セーフィー株式会社 インタビューレポート

建設現場のデファクトから業界共通AI基盤へ、映像プラットフォーマーが描くフィジカルAIへの進化

配信日2026年9月11日 15:35 JST

エグゼクティブ・サマリー

エンヴァリスは、同社CTO、事業責任者および顧客企業(清水建設、岩田地崎建設)による「建設領域の戦略説明会」に参加する機会を得た。 セーフィーは建設領域において、クラウドカメラの導入拡大による「映像を見る」段階から、AIとエージェントを活用して「映像を活かす」段階へと提供価値の軸を移す転換点にある。建設業界売上高上位50社のうち49社が同社サービスを採用し、建設領域の稼働台数は約5万台に達するなど、業界内での地位は既にデファクトスタンダードの水準。経営陣が最重要視するのは、単なるAI提供ではなく顧客の業務プロセスに組み込まれ、フィードバックを通じてデータ価値が高まる構造の構築にある。ゼネコン各社との共創を通じ、建設現場の暗黙知を映像・音声で形式知化し、将来的にはロボティクスを含むフィジカルAIの社会実装まで一気通貫で担う構想を掲げる。

企業からのメッセージ

生成AIの登場によって、現場データの活用やフィジカルAIの展開は圧倒的に加速している。SaaS is deadと言われるが、我々の技術領域と目指すところにとっては、むしろ追い風。現場課題の解決という原点をより大きく邁進させるチャンスと捉えている。

インタビューで示された主な論点

  • 建設領域におけるデファクトポジションの確立と深化

    同社は建設業界売上高上位50社のうち49社に導入され、複数社では全現場標準採用という形でデファクト化が進行。導入の決め手は現場での使いやすさに加え、クラウドカメラとしてのセキュリティ水準と、企業としての成長性・展開性に対する顧客トップ層の支持にあると経営陣は分析する。営業・企画・開発の各メンバーが現場に足を運び、課題の本質を掴む体制が優位性の源泉と位置付ける。

  • 「見る」から「活かす」へ、AIソリューションの高速展開

    2026年2月にリリースしたSafie AI Studioにより、AIアプリケーションを登録するだけで稼働中カメラの映像解析が即時開始できる基盤を構築。リリースから半年で13件のソリューションを顧客提供に至らせ、内製とパートナー連携の双方で開発速度を大幅に引き上げた。また、不安全行動検知AIソリューション「Ailytics」の導入により設置台数が増え、学習データが蓄積され新ソリューションを生むという好循環が現場単位で発生している。

エンヴァリスの着眼点

インタビュー Q&A ハイライト

  • Q

    AIエージェント領域に他社が直接参入した場合、映像起点の統合プラットフォームであることは競争優位になるのか

    A

    ソリューションやデータ単体では意味を持たない。顧客の業務プロセスに深く組み込まれ、運用を継続することで得られる追加データとシステムへのフィードバックが最大の競争優位。映像データは容易に取得できないデータソースであるため、これを統合して業務に組み込み、フィードバックを回すことで映像データの価値を強烈に高められる。それが完全な勝ち筋との認識。

  • Q

    ビジネス面での参入障壁はどこにあるか

    A

    建設現場では工期の1日が極めて重要であり、カメラ故障時に翌日パートナーが保守に向かったり、交換品を届ける体制が不可欠。そのようなラストワンマイルの実行力は、パートナーとのエコシステムを既に構築している同社の強みであり、一般的なAIベンダーには容易に構築できない領域。

  • Q

    導入による具体的な効果はどこに現れているか

    A

    大規模建築現場では職員一人あたり2時間程度を要した現場巡回を、映像確認とカメラ経由の音声対話で代替でき、その時間を書類作成や調整業務に振り向けられる。ソリューションを組み合わせることで、工程によっては複数回必要だった現場移動をゼロにできた事例もある。工程進捗の自動把握や3次元データ連動、材料発注までの自動化も現場で実装が進む。

  • Q

    現場の暗黙知をどのように資産化するのか

    A

    ベテラン職員の勘と経験、判断基準を映像と音声で記録し、何を見てどう判断したかをデータとして残すことが起点。AIエージェントを早期に現場実装し、定年退職した熟練管理者の知見をフィードバックして精度を高める。AIが実用水準に育てばデバイス増設と現場の丸ごと見える化が進み、AIと実空間データの双方が同社プラットフォームに蓄積され、フィジカルAIの社会実装で大きな力となる。

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