GA technologies 3Q 決算説明会速報

TVCM除けば事業利益YoY+30%超、GMV1兆円構想と米国事業の第3の柱化に手応え

配信日2026年9月14日 22:21 JST

サマリー

3Q単独のネット売上収益は13,016百万円(+23.5%)、事業利益は1,859百万円(+6.7%)。事業利益の3Q累計進捗率は57%にとどまるが、マスマーケティング費用および1Q計上の本社集約費を除いた調整後進捗率は74%(過去2期平均75%)であり、通期事業利益100億円は据え置き。経営陣は口頭で、TVCMを実施していなければ事業利益もYoY+30%を超えていたと説明し、今期の広告投資はRENOSY上のGMVを現状約3,000億円から1兆円へ引き上げるための先行投資と位置付けた。米国事業は3Q事業利益169百万円で黒字を継続し、RENOSY・ITANDIに続く第3の柱として170億円超の業績を見込む段階に到達を見込む段階に到達。

ポイント(決算の要点と成長アクション)

  • 経営戦略と市場認識
    • 不動産業界の課題は情報の非対称性・データ分断・低い業務生産性であり、AI×データで構造変革する方針を継続。
    • AI時代の差別化要因はUI/UXではなく実行機能と一次データであり、宅建業法上の重要事項説明・契約・融資取付までを自社で行う点を優位性と説明。
    • RENOSY・ITANDI双方で成約データ・物件データ・業務データを保有し、これらはウェブ上に存在しない一次情報であるとの認識。
    • AI領域での認知拡大により採用競争力が向上し、ハイレイヤー採用で競合に敗れる事例はほぼないと言及。
  • 足元の事業進捗と要因
    • 中古マンション成約件数の前年比低下・在庫5ヶ月連続増加・成約平米単価73ヶ月ぶり下落というマクロ環境下でも、主要KPIに悪影響は出ていないとの認識。
    • 成約件数が鈍化するのは金利ではなくRENOSYマーケットプレイス自体の競争力低下時であり、現時点で脅威となるプラットフォーマーは出現していないとの説明。
    • 管理物件(STUDIO)の平均家賃は全国9万円台で、入替時の増額実現率は96%超、直近の平均増額は1万円規模と家賃上昇率11〜12%相当。
    • マーケットプレイスの利益率改善は商材ラインアップ拡大によるクロスセルとリピートの増加が主因との説明。
  • 戦略的な重要施策や変化点
    • SPC証券グループの経営統合完了により3QからRENOSYセグメントへ連結し、アセットマネジメントを第3の収益柱として区分開示。
    • 小口化の電子取引免許取得は秋口を想定し、来期後半に効果が本格発現する見通し。
    • ITANDIは年間260〜270万件と言われる賃貸申込のうち約110万件を捕捉し、ライフラインサービスへ展開(ARR YoY+64%)。
    • 決算同日に連結子会社3社からの配当金3,820百万円受領を開示、連結業績への影響はなし。

今後の見通しと戦略

  • 通期ネット売上収益55,900百万円(+26.4%)、事業利益10,000百万円(+37.6%)を据え置き、4Qの広告宣伝費は例年比で抑制する計画。
  • 来期以降は1Qから利益が出る計画とし、四半期業績の平準化を再び進める方針。数年後に再度1Qを赤字化させるようなマス投資計画はないと明言。
  • TVCMは今期約15億円を投下したが、PDCAを経て来期はコスト約40%減で同等効果を狙い、マーケティング予算総額は今期と同水準を想定。ネット売上収益に対する広告宣伝費比率は来期・再来期と低下する計画。
  • 米国事業は黒字転換に向けた構造改革が今期で一巡し、来期以降は利益の範囲内での成長投資に移行。クロスボーダーの取引(米国投資家が日本物件、日本投資家が米国物件)を計画に織り込む。
  • 小口化はREITと異なり投資対象・条件の透明性とキャピタルゲインを提供でき、買い手・売り手・認知・データを併せ持つRENOSYだからこそ市場を創出できるとの見解。
  • AI投資を一丁目一番地としつつ、全社員参加型のパーパス・ミッション研修とGAバリュー研修で一人当たり出力を2倍化する意識改革へ投資。M&Aはデータ保有と実行機能を持つ領域に限定。

ポジティブ要因

  • ITANDIはネット売上収益+23.7%とコア事業利益率22.6%の合計が46.3%(当レポート試算)で、運営目線のRule of 40%を上回る水準。
  • ITANDI ARRは5,976百万円(+25%)、導入社数6,072社(+22%)、チャーンレート0.43%と低位安定。複数プロダクト導入比率の高さがARPU上昇余地を形成。
  • 米国事業はネット売上収益1,520百万円(+160.8%)、事業利益169百万円で黒字継続。2年前のM&A時点は売上40億円・赤字11億円、前期は売上80億円・赤字4億円、今期は売上170億円近辺と通期事業利益黒字が確実な段階との説明。
  • RENOSY会員数・オーナー数・サブスクリプション件数が揃って拡大し、購入から管理・売却までの循環モデルが機能。サブスクリプションは前期の一過性利益を吸収して増収増益。
  • CCCは16日・年22回転(FY25.10期在庫回転期間ベース)で、国内不動産上位20社平均365日・1回転、米Opendoor/Offerpad144日・3回転と比較して市況変動耐性が高い。
  • 中計2026の主要KPIはサブスクリプション事業利益率・ITANDI導入プロダクト数・海外売上収益が既に目標達成、管理戸数97%進捗とオントラック。

懸念事項・リスク

  • 事業利益の3Q累計進捗率57%に対し4Qで約43%を積み上げる必要があり、例年比を冒頭にと4Q集中の利益計上が前提。
  • マーケットプレイスのコア事業利益率は35.5%→30.4%へ低下し、3Q事業利益は2,393百万円(前年同期2,532百万円)と減益。マス投資の効果発現タイミングが今後の焦点。
  • ITANDIは需要拡大に応じた導入・CS体制強化でコストが先行する見通しであり、通期コア事業利益率は17.4%(前期20.8%)と低下計画。
  • 棚卸資産は25,189百万円(+9,734百万円)、有利子負債は39,325百万円(+14,862百万円)に増加。経営陣は小口化向けの戦略的・一時的増加でCCC30日以内の規律は不変と説明。
  • 政策金利の追加引き上げ局面で提携金融機関の不動産投資ローン金利は上昇傾向にあり、顧客の購買余力への影響は継続的な確認が必要。
  • 経営陣自身が、会社価値が投資家に十分伝わっていない点とアナリストカバレッジの少なさを課題として認識。

業績ハイライト

3Q単独のネット売上収益は13,016百万円(+23.5%)、事業利益は1,859百万円(+6.7%)、コア事業利益率は14.3%(前年同期16.6%)。3Qに約5億円のTVCMを実施したことで利益成長は一時的に緩やかとなったが、マスマーケティング費用等を除く調整後事業利益は2,350百万円。ネット売上収益の3Q累計進捗率は69%(過去2期と同水準)で、通期計画は据え置き。

セグメント別業績(3Q単独)

セグメント名ネット売上収益前年同期比事業利益前年同期比コア事業利益率
連結13,016百万円+23.5%1,859百万円+6.7%14.3%
RENOSY国内 マーケットプレイス7,875百万円+10.4%2,393百万円30.4%
RENOSY国内 サブスクリプション1,132百万円+17.7%574百万円+28.1%50.8%
RENOSY国内 アセットマネジメント121百万円68百万円56.7%
ITANDI リカーリング1,952百万円+23.7%440百万円+26.6%22.6%
US マーケットプレイス1,520百万円+160.8%169百万円11.2%
その他569百万円+89.1%410百万円+166.4%72.2%
調整額(全社費用他)▲155百万円▲2,198百万円
  • RENOSY会員数(累計): 677,772人 (+16%)
  • 既存オーナー数: 18,458人 (+14%)
  • サブスクリプション件数(国内): 40,905件 (+32%)
  • 成約トランザクション数(直近12ヶ月): 8,225件 (+874件)
  • 1成約あたりネット売上収益(直近12ヶ月): 4,136千円 (+8.6%、当レポート試算)
  • 物件パイプライン(直近12ヶ月): 5.0兆円 (+1.1兆円)
  • ITANDI ARR: 5,976百万円 (+25%)
  • ITANDI SaaS導入社数: 6,072社 (+22%)
  • ITANDIチャーンレート(直近12ヶ月平均): 0.43%
  • 入替時家賃の増額実現率(7月): 96.6%、平均増額金額10,205円
  • CCC(3Q末): 26.3日 (前年同期24.2日)

Q&A 一覧

  • Q: 通期業績予想についてお伺いします。3Qまでの事業利益の進捗率は約57%ですが、通期100億円の目標は据え置かれており、4Qでの利益の積み上げをどのように見込まれているか、達成に向けた確度をお聞かせください。
    A: 例年は4Qに広告宣伝費を多く投下していましたが、今期は期初から投下しており、例年に照らし合わせると進捗率74%になります。これまで第4Qで来期の投資をしていた分が、今期は第1四半期で投資をしているというのが前提になっておりますので、事業利益の確保については達成可能だと考えております。
  • Q: 昨年までは四半期業績のボラティリティを低減させていく方針だったと記憶していますが、今期以降の業績進捗に対する方針についてお聞かせください。
    A: 引き続き四半期のボラティリティについては改善させていく計画が前提です。今期については、今期の認知度の向上をさせるためにマスマーケティングで投資をしたということではなく、来期、再来期に向けたものです。今期のRENOSYのGMVは3,000億円で、RENOSY上で3,000億円のマッチングがされています。我々はこのRENOSY上で大台の1兆円のGMVを目指しており、この1兆円に向けた投資が今期のマスマーケティング投資になっています。今期は第1四半期に大きく投資をさせていただきましたが、来期以降はまた平準化に向けて取り組んでいきます。2年後、3年後にマスマーケティングに大きく投資をして、また第1四半期を赤字にしていく計画は今後ありません。今後は第1四半期から利益が出るような形で計画をしていきます。マーケティングについては、ネット売上収益に対する広告宣伝比率は来期、再来期と下がっていきます。GMV1兆円をやった状態の時には、ネット売上収益に対する広告宣伝比率は今よりも低いという計画を組み込んでおります。
  • Q: 金利上昇局面でも成長を維持できるとのご説明でしたが、マーケットプレイスについて、今後は成約件数と成約単価、それぞれどのように伸ばしていくお考えでしょうか。どちらに軸足を置かれるのかも含めてお聞かせいただけますでしょうか。
    A: マーケットプレイスにおいては、成約件数、成約単価、ともに重要KPIとして置いています。単価が上がっても件数が伸びなければダメなので、結論、両方注力しています。その中でも我々はRENOSYマーケットプレイス上でAmazonのように、Amazonが最初は本から始めて家電や日用品という形で商材を増やしました。その目的は何かと言えば、TAMの拡大とコンバージョンレートの上昇です。本しか売っていないのと、家電、日用品が売ってあるのであれば、当然顧客の滞在時間、コンバージョンレートは変わってきます。それと同じように、元々は中古コンパクトマンションが主力の商品だったところから、新築コンパクトマンション、新築アパート、中古アパート、新築戸建て、中古戸建て、海外不動産、小口化とラインアップを増やしているのは、シンプルにTAMの拡大とコンバージョンレートの拡大です。成約件数は商品ラインアップが増えればコンバージョンが上がるので増えます。成約件数が増えて商材が増えるとLTVが上がっていきます。RENOSYマーケットプレイス上で利益率が上がっているのは、商材が増えたことによって生産性が上がっているからです。そして売り手と買い手が一定の規模になってきたので、このマーケットプレイス内でリピート、そして多商材のクロスセルが行われてきたからこそ、利益率が上がってきているという状況になっております。
  • Q: マスマーケティングの効果について。今期は期初から約15億円の広告宣伝費を投下され、3Qには約5億円のテレビCMを実施されているかと思います。足元の手応えをどのように評価されているのか、また来期以降も継続されるかを教えてください。
    A: 我々は元々、金利上昇にも耐えうるような顧客セグメントをターゲティングし、駆られに響くようなテレビCMを制作していました。結果的に、我々がターゲットとしているような顧客の認知、そして会員数につながっておりますので、結果としては狙った通りにいっているかなと思っております。一定そこに対してPDCAを回すことができたので、今期はテレビCMで15億円程度使っておりますが、来期については今期に対して40%減くらいのコストで同じ効果が得られるのではないかと思います。マーケティング予算としては、今期と来期についてはほとんど変わらない水準で事業運営できるのではないかと思っております。
  • Q: M&AされたSPC証券が3Qより連結されましたが、小口化施策にさらなる加速が見込めるのはいつ頃になるのでしょうか。イメージをお聞かせください。
    A: 実際に小口化の電子取引という免許が取れるのが秋以降を想定しておりますので、来期以降、その効果が大きく発揮されていくのではないかと思います。今、AIが注目領域でありますが、不動産領域で言えば、ブロックチェーン、STといったところは大きく事業に可能性を秘めています。我々はRENOSYマーケットプレイスを蓄積データやAIの活用により、市場としてなかったマーケットを3,000億円作ってきたという自負があります。そして我々が目指しているのが、不動産による資産形成を当たり前にするということであれば、小口化は大きく当たり前にできる要素です。それがSTとなればなおさら取引が簡単になるので、そこまでマーケットを作り込んでいきたいと思っていますし、我々であればそこが作り込めると考えています。なぜならば、小口化は国交省の不動産特定共同事業法や金融庁の金商免許を取れば、小口化自体はできます。しかしそれは、Amazonのサイト自体は作れますよね、ということと同じで、そこに買い手と売り手、そして認知と、データがあるかどうかです。我々は既に買い手と売り手、認知、そしてデータとAIがあるからこそ小口化が本当に実現でき、株式投資のように不動産小口化がスケールするのではないかと思います。REITと何が違うのかと言われれば、金融のプロではない方々はREITがそもそも分かりません。どの不動産に投資しているかも、どういったアルゴリズムになっているのかも、どういったアウトプットなのかも透明化されていません。なおかつキャピタルゲインもないので、我々が取り組む小口化はREITとは全然違うと思っていますし、我々であれば日本の中でも何十兆円あると言われるオフィスビルでも、レジでも実現できるのではないかと思います。そうすると様々な人が不動産に投資をすることができ、それは日本国内だけではなく海外の投資家の方まで、より小口で日本の不動産が買えます。逆もしかりで、日本の投資家が海外の投資物件を小口で買えます。不動産は株式市場よりも資産で言えば大きいと言われています。不動産は動かないから不動と言われているものが、AI、ブロックチェーンによって動くようにできれば、ものすごい可能性を秘めています。その原理、土台に上がっているのはRENOSYしかいないと思っているので、非常に未来を感じておりますし、ビジネスチャンスが広がっていると思っております。
  • Q: 米国事業では構造改革は終わったのでしょうか。FY26 10月期、4Qに実施する分はないのでしょうか。
    A: 当然経営なので、構造改革という言葉ではないものの、常に経営改善は行っております。ただ、赤字から黒字にいった時の構造改革ということで言えば、今年で終了かなと思います。来期以降については、今も成長してこれておりますが、より成長に向けた投資をしていきたいと考えています。投資と言っているのは、上がった利益を全て投入してまたJカーブを行って成長するということではなく、しっかりと利益の範囲の中で投資を行っていくという意味です。
  • Q: 米国事業では小口化や決済手段の拡充をしたり始めたりするのはいつ頃なのでしょうか。具体的に教えてください。
    A: アメリカでの小口化は、当然我々のスコープの中にも入っています。なぜならば、我々としてはクロスボーダーで、アメリカの方が日本の投資物件を小口で買う、日本の投資家がアメリカの物件を小口で買うといった、クロスボーダーの不動産取引を行っていくことが我々の価値だと思っておりますので、そこが計画の中に入っております。
  • Q: 来期以降も小口化を加速させるかと思いますが、ビジネスモデルが変わる中で、CCCや在庫の規律などあれば教えてください。
    A: CCCについては我々が最大の強みと捉えていることなので、CCCに対する考え方、いわゆる30日以内という考え方は変わりません。それはファンドをやったとしても変わりません。なぜならば、我々の強みはRENOSYマーケットプレイスに買い手と売り手がいる、そしてデータ、AIがあるからこそ、CCCや在庫回転期間を短期化することができております。結論、その方針は変わりません。
  • Q: 今期が中計の最終年度となりますが、3年間を振り返って、想像以上にうまくいった点と課題が残った点をお聞かせください。
    A: 中計を発表した時は事業利益が20億円程度の時でした。100億円を発表した時に、多分ほとんどの投資家の方々が「本当か」と疑念を抱かれていたかと思いますし、評価に織り込んでいただけなかった方が多かったと思いますが、実際にはしっかりと今期100億円を達成できる状況まで来ています。グロースで100億円を超えている会社はほとんどないと思っておりますので、まだ終わってはいませんが、中計の計画通りにいったかなと思います。振り返ると、2021年に下方修正をして事業利益が赤字だったところから約5年で100億円です。これはたまたま100億円が出たわけではなく、構造改革をしてきた経営のコミットメントが成果として現れていると思います。これは皆さんにとって一つのトラックレコードになっていると思いますので、次に中長期の目標については信頼度は増しているのではないかと思っております。うまくいったこと、うまくいかなかったことで言えば、コミットメントした数字が達成可能だというのはうまくいったところです。そしてAIテクノロジーに一丁目一番地として投資をしていくところでは、強いハイレイヤーなメンバーが採用できているので、これもうまくいったところです。うまくいっていないところで言えば、投資家の方々に我々の会社の価値がしっかり伝わっていないという反省がございます。
  • Q: 次期中計をいつ頃どのような論点で示されるのか、お考えや来期以降の成長イメージと事業成長や投資面について注目すべき点をお聞かせください。
    A: 今後については、お伝えしているように、AIにこれまでも投資してきましたが、これからもしっかり投資をしていきます。加えて、第3四半期の決算説明資料からKPIをもうちょっとシンプルに、投資家の皆さんのお考えをお伺いして変更しています。そこは我々の価値を理解していただくために取り組んでおります。あとは、特に海外投資家の方から言われますが、アナリストのレポートが少ないというところも、そういった方々と積極的にコミュニケーションを取っていく中で、レポートを書いていただく方を増やしていきます。海外投資家向けのIR、国内、国内の個人投資家向けも積極的に行っているので、そこがNextの課題として取り組んでいます。事業についてはやりたいことがやれているかなと思っているので、引き続き改善しつつも、しっかり事業成長をしていきたいと思っております。
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