サマリー
2025年度は売上収益1,458億円(前年度比+1.5%)、営業利益127億円(同+9.2%)と増収増益で着地。営業利益は計画比105.4%と超過達成したが、売上収益は計画未達(97.2%)でM&A案件の選別、条件の不一致による実行の遅れが一因。新中計2028では「Hybrid Intelligence」をコンセプトに、HOL(Hybrid Operation Loop)によるコンタクトセンター自動化で2028年度に年間100億円の売上収益(粗利率は現行の約2倍)を見込み、取り組みが想定以上に拡大した際には売上収益の上振れ余地がある。3年間の戦略的成長投資250億円を掲げ、2028年度に売上収益1,750億円、営業利益160億円(営業利益率9.1%)、2030年度には売上収益2,500億円、営業利益250億円の中長期成長シナリオへの通過点と位置付ける。
ポイント(決算の要点と成長アクション)
- 経営戦略と市場認識
- AIの登場はコンタクトセンター事業者にとって脅威ではなくチャンスとの認識を経営陣が明確に表明
- 国内BPO市場5兆円超のうち当社ターゲット領域は1.6兆円(年率2.5%成長)、依然低い国内BPO利用率が潜在市場を示唆
- 内製コンタクトセンターの限界に直面する企業増加を背景に、アウトソース+ノンコア事業売却の2つの需要を取り込む方針
- 足元の事業進捗と要因
- 売上未達の主因はロールアップ戦略におけるM&A条件の不一致で投資実行に至らなかったこと
- 売上総利益率17.7%→18.9%(+1.2pt)、請求単価引き上げ+拠点整理+オペレーション効率化の三位一体で改善
- 派遣社員比率を引き下げ直雇用比率を高める方針を継続、現在の派遣約5,000名は段階的に縮小予定
- CTC連結子会社→持分法変更に伴うGP減少やAI関連開発コストを吸収して増益を確保
- 戦略的な重要施策や変化点
- HOL(AI自動応答)は2026年春にナレッジ構築開始、秋にSTEP2(テキスト回答提示)、2027年春にSTEP3(完全自動応答)を順次実装
- AVILEN社との合弁会社BA Intelligence設立(当社51%)、BPRコンサル+AIエージェント開発で高利益BPOを実現
- アルフレッサとの提携で製薬企業向け情報提供活動支援サービス「D-REACH」を2027年4月から本格提供予定
- VOCマーケティング支援は現在7社と取引実績、2028年度に30社以上への拡大を計画
今後の見通しと戦略
- 2026年度通期予想:売上収益1,520億円(+4.2%)、営業利益130億円(+2.7%)、当期利益85億円(+3.9%)で増収増益を見込む
- 中計2028最終年度(2028年度)目標:売上収益1,750億円、営業利益160億円(9.1%)、税後利益100億円+α
- SC(スマートコンタクトセンター)業務はオーガニック成長50億円+ロールアップ50億円+AI自動化・VOC活用100億円で3年間+200億円を計画
- SB(スマートビジネスサポート)業務はM&A等50億円+BPRコンサル・AIエージェント50億円で3年間+100億円、300億円体制を目指す
- 3年間の戦略的成長投資250億円のうちM&A・事業投資に約200億円(SC100億円+SB100億円)を配分
- 2030年度の中長期成長シナリオ(売上収益2,500億円、営業利益率10%以上)に向けた転換期と明確に位置付け
ポジティブ要因
- HOLによるAI自動応答の回答精度95%以上を既に構築済み、2026年4月時点で5社と取り組み中で商用化フェーズに到達
- HOLの粗利率は従来コンタクトセンター業務の約2倍(約40%)を見込み、原価の8割超を占める人件費を構造的に削減
- 売上の約90%が継続業務のストック型ビジネスモデルであり、収益基盤の安定性が高い
- 伊藤忠グループとの連携で売上170億円超の実績、伊藤忠が投資した企業との連携も進展
- 基礎業務の年平均成長率2.3%(前中計期間)に加え、クライアント数を1,700社→2,000社超へ拡大する計画
- BPRコンサルタントを200名→400名に倍増し、BPO領域拡大の入口戦略を強化
懸念事項・リスク
- 前中計で売上収益1,800億円目標に対し1,458億円と未達、M&A実行力に対する実績面での不確実性が残る
- HOLの普及ペースはクライアントの意思決定次第で、コンタクトセンター業界の人材依存から生成AI活用へのマインドチェンジがどれだけ進むかが鍵
- 一部先進的テック企業のAI活用による内製化リスクを全体の1割程度と想定するが、大手通信キャリア等の動向は要注視
- 市場金利上昇に伴う借入金利息の増加が継続(2025年度▲7.4億円→2026年度▲9.4億円見込み)
- コンテンツ事業譲渡益6.4億円の剥落が2026年度営業利益の押し下げ要因
- 人件費高騰・物価上昇の継続とサイバーセキュリティ対策コストの増加が販管費を押し上げる構造
業績ハイライト
2025年度(2026年2月期)は売上収益1,458億円(+1.5%)、営業利益127億円(+9.2%)、当期利益82億円(+2.2%)と全段階で増収増益。営業利益は計画120億円に対し105.4%の超過達成となり、請求単価引き上げや拠点整理等の収益改善施策が奏功。一方、売上収益は計画1,500億円に対し97.2%にとどまり、M&A案件の選別、条件不一致による実行の遅れが一因。
- 売上総利益率: 18.9%(前年度 17.7%、+1.2pt)
- 営業利益率: 8.7%(前年度 8.1%、+0.6pt)
- 計画達成率(営業利益): 105.4%
- 1株当たり配当金: 60円(配当性向 54.4%)
- 基礎業務 年平均成長率: 2.3%(前中計3年間)
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