ラクオリア創薬 2Q 決算速報

tegoprazanのロイヤルティ収入が前年比+14.4%と拡大継続、下期のマイルストン計上で通期黒字化を目指す構造

配信日2026年8月14日 19:32 JST

2Q決算を踏まえた評価点

ロイヤルティ収入が1,228百万円(前年比+14.4%)と二桁成長を維持し、tegoprazanの韓国上半期売上は1,200億ウォン(同+15.4%)と好調。加えてHKイノエン社からの第三者割当増資(約14億円)による財務基盤強化と、新規導出契約2件の締結がパイプライン価値の顕在化を後押ししている。

  • tegoprazan韓国売上が前年比+15.4%、消化性潰瘍治療薬市場シェア15%で首位を維持。2026年4月に月間外来処方売上で全医薬品中首位を獲得
  • 米国で第Ⅲ相試験(TRIUMpH-EE)結果が発表、重症EEの治癒率・維持率でPPIに対する統計的優越性を確認。FDA承認審査中で2027年1月の承認取得見込み
  • Lazarusグループへ5-HT₄作動薬・モチリン受容体作動薬の2件を導出、自社資本を投じず外部資金で開発を推進する新スキームを構築
  • 営業CFが+613百万円と前年同期(▲242百万円)から黒字転換、売上債権回収が寄与。現金同等物は4,696百万円(+44.8%)に拡大
  • 自己資本比率70.6%(前期末比+5.5pt)に改善、第三者割当増資と借入返済が奏功

2Q決算を踏まえた懸念点

事業収益1,455百万円(前年比▲5.2%)と減収。マイルストン・契約一時金等のその他収入が227百万円(同▲50.9%)に半減しており、通期計画達成は下期のイベント収益計上に依存する構造が明確化した。

  • 事業収益の通期計画進捗率36.6%にとどまり、2,525百万円(残高の63.4%)を下期に計上する必要。マイルストン・一時金のタイミング不確実性が高い
  • 営業損失▲338百万円(前年同期▲190百万円)と損失幅が+148百万円拡大。研究開発費861百万円(同+10.1%)、販管費592百万円(同+6.9%)と費用増加が継続
  • EBITDA▲112百万円(前年同期+46百万円)と赤字転落。のれん償却139百万円の負担が継続し、収益力を圧迫
  • 法人税等140百万円(前年同期63百万円)の計上により中間純損失が▲466百万円に拡大
  • 株価は年初来▲46.9%と市場指標に対して大幅に劣後、企業価値の市場評価への転換に課題

注目点/今後確認したいポイント

  • tegoprazanの米国FDA承認審査の進捗と承認取得時期(2027年1月見込み)。米国上市はロイヤルティ成長の転換点となり、HKイノエン社が掲げる2030年全世界売上3兆ウォン目標の達成可能性を左右する
  • 下期に見込むマイルストン・契約一時金の具体的な金額規模と計上確度。通期営業利益165百万円の予想達成には、下期に503百万円以上の営業利益(=中間期▲338百万円との差)の計上が必要であり、イベント収益の蓋然性が焦点
  • ファイメクスのTPD(標的タンパク質分解誘導剤)パイプラインの進捗と導出タイミング。IRAK-M分解誘導薬の臨床開発準備状況およびアステラス製薬との共同研究成果の具体化が中長期の成長を占う
経営陣への論点
  • 下期に計上を見込むマイルストン・契約一時金の件数規模と蓋然性の定量的説明
  • tegoprazan米国承認取得後のロイヤルティ水準に関する定性的ガイダンス
  • Lazarusグループ導出案件(Giathera社・Giovel社)の資金調達状況と開発着手時期
  • グレリン受容体作動薬の導出活動の進捗と想定タイムライン
  • ファイメクスIRAK-M分解誘導薬の臨床開発準備の具体的マイルストン
  • HKイノエン社との代謝・内分泌疾患領域共同研究の開発候補品創出見込み時期
  • のれん(約35.6億円)の減損リスク評価の前提条件
  • 研究開発費の通期着地見込みと投資効率に関する考え方
  • 3カ年事業収益見通し128億円の前提変更の有無
  • 株価下落への対応策(自己株式取得の検討状況、IR強化策)

主要業績ハイライト

勘定科目数値前年同期比
事業収益1,455百万円▲5.2%
└ ロイヤルティ収入1,228百万円+14.4%
└ その他収入227百万円▲50.9%
営業利益▲338百万円-
経常利益▲326百万円-
親会社株主に帰属する中間純利益▲466百万円-
EPS▲18.10円-
EBITDA▲112百万円-
包括利益▲497百万円-
事業費用合計1,794百万円+3.9%
└ 事業原価339百万円▲12.7%
└ 研究開発費861百万円+10.1%
└ 販売費及び一般管理費592百万円+6.9%

前年同期は営業損失▲190百万円、経常損失▲291百万円、中間純損失▲354百万円であり、損失幅はいずれも拡大。ロイヤルティ収入は順調に伸長した一方、マイルストン・契約一時金等の計上が下期に後ズレしたことが事業収益の減少要因。

事業セグメント別の業績

当社グループは「医薬品の研究開発」を単一セグメントとして開示しており、セグメント別の損益内訳は非開示。収益構造はロイヤルティ収入(上市品からの継続収入)とその他収入(マイルストン・契約一時金・研究協力金等のイベント収益)に二分される。ロイヤルティ収入はヒト用医薬品tegoprazan(K-CAB®)と、ペット用医薬品3製品(GALLIPRANT®、ENTYCE™、ELURA™)で構成され、前年比+14.4%と安定成長。

セグメント別業績表

セグメント名売上高前年同期比営業利益前年同期比利益率
医薬品の研究開発(全社)1,455百万円▲5.2%▲338百万円--
好調な事業
  • ロイヤルティ収入:1,228百万円(前年比+14.4%)。tegoprazanの韓国売上が前年比+15.4%と牽引。販売国が20カ国に拡大し、中国でのP-CAB製品トップ売上・韓国でのNSAIDs潰瘍予防適応追加(6適応症、同クラス最多)が成長に寄与
  • ペット用医薬品:GALLIPRANT®(犬の骨関節炎治療薬)はブロックバスター(年間売上100億円超)規模を維持。ENTYCE™・ELURA™も安定推移
不調な事業
  • その他収入(マイルストン・契約一時金等):227百万円(前年比▲50.9%)。通期計画の前提であるマイルストン収入・契約一時金の計上が上半期には至らず、下期への後ズレが全体の減収要因

業績予想比の進捗率

事業収益の通期計画進捗率は36.6%と低水準にとどまるが、会社側は「期初計画どおりの進捗」と説明。前期(2025年12月期)も上半期の事業収益進捗率は38.6%(1,535/3,979)と同様の傾向であり、マイルストン・契約一時金が下期に偏重する収益構造は例年どおり。通期営業利益165百万円の達成には下期に503百万円の営業利益が必要であり、イベント収益の計上タイミングが鍵を握る。

勘定科目数値 (中間期累積)通期計画進捗率
事業収益1,455百万円3,980百万円36.6%
営業利益▲338百万円165百万円-
経常利益▲326百万円86百万円-
純利益▲466百万円▲63百万円-
  • マイルストン・契約一時金等のイベント収益が下期(特に4Q)に集中する傾向。前期も通期のその他収入が1,737百万円と年間事業収益の約44%を占めた
  • ロイヤルティ収入は四半期ごとに安定的に計上される傾向

業績予想の変更有無

業績予想の修正なし。2026年2月13日公表の通期連結業績予想を据え置き。上半期未計上のマイルストン収入・契約一時金等を下期に計上する見通しとしている。

株主還元への言及

2026年12月期の配当予想は年間0.00円(無配)を据え置き。財務基盤強化に応じて株主配当金の実施を予定し、自己株式取得は機動的に検討する方針。

財務状況

第三者割当増資(約14億円)による資本金・資本剰余金の増加と借入金の返済により、自己資本比率は70.6%(前期末比+5.5pt)に改善。現金同等物は4,696百万円と前期末比+44.8%増加し、手元流動性は充実。

  • 主要数値
  • レバレッジ指標
勘定科目数値補足情報
現金及び現金同等物4,696百万円前期末比+44.8%
総資産11,006百万円前期末比+4.7%
└ 流動資産合計6,190百万円前期末比+8.9%
└ 固定資産合計4,816百万円前期末比▲0.3%
純資産7,830百万円前期末比+13.6%
のれん3,560百万円前期末比▲3.8%(償却139百万円)
有利子負債合計2,685百万円1年内返済予定512+長期借入1,882+リース債務290
└ 長期借入金(1年内返済含む)2,395百万円前期末比▲256百万円
└ リース債務290百万円前期末比+40百万円
自己資本7,775百万円前期末比+13.5%
EBITDA▲112百万円会社開示値

決算発表と同時に出たニュース

該当なし

足許四半期中の主要発表

  • 2026/07/30
    連結子会社ファイメクスのIRAK-M分解誘導剤(FIM-001)が米国で物質特許の査定を受領、知財基盤を強化 ファイメクス株式会社のIRAK-Mタンパク質分解誘導剤(複素環化合物)の米国における特許査定のお知らせ
  • 2026/07/27
    tegoprazanが韓国で「NSAIDs誘発性潰瘍の予防」の適応追加承認を取得、承認適応症6つで同クラス最多に 胃酸分泌抑制剤tegoprazanの韓国における新たな適応症追加に関するお知らせ
  • 2026/06/12
    Lazarusグループ傘下企業と5-HT₄作動薬・モチリン受容体作動薬の導出契約を締結、外部資金活用の新スキーム Lazarus Pharmaceuticals, LLCグループとの新規事業創出モデルによる導出契約締結のお知らせ
  • 2026/06/02
    理化学研究所と計算化学・AI創薬支援技術の共同研究契約を締結 理化学研究所との共同研究契約締結に関するお知らせ ― 計算化学と実測データを融合した創薬支援技術の開発 ―
  • 2026/05/20
    米Velovia Pharma社が動物薬ライセンスのオプション権を行使、当社はオプション行使料を受領 米Velovia Pharma, LLCによるオプション権行使に伴う一時金受領のお知らせ

過去1年間の大量保有報告/重要提案

  • HK inno.N Corporation: 10.60%→15.94%(2026/01/29) - 資本業務提携を目的とした政策投資。第三者割当増資で1,555,900株を取得
  • 柿沼佑一(共同保有者): 9.75%→9.17%(2026/01/29) - 長期保有を目的とした安定株主。HKイノエン社の取得に伴う共同保有者合計の変更(20.35%→25.11%)
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