マクアケ 通期 決算説明会速報

中計目標を1年前倒しで達成したマクアケ、実行者単位KPIへの転換とPDGサイクルでストック型成長を目指す

配信日2026年10月27日 23:02 JST

サマリー

2026年9月期は売上高5,944百万円(+29.9%)、営業利益881百万円(+97.2%)となり、いずれも創業来最高。現行中計で2027年9月期に掲げた売上高52億円、営業利益7億円を1年前倒しで達成した。経営陣は、今期の業績には超大型案件による上乗せが2桁億円前半含まれると説明し、そのまま自力の実力値とみなすのは楽観的との認識を示した。最重要KPIをプロジェクト単位から実行者単位へ見直し、PDGサイクルによるストック型収益の確立を新中計の至上命題に据える。

ポイント(決算の要点と成長アクション)

  • 経営戦略と市場認識
    • Plan(企画)、Debut(デビュー)、Growth(拡販)をつなぐPDGサイクルを、大手ECモールにない新しい流通構造と位置付け。
    • 1回のデビューで取引が終わる関係から、事業者の商品事業の成長に継続して貢献する会社への進化を志向。
    • 円安と原材料高は続くが、直接的な影響は軽微と総括。節約志向の一方で、自分の暮らしを良くする商品には支出するメリハリ消費が進行。
    • 広告配信代行はグロス計上のため粗利率を押し下げるが、率よりも売上総利益と営業利益の絶対額の成長を重視する方針。
  • 足元の事業進捗と要因
    • 4Q取扱高は四半期で過去2番目の水準。家電/ガジェットで有力案件を継続して獲得できるようになったことが主因との説明。
    • 3Qには9億円や6億円規模の超大型案件があった。4Qはその剥落後も大型案件で単価を下支えし、獲得の再現性が高まったと強調。
    • 4Qはテイクレートの回復と広告配信代行の伸長により、取扱高の前四半期比減少に対して売上高の減少幅を抑制。
    • 4Q営業利益は計画をやや上回って着地。賞与などのスポット人件費や、オフラインイベント、実験的なブランド広告に投資を振り向けた。
  • 戦略的な重要施策や変化点
    • 最重要KPIを、アクティブプロジェクト件数×単価から、実行者数×実行者当たりの取扱高へ移行。将来はPDG利用社数ベースのLTV評価を目指す。
    • 初配として期末配当14円(総額178百万円)を実施。DOE3%を基準とし、中期的にROE10%台中盤超を目指す方針。
    • 上限510,739株、600百万円の自己株式取得を決議。経営陣は、株価との乖離局面などで今後も機動的に実施する選択肢と説明。
    • 共同代表体制のもと、木内氏が12月17日の株主総会を経て社長に就任予定。中山氏はGrowth領域を中心としたPDGサイクルの完成にコミットする。

今後の見通しと戦略

  • 2027年9月期の会社予想は、取扱高23,000〜26,800百万円、売上高6,000〜7,000百万円、営業利益800〜1,000百万円のレンジ形式。
  • 経営陣は、超大型案件の上振れを除けば下限の取扱高230億円でも自力値として成長した水準との認識を示した。
  • レンジの上限は、注力ジャンルの大型案件獲得、低単価ジャンルの積み上げ、実行者の継続取引が順調に進んだ場合を想定。
  • 実行者数の拡大に向け、家電/ガジェットで培ったノウハウを他ジャンルへ横展開し、掲載準備の効率化で低単価案件の採算性を高める。
  • 実行者当たりの取扱高の拡大に向け、掲載前の販売計画から伴走し、終了後はMakuake STOREへつなぐ一気通貫型の支援を型化する。
  • 2027〜2029年9月期の新中計を年内に開示予定。業績計画、PDG展開とKPI、資本政策を含む企業価値向上方針を示す。

ポジティブ要因

  • 通期の取扱高は22,980百万円(+30.2%)で、取扱高、売上高、営業利益のいずれも期初計画を上回り2期連続の大幅増収増益。
  • 4Q広告配信代行売上は357百万円(前年同期比+58.0%、当レポート試算)で、実行者の成果向上と売上拡大を両立。
  • 4Q実行者当たり応援購入金額は402.4万円(前年同期比+25.4%、当レポート試算)に拡大し、取扱高成長をけん引。
  • XGIMI、HUAWEI、LG、キリン、京セラなど国内外の大手企業による新商品デビューの場としての活用が定着。
  • 体験型ポップアップのさわれるMakuakeは来場者24,792人。当初の数千人想定に対し計画比約500%となり、オフライン接点の拡大余地を確認。
  • 会員数は3,625,434人(+11.9%)と、サポーター基盤が拡大を継続。

懸念事項・リスク

  • 単価が2億円か10億円かで業績が大きく振れるプロジェクト依存の構造が残る。経営陣も業績予想の難しさを認めている。
  • 家電/ガジェットの大型案件は海外ブランドの比重が大きく、為替や国際情勢による出品動向の変動リスクがある。
  • PHP関連の脆弱性のような突発的なセキュリティ対応が、新機能開発や低単価ジャンル拡大の時期を後ろ倒しにする可能性。
  • 実行者リピート率は60.3%(▲2.2pt)、リピート応援購入率は71.7%(▲4.5pt)と、定着指標が低下。
  • 開発人件費を中心とする先行投資の継続により、2027年9月期の営業利益予想は下限で▲9.3%の減益レンジを含む。
  • 4Q売上総利益率は70.1%と、広告配信代行の構成比上昇により前四半期比で2.3pt低下(当レポート試算)。

業績ハイライト

2026年9月期は売上高5,944百万円(+29.9%)、営業利益881百万円(+97.2%)、当期純利益798百万円(+96.1%)となり、中計目標を1年前倒しで達成した。4Q単体は売上高1,552百万円(+26.4%)、営業利益37百万円(+38.2%)。販管費は1,050百万円(+19.5%)で、約80百万円のスポット人件費と先行投資を計上したため、前四半期比では減益となった。

セグメント別業績

セグメント名売上高前年同期比営業利益前年同期比
全社(通期)5,944百万円+29.9%881百万円+97.2%
全社(4Q単体)1,552百万円+26.4%37百万円+38.2%
うちMakuake及びその他付随サービス(4Q単体)1,195百万円+19.3%(当レポート試算)――
うち広告配信代行(4Q単体)357百万円+58.0%(当レポート試算)――
  • 4Q取扱高: 5,965百万円 (前年同期比 +27.8%)
  • 4Q月中アクティブプロジェクト件数: 1,044件 (前年同期比 ▲2.9%)
  • 4Q月次プロジェクト単価: 183万円 (前年同期比 +30.2%)
  • 4Q月次応援購入金額: 1,917百万円 (前年同期比 +26.5%)
  • 4Qテイクレート: 28.6% (前年同期29.0%)
  • 4Q実行者数: 1,427アカウント (前年同期比 +1.2%、当レポート試算)
  • 4Q掲載開始数: 1,384件 (前年同期比 ▲2.7%)
  • 4Qアクセスユニークユーザー数: 10,952,052人 (前年同期比 +9.2%)
  • 4Q応援購入件数: 296,075件 (前年同期比 ▲7.2%)

Q&A 一覧

  • Q

    DOE3%を基準にROEは10%台中盤以上を目指すとのことだが、今後は増益と自社株買いの両輪でROEを効率的に上げ、その結果1株当たり配当は当面の間ハイペースな右肩上がりになるという理解でよいか。

    A

    DOE3%を基準としているため、配当がそこまでハイペースで右肩上がりになるという形ではないと考えている。ただ、考え方としては非常に近い。還元によって資本効率を最適化するだけでなく、その分事業収益力を高めて増益していくことが基本線と考えている。自己株買いは株価に乖離があるタイミングなどになると思うが、今回初めて実施したことで、今後は適切なタイミングで実施することも選択肢に入っていく。

  • Q

    そのペースの一端は、年末に開示される中期経営計画で分かるのか。

    A

    一定のイメージがつくところは、中期経営計画でも示せると考えている。

  • Q

    前年は営業利益4億円の予想から先行投資を増やしながらも8億円になったことからすると、今回はレンジになっているが、下限8億円に対して上限10億円はまだ控えめな印象を受ける。前年までと違って前向きな業績予想だとしても、まだまだ大型プロジェクトの発生は保守的に見積もっているということか。

    A

    先ほど説明したとおり、構造としてはまだプロジェクト件数×プロジェクト単価という形である。そのプロジェクト単価が1億円なのか、2億円なのか、5億円なのか、はたまた10億円なのかという点がどうしても読み切れない。1件ならまだしも、こうした案件がいくつか出れば大きく増え、出なければそこまで増えないため、読みがまだ難しいことは正直に申し上げる。この構造自体は今後も続くが、PDGサイクルを完成させることで、その影響を薄めていきたい。実行者がより多く定着し、一つの商品をより長く販売したり、複数の商品をデビューで次々に使っていただいたりする構造になれば、今よりボラティリティは下がると考えている。そのシフトを次の中期でやり切ることが経営の至上命題であり、現時点ではそこへのギャップがまだある状態と認識いただきたい。

  • Q

    ポジティブな開示ができた中での社長交代はどういう意味を持つのか。交代予定のみが開示されているが、その目的や新社長の意気込みは早期に発信すべきではないか。引き続き共同代表制なので大きな出来事と考えていなかったのかもしれないが、そうしたことも含めて発信すべきだと思う。

    A

    共同代表制は2025年度から2年間続けてきたが、非常にうまくいったと自負している。その中で役割が重なる部分も出てきた。実はこの2年間、新社長となる木内が会社全体の執行の指揮を執り、業績もけん引してくれた。そこで、このタイミングで社長という役割とタイトルを木内に任せ、私はそちらに割く時間やリソースを少し減らす。代表取締役として代表権を持つため、経営の総合責任は引き続き負う。そのうえで私の責任の果たし方としては、PDGサイクルの図を完成させることに注力したい。Makuakeでは0次流通市場で一定のポジションを作れた。次はこの創業者魂を、よりストレッチした市場、つまり流通構造全体に向け、PDGサイクルを完成させる。特にGrowthの一般販売部分をユニークな流通として立ち上げることは、当社にとって中長期の至上命題であり、そこへのコミットを高めたい。こうした注力どころのメリハリと役割分担のために、今回の社長交代を決めた。新社長はまだ就任しておらず、12月17日の株主総会で正式に選任されて就任する。そのため、あえてこのタイミングでは大きな発信をしていない。少し不安や弱含みを感じさせてしまったことは申し訳ないが、発信のタイミングはもう少し後と考え、露出を抑えている。12月以降を楽しみにしていただきたい。

  • Q

    低単価ジャンルの新規獲得はなぜ必要なのか。

    A

    低単価ジャンルという表現は社内でも迷っているが、例えば家電と比べ、ファッション小物やフードなど、いきなり1億円や10億円売れる確率が低いジャンルを指す。ユーザーが楽しんで定着し、また再訪問したいと思うには、多様でバラエティに富んだジャンルの商品が必要だと考えている。私自身も、フードやお取り寄せのスイーツ、お酒などを個人的に一番リピートして買っており、こうした商品はユーザーに定着して楽しんでいただくうえで非常に重要である。また当社には赤字が続いた時期があり、そこからターンアラウンドするために選択と集中が必要となり、まず高単価ジャンルへ行き着いた経緯がある。しかしユーザーの定着と再訪問を考えると、低単価ジャンルも必要である。当社の本懐は、一部のジャンルだけでなく、より広いジャンルで新しい何かが羽ばたき、挑戦が報われる場をつくることであり、それが設立の趣旨でもある。そこに取り組めるタイミングになってきたと考えている。

  • Q

    低単価ジャンルの新規獲得はどのように進めていくのか。

    A

    実行者がより掲載しやすい状況を作る必要がある。また当社のオペレーションでもAIなどを活用し、サポートを効率的かつ質高く行えるようにする。この二つがセットになれば、一つひとつの実行者に向き合う時間や質が上がっていく。そうした形で低単価ジャンルを増やし、Makuakeを多様性を帯びた豊かで面白い販売の場、売り場にしていきたい。

  • Q

    低単価ジャンルが増えることでデメリットはあるか。

    A

    ビジネスである以上、収益性が合うかどうかは重要であり、ご指摘の意図もそこにあると思う。その点に対応するため、実行者が掲載しやすい環境づくりと、AI活用によるサポートの効率化と質の向上をセットで進めていく。

  • Q

    3Qの超超大型案件が剥落したとあるが、4Qのプロジェクト単価が3Q比で2.8%しか下がっていないのはなぜか。

    A

    超超大型の案件は剥落したが、その後もそれなりに大きな案件があった。先ほど述べたとおり、こうした案件を生み出す力に非常に再現性がついてきている。3Qには9億円や6億円売れた案件があったが、4Qは大型案件をしっかり伸ばすことができた。超超大型まではいかなかったものの、全体が底上げされた状態を作れた。大型案件の獲得の再現力と認識いただければよい。

  • Q

    2027年9月期の取扱高予想の下限は230億円だが、超超大型案件を除くとどの程度の成長を想定しているのか。

    A

    2026年9月期の超超大型案件の具体的な規模は控えるが、2桁億円の前半程度はあったと見込んでいる。画面を見て数えれば分かると思うが、5億円、6億円、4億円といった案件が次々と出ていた。先ほど申し上げたとおり、そこまでの規模を予想に織り込めるかといえば難しく、見込めるのは1億円、2億円程度までである。それを差し引くと、超超大型案件による上振れ部分は2桁億円の前半程度だったと振り返っている。したがって、下限の230億円も、自力値としては実は相当成長した数字だと当社は見ている。

免責事項

株式会社エンヴァリス(以下「エンヴァリス」といいます。)は、国内外の機関投資家、国内の個人投資家に対して、本邦の上場会社への投資を検討する際に必要な情報を提供することで、グローバルならびに本邦資本市場の発展に貢献することを目的として、専属リサーチ・カバレッジ業務を行っております。

  • 目的と投資判断に関する免責

    本レポートは、情報提供のみを目的として作成されたものであり、有価証券その他の金融商品の取得、売却、または保有を勧誘するものではありません。また、特定の投資、財務、または税務に関する助言を構成するものでもありません。本レポートに含まれるいかなる意見、判断、または推奨も、投資活動の誘導を意図するものではなく、投資決定は、投資家ご自身の責任と判断に基づき行われるべきものであり、エンヴァリスおよび対象企業は当該投資決定にいかなる関与もしない点、ご留意ください。

  • 情報源、正確性、および保証の否認

    本レポートは、対象企業からの正式な依頼に基づき、当該企業への取材や提供された情報を利用して作成されています。本レポートの利用にあたっては、以下の点をご承諾いただいたものとみなします。 1. 情報源 エンヴァリスは、公に入手可能な情報、対象企業より開示された情報および取材等で提供された情報が真実かつ信頼できるものである前提で本レポートを作成しています。エンヴァリスにおいて、これらの情報の真実性に関する独自の事実確認や検証は行っておりません。 2. 正確性 本レポートに記載されている提供情報の解釈、分析、およびそれに基づく仮説や結論は、前項の情報を基に、エンヴァリスが独自の視点と分析手法を用いて独立して導き出したものです。 3. 保証の否認 対象企業により開示された情報に誤りや遺漏があった場合、それに起因する本レポートの内容の誤謬について、エンヴァリスおよび対象企業は一切の責を負いかねます。本レポートの正確性、安全性、妥当性、完全性等ならびに対象企業の過去のパフォーマンスや将来のパフォーマンスについて、明示的にも黙示的にもエンヴァリスおよび対象企業はいかなる保証もいたしません。

  • 責任の限定

    本レポートまたは本レポートから得られた情報を利用したことにより発生したいかなる費用、損害、または損失(直接的、間接的、付随的、結果的、または懲罰的損害を含む)についても、エンヴァリスおよび対象企業は一切の責任を負いません。本レポートの利用者は、その利用が自己の責任において行われることを承諾するものとします。

  • 利益相反の可能性

    エンヴァリスは、対象企業と、現在または将来において、取引関係を有する可能性があります。したがって、本レポートの客観性に影響を及ぼす可能性のある利益相反が存在する可能性があることを、投資家の皆様はご認識ください。

  • 報告内容の変更・更新義務の否認

    本レポートの内容および意見ならびに本レポートの作成の前提とした情報は、作成日時点のものであり、今後、予告なく変更される場合があります。エンヴァリスは、本レポートの内容を最新のものに更新する義務を負わず、投資家の皆様は情報の最新性についてご自身でご確認いただく必要がある点、ご留意ください。

  • 言語の優先順位

    本レポートは、日本語、英語および中国語で作成されていますが、各言語版の内容に相違または解釈上の差異が生じた場合には、日本語版を正本として取り扱い、日本語版の内容が優先されるものとします。

  • 著作権

    本レポートに関する一切の権利(著作権を含む)はエンヴァリスに帰属します。エンヴァリスの事前の書面による許可なく、本レポートの全部または一部を複製、再配布、またはその他の方法で利用することを禁じます。

  • 他の投資商品への利用

    本レポートならびにエンヴァリスおよび対象企業の商標および商号は、エンヴァリスが書面により事前に承認した場合を除き、いかなる投資商品(価格、リターン、パフォーマンスが、本レポートに基づいている、または連動している投資商品、例えば金融派生商品、仕組商品、投資信託、投資資産等)の情報配信・取引・販売促進・広告宣伝に関連して使用することを禁じます。