辻・本郷 ITコンサルティング 3Q 決算プレビュー

セキュリティ需要と伊藤忠シナジーによる売上加速が問われる下期、上場コスト一巡後の営業利益率回復が焦点

配信日2026年8月12日 15:30 JST

サマリー

辻・本郷 ITコンサルティングは辻・本郷税理士法人を母体とする「DXに関するプラットフォーム事業」を単一セグメントで展開し、会計事務所ネットワークを起点にコンサルティングやソフトウェア販売を提供する独自のポジションを有する。2Q累計の売上高は通期計画に対し40.0%の進捗にとどまり、営業利益進捗率は26.6%と計画の前提である下期偏重型の収益構造がどこまで顕在化するかが3Qの最大の確認事項となる。上場関連費用や人的投資による先行コストが2Qまでに集中計上されたとみられ、3Q以降は費用負担の軽減と売上成長の加速により利益率の反転が見込まれる局面にある。伊藤忠商事との資本業務提携を通じた大企業・中堅企業向け受注拡大と、withDXプラットフォームの拡張による士業ネットワーク型収益基盤の構築が、同社の成長の質を測る上で重要な指標となる。

翌四半期の注目ポイント

注目点と焦点示唆

売上成長3Q累計売上高の通期計画2,913百万円に対する進捗率

2Q累計進捗率40.0%と下期偏重型。3Q累計で65%超(約1,893百万円)に到達すれば通期達成の蓋然性が高まる

営業利益率の回復3Q単独の営業利益率(2Q累計:9.9%)

通期計画の営業利益率14.7%達成には、下期営業利益率18.0%(当レポート試算)が必要。上場コスト一巡による販管費率低下がカギ

販管費コントロール販管費の前年同期比伸び率と売上高対比

2Q累計販管費472百万円(前年同期比+18.9%)。人的投資の効果発現と上場関連費用剥落による抑制が期待される

伊藤忠シナジー大企業・中堅企業向け受注動向

伊藤忠商事(保有比率23.12%)との協業による案件パイプラインの充実度が中長期の売上成長を左右

withDXプラットフォーム展開withDX加盟士業法人数と顧問先DX支援件数

2026年6月時点で約100社が参画。ネットワーク拡大による顧問先向け収益機会の広がりが中期成長ドライバー

不正アクセス関連損失引当金引当金71百万円の処理状況

2Q末時点で全額残存。取崩しまたは追加計上の有無が損益に影響する可能性あり

資本効率ROE水準と自己資本比率のバランス

IPO増資により自己資本比率76.0%に上昇。有利子負債圧縮が進む一方、ROE水準(当レポート試算:年率換算約9.4%)の改善が課題

前回決算(2026年9月期 2Q決算)を踏まえた主要論点

2Q累計業績は売上高1,164百万円(前年同期比+14.2%)とトップライン成長を確保したが、上場関連費用と人的投資により営業利益114百万円(同▲25.0%)と減益着地。通期計画は据え置かれ、下期に売上1,749百万円・営業利益314百万円(ともに当レポート試算)の達成が織り込まれた構図となっている。

1. 下期偏重型の通期計画達成可否

  • 前期: 2Q累計売上高1,164百万円(通期計画2,913百万円の40.0%)、営業利益114百万円(同428百万円の26.6%)
  • 今期確認: 3Q単独で売上高875百万円前後(当レポート試算、通期計画の均等按分ベース)を達成できるか。案件の期末集中傾向が下期偏重の合理性を支えるかが焦点
  • 注目指標: 3Q累計の通期計画進捗率(売上高65%超、営業利益55%超が目安)
2Q累計の通期計画進捗率は売上高40.0%、営業利益26.6%と低水準であり、下期の収益加速が通期計画の成否を決定する最重要論点となる。

2. 上場関連費用一巡後の営業利益率改善

  • 前期: 販管費472百万円(前年同期比+18.9%)、売上総利益率50.4%(前年同期53.9%から▲3.5pt)
  • 今期確認: 上場関連費用の計上完了と、人件費増の売上貢献への転換。3Q単独営業利益率が通期計画水準(14.7%)に接近するかが焦点
  • 注目指標: 3Q単独の販管費率(2Q累計40.5%)の改善幅
2Q累計の営業利益率は9.9%と、前年同期の15.0%から▲5.1pt低下した。上場関連費用(新規上場に伴う一時的コスト)と人的資本投資が主因であり、3Qでのコスト正常化が確認される必要がある。

3. セキュリティコンサルティングの受注拡大

  • 前期: セキュリティコンサルティング受注増が2Q売上高+14.2%成長の主要因の一つ
  • 今期確認: 3Qにおけるセキュリティコンサル案件の大型化・継続案件化の進展状況。金融庁のフロンティアAI対応要請など規制強化が追い風となるか
  • 注目指標: 売上高成長率の前年同期比が2Q累計の+14.2%を上回る加速が見られるか
サイバー攻撃の巧妙化を背景に、セキュリティ対策強化・情報セキュリティ体制の再構築支援ニーズが拡大。当社のリスクアセスメントや技術的・組織的セキュリティ支援が成長ドライバーとして明確化されつつある。

4. 伊藤忠商事との資本業務提携によるシナジー

  • 前期: 伊藤忠とのシナジーにより大企業・中堅企業向け受注が増加(定量開示なし)
  • 今期確認: 大企業向け案件の単価・件数の推移と、伊藤忠グループ企業への横展開状況
  • 注目指標: 顧客層別売上構成の変化(大企業・中堅比率の拡大傾向)
伊藤忠商事が23.12%を保有する筆頭株主の一角として、大企業・中堅企業向け受注チャネルの拡大が期待される。2Q決算では同シナジーによる受注増が言及されており、3Q以降の具体的な案件積み上げが注目される。

5. withDXプラットフォームの収益化進捗

  • 前期: withDXアクセラレーションプログラムを6月に本格始動、SoLaboが参画
  • 今期確認: 加盟法人数の増加ペースと顧問先企業へのDX支援クロスセルの実績
  • 注目指標: withDX経由の売上貢献額(現時点では開示なし、3Q以降の言及に注目)
2026年1月に正式サービスを開始した士業向けDX支援プラットフォーム「withDX」は、6月時点で約100社の士業法人が参画。アクセラレーションプログラムの本格始動やパートナー網拡充により、中期的な収益基盤の構築が進行中である。

今期中の主要な適時開示

  • 2026/07/28
    会計事務所向け研修プラットフォーム「実トレfor会計事務所」にfreee会計対応を追加 - 弥生・MF・MJSに続く4社目のSaaS対応により、会計事務所向け教育プラットフォームの網羅性が向上。ストック型収益の拡大に寄与する可能性。 「実トレfor会計事務所」にfreee会計実トレ研修を新規追加
  • 2026/06/26
    SoLaboがwithDXアクセラレーションプログラムに参画 - 融資支援・補助金支援・CFO代行を展開するSoLaboの参画により、withDXのサービスラインが拡充。士業ネットワークの付加価値向上に寄与。 SoLaboがwithDXアクセラレーションプログラムに参画
  • 2026/06/23
    withDXアクセラレーションプログラム本格始動 - 約100社の士業法人が参画し、会計事務所との協業を通じた中堅・中小企業のDX支援体制を構築。プラットフォーム型ビジネスモデルの収益化に向けた重要な一歩。 withDXアクセラレーションプログラムを本格始動
  • 2026/06/15
    Jフロートプロジェクトで「J-Float認定制度」を開始 - 日本製ソフトウェアの海外展開を認定・支援する制度。直接的な短期収益インパクトは限定的だが、IT支援領域の拡張として戦略的意義あり。 Jフロートプロジェクト「J-Float認定制度」開始

前四半期の着地(2026年9月期 2Q実績)

辻・本郷 ITコンサルティングは、辻・本郷税理士法人グループを母体とし、「DXに関するプラットフォーム事業」を単一セグメントで展開するITコンサルティング企業。会計事務所ネットワークを基盤にセキュリティコンサルティング、バックオフィス業務支援、ソフトウェア販売を手掛ける。2025年12月に東証スタンダード市場に上場し、IPO増資で約588百万円を調達。伊藤忠商事との資本業務提携を通じた大企業・中堅企業向けの受注チャネル拡大と、withDXプラットフォームによる士業ネットワーク型収益基盤の構築を中期成長戦略の柱とする。2Q累計はセキュリティコンサル受注増とソフトウェア販売拡大で売上+14.2%成長を確保したが、上場関連費用と人的投資で営業減益となった。

項目金額前年同期比会社計画比備考
売上高1,164百万円+14.2%-セキュリティコンサル受注増、伊藤忠シナジーによる大企業向け拡大
営業利益114百万円▲25.0%-上場関連費用・人的投資により減益。営業利益率9.9%(前年同期15.0%)
経常利益118百万円▲25.3%-支払利息減少(▲1百万円)も営業減益を吸収できず
当期純利益78百万円▲28.2%-実効税率33.7%(前年同期30.2%)
EPS41.84円▲35.2%-増資による株式数増加(期中平均1,874千株、前年同期1,691千株)も影響

通期計画に対する進捗率: 売上高40.0%、営業利益26.6%、経常利益27.6%、純利益26.0%(前年同期の通期実績に対する同期間進捗率は非開示のため比較不可)

会社情報

  • 会社名
    : 辻・本郷 ITコンサルティング株式会社
  • 証券コード
    : 476A
  • 上場市場
    : 東京証券取引所 スタンダード市場
  • 決算期
    : 9月
  • 主要事業
    : DXに関するプラットフォーム事業(各種業務コンサルティング、ソフトウェア販売導入支援、システム開発等のDX支援、SaaSと専門知識を基盤とした経理労務代行、専門人材供給等のオペレーションコンサルティング)
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