3Q決算を踏まえた評価点
主力の電子・通信用機器事業が官公庁・公共関連需要とインフラシェアリング関連の拡大を取り込み、売上収益5,302百万円(前年比+35.8%)、営業利益928百万円(同+453.7%)。売上総利益率は40.6%(前年30.2%、+10.4pt)へ改善し、官公庁向け案件の本格量産に向けた生産体制の構築、ならびにベトナム新工場の立ち上げによる低コスト生産体制が採算を押し上げた構図。通期営業利益計画820百万円を3Q累計で既に超過。
- 電子・通信用機器の売上収益4,912百万円(前年比+40.8%)、セグメント利益1,173百万円(同+215.1%)と量・質両面で伸長
- 売上総利益2,153百万円(前年比+82.7%)に対し販管費は1,217百万円(同+20.5%)に抑制、営業レバレッジが顕在化
- 受注高5,743百万円(うち電子・通信用機器5,083百万円)を確保、売上収益5,302百万円を上回り受注残は積み増し
- 新株予約権行使で資本金+977百万円、資本剰余金+937百万円。親会社所有者帰属持分比率57.8%(前期末47.1%)へ上昇
- 現金及び現金同等物4,747百万円(前期末比+288.6%)で実質ネットキャッシュ436百万円、蓄電所投資の原資を確保
3Q決算を踏まえた懸念点
税引前四半期利益2,452百万円のうち金融収益1,581百万円が含まれ、その中核は海外現地法人保有株式の評価益。会社は今後四半期ごとに評価損益で洗い替える旨を明記しており、四半期利益1,950百万円の水準は株価変動に連動して振れる構造にある。
- 金融収益1,581百万円(前年比+1,444.8%)は非現金性の評価益を含み、四半期ごとに洗い替え。利益の質の見極めが必要
- 四半期単独では売上収益1,560百万円、営業利益177百万円と1Q(2,051百万円/496百万円)から逓減(当レポート試算)
- 再生可能エネルギー事業の売上収益389百万円(前年比▲6.2%)と減収、発電所売却の期ズレが収益変動要因
- 発行済株式数は6,584,900株→9,182,700株(+39.5%)。希薄化後EPS229.76円は基本EPS248.33円を7.5%下回る
- 全社費用(調整額)▲333百万円と前年▲275百万円から21.2%増、事業拡大に伴う本社コスト増が継続
注目点/今後確認したいポイント
- 通期営業利益計画820百万円に対し3Q累計928百万円と超過済み。期ズレ・試験研究費の想定規模と4Q着地の方向感
- 福岡県みやま市の系統用蓄電所(2026年8月取得完了)の需給調整市場参入時期と、IRR10%以上という収益前提の検証
- 本社第二工場の建設進捗とベトナム新工場の増強効果。受注残消化に必要な生産能力と固定費増のバランス
- 3Q累計で通期営業利益計画を超過しながら予想を据え置いた前提、想定する期ズレ売上の規模
- 海外保有株式の評価益1,581百万円に関する保有方針と出口戦略、業績予想への織り込み方法
- 四半期単独ベースでの売上・営業利益の逓減要因と、受注高5,743百万円の消化スケジュール
- 系統用蓄電所(みやま市案件・伊賀市案件)の稼働後収益モデルと投資回収期間
- 新株予約権行使に伴う株式数39.5%増に対する資本政策と、1株当たり価値の考え方
主要業績ハイライト
| 勘定科目 | 数値 | 前年同期比 |
|---|---|---|
| 受注高 | 5,743百万円 | - |
| 売上収益 | 5,302百万円 | +35.8% |
| 売上原価 | 3,148百万円 | +15.5% |
| 売上総利益 | 2,153百万円 | +82.7% |
| └ 売上総利益率 | 40.6% | +10.4pt |
| 販売費及び一般管理費 | 1,217百万円 | +20.5% |
| 営業利益(事業利益) | 928百万円 | +453.7% |
| └ 営業利益率 | 17.5% | +13.2pt |
| 金融収益 | 1,581百万円 | +1,444.8% |
| 金融費用 | 58百万円 | +22.8% |
| 税引前四半期利益 | 2,452百万円 | +1,001.5% |
| 四半期利益(親会社所有者帰属) | 1,950百万円 | +1,094.0% |
| 四半期包括利益 | 2,090百万円 | +546.4% |
| 基本的EPS | 248.33円 | +889.8% |
| 希薄化後EPS | 229.76円 | +822.4% |
| 研究開発費 | 201百万円 | - |
売上総利益率・営業利益率および各前年同期比は当レポート試算(金額は短信表示値ベース)。営業利益の増益率453.7%は会社開示。当社は2026年10月期1Qより国際財務報告基準(IFRS)を適用し、前年同期・前期実績もIFRSに準拠して表示。
事業セグメント別の業績
電子・通信用機器事業が全社売上収益の92.7%を占め、官公庁・公共関連の国家予算増額を背景とした需要拡大と自社開発品の提案強化が増収増益を牽引。再生可能エネルギー事業は売電収入が安定推移する一方、発電所の建設・売却案件の計上時期により減収も、利益は増加。
セグメント別業績表
| セグメント名 | 売上収益 | 前年同期比 | セグメント利益 | 前年同期比 | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 電子・通信用機器 | 4,912百万円 | +40.8% | 1,173百万円 | +215.1% | 23.9% |
| 再生可能エネルギー | 389百万円 | ▲6.2% | 88百万円 | +26.1% | 22.8% |
| 報告セグメント計 | 5,302百万円 | +35.8% | 1,262百万円 | +185.0% | 23.8% |
| 調整額(全社費用等) | - | - | ▲333百万円 | - | - |
| 連結計上額 | 5,302百万円 | +35.8% | 928百万円 | +453.7% | 17.5% |
利益率および報告セグメント計・調整額の増減率は当レポート試算。
- 官公庁・公共関連(電子・通信用機器):国家予算増額を背景に需要拡大が継続、大型プロジェクト発掘と戦略的提案で受注高5,083百万円を確保
- モバイル分野(電子・通信用機器):4G・5G投資は一服感も、インフラシェアリング活用拡大で関連機器販売が堅調
- ベトナム新工場(生産):2025年10月稼働後に生産スペース拡張と設備増強を実施、低コスト・高品質生産が粗利率40.6%を下支え
- FA・計測分野(電子・通信用機器):半導体信頼性試験装置の需要が堅調、高周波技術を活かし半導体設備市場へ展開
- 売電事業(再生可能エネルギー):北海道・東北の小形風力、長野・茨城・山梨の太陽光が順調稼働、セグメント利益88百万円(前年比+26.1%)
- 再生可能エネルギー事業(売上):売上収益389百万円(前年比▲6.2%)。発電所の建設・売却およびメンテナンス案件の計上タイミングが減収要因
- 全社費用(調整額):▲333百万円と前年▲275百万円から増加、事業領域拡大に伴う管理コスト負担が利益率の重石
業績予想比の進捗率
売上収益は通期計画6,950百万円に対し進捗76.3%、営業利益は計画820百万円に対し113.2%、親会社所有者帰属利益は計画1,835百万円に対し106.3%と利益は既に通期計画を超過。会社は電子・通信用機器事業・再生可能エネルギー事業ともに一部売上の期ズレ可能性と試験研究費等のまとまった支出計上の可能性を理由に、2026年6月15日公表の予想値を据え置いており、4Qのコスト計上動向が着地を左右する。
| 勘定科目 | 数値(第3四半期累計) | 通期計画 | 進捗率 |
|---|---|---|---|
| 売上収益 | 5,302百万円 | 6,950百万円 | 76.3% |
| 営業利益(事業利益) | 928百万円 | 820百万円 | 113.2% |
| 親会社所有者帰属利益 | 1,950百万円 | 1,835百万円 | 106.3% |
| 基本的EPS | 248.33円 | 201.18円 | 123.4% |
進捗率は当レポート試算。通期EPSは2026年7月末時点の発行済株式数より算出との会社注記あり。
- 該当なし
業績予想の変更有無
2026年6月15日に公表した通期予想(売上収益6,950百万円、営業利益820百万円、親会社所有者帰属当期利益1,835百万円)を据え置き、今回の修正はなし。据え置き理由は両セグメントでの一部売上の期ズレ可能性と試験研究費等のまとまった支出計上の可能性。
株主還元への言及
2026年10月期の年間配当予想は期末10.00円(2025年10月期実績5.00円)で、直近公表の配当予想からの修正なし。自己株式は61,508株で前期末から変動なく、取得・消却に関する新たな方針の記載はなし。
財務状況
新株予約権行使による資本増強と利益蓄積で親会社所有者帰属持分比率は57.8%へ10.7pt上昇、現金及び現金同等物4,747百万円は有利子負債4,311百万円を上回りネットキャッシュ状態。系統用蓄電所・第二工場向けの投資余力を確保しつつ財務健全性は改善方向。
- 主要数値
- レバレッジ指標
| 勘定科目 | 数値 | 補足情報 |
|---|---|---|
| 現金及び現金同等物 | 4,747百万円 | 前期末比+288.6% |
| 営業債権及びその他の債権 | 746百万円 | 前期末比▲63.1% |
| 棚卸資産 | 2,738百万円 | 前期末比▲0.5% |
| その他の金融資産(非流動) | 2,477百万円 | 前期末比+195.1%、海外保有株式等 |
| 有形固定資産 | 4,646百万円 | 前期末比+23.1% |
| 資産合計 | 16,456百万円 | 前期末比+40.8% |
| 親会社の所有者に帰属する持分 | 9,505百万円 | 前期末比+72.8% |
| 有利子負債 | 4,311百万円 | 借入金+リース負債、当レポート試算 |
| └ 借入金(流動) | 1,199百万円 | - |
| └ 借入金(非流動) | 2,915百万円 | - |
| └ リース負債(流動+非流動) | 197百万円 | - |
| EBITDA | 1,210百万円 | 営業利益928+減価償却費及び償却費282(当レポート試算) |
決算発表と同時に出た適時開示
該当なし
足許四半期中の主要発表
- 2026/06/15通期予想を売上収益6,620→6,950百万円、事業利益560→820百万円、親会社株主帰属当期利益730→1,835百万円へ上方修正。配当予想も併せて修正 時価評価差額の計上を含む2026年10月期通期連結業績予想および配当予想の修正に関するお知らせ
- 2026/07/03海外現地法人が保有するAddvalue Technologies(シンガポール上場)がCPF投資スキーム対象銘柄に再登録 当社海外保有株式に関するお知らせ(Addvalue Technologies Ltd.のCPF投資スキーム再登録について)
- 2026/07/08福岡県みやま市の系統用蓄電所(出力約2MW、容量約8MWh)が2026年7月1日付で電力系統との連系を完了 当社子会社が取得する予定の系統用蓄電所の系統連系完了に関するお知らせ
- 2026/08/07系統用蓄電所の取得対象を鹿児島県霧島市案件から三重県伊賀市案件(1,999kW/8,000kWh、総開発費用5.7億円)へ変更 当社子会社における固定資産取得に関する進捗のお知らせ(系統用蓄電所の事業用地・発電権利購入)
- 2026/08/31みやま市の系統用蓄電所(取得価額約6.84億円)の引渡しを受け同日運転開始、需給調整市場参入手続きへ 当社子会社が取得する系統用蓄電所の引渡し完了・運転開始に関するお知らせ
- 2026/08/31子会社・多摩川電子の本社第二工場建設について施工予定業者を内定、約11億円で発注内示(総投資額約15億円、2027年12月引渡し予定) 当社子会社における本社第二工場建設工事の施工予定業者内定に関するお知らせ
過去1年間の大量保有報告/重要提案
- Cantor Fitzgerald Europe: 15.89%→14.68%(2026/03/23) - 純投資、重要提案行為等は該当なし
- Cantor Fitzgerald Europe: 14.68%→12.92%(2026/03/23) - 純投資、保有割合の低下
- Cantor Fitzgerald Europe: 12.92%→11.85%(2026/03/25) - 純投資、保有割合の低下
- Cantor Fitzgerald Europe: 11.85%→10.66%(2026/03/30) - 純投資、保有割合の低下
- Cantor Fitzgerald Europe: 10.66%→9.58%(2026/04/02) - 純投資、短期大量譲渡
- Cantor Fitzgerald Europe: 9.58%→8.17%(2026/04/07) - 純投資、短期大量譲渡
- Cantor Fitzgerald Europe: 8.17%→7.00%(2026/04/14) - 純投資、短期大量譲渡
- Cantor Fitzgerald Europe: 7.00%→5.92%(2026/04/21) - 純投資、短期大量譲渡
- Cantor Fitzgerald Europe: 5.92%→4.82%(2026/04/21) - 純投資、短期大量譲渡により5%割れ
- 背景として、2025年12月4日に同社を割当予定先とする第15回・第16回・第17回新株予約権(潜在株式1,626,700株)の発行を決議、割当日は2025年12月26日
株式会社エンヴァリス(以下「エンヴァリス」といいます。)は、国内外の機関投資家、国内の個人投資家に対して、本邦の上場会社への投資を検討する際に必要な情報を提供することで、グローバルならびに本邦資本市場の発展に貢献することを目的として、専属リサーチ・カバレッジ業務を行っております。
- 目的と投資判断に関する免責
本レポートは、情報提供のみを目的として作成されたものであり、有価証券その他の金融商品の取得、売却、または保有を勧誘するものではありません。また、特定の投資、財務、または税務に関する助言を構成するものでもありません。本レポートに含まれるいかなる意見、判断、または推奨も、投資活動の誘導を意図するものではなく、投資決定は、投資家ご自身の責任と判断に基づき行われるべきものであり、エンヴァリスおよび対象企業は当該投資決定にいかなる関与もしない点、ご留意ください。
- 情報源、正確性、および保証の否認
本レポートは、対象企業からの正式な依頼に基づき、当該企業への取材や提供された情報を利用して作成されています。本レポートの利用にあたっては、以下の点をご承諾いただいたものとみなします。 1. 情報源 エンヴァリスは、公に入手可能な情報、対象企業より開示された情報および取材等で提供された情報が真実かつ信頼できるものである前提で本レポートを作成しています。エンヴァリスにおいて、これらの情報の真実性に関する独自の事実確認や検証は行っておりません。 2. 正確性 本レポートに記載されている提供情報の解釈、分析、およびそれに基づく仮説や結論は、前項の情報を基に、エンヴァリスが独自の視点と分析手法を用いて独立して導き出したものです。 3. 保証の否認 対象企業により開示された情報に誤りや遺漏があった場合、それに起因する本レポートの内容の誤謬について、エンヴァリスおよび対象企業は一切の責を負いかねます。本レポートの正確性、安全性、妥当性、完全性等ならびに対象企業の過去のパフォーマンスや将来のパフォーマンスについて、明示的にも黙示的にもエンヴァリスおよび対象企業はいかなる保証もいたしません。
- 責任の限定
本レポートまたは本レポートから得られた情報を利用したことにより発生したいかなる費用、損害、または損失(直接的、間接的、付随的、結果的、または懲罰的損害を含む)についても、エンヴァリスおよび対象企業は一切の責任を負いません。本レポートの利用者は、その利用が自己の責任において行われることを承諾するものとします。
- 利益相反の可能性
エンヴァリスは、対象企業と、現在または将来において、取引関係を有する可能性があります。したがって、本レポートの客観性に影響を及ぼす可能性のある利益相反が存在する可能性があることを、投資家の皆様はご認識ください。
- 報告内容の変更・更新義務の否認
本レポートの内容および意見ならびに本レポートの作成の前提とした情報は、作成日時点のものであり、今後、予告なく変更される場合があります。エンヴァリスは、本レポートの内容を最新のものに更新する義務を負わず、投資家の皆様は情報の最新性についてご自身でご確認いただく必要がある点、ご留意ください。
- 言語の優先順位
本レポートは、日本語、英語および中国語で作成されていますが、各言語版の内容に相違または解釈上の差異が生じた場合には、日本語版を正本として取り扱い、日本語版の内容が優先されるものとします。
- 著作権
本レポートに関する一切の権利(著作権を含む)はエンヴァリスに帰属します。エンヴァリスの事前の書面による許可なく、本レポートの全部または一部を複製、再配布、またはその他の方法で利用することを禁じます。
- 他の投資商品への利用
本レポートならびにエンヴァリスおよび対象企業の商標および商号は、エンヴァリスが書面により事前に承認した場合を除き、いかなる投資商品(価格、リターン、パフォーマンスが、本レポートに基づいている、または連動している投資商品、例えば金融派生商品、仕組商品、投資信託、投資資産等)の情報配信・取引・販売促進・広告宣伝に関連して使用することを禁じます。

