オリオンビール 3Q 決算説明会速報

高濃度仕込み導入やライセンス事業急拡大で収益性向上が加速、ジャングリア効果でRevPAR10%改善し中計目標を射程に

2026年2月10日 21:40 JST

サマリー

2026年3月期3Q累計は売上高235億円(前年同期比+4.6%)、営業利益41億円(同+29.2%)と増収増益を達成。アサヒGHDシステム障害による通期売上高への影響約5億円を織り込み、通期売上高を296億円に下方修正する一方、原価低減やライセンス事業好調、観光・ホテル事業の貢献を背景に各段階利益を上方修正。説明会では「高濃度仕込み」の製造プロセス改善による想定以上のコスト削減効果や、ジャングリア開業によるホテル稼働率・客室単価の大幅改善、海外事業の収益構造転換の方向性が具体的に語られた。 .

ポイント(決算の要点と成長アクション)

  • 経営戦略と市場認識
    • 沖縄観光市場は引き続き好調で、2025年度の観光客数は過去最高の1,090万人超の見通し。ジャングリア開業効果が同社のホテル・酒類販売の双方に波及
    • 国内ビール市場は値上げ後の反動減に直面したものの、県外・海外・ライセンスなど沖縄県外の成長ドライバーが着実に機能し、酒類清涼飲料事業における県内以外の売上構成比がFY19の13%からFY25計画で28%に拡大
    • アサヒGHDシステム障害は4月以降に通常近い状態に回復する想定であり、経営陣は通期業績予想からの大きな変動リスクはないとの見解を示す
    • 中長期目標(売上CAGR約5%、EBITDAマージン約24%、ROE約15%)に対し、今期計画値がほぼ到達圏にあり、5月の本決算時に目標のアップデートを検討中
    • 海外ではプレミアム価格戦略と樽製品へのシフト、ライセンス製造の拡大によりトップライン成長と収益性向上の両立を志向
  • 足元の事業進捗と要因
    • 酒類清涼飲料事業のEBITDAマージンは前3Qの25.5%から27.3%に+1.8pt改善。製造プロセスの「高濃度仕込み」導入により貯酒タンク削減・光熱費・人件費が想定以上に低減
    • 冷凍機の更新投資によるエネルギー効率改善も原価低減に大きく寄与
    • 海外売上は3Q累計で前年同期比+29.9%。米国+48%、豪州+18%、韓国+26%と主要市場が軒並み高成長
    • ライセンス事業はライセンシー数が約40社から60社超に拡大、売上は前年同期比+150.8%。他社からのコラボ要請も増加
    • オリオンホテルモトブのRevPARは3万3,746円(前年同期比+9.8%)と大幅改善。ジャングリア宿泊客が全体の約3割を占め、当初想定の1日10室に対し30室の利用実績
  • 戦略的な重要施策や変化点
    • 2026年1月に新RTD「島酎」(アルコール度数7%)を発売し、堅調に推移中。県外コンビニエンスストアでのRTD採用も4Qに期ズレしつつ通期では計画通りの着地を見込む
    • UKでの協力企業によるライセンス製造を開始。製造・販売委託によるライセンス収入型のビジネスモデルで、低リスク・高収益性の欧州展開を推進
    • オリオンホテルモトブで「RYUKYU CREOLE」をコンセプトとしたレストランリニューアルを4Qに実施。The Store & Journeyは2026年3月、The Orion Brasseries & Tableは2026年5月にオープン予定
    • 近鉄グループとの資本業務提携によるホテル運営ノウハウ活用、都ホテルズ&リゾーツへの加盟による集客力強化
    • 4月にOrion Island Waves(ビーチサイド音楽フェス)を瀬長島で開催予定。ブランド体験価値の向上施策を積極展開

今後の見通しと戦略

  • 通期修正計画は売上高296億円(前期比+2.8%)、営業利益41億円(同+19.6%)、EBITDA57億円(同+10.1%)。営業利益の3Q進捗率は100.5%と実質的に通期計画を達成済み
  • 4Qは季節性による売上低下に加え、酒類事業の広告宣伝費の期ズレやホテルのリニューアルコストが集中するため、連結営業利益はマイナス2,000万円を想定
  • 売却済み資産を除いた実質的な売上成長率は前期比+8.6%。EBITDAマージンは22.4%から23.7%へ+1.3pt改善で中計目標の約24%に接近
  • 中長期目標のアップデートは5月の通期決算発表時に実施予定。経営陣は足元の好調な数字を踏まえ、目標の引き上げ余地を示唆
  • 原材料高騰への対応として、価格転嫁に加え長期契約等による仕入れ管理を継続。固定費を一定に保ちながら海外・ライセンスの高収益領域で売上拡大を図る方針
  • 配当は年間40円(中間20円・期末20円)を据え置き。配当性向50%以上・DOE7.5%以上の高い水準を維持する方針
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ポジティブ要因

  • 「高濃度仕込み」導入による製造原価の構造的な低減効果が想定以上に進捗。冷凍機更新投資の省エネ効果と合わせて中長期的な原価改善が見込まれる
  • ライセンス事業がFY19-25でCAGR24.7%の高成長。営業利益率も60%台と極めて高く、キャピタルライトな収益ドライバーとして成長余地が大きい
  • ジャングリアのオフィシャルホテルとしての集客が想定を大幅に上回り、予約のリードタイムも長期化。ADR・OCCの安定的な向上に寄与
  • 海外売上高はFY23-25でCAGR30.7%。特に米国(同39.4%)・韓国(同99.0%)が急伸中。UKライセンス製造の開始により欧州市場への横展開も視野
  • 沖縄観光客数はハワイに匹敵する1,090万人(2025年)で過去ピークを更新する予測、インバウンド増加の余地も大きい。首里城正殿復元(2026年度予定)による追加的な観光需要増も期待
  • オリオン・ザ・ドラフトの売上高はFY24に95億円とコロナ前水準を大きく超え、日経クロストレンド「顧客幸福度調査」でビール部門1位を獲得するなどブランド力は堅調
  • 自己資本比率が37.3%から41.6%に改善。Net D/Eレシオはグロスベースでデット減少が進行

懸念事項・リスク

  • アサヒGHDシステム障害による通期売上影響は約5億円。限定品の再開は5月予定であり、4Qまでの売上リカバリーには限界がある
  • 4Qの酒類事業は設備メンテナンスコストや3Qから期ズレした広告宣伝費が集中し、単四半期の営業利益は1億5,100万円にとどまる見込み
  • 観光ホテル事業は4Qにレストランリニューアル費用が発生し、単四半期で営業損失1億6,900万円を見込む。RevPAR改善の継続可否が来期の焦点
  • 県内売上は値上げ前の仮需反動が想定以上に大きく、計画比マイナス1.7%。県外も計画比マイナス2.6%となり、国内市場での成長モメンタムの維持が課題
  • 原材料費・人件費・物流費の上昇が継続する中、値上げ効果の剥落後の持続的な価格転嫁力が問われる

業績ハイライト

2026年3月期3Q累計は、酒類清涼飲料事業の増収とコスト削減が牽引し、連結営業利益は前年同期比+29.2%の41億円と大幅増益を達成。観光・ホテル事業もRevPAR改善とコスト効率化により営業利益は同+137.5%の7億円と急伸。前期の自己株式取得効果もあり、1株当たり当期純利益は前年同期の41円から86円へ倍増した。

  • 連結業績サマリー
  • セグメント別業績(3Q累計)
項目当期累計(3Q)前年同期(3Q)前年同期比当四半期(3Q単独)前年同四半期前年同四半期比
売上高23,570百万円22,540百万円+4.6%7,785百万円
営業利益4,181百万円3,236百万円+29.2%1,462百万円
純利益3,496百万円2,255百万円+55.0%952百万円
  • EBITDA: 5,367百万円(前年同期比 +17.7%)
  • EBITDAマージン(酒税抜き): 27.9%(前年同期比 +2.9pt)
  • オリオンホテルモトブ RevPAR: 33,746円(前年同期比 +9.8%)
  • 海外売上高: 1,975百万円(前年同期比 +29.9%)
  • ライセンス売上高: 256百万円(前年同期比 +150.8%)
  • 1株当たり当期純利益: 86円(前年同期比 +106.9%)
  • 自己資本比率: 41.6%(前期末比 +4.3pt)
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