通期決算を踏まえた評価点
家電/ガジェットへの集中で大型案件が相次ぎ、プロジェクト単価が上がったことで取扱高22,980百万円(前年比+30.2%)を確保。販管費の伸びを同+14.2%に抑え、営業利益881百万円(同+97.2%)と利益の伸びが売上を上回った。キュレーターによる単価向上支援が仕組みとして根づき、利益を生む力が一段上がった点を評価する。
- 4Qの月次プロジェクト単価は183万円(+30.2%)。数億円規模の大型案件が多く生まれ、件数減を単価上昇で補って余りある成長
- 実行者当たり応援購入金額(累計)は674.3万円(同+31.8%、当レポート試算)。実行者数がほぼ横ばいでも1社当たりの取扱拡大で成長できることを確認
- 広告配信代行売上は通期1,215百万円(同+66.7%、当レポート試算)。成長を狙う実行者の利用拡大が上乗せ要因に
- 営業利益率14.8%(前期9.8%)に改善。売上総利益率の低下を販管費の抑制で吸収し、売上規模拡大の効果が利益に表れた
- 中計のFY2027/9目標(売上高52億円/営業利益7億円)を1年前倒しで達成。営業CF1,299百万円を原資に初配当と自社株買いを決定
通期決算を踏まえた懸念点
成長の中心は単価で、件数・リピート指標は前年を下回った。4Qの営業利益は37百万円(営業利益率2.4%)と、先行投資と賞与で利益が細った。収益は大型案件に左右されるフロー型で、FY2027/9予想のレンジ下限は営業減益となる。
- 4Qの月中アクティブプロジェクト件数は1,044件(▲2.9%)、掲載開始数は1,384件(▲2.7%)。会社は低単価ジャンルの新規獲得とリピート定着を課題に挙げる
- 実行者リピート率60.3%(▲2.2pt)、リピート応援購入率71.7%(▲4.5pt)と、実行者・サポーター双方でリピート指標が低下
- 売上総利益率72.2%(前期75.0%)に低下。グロス計上の広告配信代行の構成比上昇が要因で、利益率の下押しが続く可能性
- 4Qの販管費1,050百万円(+19.5%)。スポット人件費約80百万円と先行投資が重なり、四半期の利益振れ幅が大きい
- 当期純利益には法人税等調整額▲58百万円が寄与。FY2027/9の純利益予想は▲16.1%〜+5.2%と営業利益予想より弱い
注目点/今後確認したいポイント
- 年内に開示予定の新中計(FY2027/9〜FY2029/9)。取扱高・利益計画に加え、ROE10%台中盤超を掲げる資本政策の具体性が焦点。
- KPIを「実行者数×実行者当たりの取扱高」へ切り替え、ストック型への移行を進める方針。実行者数(累計3,280、前年比▲1.8%)の反転と低単価ジャンルの件数回復を確認したい。
- 先行投資(開発人件費、セキュリティ、オフライン体験)の執行ペースと、営業利益レンジ800〜1,000百万円のどこに着地するかの見極め。
- 新中計での取扱高成長率・営業利益率目標と、3ヵ年の先行投資総額の水準
- FY2027/9予想の下限が前提とする「機動的な追加先行投資」の規模と回収KPI
- セキュリティ対応を優先することによる新機能開発の遅れの程度と、低単価ジャンルの件数回復時期
- 広告配信代行の拡大に伴う売上総利益率の下限想定と、営業利益への貢献度
- DOE3%基準の配当、機動的な自社株買い、M&A投資の間での資金配分の優先順位
主要業績ハイライト
| 勘定科目 | 数値 | 前年同期比 |
|---|---|---|
| 取扱高 | 22,980百万円 | +30.2% |
| 売上高 | 5,944百万円 | +29.9% |
| └ Makuake及びその他付随サービス売上 | 4,727百万円 | +22.9%(当レポート試算) |
| └ 広告配信代行売上 | 1,215百万円 | +66.7%(当レポート試算) |
| 売上総利益 | 4,294百万円 | +25.0% |
| 売上総利益率 | 72.2% | 前期75.0% |
| 販管費 | 3,412百万円 | +14.2% |
| 営業利益 | 881百万円 | +97.2% |
| 営業利益率 | 14.8% | 前期9.8% |
| 経常利益 | 888百万円 | +86.9% |
| 特別損失(減損損失) | 50百万円 | 前期18百万円 |
| 当期純利益 | 798百万円 | +96.1% |
| EPS | 62.63円 | +96.0% |
| 4Q売上高 | 1,552百万円 | +26.4% |
| 4Q営業利益 | 37百万円 | +38.2% |
| 月次プロジェクト単価(4Q) | 183万円 | +30.2% |
| 月中アクティブプロジェクト件数(4Q) | 1,044件 | ▲2.9% |
| 会員数 | 3,625,434人 | +11.9% |
売上内訳は、決算説明資料に開示された四半期ごとの売上を合算した当レポート試算。経常利益の伸び(+86.9%)が営業利益を下回ったのは、前期の受取補填金23百万円がなくなったため。純利益は法人税等合計が38百万円にとどまり、経常利益に近い水準で着地した。
事業セグメント別の業績
応援購入サービス事業の単一セグメント。家電/ガジェットの大型案件による単価上昇と、広告配信代行の拡大が増収をけん引した。
セグメント別業績表
| セグメント名 | 売上高 | 前年同期比 | 営業利益 | 前年同期比 | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 応援購入サービス事業 | 5,944百万円 | +29.9% | 881百万円 | +97.2% | 14.8% |
- 家電/ガジェットジャンル:月次プロジェクト単価+30.2%。4Qも応援購入総額5億円超の4Kプロジェクターなど大型案件が続き、3Qの超大型案件がなくなっても単価は高水準を維持
- 大企業・海外ブランドの活用:4QはBLUETTI JAPAN、XGIMIが各2億円超。海外ブランドの新商品デビューや国内大手の新カテゴリ創出の場として定着
- 広告配信代行:4Q売上357百万円(+58.0%、当レポート試算)。テイクレートは28.6%で、前四半期から回復
- 生活者接点:会員数+11.9%、アクセスUU+9.2%。体験型ポップアップ「さわれるMakuake」の来場者は24,792人で、計画の約500%
- 低単価ジャンル:4Qの掲載開始数▲2.7%、リピート実行者による掲載開始数▲6.2%。注力ジャンルへの集中に伴い、低単価ジャンルの新規獲得とリピート定着が遅れた
- サポーターの購入動向:4Qの応援購入件数は▲7.2%。単価上昇で金額は伸びたが、購入件数とリピート応援購入率(▲4.5pt)は低下
- 4Q取扱高:5,965百万円で前四半期比▲4.0%。3Qにあった超大型案件の反動
業績予想比の進捗率
取扱高・売上高・営業利益はいずれも期初計画を上回って着地(会社開示)。現中計のFY2027/9目標に対し、売上高114.3%、営業利益125.9%と1年前倒しで超過達成した(当レポート試算)。
| 勘定科目 | 数値 (通期実績) | 中計目標(FY2027/9) | 達成率 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 5,944百万円 | 5,200百万円 | 114.3% |
| 営業利益 | 881百万円 | 700百万円 | 125.9% |
| 純利益 | 798百万円 | - | - |
- 大型プロジェクトの有無で四半期業績が変動しやすいフロー型の収益構造(会社説明)
- 前期・当期とも4Qは賞与と先行投資で販管費が四半期で最大となり、営業利益率は2%台
業績予想の変更有無
当期の通期予想は2026/9/1に修正済みで、今回はFY2027/9予想を新たにレンジ形式で開示した。売上高6,000〜7,000百万円(+0.9%〜+17.7%)、営業利益800〜1,000百万円(▲9.3%〜+13.4%)、純利益670〜840百万円(▲16.1%〜+5.2%)。レンジの中央値でみると、営業利益900百万円(+2.0%、当レポート試算)と先行投資を続けながらの横ばい圏の計画。上限は注力ジャンルの成長継続と計画内の投資執行、下限は投資の追加執行を前提とする。
株主還元への言及
- 初配当として期末14円を実施(配当総額178百万円、配当性向22.4%、DOE3.1%)。FY2027/9も年14円を予想
- DOE3%を基準に安定還元を目指し、利益成長に応じて還元額を増やす方針。中期的にROE10%台中盤超を目指す
- 自己株取得:上限510,739株(発行済株式の4%)、上限600百万円、取得期間2026/11/9〜2027/3/31、市場買付。毎期継続する前提ではない
財務状況
無借金で自己資本比率70.3%を維持。FCFの黒字定着で現預金が積み上がり、成長投資と株主還元を両立できる財務余力がある。
- 主要数値
- レバレッジ指標
| 勘定科目 | 数値 | 補足情報 |
|---|---|---|
| 現金及び預金 | 5,605百万円 | 前期比+20.4% |
| 現金及び現金同等物 | 7,228百万円 | 前期比+21.1%、プロジェクト預り用預金1,622百万円を含む |
| 預り金 | 1,634百万円 | 前期比+24.7% |
| 総資産 | 8,793百万円 | 前期比+18.0% |
| 自己資本 | 6,180百万円 | 前期比+14.9% |
| 有利子負債 | なし | 無借金 |
| 無形固定資産 | 521百万円 | 前期比▲28.5% |
| 営業CF | 1,299百万円 | 前期985百万円 |
| FCF | 1,254百万円 | 営業CF+投資CF、当レポート試算 |
| EBITDA | 1,086百万円 | 営業利益+減価償却費204百万円、当レポート試算 |
| 指標 | 数値 | 補足 |
|---|---|---|
| Net Debt/EBITDA | ▲5.2倍 | ネットキャッシュ。現金及び預金ベース、前期▲7.4倍、当レポート試算 |
| Debt/Equity | 0.00倍 | 無借金 |
| インタレストカバレッジレシオ | 11,307倍 | 支払利息78千円、当レポート試算 |
| 自己資本比率 | 70.3% | 前期72.2%、会社開示 |
決算発表と同時に出た適時開示
足許四半期中の主要発表
過去1年間の大量保有報告/重要提案
該当なし
株式会社エンヴァリス(以下「エンヴァリス」といいます。)は、国内外の機関投資家、国内の個人投資家に対して、本邦の上場会社への投資を検討する際に必要な情報を提供することで、グローバルならびに本邦資本市場の発展に貢献することを目的として、専属リサーチ・カバレッジ業務を行っております。
- 目的と投資判断に関する免責
本レポートは、情報提供のみを目的として作成されたものであり、有価証券その他の金融商品の取得、売却、または保有を勧誘するものではありません。また、特定の投資、財務、または税務に関する助言を構成するものでもありません。本レポートに含まれるいかなる意見、判断、または推奨も、投資活動の誘導を意図するものではなく、投資決定は、投資家ご自身の責任と判断に基づき行われるべきものであり、エンヴァリスおよび対象企業は当該投資決定にいかなる関与もしない点、ご留意ください。
- 情報源、正確性、および保証の否認
本レポートは、対象企業からの正式な依頼に基づき、当該企業への取材や提供された情報を利用して作成されています。本レポートの利用にあたっては、以下の点をご承諾いただいたものとみなします。 1. 情報源 エンヴァリスは、公に入手可能な情報、対象企業より開示された情報および取材等で提供された情報が真実かつ信頼できるものである前提で本レポートを作成しています。エンヴァリスにおいて、これらの情報の真実性に関する独自の事実確認や検証は行っておりません。 2. 正確性 本レポートに記載されている提供情報の解釈、分析、およびそれに基づく仮説や結論は、前項の情報を基に、エンヴァリスが独自の視点と分析手法を用いて独立して導き出したものです。 3. 保証の否認 対象企業により開示された情報に誤りや遺漏があった場合、それに起因する本レポートの内容の誤謬について、エンヴァリスおよび対象企業は一切の責を負いかねます。本レポートの正確性、安全性、妥当性、完全性等ならびに対象企業の過去のパフォーマンスや将来のパフォーマンスについて、明示的にも黙示的にもエンヴァリスおよび対象企業はいかなる保証もいたしません。
- 責任の限定
本レポートまたは本レポートから得られた情報を利用したことにより発生したいかなる費用、損害、または損失(直接的、間接的、付随的、結果的、または懲罰的損害を含む)についても、エンヴァリスおよび対象企業は一切の責任を負いません。本レポートの利用者は、その利用が自己の責任において行われることを承諾するものとします。
- 利益相反の可能性
エンヴァリスは、対象企業と、現在または将来において、取引関係を有する可能性があります。したがって、本レポートの客観性に影響を及ぼす可能性のある利益相反が存在する可能性があることを、投資家の皆様はご認識ください。
- 報告内容の変更・更新義務の否認
本レポートの内容および意見ならびに本レポートの作成の前提とした情報は、作成日時点のものであり、今後、予告なく変更される場合があります。エンヴァリスは、本レポートの内容を最新のものに更新する義務を負わず、投資家の皆様は情報の最新性についてご自身でご確認いただく必要がある点、ご留意ください。
- 言語の優先順位
本レポートは、日本語、英語および中国語で作成されていますが、各言語版の内容に相違または解釈上の差異が生じた場合には、日本語版を正本として取り扱い、日本語版の内容が優先されるものとします。
- 著作権
本レポートに関する一切の権利(著作権を含む)はエンヴァリスに帰属します。エンヴァリスの事前の書面による許可なく、本レポートの全部または一部を複製、再配布、またはその他の方法で利用することを禁じます。
- 他の投資商品への利用
本レポートならびにエンヴァリスおよび対象企業の商標および商号は、エンヴァリスが書面により事前に承認した場合を除き、いかなる投資商品(価格、リターン、パフォーマンスが、本レポートに基づいている、または連動している投資商品、例えば金融派生商品、仕組商品、投資信託、投資資産等)の情報配信・取引・販売促進・広告宣伝に関連して使用することを禁じます。

