通期決算を踏まえた評価点
営業利益523百万円(前年比+70.7%)、EBITDA1,025百万円(同+29.2%)と利益成長が加速。M&A関連費用114百万円を除いた実力値ベースでは営業利益637百万円(同+108%)と約2倍の増益を実現しており、AIX事業・AI Security事業双方の収益力向上が確認された。
- HEROZ ASK ARR2億円突破(2025年10月1億円→2026年4月2億円)、累計約430社導入。4月末に単月貢献利益ベースで黒字化を達成
- AIX事業BtoB売上は通期前年比+20.6%、4Q単体では同+39.2%と加速。稼働案件数も4Qで前年比+39.0%増
- AI Security事業売上2,842百万円(前年比+6.6%)、セグメント利益929百万円(同+17.8%)。ストック売上比率87.6%、解約率0.81%と安定収益基盤を維持
- BtoC事業(将棋ウォーズ)4Q売上は前年比+5.7%。プレミアムユーザー数は過去最高水準、累計対局数11億局突破
- 営業CF592百万円(前年219百万円)へ拡大。長期借入金555百万円を返済しつつ現金残高3,367百万円を確保
通期決算を踏まえた懸念点
売上高6,424百万円(前年比+8.3%)は成長鈍化の兆候をはらむ。前期+22.5%から減速しており、ストラテジット譲渡による減収(同社売上329百万円)の影響を考慮しても、オーガニック成長率は限定的。来期計画の売上成長率も+5.8%と控えめであり、HEROZ ASKやAI BPaaS構想の収益貢献スピードを注視する必要がある。
- AIX事業セグメント利益696百万円(前年比▲10.2%)と減益。人材採用・組織体制強化の先行投資が収益を圧迫
- 暗号資産評価損30百万円、投資有価証券運用損11百万円など営業外費用119百万円が経常利益を押し下げ。暗号資産保有(約1億円)のボラティリティリスクが残存
- 来期純利益予想300百万円は前年比▲20.2%。ストラテジット売却益311百万円の剥落が主因だが、実質ベースでも164百万円→300百万円(+82.2%)の達成確度は未検証
- のれん残高1,789百万円(総資産比21.1%)。M&A積極姿勢の中、減損リスクへの耐性を継続モニタリングする必要あり
- バリオセキュア完全子会社化に伴う株式交換で約256万株の新株発行が見込まれ、希薄化リスクに留意
注目点/今後確認したいポイント
- HEROZ ASKのARR成長持続性。2026年4月ARR2億円からFY27末にかけてどの水準まで拡大するか、また解約率1.27%(4Q一時上昇)の再低下動向がSaaS事業の収益貢献度を左右
- バリオセキュア完全子会社化(2026年6月30日効力発生)後の具体的シナジー発現スケジュール。共同購買・AI Coworkサービス化による利益率改善の定量的インパクト
- AKMコンサルティング連結開始(2026年5月)による来期業績への寄与度。取得原価105百万円に対し、BAKUNAGE事業の売上・利益規模および「AI BPaaS」共同開発の進捗
- HEROZ ASKのARR目標(FY27末時点)およびARPA拡大に向けた具体的な価格戦略
- AI Cowork構想における「丸投げ型」と「テンプレ利用型」の売上構成比の想定とユニットエコノミクス
- バリオセキュア完全子会社化後のコストシナジー(共同購買・間接部門統合)の定量見通し
- AKMコンサルティングの現時点の売上・利益規模およびFY27連結寄与額
- のれん残高1,789百万円の減損テスト前提と回収可能価額の試算根拠
- 暗号資産保有方針の継続是非と今後の運用規模の上限設定
- ストラテジット譲渡後のiPaaS領域からの撤退がBtoB顧客基盤に与える影響
- FY27売上成長率+5.8%の保守性。HEROZ ASK・AKM連結・AI Security拡販を踏まえた上振れ余地の見方
- 株式交換による約256万株の希薄化に対する資本政策(自社株買い等)の検討状況
- 配当方針(現状無配)の変更時期に関する考え方
主要業績ハイライト
| 勘定科目 | 数値 | 前年同期比 |
|---|---|---|
| 売上高 | 6,424百万円 | +8.3% |
| 売上総利益 | 2,921百万円 | +8.7% |
| 営業利益 | 523百万円 | +70.7% |
| 経常利益 | 408百万円 | +78.9% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 376百万円 | 黒字転換(前期▲177百万円) |
| EBITDA | 1,025百万円 | +29.2% |
| EPS | 24.75円 | 黒字転換(前期▲11.79円) |
| 潜在株式調整後EPS | 24.71円 | - |
| 売上高営業利益率 | 8.1% | 前年5.2%から+2.9pt |
| 自己資本当期純利益率(ROE) | 7.9% | 前年▲3.8%から改善 |
| 総資産経常利益率(ROA) | 4.9% | 前年2.9%から+2.0pt |
| 包括利益 | 624百万円 | 前期22百万円 |
売上総利益率は45.5%(前年45.3%、+0.2pt)と微改善。販管費率は37.3%(前年40.2%)と▲2.9pt改善しており、営業利益率の向上に寄与。純利益の黒字転換はストラテジット株式売却益311百万円の計上が主因であり、法人税等合計79百万円(実効税率11.3%)と繰延税金資産の計上(法人税等調整額▲99百万円)も貢献。
事業セグメント別の業績
| セグメント名 | 売上高 | 前年同期比 | セグメント利益 | 前年同期比 | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| AIX事業 | 3,581百万円 | +9.8% | 696百万円 | ▲10.2% | 19.4% |
| AI Security事業 | 2,842百万円 | +6.6% | 929百万円 | +17.8% | 32.7% |
| 調整額(全社費用) | - | - | ▲1,103百万円 | - | - |
| 連結合計 | 6,424百万円 | +8.3% | 523百万円 | +70.7% | 8.1% |
- AIX事業BtoB:通期売上前年比+20.6%、4Q単体+39.2%。AIエージェント機能実装による競争力強化、VOIQ社インサイドセールスによる商談件数の大幅増加が牽引。稼働案件数・稼働率ともに前期比で改善
- AI Security事業:売上前年比+6.6%、セグメント利益+17.8%。「Vario Ultimate Zero」の拡販進展と価格改定効果で収益性改善が継続。ストック売上比率87.6%、解約率0.81%と安定基盤を維持
- BtoC事業(将棋ウォーズ):4Q売上前年比+5.7%。スプリントモード・シーズンパスの定着でプレミアムユーザー数が過去最高水準
- ストラテジット(AIX事業内):通期売上329百万円、営業損失31百万円。2026年4月30日付でGMOグローバルサイン・HDへ譲渡完了。譲渡益311百万円を特別利益として計上したが、来期以降は売上寄与がゼロとなる
業績予想比の進捗率
修正後通期業績予想(2025年12月公表:売上高6,400百万円、営業利益500百万円)に対し、売上高100.4%、営業利益104.6%、EBITDA102.6%といずれも計画超過で着地。2026年6月9日公表の純利益修正予想(50百万円→376百万円)もストラテジット売却益計上と法人税等調整により超過達成。全項目で計画を上回る結果となり、予想の信頼性を確認。
| 勘定科目 | 数値 (通期) | 通期計画 | 進捗率 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 6,424百万円 | 6,400百万円 | 100.4% |
| 営業利益 | 523百万円 | 500百万円 | 104.6% |
| 経常利益 | 408百万円 | 420百万円 | 97.2% |
| EBITDA | 1,025百万円 | 1,000百万円 | 102.6% |
| 純利益 | 376百万円 | 50百万円 | 752.1% |
- BtoB事業は4Q(2-4月)に売上が偏重する傾向。FY26でも4Q単体のBtoB売上はFY25比+39.2%と突出
来期の業績予想
FY27(2027年4月期)はバリオセキュア完全子会社化、AKMコンサルティング連結開始、HEROZ ASK Cowork構想の本格展開を前提に、売上・営業利益ともに増収増益を計画。純利益はストラテジット売却益の剥落により表面上は減益だが、実質ベース(FY26純利益から売却益税効果後211百万円を除く約164百万円対比)ではYoY+82.2%の増益見込み。
- 売上高: 6,800百万円 (+5.8%)
- EBITDA: 1,300百万円 (+26.7%)
- 営業利益: 800百万円 (+52.9%)
- 経常利益: 700百万円 (+71.4%)
- 純利益: 300百万円 (▲20.2%)
- EPS: 19.73円 (▲20.3%)
株主還元への言及
FY26は中間・期末ともに無配(年間0.00円)。FY27予想も年間0.00円(無配継続)。成長投資を優先する方針に変更なし。株主優待制度は継続しており、株主優待引当金は20百万円(前期18百万円)。
財務状況
有利子負債の返済が進み自己資本比率は58.7%(前期56.1%、+2.6pt)へ改善。長期借入金は1,371百万円→831百万円と▲539百万円圧縮され、財務体質の健全化が進展。一方、のれん残高1,789百万円(前期1,896百万円)がBS上の重要項目として残存。
- 主要数値
- レバレッジ指標
| 勘定科目 | 数値 | 補足情報 |
|---|---|---|
| 総資産 | 8,499百万円 | 前期比+4.3% |
| └ 流動資産 | 5,051百万円 | 前期比+11.3% |
| └ 固定資産 | 3,448百万円 | 前期比▲4.4% |
| 現金及び預金 | 1,949百万円 | 前期比+12.4% |
| 現金及び現金同等物 | 3,367百万円 | 預け金含む実質キャッシュ |
| 有利子負債合計 | 1,649百万円 | 短期350+1年内返済467+長期831 |
| └ 短期借入金 | 350百万円 | 前期200百万円 |
| └ 長期借入金(1年内含む) | 1,299百万円 | 前期1,854百万円 |
| 自己資本 | 4,987百万円 | 前期比+9.1% |
| のれん | 1,789百万円 | 前期1,896百万円 |
| EBITDA | 1,025百万円 | 営業利益+減価償却費+敷金償却+のれん償却+株式報酬費用+棚卸資産評価損(会社開示) |
足許四半期中の主要発表
- 2026/05/27ポケモン社と共同開発のバトル分析AI「Pokémon Battle Scope」がPJCS2026に継続採用決定 「Pokémon Battle Scope」が ポケモンジャパンチャンピオンシップス2026に導入決定!
- 2026/05/13HEROZ ASKがMCP対応を開始、Notion・Box・Slackなど外部業務ツールとの連携が可能に 法人向け生成AI SaaS「HEROZ ASK」、Notion・Box・Slackなど人気ビジネスツールとの連携を可能にする「MCP」対応を開始
- 2026/04/20AKMコンサルティング株式70%取得を決議、バックオフィスBPO領域のAI BPaaS化を推進 AKM Consulting Co., Ltd.の株式取得(子会社化および特定子会社の異動)に関するお知らせ
- 2026/04/14バリオセキュアとの株式交換による経営統合を決定、2026年6月30日効力発生予定 HEROZ株式会社とバリオセキュア株式会社の経営統合に関するお知らせ
- 2026/03/12ベステラと共同で、AI技術を活用したプラント解体事業の高度化プロジェクトを開始 ベステラ株式会社とのAI技術実装のための共同プロジェクト開始に関するお知らせ
過去1年間の大量保有報告/重要提案
該当なし
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