通期決算を踏まえた評価点
売上高1,870百万円(前年比+20.3%)、営業利益101百万円(同2.1倍)と2/12開示の修正計画を売上高で+2.2%、営業利益で+69.3%上回って着地。4Qにスポット型売上高が当初想定を超えて積み上がり、修正計画比+41百万円の上振れを実現した。複数の大手小売向けリテールDXソリューションの立ち上がりがストック・スポット両面で増収を牽引し、ストック型売上高のストック比率81.4%を維持しながらの高成長となった。
- 売上総利益1,048百万円(前年比+17.2%)。売上総利益率は56.1%(同▲1.5pt)と若干低下したが、営業利益率5.4%(同+2.3pt)へ改善
- イーグルアイ導入件数180件(前年比+13.2%)。伊藤忠商事・アルフレッサ ヘルスケア・あらたの3社との卸商社パートナー網が完成し、協業契約の積み上げが本格化
- 営業CF 189百万円(前年37百万円)と資金創出力が回復。FCF 114百万円の黒字転換を達成し、現預金は971百万円(前期比+13.0%)に増加
- リテールメディア領域でSMN・MBKデジタル・Hakuhodo DY ONEへの広告用購買データ連携が相次ぎ、収益化の布石が整備
- ISMS国際規格認証を取得し、大手顧客との取引拡大に不可欠なセキュリティ基盤を強化
通期決算を踏まえた懸念点
来期(27/3期)は売上高2,200百万円(前年比+17.6%)と増収計画ながら、営業利益80百万円(同▲21.3%)・売上総利益率51.0%(同▲5.1pt)と減益・利益率低下を見込む。協業契約の拡大に伴うミックス悪化、クラウドコスト値上げ・円安影響、戦略投資費用の先行計上が重なるため、トップライン成長と収益性のバランスが試される局面に入る。
- リテールメディアその他のストック型売上高237百万円(前年比▲13.5%)と減収。新規データ連携案件の収益化スピードが課題
- システム関連費377百万円(前年比+54.5%)とコスト増が顕著。大型案件立ち上げに連動する追加費用と円安影響が重畳し、売上原価率は43.9%(同+1.5pt)に上昇
- 売掛金261百万円(前期比+33.4%)と売上高増以上に膨張。4Qのスポット型売上集中に伴う季節要因だが、回収サイクルの確認が必要
- 繰越利益剰余金は▲419百万円と依然マイナス。中計で「剰余金がプラスに転じ次第株主還元開始」を掲げるが、解消にはなお時間を要する
- 投資事業組合運用損1百万円とCVC投資関連で一過性損失が発生。CVC事業拡大に伴うリスク管理が論点
注目点/今後確認したいポイント
- 27/3期は1Q営業赤字・4Qに営業利益の過半を計上する計画であり、上期時点の赤字幅とストック型積み上げペースが通期達成の蓋然性を左右する
- イーグルアイの協業契約拡大に伴う1社あたり収益の希薄化がどの程度まで進むか。中計で示された「アップセル・クロスセルによる顧客単価引き上げ」の具体的な進捗が重要
- リテールメディア領域で楽天・Hakuhodo DY ONE・SMN・MBKデジタルとのデータ連携が収益として顕在化する時期と規模感が、中計目標(29/3期売上高30億円超)の達成確度を決定づける
- 27/3期1Q営業赤字の想定幅と、赤字許容のガイドライン
- 協業契約と単独契約の1社あたり平均単価の差異と、協業から単独への転換実績
- イーグルアイ導入件数180件のうち協業契約比率と、27/3期末の導入件数目標
- リテールメディアその他の減収要因と、27/3期における反転の見通し
- システム関連費の円安感応度と、クラウドコスト値上げの価格転嫁方針
- 中計で掲げたM&A投資額10億円超の進捗状況と優先領域
- CVC投資3件(ON&BOARD、ANOBAKA、ペガサス・テック・ホールディングス)の協業シナジー創出時期
- 社内カンパニー制導入の具体的スケジュールとKPI設定
- 繰越利益剰余金の解消時期と株主還元開始の見込み
- スポット型売上高の4Q偏重構造の是正策と27/3期の四半期分布の見通し
主要業績ハイライト
| 勘定科目 | 数値 | 前年同期比 |
|---|---|---|
| 売上高 | 1,870百万円 | +20.3% |
| └ ストック型売上高 | 1,523百万円 | +6.8% |
| └ スポット型売上高 | 347百万円 | +173.2% |
| 売上総利益 | 1,048百万円 | +17.2% |
| 売上総利益率 | 56.1% | ▲1.5pt |
| 営業利益 | 101百万円 | +109.6% |
| 営業利益率 | 5.4% | +2.3pt |
| 経常利益 | 108百万円 | +121.6% |
| 当期純利益 | 80百万円 | +508.5% |
| EPS | 16.63円 | +502.5% |
| EBITDA | 167百万円 | +76.1% |
| 1株当たり純資産 | 240.41円 | +7.5% |
| ROE | 6.9% | +5.7pt |
| イーグルアイ導入件数 | 180件 | +13.2% |
2/12開示の修正計画(売上高1,830百万円、営業利益60百万円)に対し、4Qのスポット型案件が想定以上に積み上がったことで売上高は+2.2%、営業利益は+69.3%の上振れ着地。当期純利益80百万円は修正計画45百万円を+77.5%上回った。
事業セグメント別の業績
| セグメント名 | 売上高 | 前年同期比 | 営業利益 | 前年同期比 | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| データマーケティング事業(全社) | 1,870百万円 | +20.3% | 101百万円 | +109.6% | 5.4% |
- メーカー向けソリューション(ストック型):952百万円(前年比+8.0%)。イーグルアイ導入件数180件(同+13.2%)と卸商社パートナー経由の協業契約が積み上がり、安定成長を継続
- リテール向けソリューション(ストック型):332百万円(前年比+23.4%)。ウエルシアへのAI販促・新規出店予測AIの導入など複数大手小売向け案件が通期で寄与し、3Q-4Qは四半期103百万円と高水準で安定
- スポット型売上高:347百万円(前年比+173.2%)。複数の開発案件のほか、分析レポート提供等による収益が計上され、4Q単独で141百万円と四半期過去最高を記録
- リテールメディアその他(ストック型):237百万円(前年比▲13.5%)。新規データ連携先(SMN・MBKデジタル等)との協業は開始されたが、収益貢献は限定的
業績予想比の進捗率
2/12開示の修正計画(売上高1,830百万円、営業利益60百万円)に対し、4Qのスポット型売上高が想定以上に積み上がったため、売上高は102.2%、営業利益は169.3%で着地。当初計画(2025/5/14開示)からは人材投資やAIソリューション業務洗練化の先行費用が嵩み下回ったものの、修正計画比では全利益項目で上振れとなった。
| 勘定科目 | 数値 (通期実績) | 修正計画 (2/12) | 達成率 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 1,870百万円 | 1,830百万円 | 102.2% |
| 売上総利益 | 1,048百万円 | 1,013百万円 | 103.5% |
| 営業利益 | 101百万円 | 60百万円 | 169.3% |
| 当期純利益 | 80百万円 | 45百万円 | 177.5% |
- メーカー向けソリューションの新規導入はクライアント側の年度予算に連動し、4月(新年度開始)に積み上がりやすい傾向
- スポット型売上高は2Q・4Qに計上が集中する傾向。大手小売向け開発案件の納品タイミングに依存
- 27/3期は1Q営業赤字、4Qに営業利益の過半を計上する極端な下期偏重計画
来期の業績予想
27/3期は新中期経営計画(27/3期〜29/3期)の初年度として、中期的な利益拡大に向けた仕込みを強化する期と位置付け。売上高は大手小売向けソリューションの通期寄与効果やイーグルアイの卸商社経由拡販により+17.6%の増収を計画。一方、協業契約増加に伴う粗利率低下、クラウドコスト値上げ、人件費増、戦略投資費用の織り込みにより減益予想。
- 売上高: 2,200百万円 (+17.6%)
- 営業利益: 80百万円 (▲21.3%)
- 経常利益: 78百万円 (▲27.6%)
- 純利益: 63百万円 (▲21.4%)
- EPS: 13.08円 (▲21.3%)
株主還元への言及
26/3期・27/3期ともに無配を継続。繰越利益剰余金が▲419百万円とマイナスのため、中計では「剰余金がプラスに転じ次第、株主還元を開始する」方針を掲示。
財務状況
実質無借金経営を達成(1年内返済予定の長期借入金完済)。自己資本比率75.9%と高水準を維持しつつ、繰越利益剰余金▲419百万円の解消に向けた利益積み上げフェーズが継続。
- 主要数値
- レバレッジ指標
| 勘定科目 | 数値 | 補足情報 |
|---|---|---|
| 現金及び現金同等物 | 971百万円 | 前期比+13.0% |
| 総資産 | 1,534百万円 | 前期比+12.6% |
| └ 流動資産合計 | 1,315百万円 | 前期比+15.1% |
| └ 固定資産合計 | 218百万円 | 前期比▲0.7% |
| 自己資本 | 1,163百万円 | 前期比+7.7% |
| └ 繰越利益剰余金 | ▲419百万円 | 前期▲499百万円から改善 |
| 有利子負債 | 0百万円 | 前期5百万円から完済 |
| 売掛金 | 261百万円 | 前期比+33.4% |
| 出資金 | 55百万円 | 前期比+122.5%、CVC投資 |
| EBITDA | 167百万円 | 営業利益101+減価償却費65 |
決算発表と同時に出たニュース
足許四半期中の主要発表
- 2026/03/27第一三共ヘルスケアがイーグルアイを社内インフラとして活用している事例を公開。リサーチ部門に加え各ブランドマネジャーにアカウントを付与し、全社的なデータ活用が進展 第一三共ヘルスケア、ID-POSを社内のインフラに!リサーチ部門に加え各ブランドマネジャーがツールを活用
- 2026/04/17全薬工業におけるイーグルアイ活用事例を公開。購買データ分析をもとにかぜ薬「ジキニンファーストネオ」の製品訴求を見直し、翌年度売上が3倍超に伸長 購買データ活用で、かぜ薬「ジキニン」新商品の売り上げ3倍へ貢献
- 2026/04/23ソニーグループのSMNと共同で大手飲料メーカーのテレビCM×デジタル広告のオフライン購買効果を検証。CM+デジタル重複接触層の購買率が非接触層比+41%となり、リテールメディア領域の有効性を実証 True Data の広告用購買データをソリューションに連携するSMNと共同で、大手飲料メーカーの広告によるオフライン購買効果を可視化
過去1年間の大量保有報告/重要提案
該当なし
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