通期決算を踏まえた評価点
売上高7,113百万円(前年比+15.6%)、営業利益3,017百万円(同+10.0%)と増収増益で着地。再エネPF事業と調整力事業(その他)が収益貢献段階に入った点が構造変化として重要。
- 売上総利益率81.4%(前年比+7.0pt)、売上原価1,320百万円へ▲16.1%圧縮し収益構造が改善
- 再エネPF事業は売上711百万円(前年比+58.5%)、セグメント利益370百万円(同+207.4%)で利益率52.0%へ
- その他事業(調整力)は売上518百万円(同+82.3%)、利益136百万円と前期▲245百万円から黒字転換
- 需要家契約容量871MW、再エネ発電家契約容量393MW、系統用蓄電池取扱量165MWとKPIが積み上がり
- 有形固定資産取得4,341百万円を実行、建設仮勘定4,022百万円と蓄電池アセットの先行投資が資産計上段階へ
通期決算を踏まえた懸念点
2027年7月期計画は売上高+12.0%の増収を見込む一方、営業利益2,865百万円(前年比▲5.0%)、純利益1,673百万円(同▲17.9%)の減益計画。電力PF事業のDGP手数料収益が減少するなか、蓄電池投資に伴う借入増と費用先行が損益・財務両面に及ぶ局面。
- 電力PF事業のDGP手数料収益3,881百万円(前年比▲13.6%)、セグメント利益3,499百万円(同▲0.9%)と横ばい
- 電力PF事業の増収は送配電事業者との電力精算等による収益1,803百万円(前年比+128.6%)が主因、手数料本体は縮小
- 販管費2,775百万円(同+51.0%)、全社経費(調整額)▲988百万円へ拡大し営業利益率42.4%(同▲2.2pt)
- 営業CF▲1,849百万円、投資CF▲4,396百万円で資金流出が先行、未収入金は5,388百万円増加
- 有利子負債9,294百万円(前期1,612百万円)、自己資本比率34.1%(前期46.5%)へ低下
注目点/今後確認したいポイント
- 電力PF事業のDGP手数料収益減少の要因分解。市場連動型メニューを採る新規参入増という競争環境認識と、契約容量871MWの拡大が手数料単価にどう作用するか。
- 蓄電池アセットの収益化タイミング。建設仮勘定4,022百万円の運転開始時期と、需給調整市場での運用容量拡大がその他事業の利益率に与える寄与。
- 2027年7月期の減益計画の内訳。営業利益▲5.0%に対し経常利益▲17.7%と下振れ幅が大きく、支払利息等の金融費用増加の想定水準。
- 電力PF事業のDGP手数料収益▲13.6%の要因と2027年7月期の単価前提
- 蓄電池100億円投資(2028年7月期までに達成予定)の年度別投資額と想定利回り
- 未収入金15,154百万円の回収サイクルと運転資金負担の平準化策
- 短期借入金7,850百万円の調達構造、長期化・資本性資金への切替方針
- 中期経営目標(2029年7月期ROE20%+、営業利益率30%+)と2027年減益計画の整合性
主要業績ハイライト
| 勘定科目 | 数値 | 前年同期比 |
|---|---|---|
| 売上高 | 7,113百万円 | +15.6% |
| └ DGP手数料収益 | 4,514百万円 | ▲5.8% |
| └ 顧客との契約以外の源泉から生じた収益 | 1,704百万円 | +116.2% |
| 売上原価 | 1,320百万円 | ▲16.1% |
| 売上総利益 | 5,793百万円 | +26.5% |
| 販売費及び一般管理費 | 2,775百万円 | +51.0% |
| 営業利益 | 3,017百万円 | +10.0% |
| 経常利益 | 2,909百万円 | +11.3% |
| └ 営業外収益(うち容量拠出金精算益) | 133百万円 | - |
| └ 営業外費用(うち支払手数料) | 188百万円 | +1,151.7% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 2,037百万円 | +9.0% |
| EPS | 50.80円 | ▲1.3% |
| 潜在株式調整後EPS | 44.35円 | +7.2% |
| 売上総利益率 | 81.4% | +7.0pt |
| 売上高営業利益率 | 42.4% | ▲2.2pt |
| ROE | 21.7% | ▲0.9pt |
| 営業CF | ▲1,849百万円 | 前期321百万円 |
EPSは純利益+9.0%に対し▲1.3%と減少。期中平均株式数が36,343千株から40,112千株へ増加したことによる(当レポート試算による要因整理)。売上原価と販管費の増減率、利益率、EPS前年比は当レポート試算。
事業セグメント別の業績
電力PF事業は契約容量871MW到達で売上を伸ばす一方、DGP手数料収益の減少により利益は微減。再エネPF事業はコーポレートPPAと非化石証書代理調達の拡大で利益が3.1倍、その他(調整力)事業は蓄電池アグリゲーションの立ち上がりで黒字転換し、収益源の分散が進展。
セグメント別業績表 (売上高は外部顧客売上とその他収益の「計」ベース、連結売上高と一致)
| セグメント名 | 売上高 | 前年同期比 | セグメント利益 | 前年同期比 | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 電力PF事業 | 5,884百万円 | +8.6% | 3,499百万円 | ▲0.9% | 59.5% |
| 再エネPF事業 | 711百万円 | +58.5% | 370百万円 | +207.4% | 52.0% |
| その他(調整力事業等) | 518百万円 | +82.3% | 136百万円 | 前期▲245百万円 | 26.3% |
| 調整額(全社経費) | - | - | ▲988百万円 | - | - |
| 連結計 | 7,113百万円 | +15.6% | 3,017百万円 | +10.0% | 42.4% |
利益率は当レポート試算。
- 再エネPF事業:DGP手数料収益632百万円(前年比+113.5%)。RE Bridge登録発電事業者150社超・登録設備容量2GW超へ拡大し、バーチャルPPA案件が積み上がり。
- 再エネPF事業(エコのはし):FIT非化石証書代理調達の仲介取扱量が累計32億kWhを突破。契約容量393MW到達で仲介ベースの収益が拡大。
- その他事業(調整力):売上+82.3%。系統用蓄電池取扱量がサービス開始約1年7カ月で165MW突破、固定費を吸収し黒字転換。
- 電力PF事業(低圧):7月より法人向け低圧電力サービスを開始。需要家層の裾野拡大で契約容量871MWの積み上げに寄与。
- 電力PF事業(DGP手数料):手数料収益3,881百万円(前年比▲13.6%)。市場連動型メニューを採用する新規参入増加により競争環境が本来の姿へ移行、単価面の圧力が顕在化。
- 全社(調整額):全社経費▲988百万円と前期▲661百万円から拡大。人員・体制強化と上場後の管理コスト増が営業利益率を3.1pt押し下げ。
業績予想比の進捗率
通期決算のため進捗率は該当せず。会社は2027年7月期計画として売上高7,967百万円(前年比+12.0%)、営業利益2,865百万円(同▲5.0%)、調整後EBITDA3,185百万円(同+4.5%)、純利益1,673百万円(同▲17.9%)を公表。増収でも営業減益計画である点、および営業利益の減少率に対し経常・純利益の減少率が大きい点が2027年7月期の主要な確認事項。
| 勘定科目 | 2026年7月期実績 | 2027年7月期計画 | 増減率 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 7,113百万円 | 7,967百万円 | +12.0% |
| 調整後EBITDA | - | 3,185百万円 | +4.5% |
| 営業利益 | 3,017百万円 | 2,865百万円 | ▲5.0% |
| 経常利益 | 2,909百万円 | 2,394百万円 | ▲17.7% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 2,037百万円 | 1,673百万円 | ▲17.9% |
| EPS | 50.80円 | 40.02円 | ▲21.2% |
調整後EBITDAは会社定義(EBITDA=営業利益+減価償却費、に株式報酬費用を加算)。EPS増減率は当レポート試算。
- 短信に季節性に関する会社説明はなし。四半期別営業利益(累計差引による当レポート試算)は1Q1,067百万円、2Q469百万円、3Q911百万円、4Q570百万円と期中変動あり。
業績予想の変更有無
2026年7月期は通期実績の開示であり、予想の修正には該当しない。2027年7月期計画を新規開示し、電力PF事業の契約容量拡大、再エネPF事業のコーポレートPPA拡大、系統用蓄電池を軸とする第3の柱の育成を成長ドライバーとして位置付け。2029年7月期の中期経営目標としてROE20%+、営業利益率30%+、調整後EBITDAマージン40%+、総契約容量CAGR30%+を提示。
株主還元への言及
2026年7月期は無配(年間配当0.00円)。2027年7月期予想も年間0.00円で、成長投資優先の方針を継続。自己株式は期末で保有なし。
財務状況
蓄電池アセット投資に伴い短期借入金が7,590百万円増加し、総資産は30,817百万円へ73.0%拡大。自己資本比率34.1%と前期から12.4pt低下したものの、Net Debt/EBITDAは1倍未満で、投資フェーズ移行に伴うレバレッジ上昇局面。
- 主要数値
- レバレッジ指標
| 勘定科目 | 数値 | 補足情報 |
|---|---|---|
| 現金及び現金同等物 | 6,295百万円 | 前期比+35.4% |
| 未収入金 | 15,154百万円 | 前期比+55.2% |
| 有形固定資産 | 4,455百万円 | 前期比+4,347百万円 |
| └ 建設仮勘定 | 4,022百万円 | 前期4百万円 |
| 総資産 | 30,817百万円 | 前期比+73.0% |
| 自己資本 | 10,521百万円 | 前期比+27.1% |
| 有利子負債 | 9,294百万円 | 前期1,612百万円 |
| └ 短期借入金 | 7,850百万円 | 前期比+7,590百万円 |
| └ 1年内返済予定の長期借入金 | 170百万円 | 前期353百万円 |
| └ 長期借入金 | 1,273百万円 | 前期比+274百万円 |
| EBITDA | 3,038百万円 | 営業利益3,017百万円+減価償却費20百万円(当レポート試算) |
後発事象として、連結子会社デジタルグリッドアセットマネジメントがJA三井リースと元本2,000百万円・弁済期限2028年6月末の金銭消費貸借契約を締結(担保有)。財務上の特約として2027年7月期連結EBITDAのプラス維持を求める条項が付されている。
決算発表と同時に出た適時開示
該当なし
足許四半期中の主要発表
- 2026/07/24シンジケート型コミットメントラインを増額変更し、蓄電池投資等に向けた機動的な資金調達枠を拡充 シンジケート型コミットメントライン契約(増額変更)の締結に関するお知らせ
- 2026/08/03系統用蓄電池の取扱量がサービス開始約1年7カ月で150MWを突破、調整力事業の拡大を裏付け 系統用蓄電池の取扱量が150MWを突破
- 2026/08/17ゴルフ場跡地活用の真庭太陽光発電所が運転開始、LINEヤフーへ20年間環境価値を供給する大型PPA案件 ゴルフ場跡地を活用した真庭太陽光発電所が運転開始
- 2026/08/20需給調整市場での運用容量が100MW超へ、50MW達成から約3カ月で倍増 需給調整市場での運用容量が100MW超に
- 2026/09/08初の低圧系統用蓄電所が受電開始、100カ所を束ねて需給調整市場へ参加する計画 デジタルグリッド初の低圧系統用蓄電所が受電開始
過去1年間の大量保有報告/重要提案
- 株式会社FD: 5.39%→5.16%(2025/11/10提出、2025/11/11訂正) - 協力関係を維持するための政策保有、担保契約等重要な契約の変更
- 株式会社FD: 5.16%→5.16%(2025/12/02) - 政策保有、担保契約等重要な契約の変更
- 株式会社東芝: 13.48%→12.90%(2026/01/23) - 協力関係維持のための政策保有、保有株数は変動なし
- 株式会社FD: 5.16%→5.16%(2026/03/05、2026/03/11訂正) - 政策保有(訂正報告書で提出義務のない状況での提出と訂正)
- 株式会社東芝: 12.90%→12.37%(2026/04/07) - 協力関係維持のための政策保有
- 豊田祐介氏: 8.88%→8.04%(2026/07/22) - 代表取締役社長として経営への参加および経営安定化を図る安定株主保有
- 近清拓馬氏: 5.00%→4.59%(2026/07/22) - 取締役として経営への参加および経営安定化を図る安定株主保有
- 重要提案行為等: 各報告書とも該当事項なし
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