サマリー
FY27 1Qは売上高1,643百万円(前年同期比+8.5%、ストラテジット社除外の実質+14.5%)、営業利益180百万円(同+52.8%)で増収増益。HEROZ BtoBが共創型伴走支援(BEM)による稼働率上昇で前年同期比+101.3%と倍増し、売上原価比率は50.1%へ4.1pt低下。HEROZ ASKは前四半期比+25.9%、ARR2.3億円、累計契約顧客数約470社へ拡大。AKM(AI BPO)・エキストラ(AI研修)のグループインにより、HEROZ ASKを共通基盤とする学ぶ→使う→任せるの一貫提供体制が足元で始動。
ポイント(決算の要点と成長アクション)
- 経営戦略と市場認識
- 生成AIツール提供では顧客が使いこなせず効果が限定的との認識から、業務そのものを請け負うAI BPOモデルへ軸足を移す方針。
- AIエージェント化により自律的な判断・実行まで担う形へ切り替え、利用者のスキルに依存しない幅広い層への提供を志向。
- 国内の生成AI利活用が十分に進んでいないとの前提に立ち、研修を入口としたドアノック戦略でAI導入の裾野を広げる構え。
- 重要な会計指標として本1Qよりのれん償却前営業利益を開示、通期予想960百万円を追加公表。
- 足元の事業進捗と要因
- BtoBは従来のソリューション型から継続的な伴走型へのシフトで案件が長期化・単価向上、稼働率が1Qより高水準で推移。
- 稼働案件数は前年同期比+26.8%、検討フェーズから顧客と一体で稼働することで案件の期ズレを抑制。
- 売上原価の労務費は252百万円で横ばい、退職に伴う人員減を外部リソースで補完した費目振替が発生。
- 広告宣伝費は主力のAI EXPO出展が1Qに集中したことで増加、費用対効果の高い展示会中心に配分。
- 戦略的な重要施策や変化点
- 2026年5月にAKM(AI BPO)、8月にエキストラ(AI研修)がグループイン、HEROZ ASKを共通基盤に一貫提供体制を構築。
- エキストラの450コンテンツ・約100社へのOEM供給基盤を活用し、教育予算を入口に新規顧客の入口を拡大。
- バリオセキュア完全子会社化のみなし取得日を2026年7月末とし、2Q以降は利益を100%取り込み。
- 期中には日本生命におけるAI内製化・自走体制確立に向けた共創型伴走支援(BEM)の開始を公表。
- ポケモン・松尾研究所と共催のAIエージェント開発コンテストをKaggle上で開催、国際的な認知度向上を狙う。
今後の見通しと戦略
- 通期予想は売上高6,800百万円・のれん償却前営業利益960百万円据え置き、1Q進捗率はそれぞれ24.2%・23.3%で順調との認識。
- BtoBは2Q累計でも稼働率向上により前年同期比+64.8%の成長を見込む。
- 2Q以降はバリオセキュア完全子会社化に伴うコストシナジーにより販管費総額の水準が低下する見込み。
- AI利活用プラットフォームは、フェーズ1で教材とASKのセット販売、フェーズ2で1法人あたり単価向上、フェーズ3でOEMから月額研修SaaSへ転換する3段階のロードマップ。
- M&Aの投資対象はBPO×AI、AI SaaS、AIセキュリティの3領域に絞り、ストック型収益を有し黒字であることを前提とした独自のバリュエーション基準で規律を確保。
- 顧客内の他部署への横展開により顧客あたり取引額の拡大を目指す方針。
ポジティブ要因
- EBITDA287百万円(前年同期比+25.4%)で1Qとして過去最高を更新。
- 売上原価比率4.1pt改善と販管費比率横ばいにより、原価+販管費の合計比率は3.9pt改善。
- ARR4,969百万円(前年同期比+17.6%)、リカーリング売上比率72.2%(+1.2pt)とストック型収益基盤が拡大。
- 解約率はAI Security 0.84%、HEROZ ASK 0.96%とともに1%を下回り、ASKは前期4Qの一時的上昇から改善。
- AIX事業のセグメント利益234百万円(前年同期比+56.3%)、AI Securityも売上横ばいながら利益272百万円(同+16.5%)。
- HEROZ ASKはPII自動マスキング、スライドAI、最新モデル追加・MCP連携と機能拡充が継続、主要機能リリース数は累計182件。
懸念事項・リスク
- 親会社株主に帰属する四半期純利益は32百万円で通期予想300百万円に対する進捗率10.9%、バリオセキュア利益の取り込みが1Qは42.8%にとどまる点に留意。
- AI Security事業は売上成長率+0.3%と横ばい圏、1QにM&A関連コスト29百万円が発生。
- AIさくらさんは一部案件の再設置影響が2Qまで残り、AIリカーリング売上の回復は今期後半以降。
- のれん残高が約18億円あり、今後の償却が営業利益を継続的に圧迫。
- 退職に伴う人員減を外部リソースで補完しており、人材確保と内部人員体制の再構築が課題。
- HEROZ ASKのLLMコストが通信費・サーバー代の増加要因であり、利用拡大に伴う原価上昇の管理が必要。
業績ハイライト
売上高1,643百万円(前年同期比+8.5%)、のれん償却前営業利益223百万円(同+40.8%)、営業利益180百万円(同+52.8%)で増収増益。前期末のストラテジット社連結除外影響を除く実質成長率は+14.5%、新規グループインのAKM社を除いても+13.8%。親会社株主に帰属する四半期純利益は32百万円で前年同期の▲11百万円から黒字転換。
セグメント別業績
| セグメント名 | 売上高 | 前年同期比 | セグメント利益 | 前年同期比 |
|---|---|---|---|---|
| AIX事業 | 937百万円 | +15.7% | 234百万円 | +56.3% |
| AI Security事業 | 709百万円 | +0.3% | 272百万円 | +16.5% |
- ARR(年次経常収益): 4,969百万円 (前年同期比 +17.6%)
- リカーリング売上比率: 72.2% (前年同期比 +1.2pt)
- リカーリング売上: AIX事業528百万円(前年同期比 +14.8%)、AI Security事業658百万円(同 +7.2%)
- リカーリング解約率: AI Security 0.8%(前年同期末比 ±0.0pt)、HEROZ ASK 1.0%(同 ▲0.3pt)
- HEROZ BtoB売上高: 前年同期比 +101.3%、稼働案件数 前年同期比 +26.8%
- HEROZ ASK: 売上高 前四半期比 +25.9%、ARR2.3億円、累計契約顧客数 約470社(2026年7月末)
- 売上原価比率: 50.1% (前年同期比 ▲4.1pt)/売上販管費比率: 37.0% (同 +0.2pt)
- 将棋ウォーズ四半期対局数: 3千万局弱、累計対局数 12億局に迫る水準
Q&A 一覧
- Q: BtoB(AIソリューション)事業は、今後どのように成長と収益性の改善を実現していくのか。A: 従来の高度な難案件を外部から受託するモデルから、お客様の中に入り込む伴走支援型へと転換を進めている。検討フェーズからお客様と一体で稼働することで案件の期ズレを抑制し、稼働率の向上がそのまま増収増益に直結する構造を推進している。さらに、お客様内の他部署への横展開により、顧客あたり取引額の拡大を目指していく。
- Q: 成長の柱であるM&Aについて、どのような方針・規律で実行していくのか。A: 投資対象はBPO×AI、AI SaaS、AIセキュリティの3領域を重点投資領域として定め、顧客基盤を持つ企業をAIベースへ転換して再成長させる方針である。加えて、ストック型収益を有し黒字であることを前提とした独自のバリュエーション基準を設け、規律あるM&Aとその後のシナジー創出を徹底していく。
株式会社エンヴァリス(以下「エンヴァリス」といいます。)は、国内外の機関投資家、国内の個人投資家に対して、本邦の上場会社への投資を検討する際に必要な情報を提供することで、グローバルならびに本邦資本市場の発展に貢献することを目的として、専属リサーチ・カバレッジ業務を行っております。
- 目的と投資判断に関する免責
本レポートは、情報提供のみを目的として作成されたものであり、有価証券その他の金融商品の取得、売却、または保有を勧誘するものではありません。また、特定の投資、財務、または税務に関する助言を構成するものでもありません。本レポートに含まれるいかなる意見、判断、または推奨も、投資活動の誘導を意図するものではなく、投資決定は、投資家ご自身の責任と判断に基づき行われるべきものであり、エンヴァリスおよび対象企業は当該投資決定にいかなる関与もしない点、ご留意ください。
- 情報源、正確性、および保証の否認
本レポートは、対象企業からの正式な依頼に基づき、当該企業への取材や提供された情報を利用して作成されています。本レポートの利用にあたっては、以下の点をご承諾いただいたものとみなします。 1. 情報源 エンヴァリスは、公に入手可能な情報、対象企業より開示された情報および取材等で提供された情報が真実かつ信頼できるものである前提で本レポートを作成しています。エンヴァリスにおいて、これらの情報の真実性に関する独自の事実確認や検証は行っておりません。 2. 正確性 本レポートに記載されている提供情報の解釈、分析、およびそれに基づく仮説や結論は、前項の情報を基に、エンヴァリスが独自の視点と分析手法を用いて独立して導き出したものです。 3. 保証の否認 対象企業により開示された情報に誤りや遺漏があった場合、それに起因する本レポートの内容の誤謬について、エンヴァリスおよび対象企業は一切の責を負いかねます。本レポートの正確性、安全性、妥当性、完全性等ならびに対象企業の過去のパフォーマンスや将来のパフォーマンスについて、明示的にも黙示的にもエンヴァリスおよび対象企業はいかなる保証もいたしません。
- 責任の限定
本レポートまたは本レポートから得られた情報を利用したことにより発生したいかなる費用、損害、または損失(直接的、間接的、付随的、結果的、または懲罰的損害を含む)についても、エンヴァリスおよび対象企業は一切の責任を負いません。本レポートの利用者は、その利用が自己の責任において行われることを承諾するものとします。
- 利益相反の可能性
エンヴァリスは、対象企業と、現在または将来において、取引関係を有する可能性があります。したがって、本レポートの客観性に影響を及ぼす可能性のある利益相反が存在する可能性があることを、投資家の皆様はご認識ください。
- 報告内容の変更・更新義務の否認
本レポートの内容および意見ならびに本レポートの作成の前提とした情報は、作成日時点のものであり、今後、予告なく変更される場合があります。エンヴァリスは、本レポートの内容を最新のものに更新する義務を負わず、投資家の皆様は情報の最新性についてご自身でご確認いただく必要がある点、ご留意ください。
- 言語の優先順位
本レポートは、日本語、英語および中国語で作成されていますが、各言語版の内容に相違または解釈上の差異が生じた場合には、日本語版を正本として取り扱い、日本語版の内容が優先されるものとします。
- 著作権
本レポートに関する一切の権利(著作権を含む)はエンヴァリスに帰属します。エンヴァリスの事前の書面による許可なく、本レポートの全部または一部を複製、再配布、またはその他の方法で利用することを禁じます。
- 他の投資商品への利用
本レポートならびにエンヴァリスおよび対象企業の商標および商号は、エンヴァリスが書面により事前に承認した場合を除き、いかなる投資商品(価格、リターン、パフォーマンスが、本レポートに基づいている、または連動している投資商品、例えば金融派生商品、仕組商品、投資信託、投資資産等)の情報配信・取引・販売促進・広告宣伝に関連して使用することを禁じます。

