2Q決算を踏まえた評価点
電子事業の売上高は+52.0%、営業利益は+96.7%となり、全社の営業利益率は22.9%(前年比+6.2pt)まで上がった。生成AI用サーバー向けと汎用サーバー向けの高機能ICパッケージ基板の需要に加え、昨年度に量産を始めた大野工場の安定稼働が効いた。売上が伸びた分の多くが利益に残る構造を確認できた決算。前受金は+118,796百万円と大きく積み上がり、営業CFは193,178百万円となった。
- 電子事業の利益率は29.0%(前年同期22.4%)に上昇。大野工場の生産安定と円安が増益に効いた(会社開示)
- 売上総利益率は37.2%(+2.5pt)に改善。販管費は+6.4%にとどまり、営業利益の伸びが売上の伸びを上回った
- 2Q単独(3ヶ月)の営業利益は33,236百万円(1Q比+23.6%)、営業利益率は23.9%(1Q 21.8%)に上昇し、四半期ごとに収益力が上向いている(当レポート試算)
- セラミック事業も営業利益+40.4%。半導体製造装置向けの特殊炭素製品(FGM)の回復と、EVバッテリー用安全部材(NEV)の数量増が寄与
2Q決算を踏まえた懸念点
セグメント利益合計に占める電子事業の比率は83.3%(前年同期78.2%)に上がり、AIサーバー関連需要への依存が強まった(当レポート試算)。会社は電子・セラミックの両事業で円安を増益要因に挙げており、為替が反転した場合の感応度に注意が要る。DPFの増収は1Qの「一時的な受注の増加」による部分がある。
- 減価償却費は35,877百万円(+41.1%)に増加。河間Cell6への約1,510億円の投資が加わり、固定費負担は今後も重くなる方向
- 営業外費用に計上する休止固定資産減価償却費は1,669百万円と、前年同期(1,935百万円)に続いて発生。遊休設備の活用・処分方針の確認が必要
- 触媒担体保持・シール材(AFP)は増収ながら、資材価格の高騰で営業利益が減少(会社開示)。中東情勢に伴う物価上昇も続いている
- 棚卸資産は82,722百万円で前期末比+16.6%(当レポート試算)。売上債権も増え、運転資本が膨らんでいる
- 9月末時点の潜在株式調整後EPSは65.10円。また、転換社債の転換が進み、期末後(10/1〜10/21)にも5,126,831株を発行。希薄化の影響が続く
注目点/今後確認したいポイント
- 通期計画では下期の営業利益が72,884百万円となり、上期比+21.2%の増益が必要(当レポート試算)。2Q単独の水準からさらに収益を積み上げられるかが焦点
- 河間Cell6への投資(2029年度から順次稼働予定)の資金計画との関係
- DPFの一時的な受注増が剥落した後のセラミック事業の利益水準と、中期的な成長戦略
- 河間Cell6・海外工場への約1,510億円投資の資金配分と回収期間の想定
- 下期計画の為替前提と、製品ミックス・大野工場稼働率の前提
- 推論型・エージェントAIへの移行に伴うCPU向け基板の需要見通しと、生産能力増強の規模感
主要業績ハイライト
| 勘定科目 | 数値 | 前年同期比 |
|---|---|---|
| 売上高 | 262,546百万円 | +34.3% |
| └ 2Q単独(3ヶ月) | 139,327百万円 | +42.1% |
| 売上総利益 | 97,705百万円 | +43.9% |
| 売上総利益率 | 37.2% | +2.5pt |
| 販売費及び一般管理費 | 37,589百万円 | +6.4% |
| 営業利益 | 60,116百万円 | +84.6% |
| └ 2Q単独(3ヶ月) | 33,236百万円 | +122.5% |
| 営業利益率 | 22.9% | +6.2pt |
| 減価償却費 | 35,877百万円 | +41.1% |
| 経常利益 | 61,009百万円 | +88.9% |
| 特別損失 | 2,469百万円 | ▲53.8% |
| 親会社株主に帰属する中間純利益 | 38,574百万円 | +74.8% |
| EPS | 68.63円 | +73.7% |
※ 2Q単独、利益率、比率は当レポート試算。EPSは2026/1/1と2026/10/1の株式分割(各1:2)を遡って調整した値。純利益の伸びが営業利益を下回ったのは、昨年度に政策投資株を売却したため。
事業セグメント別の業績
電子事業は売上構成比65.7%(前年同期58.1%)まで上がり、全社の増益分の大半を占めた(当レポート試算)。
セグメント別業績表
| セグメント名 | 売上高 | 前年同期比 | 営業利益 | 前年同期比 | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 電子 | 172,540百万円 | +52.0% | 50,028百万円 | +96.7% | 29.0% |
| セラミック | 46,156百万円 | +16.3% | 5,391百万円 | +40.4% | 11.7% |
| その他 | 43,849百万円 | +3.8% | 4,623百万円 | +42.2% | 10.5% |
| 調整額 | - | - | 73百万円 | - | - |
| 合計 | 262,546百万円 | +34.3% | 60,116百万円 | +84.6% | 22.9% |
※ 売上高は外部顧客への売上高。利益率は外部顧客売上高を分母とする当レポート試算。電子のセグメント利益には、休止固定資産減価償却費1,669百万円は含まれない(会社開示)。
- 電子(高機能ICパッケージ基板):売上高+52.0%、営業利益+96.7%。生成AI用サーバー向け・汎用サーバー向けの需要が堅調で、大野工場の生産安定と円安も寄与
- 特殊炭素製品(FGM):半導体市場の好調を受け、半導体製造装置向けの売上が回復して増収増益
- EVバッテリー用安全部材(NEV):販売・生産数量が増え、増収増益
- DPF:受注に合わせて生産する体制のもと、一時的な受注増と円安で増収増益。欧州・インドなど一部市場の堅調が背景
- その他事業:営業利益+42.2%。イビデングリーンテックの法面・造園の大型物件施工と、イビデン樹脂の電子部品加工分野の受注増が寄与
業績予想比の進捗率
修正後の通期計画に対する上期進捗率は、売上高46.5%、営業利益45.2%。前年同期の実績比率(売上高47.0%、営業利益52.5%)と比べ、営業利益は下期に厚い計画となっている(当レポート試算)。下期に必要な営業利益は72,884百万円で、四半期平均36,442百万円と2Q単独33,236百万円を+9.6%上回る。2Qの利益率23.9%を保ちつつ売上を積み上げられるかが達成の鍵。
| 勘定科目 | 数値 (第2四半期累積) | 通期計画 | 進捗率 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 262,546百万円 | 565,000百万円 | 46.5% |
| 営業利益 | 60,116百万円 | 133,000百万円 | 45.2% |
| 経常利益 | 61,009百万円 | 134,500百万円 | 45.4% |
| 純利益 | 38,574百万円 | 89,000百万円 | 43.3% |
| EPS | 68.63円 | 157.17円 | 43.7% |
- 該当なし
業績予想の変更有無
2026/8/4公表の通期連結業績予想を修正した。修正後の営業利益は133,000百万円(前期比+114.4%)。修正前の予想値と詳しい理由は、同日公表の「通期連結業績予想の修正及び剰余金の配当(中間配当・増配)に関するお知らせ」に記載。
- 売上高:新565,000百万円(前期比+35.8%)
- 営業利益:新133,000百万円(同+114.4%)
- 経常利益:新134,500百万円(同+121.1%)
- 純利益:新89,000百万円(同+39.7%)
- 修正理由:上期は高機能ICパッケージ基板の需要、大野工場の生産安定、円安を背景に営業利益が+84.6%(会社開示)。純利益の伸びが小さいのは、前期に特別利益59,281百万円を計上した反動
株主還元への言及
- 中間配当は、2026/1/1分割後の基準で15円予想から20円に増配(2026/10/1分割後の換算では10円)
- 期末配当予想は10円(2026/10/1分割後の基準)。分割後換算の年間配当は20円となり、前期の15円から+33.3%(当レポート試算)
- 前期の年間15円には記念配当を含む。2026/8/4に配当方針を変更済み
- 社員持株会向けに、譲渡制限付株式インセンティブとして自己株式を処分することを同日に決議
財務状況
前受金の積み上がりと社債の償還で、ネットキャッシュは前期末から拡大した。前受金で総資産が膨らみ自己資本比率は53.5%(前期末比▲3.8pt)に下がったが、財務の健全性は高い水準を保つ。
- 主要数値
- レバレッジ指標
| 勘定科目 | 数値 | 補足情報 |
|---|---|---|
| 現金及び預金 | 420,487百万円 | 前期末比+42.2% |
| 自己資本 | 603,333百万円 | 同+9.7%。CB転換で資本金・資本剰余金が増加 |
| 有利子負債 | 162,036百万円 | 同▲15.8%。社債・CB・長期借入金の合計(当レポート試算) |
| └ 社債(1年内償還予定を含む) | 45,000百万円 | 前期末60,000百万円 |
| └ 転換社債型新株予約権付社債 | 56,036百万円 | 前期末72,476百万円。期末後に額面11,500百万円が転換 |
| └ 長期借入金 | 61,000百万円 | 前期末60,000百万円 |
| 前受金 | 199,746百万円 | 前期末比+146.8% |
| 棚卸資産 | 82,722百万円 | 同+16.6%。商品・仕掛品・原材料の合計 |
| フリーCF | 144,292百万円 | 営業CF193,178−投資CF48,886(当レポート試算) |
| EBITDA | 95,993百万円 | 営業利益+減価償却費。前年同期比+65.5%(当レポート試算) |
| 指標 | 数値 | 補足 |
|---|---|---|
| Net Debt/EBITDA | ▲1.55倍 | ネットキャッシュ258,451百万円を直近12ヶ月EBITDA166,347百万円で除した値。前期末▲0.80倍(当レポート試算) |
| Debt/Equity | 0.27倍 | 前期末0.35倍(当レポート試算) |
| インタレストカバレッジレシオ | 140.5倍 | 営業利益÷支払利息。前年同期46.7倍(当レポート試算) |
| 自己資本比率 | 53.5% | 前期末57.3%(会社開示) |
決算発表と同時に出た適時開示
足許四半期中の主要発表
過去1年間の大量保有報告/重要提案
- 三井住友信託銀行: 9.3%→8.2%(2026/06/30) - 政策投資、投資信託・投資一任契約に基づく運用。2025/11/14には7.0%→9.5%に増加
- 野村證券: 11.7%→11.4%(2026/05/29) - 証券業務の商品在庫、累積投資業務、信託財産の運用。2025/11/04に6.5%→10.8%へ増加後、10%を超える水準で推移
- ブラックロック・ジャパン: 6.7%→7.2%(2026/05/29) - 純投資。2026/02/27には5.0%→6.7%に増加
- GICプライベート・リミテッド: 5.1%→3.8%(2026/02/25) - 純投資。経営権取得の予定はない
- 三菱UFJフィナンシャル・グループ: 新規→5.0%(2026/02/09) - 政策投資、純投資、商品有価証券
- みずほ証券: 6.0%→4.9%(2026/01/30) - ディーリング、デリバティブ取引関連、投資信託・投資一任
- 大和アセットマネジメント: 0.0%→5.2%(2025/11/14) - 証券投資信託・投資一任契約の顧客資金、商品在庫
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