HEROZ 通期 決算プレビュー

ストラテジット売却益・税効果で通期純利益を50→376百万円へ上方修正、黒字転換が確定。焦点は増益の質と来期へ

配信日2026年6月10日 15:37 JST

サマリー

HEROZは3Q決算発表後の2026年4月に、バリオセキュアの株式交換による完全子会社化とストラテジット株式の売却を同時発表し、グループポートフォリオの抜本的再編に踏み切った。これを受け6月8日、同社は通期業績予想を修正し、ストラテジット株式売却益311百万円と繰延税金資産の認識に伴う法人税等調整額(益)99百万円等を主因に、親会社帰属純利益を50→376百万円(EPS24.75円)へ大幅上方修正した。前期▲177百万円からの黒字転換は確定的となった。もっとも営業利益の修正は+4.6%にとどまり、経常利益は暗号資産評価損30百万円を主因に唯一下方修正されるなど、増益は本業ではなく特別利益・税効果が牽引する。通期決算の焦点は黒字達成の可否から、増益の質と、再編を織り込んだ来期(FY2027/4)の収益構造・資本政策へ移る。

翌四半期の注目ポイント

注目点と焦点示唆

通期上方修正の中身純利益修正の内訳と増益の質

純利益を50→376百万円(+652.1%)へ修正。内訳は売却益+311、税効果+99、取引費用▲115、評価損▲30。営業利益は+4.6%どまりで、増益は一過性・税効果が主導

黒字転換の確定と4Q実力値4Q単独の損益水準

前期▲177百万円からの黒字転換は確定的。4Q単独では純利益+425百万円が必要で、営業・経常段階の積み上がりが実力評価の鍵

グループ再編の損益確定額売却益・取引費用・AKM連結時期

ストラテジット売却益311百万円は当期計上で確定。AKM子会社化(株式70%)は2026年5月1日付取得で翌期から連結、当期は非寄与。バリオ株式交換の効力発生日と非支配株主持分の解消時期を確認

来期ガイダンス・資本政策FY2027/4計画と配当方針

純利益が先出しされ、決算の主役はバリオ完全子会社化・AKM連結・ストラテジット離脱を反映した来期計画へ移行。無配(0.00円)からの配当開始の有無も注目

HEROZ ASK成長指標ARR・導入社数・MCP対応後のID数

2026年1月時点ARR1.3億円、導入300社超。MCP対応による外部ツール連携開始が4Qの新規契約・アップセルに寄与するか確認

AI Security事業の収益性バリオのセグメント利益率推移

3Q累計セグメント利益737百万円(利益率34.8%)と前年同期609百万円(同30.3%)から改善。完全子会社化後のコスト構造・統合シナジーを注視

資本効率・財務健全性自己資本比率・株式交換の影響

3Q末自己資本比率56.3%。短期借入金350百万円(前期末200百万円)、長期借入金948百万円に圧縮。株式交換による資本構成・繰延税金資産認識のBS影響を確認

前回決算(2026年4月期 3Q決算)および6/8業績修正を踏まえた主要論点

3Q累計で売上高4,687百万円(+7.8%)、営業利益358百万円(+126.4%)と増収増益を達成。続く6月8日、HEROZは通期純利益を50→376百万円へ上方修正した。ストラテジット売却益311百万円と法人税等調整額(益)99百万円が牽引役であり、黒字転換は確定的となった一方、営業利益の修正は+4.6%、経常利益はBTC評価損を主因に△2.8%と本業ベースの改善は小幅にとどまる。通期決算では黒字の達成可否ではなく、増益の質と来期の収益構造が主要論点となる。

1. 通期上方修正の中身と4Q実力値

  • 前期: 3Q累計売上高4,687百万円(旧通期計画6,400百万円、進捗率73.2%)、営業利益358百万円
  • 今期確認: 6/8修正で通期は売上6,424・営業益523・経常408・純利益376百万円。4Q単独必要値は売上1,737・営業益165・経常143・純利益425百万円。前年4Q売上(試算約1,583百万円)比+約10%
  • 注目指標: 4Q単独の営業・経常利益(特別利益を除く実力値)、EBITDA(修正後通期1,025、3Q累計719)

2. 黒字転換の確定と増益の質

  • 前期: 3Q累計で親会社帰属純損失▲49百万円。非支配株主帰属利益185百万円が利益配分の圧迫要因
  • 今期確認: 通期純利益は50→376百万円へ修正済。内訳は売却益+311(特別利益)、法人税等調整額益+99(繰延税金資産の認識)、取引関連費用▲115、暗号資産評価損▲30。一過性要因を除く経常収益力の評価が論点
  • 注目指標: 特別損益の最終計上額、税金等調整前純利益、非支配株主持分の変動(バリオ株式交換の効力発生時期)

3. AIX事業のセグメント利益率とストラテジット離脱

  • 前期: AIX事業の3Q累計セグメント利益467百万円(前年同期493百万円、▲5.3%)。売上高2,568百万円(+9.8%)と伸長も、HEROZ ASK・JOINTへの先行投資や人件費増で利益率は低下
  • 今期確認: ストラテジット(JOINT iPaaS事業)のGMOグローバルサインHDへの譲渡に伴う連結離脱の影響。AKM連結は翌期からで当期は非寄与。BtoB大型案件の利益貢献
  • 注目指標: AIX事業の4Q単独セグメント利益率、HEROZ ASKのARR成長率、AIエージェント関連の受注動向

4. AI Security事業の成長持続性とバリオセキュア完全子会社化

  • 前期: AI Security事業の3Q累計売上高2,118百万円(+5.5%)、セグメント利益737百万円(+21.0%)。Vario Ultimate Zeroの拡販と販管費効率化が利益率改善を牽引。ソフトバンクによる販売開始も好材料
  • 今期確認: バリオセキュアの中期経営方針(2024年2月期〜2026年2月期)最終年度の実績と次期方針。完全子会社化の効力発生日と非支配株主持分解消による親会社帰属利益への構造効果
  • 注目指標: AI Security事業の4Qセグメント利益率、Vario Ultimate Zeroの契約件数推移、完全子会社化の連結処理方法

5. AI BPaaS戦略の実行フェーズとM&A投資の回収見通し

  • 前期: HEROZ 3.0として「AI BPaaS」を掲げ、AKMコンサルティング子会社化、JPYC出資(Fintech領域)、KSAインターナショナルとの業務提携(輸出管理)と布石。のれん残高は1,817百万円(総資産比22.4%)
  • 今期確認: AKM子会社化は2026年5月1日付取得=翌期(FY2027/4)から連結。当期はのれん追加計上・償却とも非寄与で、来期以降の売上・利益寄与とのれん影響が論点。ストラテジット売却による経営資源のリアロケーション方針
  • 注目指標: 連結のれん残高の変動、取引関連費用115百万円計上後の一時費用の収束、AI BPaaS関連の受注パイプライン

今期中の主要な適時開示

  • 2026/06/08
    通期業績予想の修正 - 親会社帰属純利益を50→376百万円(+652.1%)へ上方修正。ストラテジット売却益311百万円と繰延税金資産認識に伴う法人税等調整額(益)99百万円が主因。経常利益はBTC評価損30百万円等で408百万円へ下方修正、取引関連費用115百万円も計上。 通期連結業績予想の修正等に関するお知らせ
  • 2026/05/27
    Pokémon Battle Scope PJCS2026導入 - 株式会社ポケモンとの継続協業案件。BtoC/エンタメ領域でのAI解析技術の活用事例としてブランド価値向上に寄与。 「Pokémon Battle Scope」がPJCS2026に導入決定!
  • 2026/05/13
    HEROZ ASK MCP対応開始 - Notion・Box・Slack等との外部ツール連携が可能に。導入300社超の基盤上でAIエージェントの業務横断活用を促進し、ARPU向上が期待される機能拡張。 HEROZ ASK、MCP対応を開始
  • 2026/04/20
    AKMコンサルティング子会社化 - バックオフィスBPO企業の株式70%を取得。経理・人事等のドメイン知見を内製化するM&A。取得は2026年5月1日付で翌期(FY2027/4)から連結、当期損益への影響は限定的。 AKMコンサルティング株式の取得に関するお知らせ
  • 2026/04/20
    ストラテジット株式売却 - 連結子会社ストラテジット(JOINT iPaaS事業)の全株式をGMOグローバルサイン・ホールディングスへ譲渡。子会社株式売却益311百万円を当期計上見込みで、通期上方修正を主導。 当社子会社株式に関する株式譲渡契約の締結について
  • 2026/04/14
    バリオセキュア完全子会社化 - 株式交換によりバリオセキュアを完全子会社化。親子上場解消とAI BPaaS・AI Security事業の一体運営を図る大型の資本政策。非支配株主持分の解消により親会社帰属利益の構造改善が見込まれる。 HEROZとバリオセキュアの経営統合に関するお知らせ

前四半期の着地(2026年4月期 3Q実績)

HEROZは「AI革命を起こし、未来を創っていく」をミッションに掲げるAIテクノロジー企業。将棋AI「将棋ウォーズ」で培ったAI技術基盤を軸に、BtoB向けAIソリューション・生成AI SaaS「HEROZ ASK」を展開するAIX事業と、子会社バリオセキュアが担うAI Security事業の2セグメントで構成される。HEROZ 3.0として「AI BPaaS」を掲げ、AIエージェント技術を核にSaaSツール提供からWork(業務そのもの)の価値提供への転換を推進。3Q累計では売上高・営業利益ともに増収増益を達成し、営業利益は前年同期比+126.4%と回復基調が鮮明となった。

項目金額前年同期比会社計画比備考
売上高4,687百万円+7.8%進捗率73.2%AIX事業+9.8%、AI Security事業+5.5%
営業利益358百万円+126.4%進捗率71.7%販管費▲97百万円削減が寄与
経常利益265百万円+189.8%進捗率63.2%暗号資産評価損26百万円等が営業外で発生(通期見込み30百万円)
親会社帰属純利益▲49百万円--非支配株主帰属利益185百万円が利益配分を圧迫
EPS▲3.25円--通期EPSは6/8修正で24.75円(旧計画3.29円)

3Q累計の旧通期計画に対する進捗率: 売上高73.2%、営業利益71.7%、経常利益63.2%(修正後通期予想は論点1を参照)。

会社情報

  • 会社名
    : HEROZ株式会社
  • 証券コード
    : 4382
  • 上場市場
    : 東京証券取引所 スタンダード市場
  • 決算期
    : 4月
  • 主要事業
    : AI関連ソリューション(生成AI SaaS「HEROZ ASK」、将棋ウォーズ等)の提供によるAIX事業、およびバリオセキュアによるインターネットセキュリティ関連のAI Security事業
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