サマリー
FY2026Q2は売上高5,311百万円(+18.3%)、売上総利益2,765百万円(+22.0%)と成長を維持する一方、調整後営業利益は18百万円と前四半期比で減益。減益要因は人材採用を中心とした意図的な先行投資であり、経営陣は利益減ではなく適切な先行投資と位置づけ、通期予想は据え置き。説明会では、半導体・フラッシュメモリ需給逼迫を見越して10億円超のカメラ在庫を先行手当てした事実、およびハードディスク価格上昇でオンプレミス型が相対的に不利となり競争環境がむしろ有利化しているとの認識が語られた。小売エンタープライズARR+35.4%、建設業界TOP50社中49社での活用実績、物流ARRのCAGR+35.7%と、業界別現場AXの横展開が進む。
ポイント(決算の要点と成長アクション)
- 経営戦略と市場認識
- 事業戦略はカメラ→見守り→業界別現場AX→新たなAI活用事業の4段階で構成。
- クラウド録画市場約55万台にとどまらず、2028年約900万台と予測する既設カメラ市場を主戦場に設定。
- 警備業界市場1.92兆円に対し保安職業従事者の有効求人倍率6.55倍、労働需給ギャップをAI警備で埋める確信を表明。
- 経営陣は今回の減益を利益減ではなく適切な先行投資と説明し、収穫逓増モデルの構築を優先。
- 足元の事業進捗と要因
- Safie PRO直販の課金カメラが前年同期比+32.0%(169千台)、エンタープライズ導入拡大が成長を牽引。
- リカーリング粗利率は円安進行とクラウド機能拡張に伴う原価増で微減、スポット粗利率は前四半期と同水準。
- 販管費は前四半期比+203百万円の2,767百万円、S&MとG&Aの売上高比率が上昇。
- 社員数は2026年1月557人から7月644人へ増加、一人あたり粗利額は17.6百万円へ低下。
- 戦略的な重要施策や変化点
- 半導体需給の逼迫を先読みし、当期前半に10億円超のカメラ在庫を先行調達。商品在庫は874百万円から1,906百万円へ増加。
- セーフィーセキュリティが設立1年半で本格提供に向け前進、2026年7月にクマ検知AIとみまもり目視サービスを開始。
- Ailytics搭載Safie GO PTZによる不安全行動検知を建設・インフラ大手で実証、導入予定案件が積み上がる。
- 既設カメラのクラウド化を担うSafie Trail Stationを軸に、中・大規模店舗という従来手薄だった顧客層を開拓。
今後の見通しと戦略
- 通期予想は売上高232億円、調整後営業利益4.5〜6.5億円で据え置き、Q3・通期とも調整後営業利益の黒字を見込む。
- 下期売上はエンタープライズからの強い引き合いを背景に達成可能と説明、導入タイミングの前後はあり得るとの補足。
- 販管費は採用を継続しつつ、開示済み利益レンジを守る範囲でアクセルを調整する方針。
- 小売では遠隔接客RURAとクラウドインカムBONXのクロスセルを軸に、銀行や通信キャリアショップなどの接客・サービス業へ展開。
- 物流ではWMS連携やナンバー自動認識を起点に、物流効率化法対応需要を次の柱へ育成。
- 一人あたり粗利額はQ3・Q4で回復させる方針を明言。
ポジティブ要因
- ARR15,791百万円(+22.8%)、課金カメラ38.5万台(+20.7%)とストック基盤が拡大。
- 小売/サービスのエンタープライズはARR+35.4%、顧客社数+16.5%と単価+16.2%の双方が伸長。
- 建設業界は大手総合建設会社5社の年間ARRが5年間で約3.1倍、TOP50社中49社で活用実績。
- 物流業界顧客の期末ARRはFY2022〜FY2025でCAGR+35.7%、モノタロウでは全拠点約1,000台と2020年比約2.6倍。
- 在庫の先行手当てにより、調達難に直面するエンタープライズ顧客から在庫を頼られる場面が発生し、供給力が競争優位に転化。
- 全社解約率は0.8%と低位安定、直販商流は0.5%。
懸念事項・リスク
- 調整後営業利益18百万円は前四半期203百万円から縮小し、先行投資と利益のバランス管理が当面の焦点。
- リカーリング粗利率は為替とクラウド原価増で低下傾向にあり、円安継続時の追加圧力が残る。
- 一人あたり粗利額は20.5百万円(25Q4)から17.6百万円へ低下し、採用人員の戦力化スピードが生産性回復の鍵。
- オフィス増床に伴う固定資産の減損2億円を計上。最終利益の赤字基調が続く限り保守的処理を継続する方針。
- フラッシュメモリ・ハードディスク等の価格上昇が継続した場合、調達コストと原価への影響が拡大する可能性。
- 見守り・警備領域は法規制対応を伴うため、サービス本格提供までのリードタイムが収益寄与時期を左右。
業績ハイライト
FY2026Q2の売上高は5,311百万円(前年同期比+18.3%)、売上総利益2,765百万円(同+22.0%)、売上総利益率52.1%。リカーリング売上高比率は前四半期と同水準の73%、収益構造のストック化が進む。販管費2,767百万円により営業利益は▲1百万円、調整後営業利益は18百万円と黒字を維持。
セグメント別業績
| 収益区分 | 売上高 | 前年同期比 | 営業利益 | 前年同期比 |
|---|---|---|---|---|
| スポット収益 | 1,455百万円 | +8.6% | ― | ― |
| リカーリング収益 | 3,855百万円 | +22.4% | ― | ― |
| 全社合計 | 5,311百万円 | +18.3% | ▲1百万円 | ― |
- ARR: 15,791百万円 (前年同期比 +22.8%)
- 課金カメラ台数: 385千台 (前年同期比 +20.7%)
- Safie PRO直販商流カメラ台数: 169千台 (前年同期比 +32.0%)
- Safie PRO卸商流カメラ台数: 159千台 (前年同期比 +12.8%)
- ソリューション売上高: 242百万円 (前年同期比 +63.5%、当レポート試算)
- ARPC: 40.9千円 (前年同期40.2千円)
- 一人あたり粗利額: 17.6百万円 (前年同期17.5百万円)
- Safie PRO 12ヶ月平均解約率(全社): 0.8% (前年同期0.8%)
- 売上総利益率: 52.1% (前年同期50.5%)
Q&A 一覧
- Q: 第2四半期が減益になっている要因が先行投資とのことだが、中身について具体的に教えてほしい。A: 減益の要因は人への先行投資、具体的には積極的な採用活動にほぼ尽きる。各業界および見守り領域には大きな伸びしろがあると見ており、この4月に入社した新卒社員に加え、4〜6月にかけて新卒と同等かそれ以上のペースで中途採用も積極的に進めてきた。営業・開発の両部門で、将来必要となる投資として人員を積極的に採用しており、今回の減益要因の大部分はこれによるものである。なお、毎年第2四半期に発生する販促費やオフィス拡張費用も細かく見れば影響しているが、主因はあくまで人材への先行投資である。
- Q: 通期業績予想が売上232億円、調整後営業利益で4.5億円から6.5億円となっているが、下半期に向けて売上高、調整後営業利益それぞれの達成に向けた見立てについてコメントいただきたい。A: 今期の通期の見通しについては変更なしという形で考えているので、しっかりと通期で利益を出してやっていきたいと思うし、売上についてもその見通しについては変更なしと考えている。
- Q: 2億円の減損が発生しているが、その要因は何か。A: 今回の減損は、別途開示している通り、オフィスの増床に伴い発生した固定資産を特別損失として計上したものである。当社では、固定資産を新たに計上するたびに四半期ごとに精査し減損するという、かなり保守的な会計処理を一貫して行っており、今回もその方針を継続している。最終利益の赤字基調が続く間は、こうした資産についても四半期または半期ごとに減損処理を行っていく方針である。今後、最終利益が黒字化していけば、減損ではなく通常の減価償却として計上する形に変わっていく可能性もあるが、今回については従来と同じ理由による処理である。
- Q: 売上高の通期計画に対して2Qは良い状況とのことだったが、下期の計画を差し引きすると128億円ぐらいの売上高となり、季節性で1Qから4Qにかけて上がっていくのは分かるものの、やや高いようにも見える。下期の売上高計画に対してオントラック程度で拡大できるような受注は現時点で見えているか。A: 売上計画は順調に進捗していると考えている。例年、2Qから4Qにかけては季節的に売上が伸びていく傾向があり、特にソリューション売上についてはエンタープライズ顧客からの引き合いが強い。導入時期が多少前後する可能性はあるものの、しっかりと積み上げて計画を達成できる見込みである。
- Q: カメラの調達コストが上がっていたり、仕入れも以前より難しくなっているのではないかと思うが、調達環境の変化や調達コスト上昇による当社へのネガティブ影響はあるか。また粗利率への影響も今後あまり変わらずという見方でよいか。A: 調達環境は確かに大きく変化してきている。この傾向はかなり前から見えていたため、今年の前半期にしっかりと先行調達を行い、在庫を積み増してきた。コストが本格的に高騰する前に在庫を確保できているため、当面は大きな悪影響が出ないよう注意している。競争環境の観点で見ると、ハードディスクの値段上昇により、クラウド型ではないオンプレミス型の方がより厳しい市場環境に置かれていると考えている。当社もコスト上昇の影響は受けるものの、相対的に見れば有利なポジションになっている可能性が十分にある。補足すると、今回の調達環境の変化は半導体の需給バランスに起因するものである。コロナ禍の際は当社の購買力が低く、コンデンサ等の不足に対して十分な買い増しができなかったが、今回はフラッシュメモリがAIバブルの影響を受けている。サーバーシステム向けに日本国内で1兆円規模、グローバルでは数百兆円規模の投資が起きており、メモリーの需給が逼迫し価格が上昇するという流れが生じている。当社はこれを見越し、10億円以上をしっかりと買い付ける判断をした。中小のカメラ販売事業者では調達を仕切れないケースも出てきており、実際に当社の在庫を頼りにしていただいているエンタープライズのお客様もすでに存在する。踏み込んで先行調達を行ったことは、大きなメリットになっている。今後の新製品開発においてもコスト上昇は避けられないため、それに対応できる安価なカメラの開発も先行的に進めており、この点についても想定通りの展開だと考えている。
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