イビデン 2Q 決算説明会速報

河間Cell6に1,500億円の追加投資、SAP需要3.5倍の供給逼迫が続くなかで30年度計画の上積み余地を示す

配信日2026年10月30日 16:10 JST

サマリー

上半期は売上高2,625億円、営業利益601億円で、いずれも上半期の過去最高。AI需要と価格効果を受けて電子が伸長した。通期予想を上方修正し、2027年度の営業利益ガイダンスも+150億円引き上げた。河間Cell6の残り半分弱をCPU向けEMIBで埋める追加投資を決め、Cell7・Cell9の扱いは26年度中に開示する方針。経営陣は、30年度の売上高1兆円・営業利益3,000億円の計画には今回の追加投資を織り込んでおらず、上積みの可能性があると説明した。

ポイント(決算の要点と成長アクション)

  • 経営戦略と市場認識
    • AIの用途が学習から推論・エージェンティックAIへ移り、1システムあたりのCPU搭載数が増える構造変化を指摘
    • 経営陣はAI GPU/ASICの市場がCAGR約20%、AI用途CPUがCAGR20%超で伸びると想定
    • CY26からCY30にかけてSAP需要はAI GPU/ASIC向けで5.4倍、CPU向けで2.5倍と試算。一方、当社の国内能力は2倍にとどまり、供給逼迫が続く見方
    • 能力不足を補う代替技術は見当たらず、需給ギャップの調整手段は需要の抑制しかないとの認識
  • 足元の事業進捗と要因
    • 電子は価格効果とAI需要の強さが牽引し、下半期の電子営業利益率は30%近くまで上昇する見通し
    • セラミックの上半期上振れは、DPFなど一部製品でバックアップ部品の受注が多めに入ったことによる一過性要因
    • 下半期のセラミックは自動車関連の低調を織り込み、営業利益21億円へ縮小する見通し
    • EMIB-Tは計画どおり立ち上げを進めているが、歩留まりの改善には苦戦中と率直に開示
  • 戦略的な重要施策や変化点
    • 河間Cell6の約半分強はEMIB-T用、残り半分弱は顧客合意に基づきEMIB向けとし、Cell6のフル生産を目指す
    • Cell7・Cell9は顧客と協議中。規模はCell6・Cell8と同程度だが、土地の制約でフロア面積はやや小さくなる見込み
    • SAP能力の指数を、PC向け能力を除いた日本国内の高機能品のみの基準に変更。誤解を避けるための見直しと説明
    • 株式分割(1:2)を実施し、中間配当は10.0円に増配。30年度まで累進配当を続ける方針を再確認

今後の見通しと戦略

  • 通期予想は売上高5,650億円(+36%)、営業利益1,330億円(+114%)、純利益890億円に上方修正。下期の為替前提は150円/ドル
  • 2027年度は売上高6,500億円を据え置き、営業利益を1,650億円に引き上げ。単価下落圧力を織り込み、今期の上振れをそのまま延長しない保守的な設計
  • 30年度計画は据え置き。Cell6追加分とCell8の残りフロア活用が上積み候補で、Cell7・Cell9の寄与は30年度以降との説明
  • 30年度の計画は、不確定要素を整理したうえで26年度中に改めて提示する方針
  • 設備投資は26年度2,100億円、27年度3,500億円の見通し。28年度は4,000億円を超える水準が続く想定
  • 研究開発費は売上高比6〜7%を目安とし、26年度は370億円を計画。原子力向けグラファイト(FGM)は30年度以降の事業の柱候補と位置付け

ポジティブ要因

  • 製品ミックスの改善と付加価値品へのシフトにより、電子の営業利益率は30年度に35%程度を見込む
  • 電子のEBITDA率は26年度47.6%、27年度48.3%の計画。経営陣は28年度以降50%超、60%近くまでの上昇を想定
  • 足元の価格交渉では能力確保が最重要の論点となっており、来年もサプライヤー優位の構図が続くとの認識
  • AI向け先端品のサプライヤーは3社体制に移行するが、競合の能力を合算しても需要に届かず、シェアとポジションは不変との見方
  • 追加投資は設備投資額と同程度の売上高を見込む約1回転の設計で、利益率は既存の高機能品と同等の30%超を想定
  • コアへの部品内蔵、マルチコア、将来のガラスコアなど、基板構造の複雑化で付加価値が上がる方向

懸念事項・リスク

  • EMIB-Tの歩留まりは業界全体で難度が高く、ブリッジチップ裏側の電気的接続の形成が最大の課題
  • 27年度以降の単価下落を見込んでおり、価格決定力の持続性が利益計画の前提として検証対象
  • 一部設備の納期が長期化。Cell7・Cell9を進める場合は設備調達リスクが高まる
  • 立ち上げを支える人材がボトルネック。新工場は順次立ち上げとなり、決定から量産まで最低約4年を要する見通し
  • 27年度の減価償却費は900億円にとどまり、建設仮勘定が積み上がる局面。投資が先行し、回収は28年度以降が中心
  • 上期の為替実績159円/ドルに対し、下期前提は150円。セラミックは自動車市場の動向次第で振れる余地がある

業績ハイライト

上半期は売上高2,625億円(前年同期比+34%)、営業利益601億円(同+85%)、純利益386億円(同+75%)。8/4開示の計画(売上高2,535億円、営業利益545億円)を上回った。営業利益の83%を電子が占め(当レポート試算)、全セグメントが増益となった。

セグメント別業績

セグメント名売上高前年同期比営業利益前年同期比
電子1,725億円+52%500億円+97%
セラミック462億円+16%54億円+40%
その他438億円+4%47億円+42%
連結合計2,625億円+34%601億円+85%
  • 営業利益率: 22.9%(前年同期16.7%から+6.2pt)
  • 純利益率: 14.7%(前年同期11.3%から+3.4pt)
  • 為替実績: 159円/ドル(前年同期145円/ドル)
  • 中間配当: 10.0円/株(25年度期末配当7.5円比+2.5円、分割考慮後)
  • 通期の電子営業利益率見通し: 29.6%(当レポート試算)

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