エグゼクティブ・サマリー
辻・本郷ITコンサルティングは、2025年12月の上場を経て成長投資を加速させる局面にある。1Qの利益進捗は上場関連費用や先行的な採用投資により9.5%にとどまるが、経営陣は売上の源泉であるトスアップ件数が計画通り推移していることなどを根拠に、通期計画の達成に自信を示した。とりわけ注目すべきは、伊藤忠グループとの資本業務提携を通じ、従来の中堅中小企業領域から大企業の管理部門へと注力領域を拡大しつつある点であり、1案件あたりの貢献額は中小向けとは一線を画す見込み。経理労務代行はウェイティングリストが生じるほどの需要超過状態にあり、人材確保が成長のボトルネックとなるフェーズに移行している。
企業からのメッセージ
中堅中小企業で培ったバックオフィス支援のナレッジを、伊藤忠との連携を通じて大企業の管理部門へと展開している。これまで獲得できなかった規模の案件に対してアプローチを開始しており、より収益貢献が見込める領域へと踏み出している。
インタビューで示された主な論点
伊藤忠連携による大企業BPO領域への進出
伊藤忠グループの顧客基盤を活用し、中堅中小企業向けに蓄積した業務ノウハウを大企業の管理部門支援へ横展開する戦略を推進中。4月以降、20〜30人規模のコンサルティング・BPO複合案件が複数始動予定であり、1案件あたりの売上貢献は従来の中小向け案件の約10倍に達する見通し。同社の競合にはない提携シナジーとして差別化要因となる。
経理労務代行の需要超過とキャパシティ拡大
オペレーションドメインの経理労務代行は需要がウェイティングリストを生むほど旺盛で、受注余力の確保が最大の課題。正社員採用が計画を下回り派遣で補完しているため原価率が一時的に悪化しているが、裏を返せば人材確保が進めば利益率の改善余地が大きい構造。5月以降のオフィス拡張も人員増を見据えた先行投資と位置づけられる。
with DXプラットフォームによる外部会計事務所ネットワークの構築
with DXポータルを2026年3月にリリース予定で、加盟法人数は約80法人に到達。ビジネスモデルは外部会計事務所から案件紹介を受け、同社がサービスを提供してキックバックを支払う構造。辻・本郷グループ内での成約率約20%に対し、外部事務所経由はまだ一桁台であり、認知向上と受注率改善が当面の注力課題。辻・本郷グループ内で浸透に約半年を要した経験を踏まえ、パートナー先ごとの研修を実施中。
エンヴァリスの着眼点
インタビュー Q&A ハイライト
- Q
1Qの上場関連費用は計上完了したのか、2Q以降に追加発生はあるか
A1Qに計上した約2,900万円でほぼ完了。2Qにオーバーアロットメント関連で数百万円程度が残るが、上場関連費用としてはそれが最後となる。
- Q
通期営業利益4.28億円の達成に向けた四半期ごとの利益トレンドはどうなるか
A2Q時点で営業利益ベースの進捗率は約15%、上期累計で約25%を見込む。2Qまでは採用投資が利益を圧迫するが、3Q・4Qでは新規採用を抑制し利益率を高めて回収する計画。売上・営業利益ともに四半期ごとに階段状に積み上がる構造であり、下期偏重は従来からの傾向と整合的。
- Q
経理労務代行の需要動向と大型案件のパイプラインはどうか
A経理労務代行は需要超過でウェイティングリストが存在する状態。伊藤忠経由で大型BPO案件の受注が4月以降に見込まれており、コンサルティングによる業務整備からBPO受注につなげる複合案件として20〜30人規模のプロジェクトが動き出す予定。中堅中小企業向けの月額35〜40万円の案件も積み上がっている。
- Q
AIの普及は同社のビジネスに対してネガティブな影響を及ぼすか
A中堅中小企業においては依然として紙ベースの業務が主流であり、AIを使いこなす人材も不足しているため、現時点で単価下落等の影響は受けていない。数年間はこの状況が続くと見ている。一方、社内ではAIを活用した業務効率化を推進しており、辻・本郷税理士法人のAI活用を牽引する立場として1月からAIコンサルを開始。AI普及と連動してサイバーセキュリティの引き合いも増加傾向にある。
- Q
with DXプラットフォームの課金体系と収益モデルはどのようなものか
A外部会計事務所が対応しきれない案件を同社にトスアップし、同社からキックバックを支払うモデル。会計事務所から収益を徴収する構造ではないため、加盟事務所あたりのARPUは設定していない。辻・本郷グループ内の成約率約20%に対し、外部事務所経由はまだ一桁台の水準であり、トスアップ件数の拡大と受注率の向上を並行して進める方針。
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