サマリー
フェイスネットワークは2026年3月期通期決算と同時に新中期経営計画「NEXT VISION 2029」を公表し、最終年度2029年3月期に売上高500億円、営業利益85億円を掲げた。城南3区を軸とした新築一棟RCマンション開発という独自のビジネスモデルを基盤に、物件規模の大型化と「THE GRANDUO」シリーズなど高付加価値ブランドの展開拡充が成長の核となる。2027年3月期1Q決算では、期末時点で積み上がった仕掛販売用不動産約200億円の販売転化タイミングと、金融機関連携による富裕層顧客の獲得動向が焦点となる。金利上昇局面における資金調達コストの推移と、販管費増加を吸収する粗利益率の維持が収益の質を左右する重要な確認事項である。
翌四半期の注目ポイント
| 注目点と焦点 | 示唆 |
|---|---|
売上成長1Q売上高の通期計画37,000百万円に対する進捗率 | 同社は不動産販売の引渡時期により四半期業績の偏りが⼤きい。同社の1Qの進捗率は、過去最大でも通期見通しに対して17%程の進捗であったことに鑑み、目安は6,290百万円程度の着地か(当レポート試算) |
利益率売上総利益率の前年同期比推移 | 前期通期の売上総利益率は26.9%(前々期24.3%)へ改善。物件大型化・高付加価値化が利益率を押し上げるか、資材高の影響で原価率が上昇するかが分かれ目 |
棚卸資産仕掛販売用不動産・販売用不動産の残高推移 | 前期末時点で仕掛販売用不動産20,096百万円、販売用不動産2,310百万円と計22,407百万円の在庫を保有。1Qの販売件数と在庫回転の進捗が通期計画の蓋然性を左右 |
資金調達支払利息・借入金残高の水準 | 前期の支払利息は392百万円(前々期328百万円)へ+19.4%増加。金利上昇局面で長期借入金17,280百万円の調達コスト上昇幅が経常利益率に与える影響を注視 |
中期経営計画「NEXT VISION 2029」初年度の戦略施策進捗 | 最終年度(2029年3月期)目標:売上高500億円、営業利益85億円。新ブランド立ち上げや金融機関連携強化の具体的進展が早期に確認できるかが中長期評価の鍵 |
資本効率ROE水準の維持 | 前期ROE32.4%と高水準。配当性向35.1%・累進配当導入の方針下、利益成長と株主還元のバランスが資本効率を維持できるか確認 |
顧客分散売上高10%超の主要顧客の有無 | 前々期は2社が売上高の10%超を占めたが、前期は該当なし。顧客基盤の分散が継続するかは事業リスクの観点で重要 |
前回決算(2026年3月期 通期決算)を踏まえた主要論点
2026年3月期は売上高32,916百万円(+10.0%)、営業利益5,632百万円(+24.6%)と増収増益で着地し、営業利益率は17.1%(前期15.1%)へ+2.0pt改善した。新中期経営計画「NEXT VISION 2029」を策定し、2029年3月期に売上高500億円、営業利益85億円という意欲的な目標を掲げた。売上成長率の鈍化(前期+34.2%→当期+10.0%)を利益率改善で補う「量から質」への移行が鮮明となっており、1Q以降はその持続性が問われる。
1. 物件大型化・高付加価値化の収益効果
- 前期: 不動産投資支援事業のセグメント利益率17.0%(前々期15.0%)、売上総利益率26.9%(前々期24.3%)
- 今期確認: 1Qの物件販売件数・平均単価の水準、および高価格帯物件(THE GRANDUOシリーズ等)の販売比率
- 注目指標: セグメント利益率17%超の維持、通期営業利益計画6,300百万円(営業利益率17.0%)に対する進捗
2. 棚卸資産の積み上がりと営業CFの回復
- 前期: 棚卸資産が+3,944百万円増加し、営業CFは▲746百万円(前期+4,407百万円)
- 今期確認: 1Qの物件引渡による棚卸資産の減少と営業CFの黒字転換の兆し
- 注目指標: 棚卸資産回転期間(前期末の在庫水準は売上原価約11.2ヵ月分に相当、当レポート試算)、営業CF累計額のプラス転換時期
3. 金利上昇と財務コスト増の影響
- 前期: 支払利息392百万円(前期328百万円)、有利子負債合計18,122百万円(短期借入金737百万円+長期借入金17,280百万円+社債105百万円)
- 今期確認: 長期金利上昇を受けた新規借入の調達金利水準、借換条件の変化
- 注目指標: 営業外費用合計の前年同期比(前期489百万円)、経常利益率の前年同期比推移(前期15.7%)
4. 不動産マネジメント事業の成長基盤
- 前期: セグメント利益率21.6%(前期19.7%)、管理戸数は減少傾向ながら利益率は改善
- 今期確認: 管理戸数の底打ち有無、新規販売物件の管理契約獲得状況
- 注目指標: セグメント売上高の前年同期比成長率、利益率20%超の維持
5. 新中期経営計画「NEXT VISION 2029」の初動
- 前期: 通期売上高32,916百万円、営業利益5,632百万円を達成し、中計初年度(FY2027/3)計画は売上高37,000百万円、営業利益6,300百万円
- 今期確認: 新ブランドの具体的なコンセプト開示、富裕層向け販売チャネルの構築進捗、用地取得ペース
- 注目指標: 初年度計画の達成確度を示す1Qの受注・引渡件数、二子玉川「THE GRANDUO FUTAKOTAMAGAWA SEED」等の旗艦物件のリーシング状況
今期中の主要な適時開示
- 2026/07/02THE GRANDUO FUTAKOTAMAGAWA SEED完成 - SUPPOSE DESIGN OFFICE監修の高付加価値物件が完成。新中計における新ブランド展開・物件価値最大化戦略の具体例として注目。 吉田愛氏・谷尻誠氏が率いる「SUPPOSE DESIGN OFFICE」デザイン監修 『THE GRANDUO FUTAKOTAMAGAWA SEED』完成!
- 2026/06/30販売用不動産(開発用地)の取得(新宿区四谷坂町) - 都心部への開発エリア拡大を示す案件。損益寄与は2028年3月期以降。 販売用不動産(開発用地)の取得に関するお知らせ(東京都新宿区四谷坂町)
- 2026/06/29販売用不動産の取得(渋谷区代々木) - RC造6階建の完成物件取得。損益寄与は2027年3月期以降と比較的早期の収益貢献が見込まれる。 販売用不動産の取得に関するお知らせ(東京都渋谷区代々木)
- 2026/05/15新中期経営計画「NEXT VISION 2029」策定 - 2029年3月期に売上高500億円、営業利益85億円を目標とする3ヵ年計画を発表。累進配当の導入も同時公表。 新中期経営計画策定に関するお知らせ
前四半期の着地(2026年3月期 通期実績)
フェイスネットワークは東京城南3区(世田谷区・目黒区・渋谷区)を中心に新築一棟RCマンションの企画・開発・販売を手掛ける不動産デベロッパーである。投資用賃貸マンション「GranDuo」シリーズと高級賃貸レジデンス「THE GRANDUO」シリーズを主力商品とし、開発から管理までの一貫体制を強みとする。2026年3月期は通期で増収増益を達成し、営業利益率17.1%(+2.0pt)と収益性が向上。新中期経営計画「NEXT VISION 2029」を策定し、2029年3月期に売上高500億円、営業利益85億円の達成を目指す成長フェーズに入った。
| 項目 | 金額 | 前年同期比 | 会社計画比 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 32,916百万円 | +10.0% | - | 不動産商品22件、建築商品4件等を販売 |
| 営業利益 | 5,632百万円 | +24.6% | - | 営業利益率17.1%(前期15.1%) |
| 経常利益 | 5,165百万円 | +25.8% | - | 支払利息増(392百万円)を吸収 |
| 当期純利益 | 3,586百万円 | +29.5% | - | 特別損益は▲18百万円(本社移転費用217百万円等) |
| EPS | 120.99円 | +29.4% | - | 株式分割(1:3)調整後 |
2027年3月期 通期会社計画: 売上高37,000百万円(+12.4%)、営業利益6,300百万円(+11.9%)、経常利益5,800百万円(+12.3%)、当期純利益3,800百万円(+6.0%)、EPS 128.20円、配当45.00円(配当性向35.1%)
会社情報
- 会社名: 株式会社フェイスネットワーク
- 証券コード: 3489
- 上場市場: 東京証券取引所 スタンダード市場
- 決算期: 3月
- 主要事業: 東京城南3区を中心とした新築一棟RCマンションの企画・開発・販売(不動産投資支援事業)、および不動産管理運営(不動産マネジメント事業)
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