3Q決算を踏まえた評価点
3Q会計期間は売上高4,296百万円(前年比+17.7%)、営業利益759百万円(同+198.3%)。6月配信の『イナズマイレブン クロス』が初めて四半期フルで寄与し、2Q比で増収増益となった。外部決済比率の上昇と販管費の抑制も効き、利益は会社の四半期予想を上回った。
- 3Q会計期間の売上総利益率62.5%(前年比+5.7pt)、営業利益率17.7%(同+10.7pt)。新作の売上寄与で固定費負担が軽減
- 3Q営業利益は四半期予想482百万円に対し+276百万円、純利益は予想239百万円に対し+279百万円で着地
- 外部決済比率の上昇でPF手数料の伸びを抑制。PF手数料の対売上高比率は14.8%となり、前年同期の16.3%から低下(当レポート試算)
- 3Q累計期間の持分法による投資損失は399百万円に縮小(前年同期947百万円)。経常段階の減益率は▲31.1%で、営業段階より小幅
- 従業員数は649名(前年同期比▲56名)。運営人員の適正化を進めつつ、新作開発費等308百万円/四半期の投資を継続
3Q決算を踏まえた懸念点
累計では売上高▲11.6%、営業利益▲38.6%と減収減益。前年1Qの高水準な売上5,168百万円の反動が大きい。4Q予想の営業利益は130百万円で前四半期比▲82.8%となり、新作の初動に依存した収益の振れが改めて表れた。
- 累計の売上総利益率59.0%(前年比▲4.3pt)。売上原価が4,583百万円と前年並みにとどまる一方、売上高は減少
- 3Q売上高は予想を▲183百万円下回り、イナズマの初動を踏まえた想定に届かず。利益上振れの一因は広告宣伝費等のコスト未消化
- 4Q予想は売上高3,509百万円(前四半期比▲18.3%)。イナズマのリリース直後の反動とDQタクト6周年の剥落を織り込む
- Betimoは投資フェーズが続き、持分法損失が経常利益を圧迫。関係会社株式は426→262百万円に減少
- 売掛金及び契約資産が+1,370百万円と増加した一方、現預金は減少。有利子負債は100→624百万円に増加
注目点/今後確認したいポイント
- 『イナズマイレブン クロス』の2四半期目以降の定着度。リリース直後の反動を織り込んだ4Q売上高3,509百万円の達成可否が、通期着地の鍵
- 『ホロライブ麻雀 -ホロじゃん-』の4Q配信と、2027年発売予定のコンシューマ『陰の実力者になりたくて!Phantom Echoes』。新作パイプラインの収益化が次年度の成長軌道を左右
- Betimoの単月黒字化に向けた進捗と持分法損失の縮小ペース。経常段階の利益水準を決める要素として継続確認が必要
- 『イナズマイレブン クロス』の3Q売上が予想に届かなかった要因と、4Q以降に想定する売上減衰カーブ
- 『ホロじゃん』の配信時期と、4Q予想に織り込んだ売上・広告宣伝費の規模
- Betimoの単月黒字化の目標時期と、持分法損失の縮小見通し
- 外部決済比率の現状水準と、既存タイトルへの展開によるPF手数料率の改善余地
- 売掛金倍増の内訳と回収時期、および借入増加の資金使途
主要業績ハイライト
| 勘定科目 | 数値 | 前年同期比 |
|---|---|---|
| 売上高 | 11,167百万円 | ▲11.6% |
| 売上総利益 | 6,584百万円 | ▲17.6% |
| └ 売上総利益率 | 59.0% | ▲4.3pt |
| 販管費 | 5,294百万円 | ▲10.1% |
| 営業利益 | 1,289百万円 | ▲38.6% |
| └ 営業利益率 | 11.5% | ▲5.1pt |
| 受取分配金 | 111百万円 | ▲63.1% |
| 持分法による投資損失 | 399百万円 | ▲57.9% |
| 経常利益 | 1,023百万円 | ▲31.1% |
| 非支配株主に帰属する四半期純利益 | 7百万円 | 前年同期125百万円 |
| 親会社株主に帰属する四半期純利益 | 901百万円 | ▲23.3% |
| EPS | 19.32円 | ▲23.2% |
| 3Q会計期間 売上高 | 4,296百万円 | +17.7% |
| 3Q会計期間 営業利益 | 759百万円 | +198.3% |
| 3Q会計期間 純利益 | 518百万円 | +49.4% |
| 研究開発活動の金額 | 800百万円 | - |
(利益率・前年比は当レポート試算。3Q会計期間の数値と前年比は会社開示)累計の減益は、前年1Qの高い売上ベースの反動が主因。3Q単独は前年同期比で大幅増益となり、累計の流れから反転した。純利益は法人税等調整額▲115百万円の計上で、経常利益より減益率が小幅。
事業セグメント別の業績
オンラインゲーム事業の単一セグメント。3Q会計期間の売上高は2Q比+673百万円で、内訳は配信サービス+570百万円、制作/運営受託+102百万円(会社開示)。新作の寄与と受託案件の検収が重なり、四半期ベースで回復が明確になった。
セグメント別業績表
| セグメント名 | 売上高 | 前年同期比 | 営業利益 | 前年同期比 | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| オンラインゲーム事業(全社) | 11,167百万円 | ▲11.6% | 1,289百万円 | ▲38.6% | 11.5% |
- 『イナズマイレブン クロス』:初の四半期フル寄与で、配信サービス売上を2Q比+570百万円押し上げ。AUと課金率は引き続き高水準
- 『ドラゴンクエストタクト』:6周年イベントと新キャラクター追加で収益に寄与。AUは減少した一方、課金率は上昇
- 『陰の実力者になりたくて!マスターオブガーデン』:AUと課金率がともに増加。ベトナム・タイ向けライセンスアウトで海外収益化の新たな経路を確保
- 制作/運営受託:複数案件の検収で2Q比+102百万円。『パワプロアドベンチャーズ』の運営協力等が安定収益を下支え
- 既存タイトル群の課金効率:『銀河英雄伝説 Die Neue Saga』は課金率・ARPPUとも減少、『リリサ』は課金率が減少。AU増加を課金に結び付ける余地が残る
- 『剣と魔法のログレス いにしえの女神』:長期運営によるKPI低下は続くが、利益水準は堅実と会社は説明
- Betimo(持分法適用):車券取扱高は積み上がる一方、投資フェーズが続き、累計で持分法投資損失399百万円を計上
業績予想比の進捗率
通期予想は3Q累計実績に4Q予想を加えた数値。このため進捗率は営業利益90.8%、純利益96.1%と高く、実質的な焦点は4Q予想(売上高3,509百万円、営業利益130百万円)の達成可否となる。4Q予想の売上高は前年4Q実績3,186百万円を+10.1%上回り、営業利益も前年4Qの▲18百万円から黒字転換を見込む(前年比は当レポート試算)。
| 勘定科目 | 数値 (第3四半期累積) | 通期計画 | 進捗率 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 11,167百万円 | 14,676百万円 | 76.1% |
| 営業利益 | 1,289百万円 | 1,419百万円 | 90.8% |
| 経常利益 | 1,023百万円 | 1,066百万円 | 96.0% |
| 純利益 | 901百万円 | 938百万円 | 96.1% |
- 新作リリースや主要タイトルの周年イベントの時期で、四半期業績が大きく変動。会社は短期変動の大きさを理由に翌四半期の予想のみを開示
- 4Qは既存タイトルの周年・年末年始イベントで広告宣伝費が増える傾向(会社説明)
業績予想の変更有無
業績予想は修正あり。今回、3Q累計実績に新規の4Q予想を加えて通期予想を設定した。3Q会計期間は売上高が予想を下回った一方、コストが計画を下回り、利益は予想を上振れた。
- 3Q会計期間 売上高:予想4,479→実績4,296百万円(▲183百万円)
- 3Q会計期間 営業利益:予想482→実績759百万円(+276百万円)
- 3Q会計期間 純利益:予想239→実績518百万円(+279百万円)
- 4Q予想(新規):売上高3,509百万円、営業利益130百万円、経常利益43百万円、純利益36百万円
- 修正理由:イナズマの売上はやや予想を下回ったが、ロイヤリティとPF手数料の減少、広告宣伝費の抑制、外部決済比率の上昇で販管費が予想比▲371百万円となり、利益が上振れ
株主還元への言及
2026年12月期の第3四半期末までの配当は0.00円で、期末の配当予想は未定のまま。配当予想の修正はなく、自己株式の取得にも言及はない。
財務状況
自己資本比率73.4%を維持し、ネットキャッシュ4,730百万円の健全な財務体質。一方、売上債権の増加と借入の拡大で、運転資金の負担が増えている。
- 主要数値
- レバレッジ指標
| 勘定科目 | 数値 | 補足情報 |
|---|---|---|
| 現金及び預金 | 5,355百万円 | 前期末比▲2.6% |
| 売掛金及び契約資産 | 2,767百万円 | 前期末比+98.0% |
| 総資産 | 10,598百万円 | 前期末比+15.1% |
| 自己資本 | 7,777百万円 | 前期末比+13.1% |
| 有利子負債 | 624百万円 | 前期末100百万円 |
| └ 短期借入金 | 74百万円 | 前期末100百万円 |
| └ 1年内返済予定の長期借入金 | 199百万円 | 前期末なし |
| └ 長期借入金 | 350百万円 | 前期末なし |
| ネットキャッシュ | 4,730百万円 | 現金及び預金−有利子負債(当レポート試算) |
| EBITDA | 1,359百万円 | 営業利益+減価償却費70百万円、9ヶ月累計(当レポート試算)。前年同期2,150百万円から▲36.8% |
| 指標 | 数値 | 補足 |
|---|---|---|
| Net Debt/EBITDA | ▲3.5倍 | ネットキャッシュ、9ヶ月累計EBITDAベース(当レポート試算) |
| Debt/Equity | 0.08倍 | 前期末0.01倍(当レポート試算) |
| インタレストカバレッジレシオ | 271.3倍 | 営業利益÷支払利息4百万円、9ヶ月累計(当レポート試算) |
| 自己資本比率 | 73.4% | 前期末74.7%から▲1.3pt(会社開示) |
決算発表と同時に出た適時開示
足許四半期中の主要発表
- 2026/07/29ゲーム製作委員会(特定子会社)の解散を公表。3Q累計でリリサ製作委員会が連結範囲から除外
- 2026/09/04『陰の実力者になりたくて!』初のコンシューマゲームを2027年に発売すると発表。PS5、Switch 2、Steam等のマルチプラットフォーム展開
- 2026/10/09ホロライブ初の麻雀ゲームを発表し事前登録を開始。タレント37名が参加し、4Q予想の増収要因に位置付け
- 2026/10/19『陰の実力者になりたくて!マスターオブガーデン』のベトナム・タイ向け海外ライセンス契約を締結。既存IPのライセンスアウトによる収益源の拡大
- 2026/10/19東証スタンダード市場への市場区分変更が承認され、10月26日付で移行
過去1年間の大量保有報告/重要提案
該当なし
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