アクセルスペースホールディングス 通期 決算速報

AxelGlobe事業の防衛省案件が売上を牽引し前年比+58.1%増収、GRUS-3打上げ成功で来期売上高9,000百万円への飛躍が視野に

配信日2026年7月29日 18:45 JST

通期決算を踏まえた評価点

売上⾼は前年⽐+58.1%の2,508百万円、AxelGlobe事業(売上⾼986百万円、同+278.6%)の防衛省案件が成⻑を牽引。 受注残⾼は53,375百万円(同+366.3%) に急拡⼤し、中期的な売上の可視性が格段に向上した。

  • 売上総利益797百万円(前年⽐+639.9%)、売上総利益率31.8%(+25.0pt)。 AxelGlobe事業の売上総利益が▲42百万円→657百万円へ⼤幅改善
  • AxelGlobe事業の受注残⾼43,074百万円。防衛省「衛星コンステレーションの整備‧ 運営等事業」契約総額436億円が基盤を形成
  • 2026年7⽉7⽇にGRUS-3(7機)の打上げ成功、7⽉10⽇にクリティカル運⽤を完了、7月17日に初撮影画像を公開。2026年中の商⽤運⽤開始で来期の収益貢献を⾒込む
  • IPOによる資⾦調達7,935百万円を完了。⾃⼰資本⽐率31.8%→47.7%へ改善し、 財務基盤を強化
  • AL Lab事業で3件の契約が締結済(シナノケンシ、Pale Blue、JAXA)。軌道上実証サービスの事業基盤確⽴が進展

通期決算を踏まえた懸念点

営業損失▲3,822百万円(前年▲2,495百万円)、純損失▲4,057百万円(同▲1,950百万円)と赤字が拡大。研究開発費+1,335百万円、販管費合計4,620百万円(同+77.5%)の先行投資負担が重い。

  • 営業CFは▲5,123百万円(前年▲4,329百万円)、投資CFは▲2,117百万円と大幅な資金流出が継続。現預金5,815百万円で当面の運転資金を確保するも、追加の資金調達が必要となる可能性
  • 継続企業の前提に重要な疑義を生じさせる事象が存在。営業損失・営業CF双方のマイナスが継続
  • 支払利息347百万円(前年100百万円)と金融コストが急増。有利子負債5,269百万円の返済負担に留意
  • みずほ銀行との財務制限条項で2029年5月期以降の経常黒字・当期黒字達成が求められる。黒字化時期が後ずれするリスク
  • AxelGlobe事業の民間企業向け売上高116百万円(前年比▲13.1%)。政府系案件への依存度が高く(88%)、顧客基盤の多角化が課題

注目点/今後確認したいポイント

  • GRUS-3(7機)の初期運用から商用運用への移行スケジュール。商用運用開始の遅延は来期売上高9,000百万円達成に直結するため、進捗の継続的な確認が不可欠
  • 防衛省「衛星コンステレーションの整備・運営等事業」の要求水準達成状況。未達時のペナルティ(返納等措置)が業績に与える影響を注視
  • AL Labの定期便化に向けた受注獲得状況。2030年5月期までに年4回の打上げ体制を目指す中、現状の契約件数3件からの拡大ペースが事業の成否を左右
経営陣への論点
  • 来期売上⾼9,000百万円のセグメント別・四半期別の売上計上⾒通し
  • GRUS-3の商⽤運⽤開始時期の確度と、遅延した場合の業績影響
  • 防衛省案件における要求⽔準達成に向けた品質管理体制と達成確度
  • AxelGlobe事業の⺠間企業向け売上拡⼤に向けた具体的な営業戦略
  • LOI締結30社超のうち、有償契約への転換率の⾒通し
  • 2031年5月期末までに30機に拡大させると発表した衛星の開発進捗と資⾦計画
  • 追加の資⾦調達(エクイティ・デット)の時期・規模の想定
  • 機能別組織への再編による具体的な効率改善効果の定量化
  • 中分解能衛星1機当たりの製造・打上げコスト7億円の低減ロードマップ

主要業績ハイライト

勘定科目数値前年比
売上高2,508百万円+58.1%
総収入(Non-GAAP)2,995百万円+29.0%
売上総利益797百万円+639.9%
営業利益▲3,822百万円-
経常利益▲3,712百万円-
親会社株主に帰属する当期純利益▲4,057百万円-
EPS▲65.84円-
1株当たり純資産104.65円+50.1%
包括利益▲4,057百万円-
受注残高53,375百万円+366.3%
調整後EBITDA▲3,340百万円-

売上総利益率は6.8%→31.8%へ+25.0pt改善。売上原価1,710百万円(同+15.7%)に対し売上高の伸びが上回った。一方、販管費4,620百万円(同+77.5%)が利益を圧迫。研究開発費2,673百万円(同+1,335百万円増)が最大の増加要因。営業外では補助金収入487百万円(同▲248百万円)、支払利息347百万円(同+247百万円)。特別損失に減損損失290百万円を計上。

事業セグメント別の業績

AxelLiner事業はKプログラムの進捗に伴い売上原価が増加した結果、売上⾼が前年⽐+14.8%の1,522百万円。AxelGlobe事業は防衛省「衛星コンステレーションの整備‧ 運営等事業」の開始が売上⾼を前年⽐+278.6%へ押し上げた。2026年3⽉の組織変更により、⾃社商⽤衛星のバス部開発費をAxelLiner→AxelGlobeに付替え、セグメント損益は2025年5月期も変更後の測定方法に基づき作成されている。

セグメント別業績表

セグメント名売上高前年比セグメント利益前年比利益率
AxelLiner事業1,522百万円+14.8%▲277百万円--
AxelGlobe事業986百万円+278.6%▲1,595百万円--
調整額(全社費用等)--▲1,838百万円--
合計2,508百万円+58.1%▲3,712百万円--

※セグメント利益は経常利益ベース

好調な事業
  • AxelGlobe事業(政府系機関向け):売上⾼870百万円(前年⽐+585.4%)。防衛省「衛星コンステレーションの整備・運営等事業」の画像データ取得業務が2026年4⽉より開始、売上総利益が▲42百万円→657百万円へ黒字転換
  • AxelLiner事業(AL Lab):当期よりサービス提供を開始
不調な事業
  • AxelGlobe事業(⺠間企業向け):売上⾼116百万円(前年⽐▲13.1%)。GRUS-3の商⽤運⽤開始前であり、既存GRUS-1の撮影画像のみでの営業活動に制約

業績予想比の進捗率

本決算は通期実績であるため、通期計画に対する進捗率の算出は不要。なお、来期(2027年5月期)業績予想に対する当期実績を基点とした方向感として、売上高は当期2,508百万円→来期9,000百万円(+258.8%)と急拡大を見込む。防衛省案件の通年寄与とGRUS-3の商用運用開始がドライバー。

勘定科目当期実績来期計画備考
売上高2,508百万円9,000百万円+258.8%
営業利益▲3,822百万円▲800百万円赤字縮小
純利益▲4,057百万円▲240百万円赤字縮小
  • 受託案件の納品・検収タイミングやプロジェクトの進捗状況により四半期ごとに変動し、第4四半期(3月~5月)に売上高が集中する傾向

来期の業績予想

防衛省案件の通年寄与(想定売上⾼62億円) とGRUS-3(7機)商⽤運⽤開始による撮影能⼒増強を前提に、売上⾼は+258.8%の急拡⼤を計画。AxelGlobe事業のセグメント利益3,400百万円が全社⾚字縮⼩の主因。為替前提は1ドル=160円、1ユーロ=190円。

  • 売上高: 9,000百万円 (+258.8%)
  • 総収入(Non-GAAP): 10,210百万円 (+240.8%)
  • 営業利益: ▲800百万円(赤字縮小)
  • 経常利益: ▲150百万円(赤字縮小)
  • 純利益: ▲240百万円(赤字縮小)
  • EPS: ▲3.60円(赤字縮小)

セグメント別:AxelLiner事業 売上高2,920百万円(+91.9%)、セグメント損失▲770百万円。AxelGlobe事業 売上高6,080百万円(+516.9%)、セグメント利益3,400百万円。

株主還元への言及

2026年5月期の年間配当は無配(0.00円)。2027年5月期も無配予想。先行投資局面にあり、配当開始時期は未定。

財務状況

IPOによる公募増資7,935百万円の調達で自己資本比率は47.7%(前年31.8%)へ改善。一方、有利子負債は5,269百万円と高水準を維持しており、先行投資に伴う資金流出が継続。現預金5,815百万円で当面の事業運営資金を確保。

  • 主要数値
  • レバレッジ指標
勘定科目数値補足情報
現金及び預金5,815百万円前期比+16.2%
総資産14,609百万円前期比+53.4%
└ 流動資産合計11,025百万円前期比+17.3%
└ 固定資産合計3,583百万円前期比+2,736.3%
有利子負債合計5,269百万円短期借入金0 + 1年内返済予定2,007 + 長期借入金3,262
└ 1年内返済予定の長期借入金2,007百万円前期比+804.3%
└ 長期借入金3,262百万円前期比▲34.1%
純資産6,993百万円前期比+131.0%
自己資本6,974百万円前期比+130.5%
建設仮勘定3,335百万円GRUS-3製造に伴い新規計上

決算発表と同時に出たニュース

  • 2026/07/14
    みずほ銀行との当座貸越契約における財務制限条項を変更。経常・当期損益の黒字達成義務の初回判定期を2027年5月期→2029年5月期へ繰延 財務上の特約が付された当座貸越契約及び限度貸付契約の変更のお知らせ

足許四半期中の主要発表

  • 2026/05/29
    高分解能衛星2機の打上げ機会をExolaunchと合意。確保済み打上げスロットは合計15機に拡大 Exolaunchと新たに衛星の打上げに合意
  • 2026/06/16
    KSATと衛星通信用地上局アンテナ利用契約を締結。契約金額は2025年5月期売上高の10%超、GRUSシリーズのサービス安定化に向けたインフラ強化 Kongsberg Satellite Services AS(KSAT)と衛星通信用地上局アンテナ利用契約について合意
  • 2026/06/30
    JAXAとAL Lab提供に関する請負契約を締結。契約金額319百万円(1年契約、総額638百万円を予定)、宇宙機用高機動型電気推進の基礎研究 (開示事項の経過)AxelLiner Laboratoryの提供に関する請負契約書をJAXAと締結
  • 2026/07/08
    GRUS-3(7機)の打上げおよびファーストボイス受信に成功。SpaceX Falcon 9により全機が予定軌道に投入 次世代地球観測衛星「GRUS-3」7機の打ち上げおよび電波受信成功
  • 2026/07/10
    GRUS-3(7機)のクリティカル運用を正常に完了。電力・通信・姿勢制御の健全性を確認し、初期運用フェーズへ移行 次世代地球観測衛星「GRUS-3」クリティカル運用を正常に完了

過去1年間の大量保有報告/重要提案

  • SBI Ventures Two(共同保有):0.00%→5.30%(2026/07/03) - 純投資‧ 証券業務の商品在庫
  • グローバル‧ ブレイン(共同保有):12.04%→3.91%(段階的売却、 直近報告2026/05/19) - 純投資
  • 31VENTURES-グローバル・ブレイン-グロースⅠ:9.27%→1.10%(段階的売却、 直近報告2026/05/19) - 純投資
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