リクルートホールディングス 1Q 決算説明会速報

IndeedのAI自動化が企業のリクルーター業務を代替、米国ARPJ+35%の原動力に。通期ガイダンスを大幅上方修正

配信日2026年8月7日 22:17 JST

サマリー

FY2026 1Q連結売上収益1兆453億円(前年同期比+18.9%)、EBITDA+S 2,928億円(同+56.5%)でいずれも過去最高を更新。HRテクノロジー事業の米国売上が前年同期比+30.0%と想定を上回り、通期連結業績予想を売上収益4兆2,300億円(+14.4%)、EBITDA+S 1兆1,050億円(+39.1%)へ上方修正した。出木場CEOはAIプロダクトが大企業のリクルーター数人分の生産性を発揮した事例を紹介し、中小企業に加え大企業向け売上の加速が新たな成長ドライバーになりつつあると説明。一方、単価上昇の速度に対する顧客満足度のモニタリングと、業績予測の難度上昇にも率直に言及した。

ポイント(決算の要点と成長アクション)

  • 経営戦略と市場認識
    • グローバルHRマッチングTAM 3,020億ドルのうち現在の売上通期見通しは114億ドル、白地は依然として広大
    • 求人広告TAM340億ドルに加え採用オートメーションTAM680億ドル、人材紹介含む約2,000億ドル市場への浸透を志向
    • AI変革の速度が予測精度を低下させており、四半期ごとの状況アップデートで対応する方針
  • 足元の事業進捗と要因
    • 米国求人総数は前年同期比▲4%が継続する中、ARPJ+35%が売上成長を牽引
    • 中小企業は顧客数増加・掲載ジョブ数増加・単価上昇が概ね3分の1ずつの寄与
    • 大企業向けはAIプロダクトのROI検証が完了したクライアントから大口受注が顕在化
    • HRT広義の人件費率が前年同期約48%→約37%へ低下、厳格なコストコントロールが奏功
  • 戦略的な重要施策や変化点
    • Indeed Premium Plus(Hosted Jobs限定テスト)等プレミアム課金階層のさらなる拡充
    • 大企業向けAIソーシング拡販を加速
    • MMTカーセンサーでGMV連動モデルを今期導入、1Qユーザーアクション数+12.5%・売上+15.8%
    • Indeed Employer Branding Suiteを年額サブスクでグローバル提供開始

今後の見通しと戦略

  • 通期連結売上収益4兆2,300億円(前年比+14.4%)、EBITDA+S 1兆1,050億円(同+39.1%)へ上方修正。EBITDA+Sは初の1兆円超え
  • HRT米国通期売上を66.5億ドル(+25.1%)と過去最高に設定、ARPJ成長率は年間+30%を見込む
  • HRTセグメントEBITDA+Sマージン45.8%を見通す。AI・データセンター費用は増加するもEBITDA+Sに大きな影響を及ぼすレベルには至らず
  • MMT事業はカーセンサーに続き複数バーティカルでGMV連動モデルへの転換を推進、中長期の売上・利益成長を志向
  • 人材派遣事業は米国の底堅い需要と欧州・豪州の回復兆しを織り込み通期売上1兆8,310億円(+7.5%)
  • 自己株式取得プログラム3,500億円のうち7月末時点で1,200億円(34.3%)を消化

ポジティブ要因

  • 米国1Q売上16.4億ドルは四半期過去最高、求人数がFY2022 1Q比▲57%低い水準にもかかわらず達成
  • プレミアムスポンサージョブの利用拡大がマネタイゼーション進化を牽引、ARPJ成長率はFY2022の+1%→+35%へ飛躍
  • 大企業がROI検証を経てAIプロダクトを本格導入するフェーズに移行、リクルーター人件費・外部エージェント費の代替需要を取り込み
  • 欧州・その他も現地通貨ベースで英国+34%、カナダ+46%と高成長が継続
  • MMTのRecruit ID 9,900万人・企業クライアント98万社の基盤に加え、AI活用によるGMV連動転換が複数バーティカルで進行
  • グロスキャッシュ9,085億円(6月末)と豊富な手元流動性

懸念事項・リスク

  • 人材派遣事業(日本)で6月に公正取引委員会の立入検査を受領、財務影響は現時点で業績予想に未反映
  • 米国求人総数は前年比▲4%が継続しており、マクロ経済悪化時にはAI単価上昇でも補いきれないリスク
  • 短期間での単価上昇に対し顧客満足度への影響を経営陣自ら懸念事項として認識
  • AIの急速な進化により業績予測の精度が低下、四半期ごとのガイダンス修正リスクが双方向に存在
  • HRT日本は売上認識のグロス→ネット変更や不採算事業撤退・縮小の影響が引き続き残存
  • MMT下半期はGMV連動モデルへの投資(販促費・広告宣伝費)によりEBITDA+Sマージン31%程度へ低下見込み

業績ハイライト

FY2026 1Q連結売上収益は1兆453億円(前年同期比+18.9%)、EBITDA+S 2,928億円(同+56.5%、マージン28.0%)、親会社帰属利益2,026億円(同+67.5%)。基本的EPS 145.48円(同+73.2%)。いずれも四半期ベースで過去最高を更新した。

セグメント別業績

セグメント名売上高前年同期比EBITDA+SEBITDA+Sマージン
HRテクノロジー455,444百万円+33.2%215,771百万円47.4%
人材派遣455,224百万円+11.5%28,290百万円6.2%
MMT141,894百万円+3.7%51,137百万円36.0%
  • HRT米国売上収益(ドル): 1,641百万ドル(前年同期比 +30.0%)
  • US ARPJ成長率: +35%(前年同期比)
  • IHL US NSA JPI: 前年同期比 ▲4%
  • HRT欧州・その他売上収益(ドル): 611百万ドル(前年同期比 +28.5%)
  • HRT日本売上収益: 96,300百万円(前年同期比 +6.7%)
  • 連結基本的EPS: 145.48円(前年同期比 +73.2%)
  • グロスキャッシュ(6月末): 908,500百万円

Q&A 一覧

  • Q: US ARPJが前年同期比+35%と前四半期の+25%からさらに加速しているが、人事部の手作業自動化で新しいフェーズに入ったというコメントやTAMの広がりについて、勝負する土俵・領域が変わってきている、TAMが広がっている実感をすでに持っているのか。既存のオンラインジョブボードの領域から手作業の自動化によってリクルーティングオートメーションの領域に実際にTAMが広がってきていて、そこがドライバーになっていて、取りにいけるウォレットそのものが増えているという手応えがあるのか教えてほしい。
    A: いろいろお客さまと会話しているデータのログを見ていると、特に中小企業は今まで例えば何かに広告を出してそれに対する返信が来てそれを自分たちでスクリーニングして電話するみたいな形だったのを、極端なこと言うとうちのプラットフォームにお任せしてもらってAIが勝手にマッチングしてカレンダーを開けておくと勝手に面接がセットアップされるという形になってきていて、全くこっちに使う時間が減って良かったみたいな感じのお客様が多い。中規模から大手ぐらいになってきて1ミリオン、2ミリオンとか予算があるお客様に関しては、ROIをチェックしたいということが多くなって、例えばAIソーシングとかAIスクリーニングみたいなものを実際の社内リクルーターと比べることもあるし、どちらかというと結果として社外のエージェントに頼む分が減っているとか、1ヶ月試してみてこれぐらいのROIだなというので入れていただくケースも含めているので、ただツールを売っているというよりはお客様の需要と変化を捉えながら歩調を合わせて成長していくのが大事だと思っている。
  • Q: 年間のUS ARPJの見通しについて、業績予想の難易度が上がっているとのコメントもあったが、現時点ではセカンドクォーター以降何が起こると予想しているのか。足元大手クライアントの成長も堅調だということだが、そういったあたりをドライバーとして見ているのか、現状のガイダンスの作り方を教えてほしい。
    A: 中小企業のところは単価の上昇だけではなく、払っているお客さんの数の上昇、払っているお客さんのジョブ数が増える、単価が増えるという3つがあり、中小企業のお客さんに関しては今見た感じで言うと3分の1、3分の1、3分の1ぐらいのミックスで来ている。これいいねと言って次の仕事も他の仕事も使ってみようかというお客さんもいれば、昔使っていたお客さんが戻ってきたり新規のお客さんが増えたり、単価が上昇している。大手のお客さんに関しては自動化ツールとして導入するケースと、中小企業と同じようにあまり埋まっていないポジションに試しに使ってみましょうというケースがある。すごくいいターゲティングの求人広告はほとんどAIソーシングと何年かで一緒になってくると思っていて、求人広告のターゲティングがすごく上がってきて結局ソーシングの部分を食っているように見える。ジョブ数は減っていてその代わり単価がすごく上がっているという組み合わせで、ここまでの速度でAIが入ってきてすごい速度で成長すると、マーケットはすごく大きいが、どれぐらいの精度で20%、25%、30%の成長率なのか計算するのがすごく難しい状況にある。
  • Q: 単価上昇が堅調な中で顧客満足度も注意深く見ていく必要性があるとコメントがあったが、現時点でリスクとして見ているわけではなく、好調な中でなかなか9ヶ月先まで見通すのが難しい中で今見えていることをいろんな角度から考えるとこのUS ARPJの水準に予想として落ち着いたということか。
    A: そういうことである。どちらかというと中期の2、3クォーター先よりも長期の方が考えるのは簡単で、どう考えてもレジュメが20件30件来たのを全部見て免許を持っているか確認して面接日程を調整してといったマニュアル作業がそんなに続くわけがなく、必ず自動化されると思っている。お客様の需要と変化を捉えながら歩調を合わせて成長していくのが大事だと考えている。
  • Q: ヘルスケア顧客の事例について、Indeedが大企業向けにリクルーター数人分の生産性を発揮したと評価されたとのことだが、もう少し何が飛躍的に生産性を改善させたのか。ソーシングなのか免許確認の連絡なのか、キーワードがあれば教えてほしい。
    A: 特にヘルスケア系のお客様は免許の必要な仕事のケースが多く、自分たちでレジュメデータベースを見てこの仕事どうですかという連絡をするためにリクルーターのチームを何十人も並べている企業が多い。何を比較しているかというと面接を何件ぐらいセットできたのかをコストで割り返して見ている方が多く、レジュメデータベースのサーチの契約料とリクルーターの人件費と面接セット件数を、AIの自動化されたリクルーターがリーチアウトしてAIがセットアップした面接件数と比べて、これは何人分だねということを言っているお客様が多い。
  • Q: ヘルスケア事例のようなプロダクトは汎用的なものか。特定顧客にカスタマイズしたものではなく他の業界にも拡販できるプロダクトか。
    A: 汎用的だと思っている。ただアメリカで一番需要と供給が厳しいのはヘルスケアの部分で、ある程度の免許や技能が必要な部分が多い。応募してきた人のうち何パーセントぐらいが面接に値するかによってAIがスクリーニングした方がコストメリットが出るのかAIがソーシングした方がコストメリットが出るのかが変わる。スクリーニングは例えば夜間のヘルスケアの受付やコンストラクションワーカーでも1,000〜2,000人応募してくるところに入れやすいので、どちらかというと普遍的で広げやすい。基本的にはどれぐらいの面接をいくらのコストでセットアップできたのかという観点で見ているお客様が多い。
  • Q: この大企業向けAI領域がIndeedの次の大きな成長の源泉になるとのことだが、3年後の景色として広告以外の売上が伸びて大企業クライアントが増えるとどういったものを想定しているか。
    A: 昔ホットペッパービューティーの予約を作った時に美容室から毎月1,000円から2,000円もらうモデルに社内から反対されたが成功した。じゃらんの時も他の旅行代理店が潰れないとそこまで行かないと言われた。Uberもサンフランシスコのタクシーマーケットが500ミリオンしかなくてそれ以上大きくならないと言われたが8ヶ月ぐらいで飛び越えた。価格と利用する簡単さで意外とマーケットは広がった。美容室予約も旅行予約も簡単だったら使う人は増えたということでプロダクトをやる人間として考えることは、マネタイズとマッチングの強化を図った方がスピードとしては一番早いと思っている。様々な取り組みでお客様と話しながらバランスを見てそのあたりの手は打っていきたい。
  • Q: ヘルスケアの事例はリクルーティングプロセス後半までAIで自動化するという話で、エージェントやサーチファームが今までやっていた領域だと思うが、こういったAIプロダクトについて他の既存プレイヤーと比較したときにIndeedはどういう競争優位性を持っていて、人事プロセス全体の自動化の中でどう勝っていきたいと考えているのか。
    A: いろいろやっていきたいと思っているし、様々なシステムを繋いでいかなきゃいけないとなるとかなりスピードダウンするところもあるので、まずはお客様に候補者を送るという一番手前のところでどれだけいい人を簡単に送れるようになるかをどんどん進化させて、後工程をそもそもなくしている。その取り方がやはり一番効率もいいし他の会社が真似できないと考えている。これを広げていければかなり面白いと思っている。
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