サマリー
上期は売上収益が前年並みにとどまったが、拠点整理効果と減価償却費の減少で営業増益、当期利益は2桁増益を確保した。通期予想は据え置き、営業利益・当期利益は計画並みの着地を想定する。経営陣はHOLの売上計上が当初想定より後ろ倒しになったと認めつつ、失注はないとして来期以降の売上規模を口頭で示した。ロールアップ型M&Aの複数案件が最終局面にあることも明らかにし、HOLとM&Aの両輪で中計目標の達成は十分可能との認識を示した。
ポイント(決算の要点と成長アクション)
- 経営戦略と市場認識
- AIを既存コンタクトセンター事業への脅威ではなく、事業高度化と新領域創出の機会と位置付け
- 国内のBPO利用企業は約20%と欧米の約50%を下回り、拡大余地が大きいとの認識
- 海外ファンド傘下企業で拡大する人事・経理のBPO需要を、SB業務の成長機会として取り込む方針
- 連結数値よりも事業実態の成長を優先する方針を明示し、Horizon Oneの持分変更判断にも反映
- 足元の事業進捗と要因
- SC業務は人材関連業務の減少と前年参院選業務の反動減を、新規業務で補いきれず減収
- 業種別では生損保、通信キャリア、新電力、不動産が増加し、人材関連、製造、卸小売が減少
- 単価適正化と拠点整理による改善効果を、物価上昇に伴う設備関連費用の増加が相殺し、売上総利益は横ばい
- 賃上げに伴う間接人件費の増加を、拠点整理による減価償却費の減少が吸収
- 戦略的な重要施策や変化点
- HOLは2027年1月から約500名規模でSherpyの実運用を開始予定、パイプラインは確定7社(うちSTEP2が5社)・内示4社・最終協議9社
- ナレッジDBを外部のAIやCRMと連携させるパートナー型モデルを検討中、既に数社と協議
- BA Intelligenceとの連携によるAI-BPOは4案件を受託済み、10社強と商談を進める
- Horizon Oneの出資比率を50:50へ変更し持分法適用会社化、3Qに約8億円のその他の収益を計上する見込み
今後の見通し と戦略
- 通期予想(売上収益1,520億円、営業利益130億円、当期利益85億円)は据え置き、上期は内部計画比でほぼ計画通り
- HOL売上は今期は当初見込みからやや後ろ倒しとなるが、2027年度に30~40億円、2028年度に80~100億円規模を見込む
- M&Aは3年で200億円規模を計画、10億円規模と60~70億円規模の2案件が最終局面、別の10億円規模案件も今期4Q頃の実現を想定
- 中計目標の売上収益1,750億円・営業利益160億円について、HOLの積み上げとロールアップで十分達成可能との認識
- 買収先にHOLとAI-BPOを適用して運営効率を高める方針、医療など特化領域の案件も検討対象
ポジティブ要因
- HOLは遅延しているものの失注はなく、開示数値以外にも多くの顧客から関心が寄せられる
- 実装第1号の稼働が様子見の顧客の追随を促し、導入が加速する可能性
- 顧客業務への理解、業種別運用ノウハウ、音声データ解析をAIと組み合わせる点が差別化要因
- 10月提供開始予定のAIボイスボットで、HOLが対象としない簡易な問い合わせ需要も取り込む
- 情報漏洩事案を受け、コールセンターやBPOの問い合わせが複数寄せられ、一過性ながら増収機会
- 8月にBPX支援サービスを開始、2028年度末までに100億円の事業創出を目指す
懸念事項・リスク
- HOLは技術面の詰めや顧客との協議に時間を要し、売上計上は当初想定より後ろ倒し
- 約8億円の一過性収益を見込む一方で営業利益は計画並みに据え置き、本業ベースの下期の積み上げが焦点
- 通期計画は下期偏重で、上期の売上収益・営業利益の進捗は基準の50%を下回る
- 金利上昇で借入金利息が増加し、金融収益/費用は前年同期比▲0.8億円
- 当期利益の増益には、1Qの優遇税制適用による一過性の法人所得税費用減少(+2.2億円)が寄与
- Horizon Oneの連結除外によりSB業務の連結売上は減少し、物価上昇と賃上げによるコスト増も継続
業績ハイライト
2Q累計は売上収益731.6億円(+0.0%)、営業利益61.7億円(+4.4%)、親会社の所有者に帰属する中間利益42.8億円(+12.0%)。営業利益率は8.1%から8.4%へ改善した。中間配当は1株当たり30円で、直近予想通りとした。
セグメント別業績
| セグメント名 | 売上高 | 前年同期比 | 営業利益 | 前年同期比 |
|---|---|---|---|---|
| スマートコンタクトセンター(SC)業務 | 625.4億円 | ▲0.4% | ― | ― |
| スマートビジネスサポート(SB)業務 | 106.2億円 | +2.4% | ― | ― |
| 連結合計 | 731.6億円 | +0.0% | 61.7億円 | +4.4% |
- 売上総利益: 135.8億円 (前年同期比 +0.1%)
- 売上総利益率: 18.6% (前年同期比 +0.1pt)
- 販売費及び一般管理費: 75.2億円 (前年同期比 ▲2.6%)
- 持分法による投資損益: 3.1億円 (前年同期比 +1.1億円)
- 通期計画進捗率: 売上収益48.1%、営業利益47.5%、当期利益50.4% (前年同期比 ―)
Q&A 一覧
- Q
ロールアップについて、買収後のシナジーとAIをどのように活用していくのか。
Aロールアップ、つまりM&A案件については、これから3年で200億円ぐらい実施していく計画である。ちょうど案件が出始めており、10億円ぐらいの案件と60~70億円ぐらいの案件が最終局面に入っている。あと10億円ぐらいの案件が今期の第4四半期ぐらいに実現できるかと思っており、着実に進捗している。ロールアップ案件については、M&Aで買収した場合、当社はAIでHOLやAI-BPOが進んでいるので、その会社にそれを適用して効率よく運営していくことで、シナジーがどんどん出てくるという認識である。コンタクトセンターやBPOを手掛ける会社のM&Aもあれば、例えば医療業界のような特化した領域の案件もあるので、効率よくAIを活用して進めていこうと考えている。
- Q
第2四半期までの業績を見ると、中期経営計画の売上収益1,750億円、営業利益160億円の実現はハードルが高いように見えるが、見解を教えてほしい。
A上期の売上は、今年度の計画対比ではやや弱く見えるかもしれないが、内部の計画と比べるとほぼ計画通りの進捗である。ここからHOLに関連する売上の積み上げやロールアップを進めることで、達成していく考えである。足元ではSC業務、SB業務ともに当社の強みを生かせる買収先の検討を進めており、これで売上を積み上げていく。HOLも足元はやや遅れが見られるが、失注したということではないので、下期から来年度にかけて売上が加速していくと見ている。こうしたことから、中期計画の達成は十分可能であると現状見ている。(社長補足)売上はSC業務が減ってSB業務が増える形となった。SC業務はHOLやAI-BPOで新しい顧客を獲得する、もしくは既存顧客の新しい業務を獲得することで売上を伸ばそうとしている。上期の進捗はあまり進んでいないが、仕込んでいる案件もあるので、売上を伸ばせると考えている。SB業務はBPOが伸びている。欧米ではBPOを使っている企業が全体の50%ぐらいあるが、日本はまだ20%ぐらいで、これからどんどん伸びていくと考えている。特に顕著なのは、海外のファンドなどが買収した企業がどんどん人事業務や経理業務を外部に出してBPOを使っている点であり、そこから多くの商売を獲得して売上を伸ばしていこうと考えているので、今後に期待していただきたい。
- Q
HOLの導入に関して、最終協議中が3カ月前から3件減少しており、内示や確定に進んだものがあったとしても、2社程度は途中で離脱したかと思う。例えば金額、導入スピード、コンセプト等、当社とクライアント企業との相違などについて教えてほしい。
AHOLについては、特に離脱が起きたわけではない。初めての取り組みであるため、技術的に詰めなければならない部分がやや滞っていること、また導入に関してクライアントとの協議をいろいろ詰めなければならないことで、やや遅れが出ている。引き続き関心を持っていただいているクライアントは多く、掲げている数字以外にも非常に多くの顧客から関心をいただいており、一刻も早い実現を目指したい。初めての取り組みであるため、皆様様子を見られている状況もあり、まず一社が実現すれば、それに追随する顧客も増えてくると考えている。
- Q
HOLの実装が近づいているとのことだが、顧客とのやり取りなどサービスの手応えはいかがか。
A資料に記載しているHOLの実装第1号は、500名のオペレーターにチャットで情報を提供し、それを基に回答していただくというもので、非常に期待を持っていただいている。既に確定しており、現在は準備の最終段階にある。
- Q
来期以降のパイプラインの実現など、売上貢献へのペースについて教えてほしい。
A実装第1号を皮切りに、今年度は当初の見込みからややビハインドかもしれないが、来年度は30~40億円、2028年度は80~100億円規模の売上を見込んでいる。
- Q
BPOを強化する中で、Horizon Oneを連結子会社から持分法適用会社へ移行することで、どのような効果を期待しているのか。
AHorizon Oneの取り組みでは、レイヤーズ・コンサルティングが従来から案件創出を担ってきた。その案件創出と当社のしっかりした運用について、レイヤーズ・コンサルティングと当社で役割分担を明確にして成長につなげていくので、これまで以上にHorizon Oneの利益は向上していくと確信している。(社長補足)レイヤーズ・コンサルティングが様々な案件を創出している中で、先方の社長から、今後もレイヤーズの案件をHorizon Oneに流す際に49%ではいろいろ弊害があるので50:50にしてほしいという話があった。当社としても51%から50%になると連結売上が計上されなくなるので悩んだが、実態を大きくすることが非常に重要であり、この会社が伸びることの方が重要だと考えた。50:50にすることで本当に案件がもっと集まり進むのであれば、そうした方がよいと決断した。実態を伸ばすために実施するものであり、連結から外れても、Horizon Oneの成長の方が重要であるとの判断に至った。
- Q
BPOの強化の方向性について、必要と考えるM&Aなどの戦略と合わせて教えてほしい。
ABPO強化については、当社が強い医療分野や同業、内製化している企業などを対象にロールアップの検討を進めている。まず事業の面積を広げた上で、BA Intelligenceとの取り組みなどを加えることで、サービスレベルをさらに向上させ、売上も伸ばしていく考えである。(社長補足)BPOを今後強化していく方向に変わりはなく、新しいM&A案件が数多くあるので、うまく買収できればそちらでも売上を伸ばしていける。様々なバランスの中で、今回のHorizon Oneに関する決断に至った。
- Q
昨今の情報漏洩などを受けて、ベルシステム24のソリューションの拡大機会はあるのか。あれば教えてほしい。
A顧客情報の漏洩が世間を騒がせており、当然ながら当社にもコールセンターやBPOを含めた顧客対応について様々な問い合わせが来ている。一過性ではあるが、当社の売上が増えるような状況になっており、いくつも問い合わせが来ている状況である。
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