1Q決算を踏まえた評価点
売上高1,643百万円(前年比+8.5%)に対し営業利益180百万円(同+52.8%)と利益の伸びが売上を大きく上回る。HEROZ BtoBの稼働率向上(売上前年比+101.3%)が原価増を吸収し、売上原価は前年比▲2.9%と減少。売上総利益率は50.0%へ改善し、収益構造の転換が数値として顕在化。
- 売上原価率55.9%→50.0%(当レポート試算)。会社開示のオーガニックベースでも54.2%→50.1%と4.1pt改善
- HEROZ BtoB売上前年比+101.3%、稼働案件数同+26.8%。共創型伴走支援(BEM)で稼働率が高水準に
- HEROZ ASKは売上高が前四半期比+25.9%、7月末ARR2.3億円、累計契約顧客数約470社(会社開示)
- ARR4,969百万円(前年比+17.6%)、リカーリング売上比率72.2%(同+1.2pt)とストック基盤が拡大
- 自己資本比率58.7%→68.3%、ネットキャッシュ1,090百万円(当レポート試算)と財務基盤が強化
1Q決算を踏まえた懸念点
営業利益は+52.8%増ながら、経常利益は+46.2%、純利益進捗率は10.9%にとどまる。営業外費用が42百万円へ増加したこと、およびバリオセキュア完全子会社化のみなし取得日設定により1Qの同社利益取込が42.8%(会社開示)に限定されたことが要因。2Q以降の取込率上昇とコストシナジーの実現度が利益計画達成の鍵。
- 営業外費用42百万円(前年23百万円)。暗号資産評価損11百万円、投資有価証券運用損8百万円が新規・増加要因
- 販管費641百万円(前年比+16.7%)。M&A関連費用とバリオセキュア社における派遣社員費用の一時的な増加が主因
- AI Security事業は売上高708百万円(前年比+0.3%)と横ばい。M&A関連コスト29百万円も1Qに発生(会社開示)
- のれん残高1,856百万円は総資産の22.0%(当レポート試算)。償却負担が営業利益を年間ベースで継続的に圧縮
- AIさくらさんは前年比+9.2%成長も、一部案件の再設置影響が2Qまで残る見通し(会社開示)
注目点/今後確認したいポイント
- バリオセキュア完全子会社化に伴うコストシナジー。会社は2Q以降の販管費総額低下を見込むとしており、実額での発現時期を確認したい。
- HEROZ BtoBの2Q累計売上前年比+64.8%見込み(会社開示)の達成度。1Qの+101.3%からの減速幅と稼働率・単価の持続性が論点。
- AKM(AI BPO)・エキストラ(AI研修)を組み込んだAI利活用プラットフォームの収益寄与。ASK導入社数・単価への波及が次期以降の成長率を左右する。
- 純利益通期300百万円に対する1Q進捗10.9%の四半期別回復シナリオ
- バリオセキュア完全子会社化によるコストシナジーの定量規模と発現四半期
- HEROZ ASK ARR2.3億円の年度末目標水準と顧客単価(ARPA)の引き上げ余地
- AI Security事業を売上前年比+0.3%から再加速させるAI Security Cowork の価格・提供体系
- AKM・エキストラ買収の投資回収前提と、のれん償却負担を踏まえた今後のM&A規律
主要業績ハイライト
| 勘定科目 | 数値 | 前年同期比 |
|---|---|---|
| 売上高 | 1,643百万円 | +8.5% |
| └ 売上原価 | 822百万円 | ▲2.9% |
| └ 販売費及び一般管理費 | 641百万円 | +16.7% |
| 売上総利益 | 821百万円 | +23.1% |
| のれん償却前営業利益 | 223百万円 | +40.8% |
| 営業利益 | 180百万円 | +52.8% |
| EBITDA | 287百万円 | +25.4% |
| 経常利益 | 138百万円 | +46.2% |
| └ 営業外費用合計 | 42百万円 | +76.7% |
| 親会社株主に帰属する四半期純利益 | 32百万円 | 黒字転換(前年▲11百万円) |
| └ 非支配株主に帰属する四半期純利益 | 54百万円 | ▲19.3% |
| EPS | 2.03円 | 黒字転換(前年▲0.76円) |
| ARR(年次経常収益) | 4,969百万円 | +17.6% |
| リカーリング売上比率 | 72.2% | +1.2pt |
売上原価率は55.9%→50.0%、販管費率は36.3%→39.0%(いずれも当レポート試算)。EBITDAは会社開示で営業利益+減価償却費+敷金償却+のれん償却額+株式報酬費用+棚卸資産評価損として定義され、1Qとして過去最高を更新。会社はストラテジット社連結除外の影響を除いた実質売上成長率を+14.5%、AKM社を除いたベースを+13.8%と開示。
事業セグメント別の業績
AIX事業は外部顧客売上934百万円(前年比+15.7%)、セグメント利益234百万円(同+56.3%)と収益性が大幅改善。AI Security事業は外部顧客売上708百万円(同+0.3%)と横ばいながら、セグメント利益272百万円(同+16.5%)と増益。全社費用(調整額)は▲326百万円へ拡大し、M&A関連費用が主因。
セグメント別業績表
| セグメント名 | 売上高 | 前年同期比 | 営業利益 | 前年同期比 | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| AIX事業 | 934百万円 | +15.7% | 234百万円 | +56.3% | 25.1% |
| AI Security事業 | 708百万円 | +0.3% | 272百万円 | +16.5% | 38.4% |
| 調整額(全社費用) | - | - | ▲326百万円 | 費用増▲60百万円 | - |
| 連結合計 | 1,643百万円 | +8.5% | 180百万円 | +52.8% | 11.0% |
(売上高は外部顧客への売上高ベース。利益率は当レポート試算)
- HEROZ BtoB(AIソリューション):売上前年比+101.3%。共創型伴走支援への転換で検討フェーズから顧客と一体稼働し、稼働率が高水準で推移。稼働案件数も同+26.8%
- HEROZ ASK(AI SaaS):売上前四半期比+25.9%。PII自動マスキング実装で大企業の導入障壁を除去、スライドAIで資料作成領域へカテゴリ拡張
- AI Security事業の利益:セグメント利益前年比+16.5%。ストック型リカーリング収益が基盤、リカーリング解約率0.84%と1%以下を継続
- AIさくらさん:売上前年比+9.2%。観光案内・高齢者見守り・行政窓口など人手不足領域での新規導入が拡大
- AI Security事業の売上:前年比+0.3%と横ばい。買切型商材を含む構成の中でリカーリング積み上げが中心となり、成長率は1桁台前半に留まる
- BtoC(将棋事業):売上前年比+0.6%。四半期対局数3千万局弱、プレミアムユーザー数は過去最高水準ながら、既に高いネットワーク外部性ゆえ伸び幅は限定的
業績予想比の進捗率
売上高進捗24.2%、営業利益22.5%と、前年同期の通期実績対比進捗(売上23.6%、営業利益22.4%、当レポート試算)と同水準。純利益進捗10.9%の低位は、バリオセキュア完全子会社化のみなし取得日を2026年7月末としたため1Qの同社利益取込が42.8%に限定され、非支配株主持分利益44百万円を計上したことによる(会社開示)。会社は2Q以降に同社利益を100%取り込む予定としており、下期偏重の利益計上が前提となる。
| 勘定科目 | 数値 (第1四半期) | 通期計画 | 進捗率 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 1,643百万円 | 6,800百万円 | 24.2% |
| のれん償却前営業利益 | 223百万円 | 960百万円 | 23.3% |
| 営業利益 | 180百万円 | 800百万円 | 22.5% |
| 経常利益 | 138百万円 | 700百万円 | 19.7% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 32百万円 | 300百万円 | 10.9% |
| EBITDA | 287百万円 | 1,300百万円 | 22.1% |
- 会社開示の四半期推移では4Q偏重の傾向。2026年4月期は売上高1Q1,514百万円→4Q1,738百万円、EBITDA1Q229百万円→4Q306百万円
- BtoB事業は2Q累計で売上前年比+64.8%の見込み(会社開示)
業績予想の変更有無
2026年6月12日公表の通期連結業績予想(売上高6,800百万円、営業利益800百万円、経常利益700百万円、純利益300百万円)から変更なし。なお本1Qより重要な会計指標としてのれん償却前営業利益を新規開示し、通期予想960百万円を追加開示。
株主還元への言及
2027年4月期の配当予想は年間0.00円(第2四半期末・期末ともに0.00円)で、直近予想からの修正なし。2026年4月期も年間0.00円であり無配継続。株主優待引当金16百万円を計上し株主優待制度を継続、当四半期の株主優待関連費用は10百万円(営業外費用)。自己株式は期末2,523株。
財務状況
株式交換に伴う資本剰余金743百万円増加により自己資本比率は58.7%→68.3%へ上昇、ネットキャッシュ状態を維持。現金及び預金は預け金からの振替等により677百万円増加し、有利子負債は返済進行で減少。
- 主要数値
- レバレッジ指標
| 勘定科目 | 数値 | 補足情報 |
|---|---|---|
| 現金及び預金 | 2,627百万円 | 前期比+34.7%(預け金は▲946百万円) |
| 自己資本 | 5,762百万円 | 前期比+15.5%(資本剰余金+743百万円) |
| 有利子負債 | 1,537百万円 | 前期比▲6.8%、ネットキャッシュ1,090百万円(当レポート試算) |
| └ 短期借入金 | 350百万円 | 前期比横ばい |
| └ 1年内返済予定の長期借入金 | 467百万円 | 前期比横ばい |
| └ 長期借入金 | 720百万円 | 前期比▲111百万円 |
| のれん | 1,856百万円 | 前期比+3.7%、総資産比22.0%(当レポート試算) |
| ソフトウエア(仮勘定含む) | 621百万円 | 前期607百万円、仮勘定からの振替が進行 |
| 非支配株主持分 | 127百万円 | 前期比▲84.1%(株式交換による減少673百万円) |
| EBITDA | 287百万円 | 会社開示(営業利益+減価償却費+敷金償却+のれん償却額+株式報酬費用+棚卸資産評価損) |
(四半期連結キャッシュ・フロー計算書は未作成。減価償却費55百万円、のれん償却額43百万円が注記開示)
決算発表と同時に出た適時開示
足許四半期中の主要発表
- 2026/06/16ポケモン・松尾研究所と共催でKaggle上にAIエージェント開発コンテストを開催。不完全情報ゲームへの挑戦を通じAI技術力を国際発信 ポケモンカードゲームのプレイを競う、AIエージェントの開発コンテストを開催!~「ポケモンカードゲーム AI Battle Challenge」を6月16日(火)より開催!~
- 2026/06/30バリオセキュアを株式交換により完全子会社化。意思決定の迅速化とAI技術・24/365運用体制の相互活用によるシナジー創出が狙い 法定事後開示書面(株式交換)(バリオセキュア株式会社)
- 2026/08/03子会社エキストラが有限会社エキストラのAI研修事業を譲受。約450の研修コンテンツと約100社のOEM基盤を取得し研修を入口としたAIX支援を推進 当社子会社における事業譲受に関するお知らせ
- 2026/08/20譲渡制限付株式報酬としての新株式発行を決議。中長期的な企業価値向上と株主目線の共有を図る 譲渡制限付株式報酬としての新株式発行に関するお知らせ
- 2026/08/26日本生命向けにAI内製化・自走体制確立に向けた共創型伴走支援(BEM)を開始。金融大手でのBEM展開実績 HEROZ、日本生命におけるAI内製化・自走体制の確立に向けた共創型伴走支援(Business Embedded Model)を開始~AI内製化支援と業務プロセス再設計を推進~
過去1年間の大量保有報告/重要提案
該当なし
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