エグゼクティブ・サマリー
エンヴァリスは取締役CFO 森氏、大井氏(Vice Division Head, Business Success Division)への取材機会を得た。 HEROZは、将棋・チェス・囲碁等で培ったゲームAIのドメインナレッジを軸に、エンタメ業界向けAI支援を注力領域の一つとして本格的に立ち上げる局面にある。東京ゲームショウへの出展は単なる技術発信ではなく、商談機会の創出を明確なKPIに据えたBtoB営業活動の中核として位置づけられている。BtoB領域では請負型から提案段階から顧客内部に入り込むBEM(Business Embedded Model、伴走支援)型への転換が稼働率の大幅改善をもたらし、売上成長を牽引。バリオセキュアの完全子会社化完了により利益基盤も整い、成長と収益の両立フェーズへ移行しつつある。
企業からのメッセージ
どの業界もそうだが、圧倒的なドメインナレッジがなければ、AIの技術だけでその業界を支援することは非常に難しい。HEROZ自身がゲームを提供しており、エンジニアもビジネスメンバーもゲーム業界に対して圧倒的なドメインナレッジを持つ。それがHEROZの強み。IP活用の裏方として、日本全体の高い成長を支えていきたい
インタビューで示された主な論点
東京ゲームショウを起点としたエンタメAI市場の開拓
同社は東京ゲームショウ出展の成果指標を、接触リード数とその後の案件機会創出、すなわち商談件数に置いている。エンタメ業界はAI導入への心理的障壁が高く導入が進んでいない一方、開発者側では人手不足とAI活用の必然性が強まっており、参入価値の高い市場と位置づける。政府のIP振興政策(IP360等)による大型予算措置も追い風であり、ゲームAIに正面から取り組む企業が限られる中で独自ポジションを訴求する構え。
ゲーム開発の全工程に入り込むAI適用と「面白さ」の設計
同社のAIは企画フェーズから対戦相手・NPC、バランス調整、デバッグ・自動テストまで上流から下流の全工程に適用されている。将棋・チェス・囲碁・バックギャモンで培った知見は、ポケモンやバンダイのカードゲーム・ボードゲームへも展開。負け続けても勝ち続けてもゲームは成立しないという発想からマッチングレーティングを設計し、単なるコスト削減ではなく顧客満足度と「面白さ」の向上に価値の軸を置く点が特徴的。
BEM型への転換とASK Cowork構想によるリカーリング積み上げ
AIプロジェクトサポーターズはSaaSではなく伴走支援型で、顧客の課題発掘段階から入り込む案件型。請負型では提案・契約に時間を要し期ズレが生じていたが、提案段階から顧客内部に入って稼働を計上する形へ転換し、稼働率が大幅改善。ASKについてはAKMコンサルティング、エキストラのグループ入りを踏まえ、研修・BPOを含む多層的なリカーリング収益への拡張を進める。
エンヴァリスの着眼点
インタビュー Q&A ハイライト
- Q
ゲームAIはどの開発工程に適用されているのか
A企画フェーズから対戦相手・NPCの思考、難易度・バランス調整、デバッグ・自動テストまで、上流から下流の全工程で活用されている。どのゲームにどのAIを入れれば運営側と顧客双方の価値が上がるかという企画段階からの関与が起点。
- Q
将棋AIの知見はゲームでどう価値になるのか
A将棋に限らずチェス、囲碁、バックギャモンで培ったノウハウを、カードゲームやボードゲームへ展開している。負け続けても勝ち続けてもゲームは成立しないという観点からマッチングレーティングを設計し、ユーザー満足度を最大化する対戦体験を実現する点に本質的価値がある。
- Q
AIが入った後、人の仕事として何が残るのか
A最終的に面白い・面白くないを判断するのは人。生成AIによる制作も広がるが、ゲーム業界においては面白さを生むクリエイティブの領域に最後まで人間の手が残ると考えている。ゲーム業界ではコスト削減より、いかに顧客に楽しさを伝えるかが重視される。
- Q
東京ゲームショウの成果はどう測るのか
A展示会はリード獲得の場であり、BtoB領域では商談件数をKPIに設定している。今回も接触数とその後の案件機会創出を追う。世界有数のIPでの取り組み実績は、他顧客に対してインパクトのある訴求材料となっている。
- Q
BtoB AIソリューションの高成長の主因は単価か稼働率か
A単価はあまり変わっておらず、主因は稼働率の倍増。従来の請負型では提案・契約・プロジェクト開始までに時間を要し期ズレが発生していたが、提案段階から顧客の中に入り、一緒に考える時点から稼働を計上する形へ転換したことで稼働率が大幅に上昇した。この形を継続することで高水準の稼働率を維持できると見ている。
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