ラクオリア創薬 2Q 決算説明会速報

tegoprazan米国P3で重症EE治癒率+19.6pt、Lazarus導出で停滞資産を再始動、三層構造での価値可視化を推進

配信日2026年8月18日 20:17 JST

サマリー

2026年12月期中間期の事業収益は1,455百万円(前年同期比▲5.2%)、営業損失338百万円。ロイヤルティ収入は1,228百万円(同+14.4%)と堅調だが、マイルストン・契約一時金の計上がなく通期計画進捗率は36.6%にとどまった。経営陣は期初計画どおりの進捗と説明し通期業績予想を据え置き、下期にその他収入を積み上げ黒字着地を目指す方針を示した。説明会では企業価値を三層構造(1階:安定収益基盤、2階:導出資産・パイプライン価値、3階:創薬基盤)で初めて整理し、tegoprazan米国P3試験の優越性データやLazarusグループへの導出契約の戦略的意図を詳説した。

ポイント(決算の要点と成長アクション)

  • 経営戦略と市場認識
    • 企業価値を三層構造で可視化し、ロイヤルティ(1階)・導出資産(2階)・創薬基盤(3階)の時間軸別に投資家への説明フレームを刷新
    • 米国消化性潰瘍剤市場約4,000億円でPPI不十分な患者が約4割存在し、tegoprazanの差別化余地は大きいとの認識を表明
    • 株価が年初来▲46.9%と市場指数を大幅にアンダーパフォームしている点を自認し、成果の可視化が課題と位置付け
  • 足元の事業進捗と要因
    • ロイヤルティ収入は韓国K-CABの+15.4%成長が最大の寄与要因。動物薬3製品も安定貢献
    • その他収入は227百万円(前年同期比▲50.9%)、上半期にマイルストン・契約一時金の計上がなかったことが減収主因
    • 自己資本比率70.6%(+5.5pt)、現預金4,696百万円(+44.8%)と財務基盤が改善
  • 戦略的な重要施策や変化点
    • 5-HT4作動薬・モチリン受容体作動薬をLazarusグループへ導出。契約一時金なしで後段リターン(マイルストン・ロイヤルティ・株式対価)を重視する設計
    • Velovia社が動物薬1化合物のオプション行使、ヒト用既存アセットの用途拡張による価値顕在化
    • 理化学研究所と計算化学・AI創薬の共同研究を開始。DMTAサイクル加速が狙い

今後の見通しと戦略

  • 通期事業収益計画3,980百万円を据え置き。下期にマイルストン・契約一時金を積み上げ黒字化を目指す方針
  • tegoprazan米国FDA承認は2027年1月見込み。承認後の販売はSebela/Braintree社が担い、当社業績への寄与は2028年からと想定
  • tegoprazanの日本開発はHK inno.N社が後期臨床試験の準備を推進中。詳細は非開示
  • グレリン受容体作動薬とIRAK-M分解誘導薬は短期中に導出を目指す方針を明示
  • 3カ年事業収益見通し128億円、手元資金53億円+借入余力5億円+新株予約権4.9億円で成長投資を賄う計画
  • 配当は財務基盤強化に応じて実施予定、自己株取得は利益剰余金確保後に機動検討

ポジティブ要因

  • K-CAB韓国上半期売上1,200億ウォン(約132億円、前年同期比+15.4%)。2026年4月には全領域の外来処方売上で韓国首位
  • 韓国でNSAIDs誘発性潰瘍予防の適応追加により承認適応症6つ(同クラス最多)に拡大
  • tegoprazan米国P3(TRIUMpH試験)で重症EE完全治癒率74.1% vs PPI 54.5%(+19.6pt)、24週維持率76.4% vs 44.3%(+32.1pt)と明確な優越性
  • tegoprazan販売国20カ国、事業活動57カ国。ベラルーシで販売承認取得、オーストラリアで承認申請
  • ファイメクスのIRAK-M分解誘導剤で米国物質特許査定を受領(2026年7月30日)、知財保護が強化
  • HK inno.N社との資本業務提携による財務基盤強化と代謝・内分泌疾患領域への共同研究展開

懸念事項・リスク

  • 事業収益の通期進捗率36.6%。下期にマイルストン・契約一時金の計上が集中する必要があり、時期依存度が高い
  • Lazarus導出は契約一時金なし。開発進展は外部資金調達・開発・出口実行に依存し、価値顕在化時期は不透明
  • 年初来株価▲46.9%とグロース指数(+6.9%)・TOPIX(+20.1%)に対し大幅劣後。市場の評価転換には具体的成果の蓄積が必要
  • 米国P-CAB先行品(Phathom社)の伸び悩みを経営陣が認識。市場浸透において、tegoprazanの高い有効性が競争上の武器となる可能性がある一方、ペイヤー動向には注視すべき
  • 営業損失338百万円、EBITDA▲112百万円。研究開発費864百万円(+10.1%)の増加が継続し、黒字化は下期収益の着地次第
  • tegoprazan日本開発の進捗・スケジュールが非開示で、時期感が読みにくい

業績ハイライト

2026年12月期中間期の事業収益は1,455百万円(前年同期比▲5.2%)、営業損失338百万円、中間純損失466百万円。ロイヤルティ収入1,228百万円(同+14.4%)は堅調だが、その他収入227百万円(同▲50.9%)がマイルストン未計上で低調。通期業績予想(事業収益3,980百万円)は据え置き。

セグメント別業績

当社は単一セグメントのため、収益区分別に記載。

収益区分金額前年同期比
ロイヤルティ1,228百万円+14.4%
その他(契約一時金・マイルストン・研究協力金等)227百万円▲50.9%
事業収益合計1,455百万円▲5.2%
  • tegoprazan韓国上半期売上(処方ベース): 約132億円(前年同期比 +15.4%)
  • tegoprazan韓国市場シェア(胃酸分泌抑制剤): 15%(第1位)
  • tegoprazan販売国数: 20カ国(事業活動57カ国)
  • 自己資本比率: 70.6%(前期末比 +5.5pt)
  • 現金及び現金同等物: 4,696百万円(前期末比 +44.8%)
  • 通期計画進捗率(事業収益): 36.6%

Q&A 一覧

  • Q: ロイヤルティ収入が前年同期比で増加している内訳について、特定の国のロイヤルティ収入が伸びているのか、新しくいくつかの国からのロイヤルティ収入が増加しているのか、増減の理由を教えてほしい
    A: 特定の国の売り上げが急に増えているかというと、内訳で見るとやはり韓国の割合が一番大きい。韓国のロイヤルティ収入が順調に伸長しているということはプラスの要因である。ただ市場が小さい国はどうしてもあるので、市場が大きい国の寄与は大きくなる。動物薬に関しても伸びは出ているので、全ての製品で伸びが出ているが、中でもtegoprazanの韓国、中国など大きな市場での貢献が一番大きい。
  • Q: ロイヤルティ収入の国別の割合は出されているか
    A: 提携先のHK inno.N社が個別の国の割合まで出していないので、回答は控える。
  • Q: 米国の消化性潰瘍剤市場では現状どのメーカー、どういった製品が主要なシェアを占めているか
    A: やはりPPIが主流である。臨床試験の比較対象薬としてランソプラゾールを使っている例をいくつか説明したが、ランソプラゾールは代表的なPPIの1つで、胃酸分泌抑制剤の市場において世界中で最も売られているものの1つである。
  • Q: ランソプラゾールは世代的には第何世代のものか
    A: 世代で言うといわば第2世代にあたるもので、非常に良い薬である。ただし飲んで数日効果が出るまでに時間がかかるといった問題は残っている。tegoprazanはそういった課題を克服して飲んですぐ効いて効果も強くて持続性が高いという第3世代のクラスのものである。米国の場合にはペイヤーの動きも見逃せないところがあり、保険適用になるかどうかもあるので、市場にどう浸透するかは注視が必要と思っている。P-CABクラスではPhathom Pharmaceuticals社が先行して米国市場に投入したものがあり、2025年に市場に出てきているが、若干伸び悩んでいることが見える。ただしtegoprazanも同じようになるかというと必ずしもそうではないのではないかというのが当社の見立てである。臨床試験の強い効果、他社品と差別化できる重症患者に対しての効果を示す世界で初めてのP-CABだということが効いてくることを期待している。
  • Q: 社長としてはその線でいけるだろうという認識か
    A: 個人としてはできるだけ多く米国におけるタケキャブのようなポジションを取ってくれることを期待しているが、胃酸分泌抑制剤の薬は国ごとに行政やペイヤーの対応も大きく異なるので、実際の売り上げが立ってみないと分からないというところがtegoprazanのグローバル化で見てきたところであり、慎重に見る。
  • Q: 承認取得見込みが来年1月で、2028年から業績貢献するイメージか
    A: 来年1月に承認取得されて、Sebela社・Braintree社がどのタイミングで販売を開始するかについて、できるだけ早く販売開始されてほしいと思うが、多少のタイムラグが出てくる。当社の業績への寄与に関しては、サブライセンス先のSebela社・Braintree社からHK inno.N社を介してさらに当社にロイヤルティが入ってくることになるので、計上関係のタイムラグもあり、実際の収益貢献が出てくるのは2028年からではないかというのが計画の前提である。
  • Q: tegoprazanの日本での開発状況についてどんな見通しか
    A: 現在のところ提携先のHK inno.N社が後期臨床試験の実施に向けた準備を進めている。HK inno.N社が細かな進捗やスケジュールについて公表していないため、回答は控える。
  • Q: 日本でP3も期待できるということでよいか
    A: はい。
  • Q: 三層構造という形で説明するようになったきっかけや、発信の仕方の工夫についての手応えを教えてほしい
    A: 1階、2階、3階のそれぞれ進捗が何かということが見えやすくするということが一番大事だと思い、今回はあえてこの形での説明の仕方をした。当社の分かりにくさに繋がっているという反省もあったので、それを一度整理しようということで考えたものである。ある程度手応えはある。時間軸と価値を分けて語ることができるようになったのは説明がしやすいと思うし、SNS等でもこの決算説明資料や三層構造という言葉を目にすることがあったので、投資家にとってもそれぞれの取り組みの意義や価値あるいはリスクを分けて考える上では有用な切り口になっているのかもしれない。まだ出したばかりでこれから評価を待つところはあるが、少しはわかりやすさに貢献できているのではないかと考えている。今後もできるだけラクオリア創薬の価値を理解していただきやすいようにブラッシュアップして続けていきたい。
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