3Q決算を踏まえた評価点
ネット売上収益385億円(前年比+24.2%)と高成長を継続。約15億円のマスマーケティング費用を期初から計上しつつ、3Q単独では事業利益+6.7%と増益を確保し、USビジネスの黒字定着とITANDIのARR拡大が利益の下支えとなった。
- ネット売上収益38,529百万円(前年比+24.2%)、売上収益211,627百万円(同+24.8%)と取扱高・粗利ともに拡大
- USマーケットプレイスは3Q単独ネット売上収益1,520百万円(+160.8%)、事業利益169百万円と黒字継続(前年▲188百万円)
- ITANDIのARRは5,976百万円(+25%)、ライフラインサービスは+64%、SaaS導入社数6,072社(+22%)。チャーンレート直近12ヶ月平均0.43%と低位
- RENOSYサブスクリプションは3Q単独ネット売上収益1,132百万円(+17.7%)、事業利益574百万円(+28.1%)。契約件数40,905件(+32%)と4万戸突破
- SPC証券グループを3QよりRENOSYセグメントへ連結、アセットマネジメントが新収益源として事業利益68百万円を寄与
3Q決算を踏まえた懸念点
累計の事業利益は5,722百万円(前年比▲3.6%)と減益。マスマーケ費用と本社集約費という一過性要素が主因である一方、棚卸資産積み増しに伴う営業CF▲9,104百万円と有利子負債の急増は、金利上昇局面における資金コスト面の留意点。
- 累計コア事業利益率14.9%(前年19.1%)に低下。当レポート試算、事業利益÷ネット売上収益
- 営業CFは▲9,104百万円(前年+6,642百万円)。棚卸資産の増加▲13,507百万円が主因
- 社債及び借入金は38,764百万円へ前期末比+72.4%、親会社所有者帰属持分比率31.8%(前期末37.4%)に低下
- 金融費用934百万円(前年比+26.8%)と負担増。提携金融機関の投資ローン金利は緩やかな上昇傾向
- 東京都の中古マンション成約件数は前年比低下、在庫5ヶ月連続増、成約平米単価は73ヶ月ぶり下落と外部環境は変化
注目点/今後確認したいポイント
- 4Qの広告宣伝費を例年比で抑制する計画の実行状況。通期事業利益100億円(進捗率57.2%)の達成にはマスマーケ費用剥落後の利益回収が前提
- 棚卸資産25,189百万円の消化ペース。会社は4QおよびSPC証券グループとの小口化事業加速に向けた戦略的・一時的な積み増しと説明、来期以降の収束を見込む
- ITANDIの通期コア事業利益率計画17.4%(FY25実績20.8%)。導入・CS体制強化に伴うコスト先行と生産性向上のバランス
- 4Qの広告宣伝費のイメージとマスマーケィング施策による認知度への定量効果
- 棚卸資産の増加要因と、小口化事業拡大による在庫インパクトについてと今後の在庫水準の考え方
- SPC証券グループ統合による小口化・AM領域の収益貢献規模と来期以降のランレート
- 政策金利上昇局面における提携金融機関の与信方針変化と成約単価・成約件数への感応度
主要業績ハイライト
(3Q連結累計、2025年11月1日~2026年7月31日)
| 勘定科目 | 数値 | 前年同期比 |
|---|---|---|
| 売上収益 | 211,627百万円 | +24.8% |
| ネット売上収益 | 38,529百万円 | +24.2% |
| └ 売上総利益 | 36,924百万円 | +25.0% |
| 販売費及び一般管理費 | 31,202百万円 | +32.1% |
| 事業利益 | 5,722百万円 | ▲3.6% |
| 営業利益 | 5,389百万円 | ▲9.9% |
| └ その他の費用 | 436百万円 | +513.4% |
| 税引前四半期利益 | 4,511百万円 | ▲14.2% |
| └ 金融費用 | 934百万円 | +26.8% |
| 親会社所有者帰属四半期利益 | 2,734百万円 | ▲9.0% |
| 基本的EPS | 66.61円 | ▲12.7% |
| 営業活動によるキャッシュ・フロー | ▲9,104百万円 | - |
| RENOSY会員数 | 677,772人 | +16% |
| サブスクリプション件数(国内) | 40,905件 | +32% |
| ITANDI ARR | 5,976百万円 | +25% |
ネット売上収益は会社定義(RENOSYマーケットプレイス事業の売上総利益+ITANDI及びその他事業及び調整額の売上収益)。EPSは期中平均株式数が41,051千株(前年39,353千株)へ増加した影響を含む。
事業セグメント別の業績
RENOSYマーケットプレイス事業は外部収益+25.3%、事業利益+14.3%と増収増益。ITANDI事業は3Q単独でネット売上収益+23.7%と加速したが、1Qの反動により累計事業利益は+1.8%にとどまる。
セグメント別業績表(3Q連結累計、外部収益ベース)
| セグメント名 | 売上収益 | 前年同期比 | 事業利益 | 前年同期比 | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| RENOSYマーケットプレイス | 205,275百万円 | +25.3% | 10,298百万円 | +14.3% | 5.0% |
| ITANDI | 5,536百万円 | +11.9% | 1,221百万円 | +1.8% | 22.1% |
| その他 | 815百万円 | +2.9% | 499百万円 | +10.9% | 61.2% |
| 調整額 | - | - | ▲6,297百万円 | - | - |
| 連結 | 211,627百万円 | +24.8% | 5,722百万円 | ▲3.6% | 2.7% |
RENOSYは買取再販の特性上、売上収益が取扱高に相当するため利益率の水準は実質的な収益性を示さない。RENOSY国内マーケットプレイスはネット売上収益ベースのコア事業利益率(3Q単独30.4%)が実質指標。調整額には全社費用▲5,906百万円、企業結合により識別した無形資産の償却額及び取得関連費用▲337百万円等を含む。
- USマーケットプレイス:3Q単独ネット売上収益1,520百万円(前年比+160.8%)、事業利益169百万円と黒字継続。グループシナジー創出により成長基盤を構築
- RENOSYサブスクリプション:3Q単独ネット売上収益1,132百万円(+17.7%)、事業利益574百万円(+28.1%)。契約件数の積み上げが前期の一過性利益の反動を打ち消す
- ITANDI(ライフラインサービス・基幹システム):ARRはライフラインサービス+64%、ITANDI賃貸管理+25%。単価向上施策と基幹システム拡販が進捗
- アセットマネジメント:SPC証券グループの3Q連結によりネット売上収益121百万円、事業利益68百万円が新規上乗せ
- RENOSY国内マーケットプレイス:3Q単独ネット売上収益7,875百万円(+10.4%)に対し事業利益2,393百万円と前年2,532百万円から減益。約5億円のマスマーケティング投資による一時的減益
- ITANDI(累計ベース):累計ネット売上収益は1Qの前年割れが響き前年比+13.7%、累計事業利益+1.8%。需要拡大に応じた導入・CS体制強化でコストが先行
業績予想比の進捗率
通期計画に対しネット売上収益は68.9%と、会社が示す直近2期の進捗率(FY24 50%、FY25 46%=2Q時点)と同様の推移で、3Q時点69%は例年同水準。事業利益の進捗率は57.2%にとどまるが、期初から計上したマスマーケティング費用(約15億円)および1Q計上の本社集約費(177百万円)を除いた調整後進捗率は約74%(過去2期平均75%)と会社は説明しており、例年比4Qの広告宣伝費の抑制を前提に通期計画は据え置き。
| 勘定科目 | 数値 (第3四半期累計) | 通期計画 | 進捗率 |
|---|---|---|---|
| 売上収益 | 211,627百万円 | 323,000百万円 | 65.5% |
| ネット売上収益 | 38,529百万円 | 55,900百万円 | 68.9% |
| 事業利益 | 5,722百万円 | 10,000百万円 | 57.2% |
| 営業利益 | 5,389百万円 | 10,000百万円 | 53.9% |
| 税引前利益 | 4,511百万円 | 8,700百万円 | 51.9% |
| 親会社所有者帰属当期利益 | 2,734百万円 | 5,460百万円 | 50.1% |
- 4Qにネット売上収益・事業利益が集中する傾向。FY25は4Q単独でネット売上収益13,222百万円、事業利益1,335百万円を計上
- 広告宣伝費は例年4Qに重点投下していたが、今期は期初より計上。4Qは例年比で抑制する計画
業績予想の変更有無
通期連結業績予想の修正はなし。売上収益323,000百万円、ネット売上収益55,900百万円、事業利益10,000百万円、親会社所有者帰属当期利益5,460百万円を据え置き。中期経営計画2026の最終年度として、連結および各事業での目標達成を目指す方針を維持。
株主還元への言及
2026年10月期の年間配当予想は期末13.00円(前期実績8.00円)で据え置き、配当予想の修正なし。なお株主総会の議決権基準日および期末配当基準日を10月31日から11月30日に変更済みで、今後は株主総会を毎年2月に開催する方針。自己株式の取得に関する新たな方針の記載はなく、期末自己株式数は855株。
財務状況
SPC証券グループ取得と戦略的な棚卸資産積み増しにより総資産・有利子負債がともに拡大し、親会社所有者帰属持分比率は31.8%へ低下。手元流動性は290億円を維持し、レバレッジ水準は依然コントロール可能な範囲。
主要数値
| 勘定科目 | 数値 | 補足情報 |
|---|---|---|
| 現金及び現金同等物 | 28,968百万円 | 前期末比▲4.6% |
| 棚卸資産 | 25,189百万円 | 前期末比+115.6% |
| のれん | 17,643百万円 | 前期末比+20.9%、SPC証券グループの買収によるもの |
| 資産合計 | 105,682百万円 | 前期末比+28.2% |
| 親会社の所有者に帰属する持分 | 33,648百万円 | 前期末比+9.2% |
| 有利子負債(社債及び借入金) | 38,764百万円 | 前期末22,480百万円 |
| └ 流動 | 25,807百万円 | - |
| └ 非流動 | 12,957百万円 | - |
| リース負債 | 7,430百万円 | 流動3,224+非流動4,206 |
| EBITDA | 9,118百万円 | 営業利益+減価償却費及び償却費、当レポート試算 |
会社資料(貸借対照表詳細)では有利子負債39,325百万円と開示。上表は決算短信の社債及び借入金を集計した当レポート試算。
レバレッジ指標
| 指標 | 数値 | 補足 |
|---|---|---|
| Net Debt/EBITDA | 0.8倍 | 当レポート試算。純有利子負債9,796百万円、直近12ヶ月EBITDA11,710百万円ベース |
| Debt/Equity | 1.15倍 | 当レポート試算。社債及び借入金÷親会社所有者帰属持分 |
| インタレストカバレッジレシオ | 5.8倍 | 当レポート試算。営業利益÷金融費用 |
| 自己資本比率 | 31.8% | 会社開示(親会社所有者帰属持分比率)、前期末37.4% |
足許四半期中の主要発表
- 2026/06/25エスピーシー証券の株式取得資金として、三菱UFJ銀行アレンジャーのタームローン44.78億円の契約締結を決定 財務上の特約が付された金銭消費貸借契約の締結について
- 2026/06/30SPC証券およびSPCアセットマネジメントの全株式取得が完了、取得価額合計約45.28億円・議決権100%。3QよりRENOSYセグメントへ連結 (開示事項の経過)エスピーシー証券株式会社の株式取得(子会社化)完了に関するお知らせ
- 2026/06/30子会社化完了を受け、RENOSYを不動産取引・管理運用・金融を一体化した資産形成プラットフォームへ進化させる方針を発表 AI不動産投資のRENOSY、「資産形成プラットフォーム」へ進化
- 2026/07/08管理戸数12万戸超の長谷工ライブネットが「ITANDI 賃貸管理」で電子契約を開始。大口管理会社への浸透事例 12万戸超の賃貸物件を管理する長谷工ライブネット、「ITANDI 賃貸管理」で電子契約を開始
- 2026/09/09運転資金の効率的調達を目的にみずほ銀行から39.96億円を借入。実行日2026年9月14日、弁済期限2026年10月14日 財務上の特約が付された当座貸越契約に基づく資金の借入に関するお知らせ
過去1年間の大量保有報告/重要提案
- ベイリー・ギフォード・アンド・カンパニー: 11.12%→12.12%(2026/02/16) - 投資一任契約に基づく顧客資産での保有、重要提案行為等は該当なし()
- 樋口龍・合同会社GGA(共同保有): 37.07%→36.71%(2026/02/09) - GGAによる譲渡予約権行使に伴う市場外処分。保有目的は経営参加を目的とする安定保有()
- 樋口龍・合同会社GGA(共同保有): 36.71%→36.71%(2026/03/24) - 大量保有者の住所変更に伴う提出、保有割合に変動なし()
- 樋口龍・合同会社GGA(共同保有): 36.71%(2026/06/04) - 2026年6月3日提出の変更報告書No.57は「提出事由に該当せず報告義務なし」として取下げ・訂正()
- 株主提案・重要提案行為等を目的とする大量保有報告は、過去1年間において確認されず
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