東海カーボン 3Q 決算説明会速報

工業炉は2027年分まで完売し、ソリッドSiCフォーカスリングとあわせて能力増強へ。社長は通期営業利益350億円の達成を明言

配信日2026年11月6日 15:58 JST

サマリー

2026年12月期3Q累計は売上高273,674百万円(+15.3%)、営業利益27,507百万円(+32.0%)。主要セグメントはすべて増益となった。牽引役はメモリ向けソリッドSiCフォーカスリング、中東特需によるカソードのフル生産、MLCC向け工業炉の3点。長坂社長は、通期営業利益350億円の約束は十分に守れると明言した。一方、4Q計画はスメルティング&ライニング(S&L)の前倒し出荷の反動や外部環境リスクを織り込み、保守的な設定を維持した。説明会では、工業炉の滋賀工場での増設検討着手、SiCフォーカスリングの増強計画を年内から来年1月に公表する方針、カーボンブラックの反ダンピング提訴の準備開始が口頭で示された。

ポイント(決算の要点と成長アクション)

  • 経営戦略と市場認識
    • 社長は、1四半期の好調だけで予想を引き上げない方針を表明。米国の政権動向や原油価格の不透明感を理由に挙げた
    • パワー半導体の需要はEVに限らず、AI関連での採用が牽引役になるとの認識。中国の回復は米国より早い
    • 米国の黒鉛電極市場は、高炉からの転換よりも電炉の新設が牽引しているとの見立て。追い風は来年以降も続くとみる
    • AI投資は米中の経済競争を背景に継続せざるを得ないとの見方。中間選挙結果による直接的な影響は小さいと評価
  • 足元の事業進捗と要因
    • S&Lは輸送途絶への懸念から、3Qに生産品を即時出荷。この押し込みが4Q計画の減益幅に表れている
    • カーボンブラックは2Qから3Qに営業利益が+1,186百万円増加(当レポート試算)。タイの対米輸出減少分の他地域への振り替えと、新工場への移設に伴う顧客の在庫積み増しが要因
    • 黒鉛電極は長期契約以外の価格を6〜10%程度引き上げた。来期価格は交渉中
    • EBITDAは主要セグメントで増益。カーボンブラックとファインカーボンに偏っていた収益構成が分散してきた
  • 戦略的な重要施策や変化点
    • 工業炉は、スペースに余裕のある滋賀工場を中心に増設に着手。完了まで1年半程度を見込む
    • ソリッドSiCフォーカスリングは、現行の韓国拠点と本社を含めて増強を検討中。年内から来年1月に公表予定
    • 社長がカーボンブラック協会長の立場で、中国・インド品に対する反ダンピング提訴の準備に入る方針を表明。現在はデータ整備の段階
    • ニードルコークスの価格上昇に備え、原料価格を販売価格に転嫁するまでの期間を短縮するよう社長が指示

今後の見通しと戦略

  • 通期予想は売上高386,000百万円、営業利益35,000百万円で据え置き。3Q累計の営業利益進捗率は78.6%(当レポート試算)
  • 4Q計画の営業利益は7,492百万円で、3Q比▲39.6%(当レポート試算)。社長は通期の下振れはあり得ないとし、上振れ余地も示唆
  • S&Lは来期1Qに一部出荷がずれ込む。加えて、生産停止で傷んだカソードの早期交換需要が来年も一定期間続く可能性がある
  • 黒鉛電極は、米国の電炉比率が約70%から2030年に約85%へ上昇するとの従来見通しを維持
  • 配当は2Qに上方修正した年40円を維持。5月公表分までの自己株式は取得を終え、消却も実施済み

ポジティブ要因

  • ソリッドSiCフォーカスリングの販売数量は、既に前年の年間実績を上回った。受注残は過去最高で、通期でも過去最高を見込む
  • 工業炉関連のROSは26.0%(前年同期18.4%)。2027年分は完売し、2028年分の受注活動に入った
  • S&Lの営業利益は738→4,053百万円。中国スメルターでのRuC組み立てが順調で、ライセンスのランニング収入が今後も見込める
  • 米国ではインド製黒鉛電極に相殺関税とアンチダンピング関税が発動され、抑止効果が出ている
  • 送配電網の整備を背景に、電力インフラ向け抵抗器の販売も増加が続く
  • FCFは155億円で、前年同期▲48億円から改善。大型投資の一巡と政策保有株式の売却(35億円)が寄与

懸念事項・リスク

  • 中東特需が終わる時期は不透明。社長は、交換需要の継続を現時点で保証できないと明言している
  • 米国のタイヤ市場は約7割を輸入品が占め、中国・ロシア・インド製の安価品が増えている。北米カーボンブラックの需要回復は遅れている
  • 国内カーボンブラック需要は、中国・インドからの輸入品の影響で前年に続き減少傾向
  • 原油価格が1バレル100ドル台を超えて推移し続けた場合、景気悪化を通じて需要に響くリスクがある
  • 運転資本は▲136億円。ネット有利子負債は1,132億円で、前期末比+53億円
  • 親会社株主に帰属する当期純利益は+0.8%にとどまり、営業増益の伸びとの差が大きい

業績ハイライト

3Q累計の売上高は273,674百万円(+15.3%)、営業利益は27,507百万円(+32.0%)で、2桁の増収増益となった。経常利益は26,148百万円(+27.0%)、親会社株主に帰属する当期純利益は16,259百万円(+0.8%)。2025年4Qに連結化したタイ子会社の寄与とSiC製品の数量増が、タイヤ顧客の生産調整とドイツ子会社売却による減収を上回った。

セグメント別業績

セグメント名売上高前年同期比営業利益前年同期比
カーボンブラック129,366百万円+16.6%12,430百万円+6.4%
ファインカーボン52,391百万円+24.5%8,020百万円+27.4%
スメルティング&ライニング50,588百万円+21.6%4,053百万円+448.9%
黒鉛電極26,610百万円▲5.5%2,168百万円+31.9%
工業炉関連8,285百万円+16.0%2,153百万円+63.6%
その他6,432百万円▲13.6%24百万円▲94.6%
調整――▲1,343百万円―
合計273,674百万円+15.3%27,507百万円+32.0%

※その他の前年同期比は当レポート試算

  • EBITDA: 55,261百万円(前年同期比 +26.0%)
  • EBITDAマージン: 20.2%(前年同期比 +1.7pt)。T-2030長期ビジョンの目標値20%に到達
  • 連結ROS: 10.1%(前年同期比 +1.3pt)
  • 調整後ネットD/Eレシオ: 0.22倍(前期末 0.21倍)
  • 自己資本比率: 46.3%(前期末 47.9%)
  • 信用格付: JCR A+、R&I A(いずれも見通し安定的)

Q&A 一覧

  • Q

    3Qの着地は非常に良い数字だったという印象だが、差し引きの4Qは各セグメントで減益方向とみている。現在の事業環境の実態と、数字の面でリスクとみている部分、あるいはアップサイドの可能性として考えられる部分を教えてほしい。

    A

    数字が示している通りで、指摘はよく分かる。ただ私としては、今年1年を通じて2回上方修正した営業利益350億円は絶対に死守するつもりでやってきた。ここではっきり申し上げられるのは、その約束は十分に守れるということだ。四半期ベースで最も振れた理由はスメルティング&ライニング事業である。先ほどの説明でも触れたが、カソードブロックは3Qからフル生産、超フル生産と言ってもよい状況にある。ところが戦争がどうなるか、船の手当てができるのか、本当に運べるのかという不安があったため、3Qは作ったらすぐ出荷するという形で、かなり押し込んだのが正直なところだ。350億円が締めてみてどうなるかについて正直に言えば、少なくともマイナスはあり得ないだろう。どこまでプラスを想定できるかについては、米国の政権もあのようなことになり、リスクがないとは限らない。今はたまたま原油価格が下がっているが、これもどうなるか分からない。不安要因も多いため、好調な1四半期だけで数字を持ち上げるようなことはやめておこうというのが、私の正直な考えだ。

  • Q

    来期に向けた考え方として、黒鉛電極について伺いたい。3Qで価格の反転という話があったが、実績にどの程度価格の反転が入っているのか。また来年に向けては、競合の決算説明会でも値上げに向けた動きが聞こえてくるが、北米を中心とした需要環境と価格改定の余地について、どの程度期待しているのか、今の手応えを教えてほしい。

    A

    今期の中では4Qに、当社が長期契約をしていない部分について、幅はあるが6%から10%程度の値上げができたのが実態だ。米国では鉄を取り巻く動きが非常に好転しているため、来期もそれが継続するだろう。来期だけでなく、もう少し長い目で見てもポジティブに捉えてよいと考えている。ただし、原油などが上がっていくとどうなるかという点で、全くリスクがないわけではない。また、質問への直接の答えではないが、グローバルで見ると、高炉から電炉への転換は、米国が主体ではあるものの、欧州を除けば日本を含めてかなりオンスケジュールで動いている。この点からも、米国の鉄鋼を取り巻く動きはポジティブに捉えられる環境だと考えている。

  • Q

    来年の価格交渉はまだ妥結しておらず、交渉中という理解でよいか。

    A

    ちょうど交渉中である。

  • Q

    カーボンブラックについて、競合の決算を見ると、来年に向けては顧客や地域によってまちまちという印象がある。来期に向けたベースマージンの考え方をどう見ておけばよいか。また米国やタイを中心とした市場環境・事業環境のアップデートをいただきたい。

    A

    一言で言えば、非常に安定的に進むだろうと考えている。ただ、何度か申し上げてきた通り、米国市場は気にならないわけではない。もう少し早い段階で上昇トレンドに入ると申し上げてきたが、なかなかそういう動きにならない。理由を言うと、米国のタイヤは米国内の生産量だけではとても足りず、7割近くが輸入品である。驚かれるかもしれない。その輸入品については、これこそ責任はトランプ大統領にあると私は思っているが、様々な物価が上がってしまっている。米国人は独特の文化で、タイヤ1つとっても、品質が劣っても安いものを優先して履き替えていく。これが今続いている。どこの製品かというと、迂回輸出を含めた中国品、ロシア品、最近ではインド品などで、現時点ではこれらがかなり増えているのが実態だ。同業他社の決算発表も見ているが、各社ともあまりはっきりしたことを言っていない。ただ同業各社が当社と違うのは、米州を北米だけでなく中南米も含めて見ている点だ。中南米には良い国もなくはないので、その分は上振れしている面がある。当社はカナダを含む北米市場だけなので、その点は若干異なる。もう一段勢いがついてほしいと思っているのは事実だ。

  • Q

    ファインカーボンについて、資料に中国向けSiCパワー半導体ビジネスの回復基調という言葉が出てきた。SiCは横ばいが続き、回復は微妙だという見方がある中で回復というキーワードが出てきたが、SiCパワー半導体に絡む部材の動きに何か変化が出てきているのか。

    A

    中国市場は事実として動きが出てきている。当社はもっと動きが遅いとみていた。ところが3Qが終わった段階ではなく、上期が終わった段階から、なんとなく動きが出つつある。中国以外の米国や日本はどうかというと、米国はトランプ大統領があれだけ騒いでいたのだから、もっと早く具体的に数字が出てきてもよいと思っていたが、むしろ中国の動きの方が早いのが実態だ。したがって、この表現は決して間違っていないと思う。

  • Q

    パワー半導体はずっと止まっているイメージで、戻るとしても結局来年かと思っていたが、そこに少し変化が出てきたと捉えてよいのか。

    A

    ここで気を付けなければならないのは、我々にはパワー半導体イコールEVという感覚が強いことだ。EVはご存知の通り、中国が大量に作り、国内で消費できないため欧州に大量に持ち込んだ。ところがその欧州では半減以下になっているのが実態だ。しかし牽引しているのはEVだけではなく、AI関係である。AI関係でコンスタントに使われ始めている。今回の政権移行でどうなるかという不安はなくもないが、トレンドで見れば順調に回復、成長していくだろうと私はみている。したがって、中国の動きはそれなりの成果が出てくるだろうと思っている。

  • Q

    これまではEVだけだったところが、AIで裾野が広がりながら、パワー半導体向けに動きが出てきそうな状況になっているということか。

    A

    それでよいと思う。

  • Q

    黒鉛電極の米国について、説明会のトーンや資料で回復してきたと書かれている。会社がこうした書き方をする場合、過去の傾向から見ると自信がついてきた、あるいは来年以降の価格動向に変化の手応えがあることが多い。そうした変化が見えてきているのか、社長の感覚としてどうか。

    A

    先ほどの説明にもあった通り、電極事業は欧州のドイツ拠点を売却したので全体としては小さくなったが、中身は完全に充実してきた。それはどこかというと米国だ。米国は確実に魅力のある市場になりつつある。これは今だけでも来年だけでもなく、もう少し続くだろうとみている。それを引っ張っているのは、高炉から電炉への転換というよりも、新たに電炉を作っている、新設していることだと思う。

  • Q

    今回の選挙などで資金の動向は分からないが、インフラなどが増えてくるという話になれば、電極にとってポジティブに効いてくる可能性はあるか。

    A

    完全にポジティブに効いてくると思う。そう捉えてよいと思う。

  • Q

    先ほど4Qで6〜10%程度の上昇というトーンだったが、市況の上がり方として20%や30%といった上昇もあり得るか。

    A

    先ほど6〜10%と言ったのは価格アップという意味だ。どれくらい上がっていくかについては、それほど大きくは上がらず、何十パーセントも上がるとは思っていない。例えば2030年まで見るのであれば、もっと上がっていくと思う。ただ、ご存知の通り、米国の電炉鋼にはもうそれほど余地がない。電炉鋼は既に7割程度に達している。前々から申し上げている通り、2030年までにどれくらい上がるかについての見方は今も変えておらず、15pt程度上がり、70%が85%程度になるだろうと捉えている。それが着実に数字に表れてきているとみていただいてよいと思う。

  • Q

    来期について、落ちるリスクがあるとすれば、特需的な要素があるかもしれないスメルティング&ライニングだと思う。政治などの状況が分からないので一概には言えないが、他の事業については基本的に上に向かっていくという考え方でよいか。

    A

    まず来期のスメルティング&ライニングについては、16ページを見ていただくと、利益だけでも分かると思うが、4Qを大幅に落としている。これは特需の関係で、船積みの関係でそうなることが想定できたため、逆に言えば3Qに極力乗せてしまおうということでやってきた。ではそれで終わったのかというと、まだ終わっていない。一部船積みができず、来期に移るものが多少ある。ただし、これはおそらく1Qで終わるだろう。そこで戦争特需が本当に終わるのかについては、私は少し違う捉え方をしている。顧客の工場がイランによるミサイル攻撃で一部破壊され、スメルティングが途中でストップした。電源が止まったためだ。本来コンスタントに操業していれば1年先、2年先まで持つものが途中で止まってしまった。熱をかける炭素素材は非常に微妙で、一旦ストップし再加熱されたカソードを使い続けるとスメルティングそのものに問題が出てくる。そのため、資金がある彼らは、どのタイミングで新しく取り替えるかを考えている。本来ならまだ早いが、品質リスクを抱えるより取り替えてしまった方が早いという考え方が今出つつある。それが需要に結びついてくる。これも一部は戦争特需と言ってよいかもしれないが、来年ももうしばらくは続くのではないかとみている。ただし、今の段階で続くとはっきり私の口から言うことはできないと捉えていただきたい。

  • Q

    スメルティング&ライニングは落ちるというよりは一定程度の需要が出そうで、他の事業もそれほど悪くなさそうという理解でよいか。

    A

    よいと思う。ただ、今年と来年を比較して数字がとんでもなく良くなるかというと、今の段階でそこまでオフィシャルに申し上げることはできない。

  • Q

    カーボンブラックは、資料16ページで2Qから3Qに12億円業績が改善しているが、その背景を伺いたい。

    A

    細かいことはあまり頭に入っていないが、確かにQ2からQ3でカーボンブラックは上がっている。1つは、米国で関税の問題があってタイからの輸出がダウントレンドに入り、タイヤメーカーがそれを米国以外の地域に振り分けたことがあると思う。それから、旧工場から新工場への移設に伴い、顧客が万一に備えて在庫を多めに積み増したこともあると思う。その他に大きなものはないかもしれない。原料については、Q2からQ3にかけて上がってきているので、その価格ヘッジの効果ではないかと思う。細かいことは後日連絡する。

  • Q

    社長のコメントを聞いていると、カーボンブラックの状況があまり良くないように聞こえるが、その割に利益が出ているので違和感がある。一過性で押し上げられているのではないかという印象も受けたが、どうか。

    A

    そんなことはない。私の感覚では、カーボンブラックは数字が大きく振れるというより、安定的にきちんと利益を上げていける事業だ。原料が上がれば、若干のタイムラグはあるが、ヘッジする仕組みを組んでいる。あとはフレイトなどをどうするかという問題で、フォーミュラベースがきちんと確立している産業の1つなので、大きな心配や不安はしていないのが事実だ。

  • Q

    米国のカーボンブラック工場が一部止まっているとコメントしているライバルメーカーがいるが、自社ではそうした状況はないか確認したい。

    A

    プラントは止めていない。止めているところはどこが発表しているのか。(オライオンの決算コメントで、どこかが止まっているという話があったとの指摘を受けて)それは今後止めることがあり得ると言っているのではないか。オライオンもかなり環境投資等は終わっていると思う。当社もキャボットもそうだが、各社とも莫大な費用をかけてやっているので、今止まっている工場はないと思う。

  • Q

    カーボンブラックの次年度の価格交渉は今どうなっているか。

    A

    まだ始めつつあるところだ。

  • Q

    ニードルコークスの環境について教えてほしい。ライバル企業は、市況が1,700ドルや2,000ドルと大きく上がっていると話している。それに対応してきちんとスプレッドが取れているか。また製油所の稼働が高すぎてデカントオイルが出てこない、ニードルコークスが不足しているという話もあると思うが、その状況も教えてほしい。

    A

    まだニードルコークスが不足している状況だとは考えていない。ただし、四半期ベースでニードルコークスが上がってきた、または今後上がっていくだろうとは考えている。これについても当然、顧客とはフォーミュラを取っているので、原料のヘッジは自動的にできる。ただし考えなければならないのは、ヘッジするまでの期間だ。むしろこういう機会に短縮してしまえという指示を出している。今後ニードルコークスは間違いなく上がっていくとみておかなければならないのではないか。

  • Q

    スプレッドは十分に取れており、改善している方向性という理解でよいか。

    A

    よい。そうみていただいて構わない。

  • Q

    工業炉の引き合いの状況について、今見えている段階で来期に向けてどのような展望を持っているか。

    A

    工業炉は、冒頭で平井が触れた通り、来年の2027年分はもう完全に完売で、新しい受注は取れない。今は2028年の受注活動をしているのが実態だ。これについてもかなり環境は良いと今後もみているので、期待していただいてよいと思う。

  • Q

    先日終わった米国の中間選挙の結果をどう受け止めているか。また、自社の事業環境に与えるポジティブ・ネガティブな影響を今どう見ているか。

    A

    私は政治はあまり得意ではなく、政治家でもないので難しいが、瞬間的には規制強化など様々なことが想定されないわけではない。ただ大きな流れで見ると、当社への直接的な影響は少ないと思っている。例えば今、AI関係の会社の株価は当社も含めてひどいことになっているが、それがずっと続くのかと言う人もいると思う。今回勝った側にも反対派が大勢いるわけで、それは世の中の常であり、あまりネガティブに考える必要はない。また米国はこれだけおかしくなってきたので、元の米国に戻していかなければならないのは国民の責任だ。そういう意味で、それほど神経質に捉える必要はない。ただ1つだけ危惧するのは原油だ。とんでもなく上がった場合、つまり1バレル百数十ドルというベースが続いた場合には、景気に影響してくると考えている。

  • Q

    ファインカーボンのソリッドSiCは既に前期を超える販売状況が続き、受注も多いとのことだが、来期以降の見方として、この状況が続くのか、陰りが見えそうなのか、基調を教えてほしい。

    A

    この環境はしばらく続くとみている。当然これまでかなり先行投資で設備を整えてきたが、それだけでは足りないのではないかと思っている。もう少し環境を精査したうえで、対応を考えていかなければならないと考えている。

  • Q

    工業炉も受注が非常に上がっているとの説明だったが、受注をこなす体制について、体制強化のようなことは考えているか。

    A

    これもソリッドSiCと同じようなトレンドを示しており、手が足りない、間に合わないという状況が今ある。間に合わないと顧客が黙っていないので、増設をやらざるを得ないだろうと思っている。

  • Q

    米国の中間選挙の結果を受けても、AI関連の投資は止まることはないという見方だという説明があったが、そう考える背景をもう少し解説してほしい。

    A

    トランプ大統領があまりにもAIと言い続け、それをタイムリーかつスピーディーに進めようとしてきた。それに対する反対派も大勢いた。しかし、米国経済を元に戻すためには、AI技術はやっていかざるを得ないと私はみている。ただし、進めるにあたっては住民の反対をはじめ、一時的に様々な規制があると思う。そういうものに対しては、国民を納得させるだけの説明をきちんとしながら進めていくことが必要だ。それをやらなければ、相手は中国である。米中の経済戦争のようなものなので、これをやらなければますます中国にやられていくのは目に見えている。したがって今後も継続してやっていかざるを得ないと思っている。

  • Q

    カーボンブラックの日本国内市場について、需要や輸入品を含めた競争環境の足元の状況と今後の見通しを伺いたい。

    A

    国内のカーボンブラックにはあまり大きな変化はない。もう少し細かく話すと、10年も20年も前から、生産も販売も毎年1%ずつ減っていくというのが1つの見方だった。ところが実際に蓋を開けてみると全くそういうことはなく、増えもしないが減りもせず、ほぼコンスタントに推移してきた。しかし昨年、一昨年と比べると、それが若干減った。今年も減る傾向が今のところ見えつつあるのが実態だ。理由は輸入品で、中国とインドの2つだ。これにどう対応するかについては、私は協会の会長も務めているので、先日の会合で、黙って指をくわえているわけにはいかない、ダンピング訴訟を起こさなければならないだろうと言った。その準備に入ろうという話を協会の中でしつつある。当然、行政とも相談しながら進めなければならない。20年ほど前にもそうしたことをやろうとしたが、行政も含めてなかなか動かなかったという経験がある。しかし今の行政の考え方は全く違うので、少し時間はかかるが、やらざるを得ない、やっていくだろう、やっていかなければならないと思っている。

  • Q

    協会の総会でもそのようなコメントがあったと記憶しているが、実際にアクションは取っているのか。調査を要請しているなどの状況にあるのか。

    A

    動きつつあるところで、まだ本格的にはなっていない。行政ときちんと話をするには、数字を持ってきちんとしたデータを作ってから話をしなければならない。そういう動きを今しようとしている、あるいは一部し始めたと理解していただきたい。

  • Q

    工業炉について、基本的には能力増強を検討しているという理解でよいか。そのスケジュール感についてもコメントをいただきたい。

    A

    おっしゃる通りで、それをやっている。もう既に着手し始めたと考えていただきたい。

  • Q

    設備投資のようなものを進めているということか。

    A

    はい、やっている。

  • Q

    どの工場で、いつまでに終わるかなど、教えていただけることはあるか。

    A

    この事業の工場は2つあり、1つは仙台、もう1つは滋賀だ。最近は工業炉も大きくなってきているので、スペースがより多くある滋賀を中心に増設を進めざるを得ない。既にそこで行動に移っていると考えていただきたい。

  • Q

    いつまでに終わる予定か。

    A

    いつまでとはまだ公表していないが、一般的にはこれを始めると1年半程度かかると思っている。

  • Q

    今から1年半後くらいということか。

    A

    そうだ。

  • Q

    先ほどの質問の中で、もう1つ能力増強を検討しているとのことだったが、それはSiCフォーカスリングのことか、それともカソードのことか。

    A

    カソードではない。SiCフォーカスリングの方だ。

  • Q

    SiCフォーカスリングも生産能力の増強を検討しているということだが、可能であれば、どの工場でいつまでに実施したいかコメントをいただきたい。

    A

    まだ公表していないので、はっきりしたことは申し上げにくいが、そう遠くない将来、年内に発表できるか、来年1月になるか、そのあたりで表に出せると思う。

  • Q

    現在はどの工場で作っているのか。

    A

    韓国である。

  • Q

    基本的には韓国で検討しているという理解でよいか。

    A

    本社も含めて検討している。

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