末(3月)に法人向け貸出・為替取引が集中する傾向

来期の業績予想

2027年3月期の新規業績予想として、連結経常利益1,915億円(前年比+23.5%)、親会社株主に帰属する当期純利益1,290億円(同+21.1%)が公表された。

株主還元への言及

2026年3月期の年間配当は38円(中間17円+期末21円)、配当性向40.4%。前期比+9円の増配。自己株式取得は417億円を実施(期末自己株式数33,138千株、前期比+30,009千株)。2027年3月期は年間配当47円(中間23円+期末24円)を予想、配当性向40.4%を維持予定。累進配当方針を継続。

財務状況

総資産25.7兆円、自己資本1.4兆円と資産規模を拡大しつつ、バーゼルⅢ(国際統一基準)にもとづく総自己資本比率14.94%・CET1比率14.42%と質の高い資本構成を維持。L&Fアセットファイナンス子会社化に伴うのれん66億円が無形固定資産に計上されたが、財務健全性に影響は限定的。

  • 主要数値
  • レバレッジ指標
勘定科目数値補足情報
総資産25,670,496百万円前期比+3.5%
貸出金17,667,404百万円前期比+5.5%
有価証券3,077,662百万円前期比+5.3%
預金20,877,254百万円前期比+2.3%
現金預け金4,152,428百万円前期比▲6.6%
借用金1,976,520百万円前期比▲5.4%
社債35,000百万円劣後特約付社債発行+350億円
自己資本1,403,856百万円前期比+9.0%
貸倒引当金87,144百万円前期比+5.1%
のれん6,666百万円L&Fアセットファイナンス子会社化

決算発表と同時に出たニュース

  • 2026/05/12
    2026年3月期の期末配当を1株21円、年間38円と決議。2027年3月期は累進配当・配当性向40%程度を目安とし、年間配当予想を47円とする方針を公表 剰余金の配当(期末配当)ならびに2027年3月期の株主還元方針に関するお知らせ

足許四半期中の主要発表

  • 2026/03/26
    横浜銀行がJCBおよびNTTデータと協働し、中小企業向けの法人ポータル/デジタル総合金融サービス開発に着手。請求書管理、オンラインレンディング、法人カード、非対面口座開設などを順次提供予定で、法人顧客接点とソリューション収益拡大に資する取り組み 中小企業向けデジタル総合金融サービスの提供に向けて 株式会社ジェーシービーおよび株式会社NTTデータと協働し開発に着手
  • 2026/03/30
    横浜FGが三井住友トラスト・パナソニックファイナンスへ15%出資し、三井住友信託銀行・芙蓉リースとの共同事業化を進める基本合意を締結。浜銀ファイナンスの機能強化やリース・総合金融機能の拡充を狙う戦略的投資 三井住友トラスト・パナソニックファイナンスの株式取得(持分法適用関連会社化)に関する基本合意書締結について

過去1年間の大量保有報告/重要提案

  • フィデリティ投信: 新規→5.04%(2026/01/09提出、報告義務発生日2025/12/31) - 投資信託約款および投資一任契約等に基づく運用
  • 三井住友信託銀行(共同保有者含む): 5.16%→5.19%(2025/09/19提出、報告義務発生日2025/09/15) - 政策投資、投資信託契約・投資一任契約に基づく運用等
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