ネットスターズ 2Q 決算説明会速報

利益を出せる会社から利益を成長させる会社へ、ステーブルコイン商用化とStarPay新端末9月投入で下期攻勢を企図

配信日2026年8月14日 18:24 JST

サマリー

2Q累計売上高2,467百万円(前年同期比+14.3%)と成長を維持したが、インバウンド回復の遅れと原油高による既存加盟店GPV伸び悩み、新端末移行期の端末販売停止により計画比▲8.4%で着地。一方、AI活用を軸としたコスト構造改善が奏功し、営業利益154百万円(前年同期比+161.6%、計画比+9.9%)と各段階利益は計画を上回った。CEOは利益を成長させられる会社へステージが変わりつつあると言及し、9月投入の新端末SUNMI P3Hによるリプレイス需要の取り込みとStablecoin Payの商用化に向けた取り組みを進めている。黒字基盤の整備を踏まえ、株主優待制度を新設し株主還元にも着手した。

ポイント(決算の要点と成長アクション)

  • 経営戦略と市場認識
    • CEOは利益を出せる会社から利益を成長させられる会社へのステージ転換を強調
    • 国内キャッシュレス需要は堅調だがガソリンスタンドと流通系小売(ホームセンター系・総合スーパー)で計画比伸びが鈍化
    • 中国人インバウンドの団体客減少が継続し、海外QR比率7.3%ながらテイクレートの高さゆえ収益への影響は見かけ以上に大きい
  • 足元の事業進捗と要因
    • 2Q単体GPV 5,792億円で2Qとして過去最高を更新したが計画比▲5.3%
    • 端末販売は新端末への認証移行で2Q途中から販売停止、通常40百万円→12百万円に減少(▲28百万円)
    • AI活用によるサーバー費抑制・社内システム効率化が継続し、販管費は計画比▲3.9%
    • インバウンド比率低下でテイクレートが1Q比約1bps低下
  • 戦略的な重要施策や変化点
    • 新端末SUNMI P3Hを9月投入、ステーブルコイン含む全決済対応・処理速度向上・軽量化を実現
    • Stablecoin Payを7月サービスローンチし一般加盟店の申込受付を開始、手数料0.98%で提供
    • 8月にローソンでステーブルコイン決済の予備実証を実施、商用化段階への移行を推進
    • 全東信破綻に伴う2万店超の端末リプレイス需要を新端末で獲得する方針を明言

今後の見通しと戦略

  • 通期業績予想は据え置き、売上高5,760百万円(+20.3%)、営業利益500百万円(+70.8%)を目標
  • 3Q以降の利上げ反映により受取利息の増加が経常利益を押し上げる見込み(通期受取利息216百万円予想)
  • 通期で10以上の決済ブランド追加を計画、上期+4実績に対し3Q+10、4Q+1を予定
  • 2030年あるべき姿としてGPV6兆円超、全社売上120億円超、営業利益率25%超を掲げ、Web3・AI関連への投資も検討
  • 株主還元は成長投資を第一優先としつつ、配当も財務状況を踏まえ今後検討する方針
  • 来期に向けた受注活動は非常に堅調との認識を示し、複数の新規大型パイプラインが控えていると言及

ポジティブ要因

  • GPV過去7年CAGR+162%、売上総利益率76.4%と主要PSP対比でトップクラスの収益性を維持
  • AI活用でGPV+33%増加に対しドル建てサーバー費横ばいを実現、コスト効率の構造的改善が進行
  • 日本初のマルチステーブルコイン決済サービスStablecoin Payをローンチし先行者利益を確保、テイクレートはインバウンド決済以上
  • 全東信破綻に伴う2万店超のリプレイス需要が発生、新端末による新規獲得の好機
  • 経産省のキャッシュレス比率目標(2030年65%、将来80%)に対し現状46.3%であり市場拡大余地は大きい
  • 自治体向けデジタル商品券事業の受託が拡大、横浜元町・中華街の2件を新規獲得

懸念事項・リスク

  • 売上高は1Q・2Q連続で計画未達、通期計画達成には下期の売上加速が必要(2Q累計進捗率42.8%)
  • 中国人インバウンドの回復時期が不透明、中国系Payの減少が継続
  • 原油高に伴いガソリンスタンド・流通系小売のGPV成長が鈍化、マクロ環境の改善が見通しにくい
  • 利益剰余金が▲44.8億円と依然大幅なマイナスで、配当実施には資本準備金の取り崩し等の手続きが必要
  • ステーブルコイン決済の大手加盟店への実装はPOS改修に半年以上を要し、収益貢献は1年以上先の見通し
  • 決済代行業界で破綻やセキュリティ事案が相次ぎ、業界全体のレピュテーションリスクが存在

業績ハイライト

2Q累計の売上高は2,467百万円(前年同期比+14.3%)、営業利益154百万円(同+161.6%)、経常利益243百万円(同+61.0%)で各段階利益は計画を上回った。GPVは11,289億円(同+15.2%)で2Qとして過去最高を更新したが、インバウンド低迷と原油高により計画比▲4.2%となった。

セグメント別業績

サービス区分売上高前年同期比営業利益前年同期比
決済関連2,179百万円+12.2%
DX/ミニアプリ183百万円+32.0%
その他104百万円+36.7%
合計2,467百万円+14.3%154百万円+161.6%
  • GPV(決済取扱高): 11,289億円(前年同期比 +15.2%)
  • 売上総利益率: 76.4%(前年同期 78.0%)
  • 導入済みアカウント数: 約70万
  • QRブランドカバレッジ数: 国内最大級(QR/ステーブルコイン70~、クレカ7、電子マネー8~)
  • 受取利息: 2Q累計94百万円(1Q 46百万円、2Q 48百万円)

Q&A 一覧

  • Q: 優待導入に伴うPLへの影響を見通しレンジで教えてほしい
    A: 極めて限定的な予算で済む。100株以上に対して一律2,000円であり、具体的な数字は明言できないが、数百万から1,000万前半というレンジ感で、報告すべきような大きな額ではない。
  • Q: 当初の計画に比べてコスト抑制が進んだ要因は何か
    A: 一番はAI化がコスト抑制に効いている。サーバーの基幹システムの効率化、アプリケーション監視、分析ツール、カスタマーサポートにAIを導入している。開発サポートにもAIを活用している。1Qから進めている営業を含む社内システムのAI導入により、人をそれほど増やす必要性に駆られていない点が人件費抑制にも寄与している。サーバーコスト含め原価の抑制もAI活用で加速している。さらにDX商材の利益率も足元で上がっており、開発納品型の収入の原価がかなり削れている。
  • Q: 全東信の破綻は当社にとってネガティブかポジティブか
    A: マーケット全般にとってはレピュテーションが落ちるという意味でネガティブ。一方、加盟店における決済端末見直しの動きが生じる可能性があり、当社にとっては販売機会の増加につながる可能性がある。
  • Q: 使用不能の端末のリプレイスであれば既存端末を即時投入した方がシェアを確保できた気もするが、新端末にこだわった理由は何か
    A: 投入できるものはさせていただいている状況。ただ数が多くなるため大量に仕入れて利益率を確保する観点がある。旧端末は半導体チップ高騰で原価が上がっている。全東信は基本クレカのみで複数のPayに対応できていないため端末を全て変えなければならず、多様な決済を乗せた最新バージョンのニーズが非常に強い。コスパ、デリバリーのしやすさ、多様な決済への対応という3点を満たすのが新端末である。
  • Q: 来期は潜在案件が豊富という話が以前あったが、来期に向けた受注活動の感触はどうか
    A: はっきり申し上げるのは憚られるが、非常に堅調である。追加の取材機会があればマーケットの雰囲気感を含めてお伝えしたい。
  • Q: ステーブルコイン決済で御社の端末で決済できるウォレットに制約はあるか
    A: 現状、制約はある。限定的なウォレットになっており、実装できているのが1つ、接続予定のものが2つ程度。ただし今後10以上にしたいと考えている。チェーンについてはソラナチェーンが中心で、他に使えるチェーンも予定に組み込まれているが、オフライン決済でしっかり決済が営めるものに限るため1つ1つ確認しながら進める。ウォレット、チェーン、コインの種別全てをつなげていく方針で、今年から加速度的に増えていく。
  • Q: ドル建てステーブルコインを決済した場合、為替のスプレッドを収益として得ることになるのか
    A: 為替そのもののスワップションについては取引所やカストディ等の第三者を通じて行う予定であり、当社から見るとコストになり得る。一方で精算にかかる収益は当社が得ることになる。為替スプレッドそのものが100%収益になるかと言われると否である。
  • Q: 決済代行業界で大きな変化があった。SBPSとSPリンクスの統合、ソフトバンクとPayPayによるセブンへの出資、デジタルガレージと価格コムの取り組みなど、このような決済代行業界の変化と当社の事業機会を教えてほしい
    A: 統合する動きとして、決済という大きな畑の中でやや畑違いのフィールドを営む事業者が手を組む事例が増えている。経済圏のEC含めた全面強化を皆が目指している。ただし収納ゲートウェイと言われるところにはまだ大きな動きがなく、今後M&AやMBOを含めた話が出てくるのではないか。当社としてはパートナーシップを見極めながらいい位置に食い込むことが重要。事業機会や提携機会のお話は豊富にいただける環境にあり、組むべき相手と組んだりいい話をしっかり検討するということが基本姿勢。対面決済領域のゲートウェイの再編が活発化した際に最も早くいい波に乗れるようにいろいろな検討をしている。
  • Q: マクロとして決済ボリュームが減っている件だが、どの分野で減っているのか。ガソリンスタンド以外でも減っているのか
    A: 減っているわけではなく計画に対する成長が弱いということ。国内ではガソリンスタンドと流通系小売が該当する。流通系小売の中では、ホームセンター系(資材系を含む)の一部と、複数フロアがある総合スーパーで高額商材がつきにくくなっており仕入れを積極化していない分、伸び幅が計画より鈍化している。ガソリンスタンドも伸びが計画よりかなり限定的。この2セクターを1Qに引き続き注視している。
  • Q: GPVはQonQで上昇したが決済売上は大きく減少した理由を教えてほしい
    A: 1Qには端末の大型案件の半分程度が出ていたが2Qではその端末売上がなくなったことが最大の要因。決済手数料自体はGPV上昇に伴い上がっているが、端末分がなくなったため決済関連全体ではやや落ちている。加えてインバウンド比率が低下し、インバウンドの手数料率は国内の倍程度あるため、トータルのテイクレートが1Q比で約1bps低下した。
  • Q: 株主還元に関して配当ではなく株主優待で対応した理由は何か
    A: 利益剰余金がまだマイナス40億強ある状態。資本準備金で相殺して配当を実施する案もあるが、キャピタルオーバーバリューの考え方をする投資家に迷惑をかける懸念があり、マイナス額もまだ深い。まず予算額を抑えられ、利益剰余金に触れなくて済む優待を優先した。今後、配当等も検討する方針は変わらない。
  • Q: 受取利息がGPVと政策金利の掛け算に比例するイメージを持ってよいか。キャッシュフローは動き得るのか
    A: おおよそ比例すると受け取っていただいて構わない。ただし月中平均に近い残高に金利がつくため完全な比例にはならない。月によりd払い、PayPay、Visa Masterなど決済種別の構成が異なり月中残高に変動が生じるため、ほぼ比例するが完全一致はしない。キャッシュフローとしてはトランザクションボリュームが入ってきて加盟店に精算するまでの道中で金利がつくだけであり、シンプルな構造と理解してよい。
  • Q: 全東信の倒産は7月なのでその追い風がGPVに見えるのは2Q以降という理解でよいか
    A: その通り。当社の2Qは6月末まで。倒産は7月だが、マーケットでは事前にいろいろなことが言われていたため準備は進めていた。端末販売自体は9月からだが既存端末含め総動員した確保はしている。今後、既存ゲートウェイとの精算が終わった加盟店が続々顧客ターゲットになり得ると考えている。
  • Q: ステーブルコインPayについて、どのようなプレーヤーからの引き合いがあるか。テイクレートが高いと思うがいつ頃PLに見えてくるか
    A: テイクレートはインバウンド決済よりも高く入ってき得る。一般加盟店向けには0.98%で案内しており加盟店側にとっても1%を切る魅力的な水準。引き合いとしてはホビー系の顧客が複数あるほか、ホテルなどインバウンド関連でUSDC・USDTへの関心が非常に高い。コンビニ大手や大手加盟店からの問い合わせも急増しているが、POSレジを導入している大手クライアントは先方の事情で実装に3ヶ月から半年かかる。上位QRブランドに肩を並べるボリュームに達するには少なくとも1年はかかるという見通し。

Q&A 一覧

  • Q: 新端末はどれくらい安くなっているのか
    A: 絶対価格だけ見ると旧端末とほぼ同水準。ただし旧端末は半導体価格や為替のボラティリティの影響を受けやすかったのに対し、新端末は価格変動性を受けにくい設計にしている。スペックからすると同じ値段でハイスペックなものを提供できており、それが求めていたもの。
  • Q: 新端末で新たに可能になったペイとは何か。ステーブルコイン対応か。基本はソフトウェアでなんとかなるのではないか
    A: ならないものもある。ステーブルコイン対応は新端末の大きな特徴で、あらゆるステーブルコインに対応できる。遅いチェーンを含めしっかり処理するには反応速度などスペック向上が必要だった。新端末で全てのステーブルコインに対応可能になった。また、QRに新規参入するPay事業者への対応、タッチ決済、FeliCa対応も処理速度が格段に向上し、地下や雑居ビルの飲食店でもステーブルコイン決済が営めるようになった。
  • Q: 端末販売を除く決済売上をGPVで割ったテイクレート的な数値が2Qは大きく減少しているが、インバウンド減少以外にも要因があるか
    A: 精緻に計算すると1bps程度削れて見えるはずで、これがインバウンド比率を掛け合わせた数字と整合する。インバウンド比率の低下が最大の要因。
  • Q: 収納代行というと銀行の子会社のようなプレーヤーの話で、EC決済代行のプレーヤーとは違うイメージか
    A: 新端末の理由として言及したのは、足元で事業環境の変化が生じている対面決済領域の事業者を指している。業界再編の文脈では、対面決済領域の事業者を想定しており、EC決済代行業者とは事業領域がやや異なる。
  • Q: 9月から投入される新端末の改善点は何か。これまで何が不足していたか。売上影響は新規顧客のみか
    A: 売上影響は基本的に新規顧客のみ。既存顧客からの入れ替え需要は毎月一定数あるがメインではない。新端末は軽くて持ち運びに特化しており、処理速度が圧倒的に早い。市場最高速度で、時間がかかる系の決済もスムーズに処理可能。ステーブルコインが実用的に使え、何十個のPayを入れても容量・スペック的に対応できる。旧端末も対応はできたが重くなる可能性があった。同価格帯で提供でき、価格変動リスクも軽減されている。台数はやや多めに出る見込みで、3Qにより詳しく報告する。
  • Q: 今期計画にステーブルコインによる好影響は入っているか。ステーブルコインの実装に時間がかかって既存の受注の執行に影響するリスクはないか
    A: ステーブルコインによる好影響は計画に入っていない。大手への実装は1年以上かかるため織り込んでいない。新端末投入で利用が増えることを期待しているのが正直な魂胆。既存の受注執行への影響はなく、しっかり陣容を割いているが通常業務に支障をきたす範囲ではない。常時新しいPayの研究開発は走っており、ステーブルコインの負荷も同程度。
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