サマリー
2026年12月期2Q累計は売上高376百万円(+30.7%)、疾患ソリューション事業が244百万円(+81.2%)と牽引。説明会では、マイナポータル接続や検査値データ取込などここ2〜3年続けたPHRプラットフォームへの大規模投資が一巡し、商品化フェーズに移行したとの認識が示された。営業損失▲256百万円は人員採用・教育を中心とする組織拡張コストによるもので、効果発現には半年から1年のリードタイムを見込む。
ポイント(決算の要点と成長アクション)
- 経営戦略と市場認識
- 収益源はB2B(製薬・保険会社等)、B2M(医療機関)、B2B2C(自治体・健保)の3本。現状マジョリティはB2B。
- 患者本人からは課金しない方針。日本の環境で患者課金は馴染まないとの戦略判断。
- PHRサービス事業協会加盟約130社の多くは健康・フィットネス領域。Welbyは治療領域に特化し、近年ハイリスク未通院層(予防)へ拡張。
- 医療DXの追い風は診療報酬より医療現場の人手不足。保険点数は2年周期、補助金は実質再来年の反映で、他業界比2倍強のリードタイムとの認識。
- 足元の事業進捗と要因
- PHRプラットフォームの大規模投資が一巡。マイナポータル連携・検査値データ取込等が商品化段階に到達。
- 営業損失拡大の主因は人員採用・教育を含む組織拡張コストで、一過性要素も含む。
- 売上総利益率68%を維持。自治体・保険者向けはソリューション提供より利益率が低く、ミックスで振れる構造。
- ストック売上231百万円(61%)、フロー売上145百万円(39%)。フロー増は翌期以降のストック化の先行指標。
- 戦略的な重要施策や変化点
- 薬剤単位のPSP個別開発から疾患領域単位プラットフォームへ転換。同一がん種で複数アプリを統合し開発・保守コストも削減。
- これまでに44疾患でPHRを提供。マイカルテ中枢神経疾患・希少疾患を来年、自己免疫疾患を翌年に投入予定。
- 患者向け医療教育プラットフォームを今期開始。製薬企業と連携して患者への疾患情報、医薬品の効果効能や副作用などの情報提供を効率化する。
- ウィーメックスとの保険者向け協業で健診代行にみなし健診を組み込み、健診DXの第一弾を開始(6月発表)。
今後の見通しと戦略
- • 通期予想は売上高1,466百万円、営業損失▲30百万円。上期売上比率は例年2〜4割で下期偏重、業績予想に対し通期予想は変更なしとの説明。
- 黒字化は①疾患領域単位のPHRプラットフォーム(B2B)と②保険者向けPHR活用・重症化予防(B2B2C)の2事業で達成する方針。
- B2Bの短期的な収益弾力性は製薬企業の使用薬剤数に連動。過去の黒字期は薬剤利用数が多い時期であり、薬剤数の開示充実を検討。
- 自治体向けは市区町村・二次医療圏単位で自治体・医師会・医療機関を組み合わせるドミナント展開。集積データの販売事業へ接続。
- 人員増強・プロモーションの効果発現は半年から1年、大型自治体案件はさらに長期との前提を明示。
- 純資産・現預金は増強に向けた検討を継続。株価向上施策により既発の新株予約権・新株予約権付社債の行使を促進。
ポジティブ要因
- 疾患ソリューション事業が244百万円(+81.2%)と急伸し、プラットフォーム型ソリューションが成長ドライバーとして機能。
- ストック売上231百万円(+11%)と2024年2Q比で継続増加、フロー売上145百万円の増加が翌期ストックの積み上げに寄与。
- マイカルテ契約医療機関7,270軒(内科系の11.3%)、登録かかりつけ医療機関数は約3.4万施設に到達。
- オンコロジーは契約68軒(がん診療連携拠点病院等464軒の14.7%)。米国主導の抗がん剤副作用マネジメントDXの潮流が日本にも波及。
- 44疾患のアプリが単一IDと共通DBで連結。機器メーカー・検査会社との網羅的なデータ連携が競争優位の源泉。
- 攻めの予防医療を掲げる政策環境下、メタボリックドミノの重症化予防と医療費適正化が財源投入の対象に。
懸念事項・リスク
- 営業損失▲256百万円と前年同期▲249百万円から拡大。組織拡張コストの回収時期は遅行。
- マイカルテ事業は132百万円(▲13.7%)と減収。プラットフォーム型への収益シフト過程での動き。
- 現預金435百万円、純資産108百万円と財務余力は限定的。エクイティ調達の進捗が株価形成に依存。
- 営業CF▲178百万円、投資CF▲87百万円とキャッシュアウトが継続。
- 外資系製薬企業の決算集中により4Q偏重の季節性が強く、下期の受注消化が通期達成の鍵。
- 医療機関の電子カルテのWeb化が進まず、紙手帳・紙カルテが依然過半という現場実態が普及速度を制約。
業績ハイライト
2026年12月期2Q累計は売上高376百万円(+30.7%)、売上総利益255百万円(+27.8%、利益率68%)。営業損失▲256百万円、経常損失▲257百万円、親会社株主に帰属する当期純損失▲223百万円。プラットフォーム投資金額は98百万円(+19.5%)で、成長投資を継続しつつ売上・売上総利益の伸長トレンドを維持。
セグメント別業績
| セグメント名 | 売上高 | 前年同期比 | 営業利益 | 前年同期比 |
|---|---|---|---|---|
| 疾患ソリューション事業 | 244百万円 | +81.2% | ― | ― |
| マイカルテ事業 | 132百万円 | ▲13.7% | ― | ― |
| 合計 | 376百万円 | +30.7% | ▲256百万円 | ― |
- マイカルテ契約医療機関数(26年6月末): 7,270軒(内科系医療機関の11.3%)
- アプリDL数: 150万DL(WelbyとMeDaCa合計では152万超)
- 登録かかりつけ医療機関数: 約3.4万施設
- 登録かかりつけ医療機関数比率: 循環器内科61.5%/糖尿病内科74.0%/内科57.0%
- オンコロジー契約医療機関数(26年6月末): 68軒(対象464軒の14.7%、26年目標100軒)
- ストック売上: 231百万円(前年同期比 +11%)
- フロー売上: 145百万円
- 売上総利益率: 68%(前年同期69.7%)
Q&A 一覧
- Q: 成長戦略及びKPIの開示について今後どう変えていくのか。A: 大きな戦略は変えていない。現状の売上は決して大きな規模ではないが、PHR事業自体のネイチャーとして、業界自体がまだ立ち上がりPhaseである。業界としてまだ各社業容が小さいPhaseにあるが、当社の場合の成長シナリオは以下2点となる。1つ目はB2Bの製薬企業とのビジネスで、医薬品と連携した形で行うもので、これは上場来同じモデルでやらせていただいている。44疾患をやっていて多いということよりは、それをまとめて行うことでよりブーストをかけようというところでやっているので、数が増えているということだと思う。短期的な黒字化は、製薬企業の使用薬剤数が増えるのが一番即効性高く、モデルとしても最も固まっている。上場来、黒字になったり赤字になったりアップダウンがあるが、黒字になっている時の特徴はB2Bビジネスの医薬品の利用数が多い時である。これが一時的なものにならないように、薬剤数を増やしていくということを疾患単位で行っている。今後、薬剤数が何件増えて今何件なのかといった情報について、可能な限りお見せできるようにしていきたい。一方で1つ目のビジネスモデルの限界は、医薬品の数と製薬企業の数が増えないという点であり、いずれプラトーになる。その意味で市場性が大きい、TAMが大きいのが2番目の保険者向けビジネスである。日本の医療費が使われている大部分が生活習慣病もしくはがんであり、そこが医療費削減の中でデジタルに投資されるのであれば、当社としてはここを取りに行きたい。この2つの成長ドライバーが、短期、3年から5年においては事業の成長を非常に高めるものとなる。今後、薬剤数と実際の数、あるいは収益構造等については示していきたい。中長期のポートフォリオ戦略の中で規模感の大きさが示されている通り、黒字化については製薬向けのB2B及び保険者向けビジネスで果たしていく。今期も黒字化していないのかという点はいろいろなご意見があると思うが、期初の業績予想では赤字の業績予想としており、先行投資も含めて黒字化を追わない環境とご理解いただきたい。裏付けについてわかりにくいのであれば今後IRで強化していきたい。
- Q: 環境の追い風が吹いても、事業の展開のスピードが速くならないのが気になる。見解を教えてほしい。A: まず当社に限らずPHR、もしくはオンライン診療も含めて、医療DXが期待されたほど伸びていないのはなぜかという点があり、そのトラップに当社も入らないようにしないといけないと考えている。やはり株主を含めた皆様が期待されるほど短期では難しいという期待値ギャップがあると思っている。当社も今年黒字化するとは言わなかったが、当然黒字化した方が良いと思う。ブレークイーブンになるには患者数の積み上げと時間がかかる。追い風になるのは保険点数がつくこと、補助金が下りることだが、保険点数がつくとしても2年周期であり、それが実現されたその翌年で、基本3、4年かかって追い風が実際の臨床現場に出てくる。補助金も、翌年の補助金であっても前年の6月ぐらいまでに動いているのが基本で、補助金が出るのは再来年になる。他の事業はもっと早くできるだろうというお叱りも多いと思うが、私も医療以外のビジネスをやっていた経験があり、実感として2倍強のリードタイムがかかると思っている。その中でも成長される企業がいるのも事実なので、当社としてはその時間を自分たちで短縮していくということだと思う。追い風については政策的なところもあるが、むしろ医療現場で医師がどんどん足りなくなり、患者も増えて、デジタルでないと回らなくなってきたことが大きい。診療報酬は実はそれほど本質的な変化になっていないが、人手不足というところが結構大きいと考えている。ここはかなり進んでいくと思うが、環境の変化で追い風だと言って来年にいきなり爆増するわけではないというところが医療の難しさだと思っている。3年くらいの周期でいくと効果が出てくるので、そこを実現するステップだと考えているが、それは遅いというお叱りもあるかと思う。
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