ダイナミックマッププラットフォーム インタビューレポート

自動運転向け高精度3次元データがゲーム制作の常識を変える、東京ゲームショウ出展で開くエンタメ新領域

配信日2026年9月17日 12:00 JST

エグゼクティブ・サマリー

エンヴァリスは代表取締役社長CEO 吉村氏への取材機会を得た。 ダイナミックマッププラットフォームは、自動運転向けに整備してきた高精度3次元データ(HDマップ)と3D Gaussian Splatting(3DGS)を、ゲーム・エンタメ領域へ横展開する新たな局面に入った。同社が東京ゲームショウへ出展する狙いは、既存データ資産をそのまま活用できるライセンス型ビジネスの潜在需要を可視化し、リードを獲得する点にある。エンタメ領域は、同社が保有する高精度3次元データの用途拡大を通じて、新たな顧客層とライセンス機会を開拓するアドオン領域として注目される。本業ではData for AI(法人ライセンス)と海外データ生成案件が2027年3月期から2028年3月期にかけての成長ドライバーとして期待される。

企業からのメッセージ

ゲームにとって必要なことは、どれだけ没入できるかということ。レーシングゲームでは、本当にその道を走っている感覚を味わえるかが決定的に重要であり、そこに我々が自動運転向けに整備してきた3次元的に正しいデータの高いニーズがある。すでに原価をかけて設備投資を終えたデータをお渡しするため、魅力的な価格で提供できる。エンタメは、我々が既に整備・保有している高精度3次元データの新たな活用領域であり、既存のデータ資産から生まれる追加的なライセンス機会と考えている。まずは東京ゲームショウを通じて顧客ニーズを把握し、具体的な商談につなげていきたい。

インタビューで示された主な論点

  • 東京ゲームショウ出展とエンタメ領域の開拓

    同社は東京ゲームショウ出展を、ゲーム開発会社との接点創出とリード獲得の場と位置づけ。現時点でエンタメ領域の全社売上に占める比率は僅少であるものの、フランスのインディーズゲーム会社への納入実績に加え、足元でも具体的な納入案件が進行中。ゲーム分野における引き合いの積み上がりは、既存データ資産の利用機会を増やし、3Dデータライセンスの顧客基盤と収益機会を追加的に広げる可能性がある。

  • 自動運転データとゲーム用途の「正確さ」の切り分け

    吉村社長は正確さを幾何学的(3次元形状)な正しさと写実性の二軸に分解し、前者は同社のHDマップが直接価値を発揮する領域、後者はCGでの作り込みが前提と整理。車線・勾配・曲率を含むベクトルデータをUnreal EngineやUnityのフォーマットへ変換してインポートすることで、従来は手作業だった道路モデル構築を大幅に短縮できる。3DGSは現地ロケハンの代替およびモデリング時の参照情報として品質の平準化に寄与。

  • Data for AIを軸とした本業の成長設計

    法人ライセンスは期間・カバレッジ(エリア)・用途の3軸の掛け合わせで課金する構造。用途は学習、評価(シミュレーション)、補助情報、認証、安全機構(ODD設定)の5類型に定義され、自動車メーカー、半導体企業、AIシステム企業、当局と顧客層も広がりを持つ。2027年3月期から2028年3月期にかけて最も立ち上がりが速い領域として同社が挙げたのがこの法人ライセンス。

エンヴァリスの着眼点

インタビュー Q&A ハイライト

  • Q

    自動運転向けの正確さとゲーム向けのリアルさは同一アセットで両立するのか

    A

    正確さは幾何学的な正しさと写実性に分けて考える必要がある。レーシングゲームでは実際にその道を走る感覚が没入感を左右するため、3次元的に正しいデータへのニーズは非常に高い。一方、見た目の美しさはCGで描き直す領域であり、3DGSをそのまま使うのではなく制作の参照情報として活用される。同社が提供するのは自動運転向けに整備済みのデータであり、既存アセットをそのまま使えるライセンス型となる。

  • Q

    ゲーム開発会社はどの工程に価値を感じているのか

    A

    第一にロケーション調査と現地調査。従来は関係者が現地に赴いて撮影していた工程を3DGS上のチェックで代替できる。第二に道路モデルの構築。車線・高さ・勾配・曲率を手作業で描き起こす工程を、既存データのインポートで一気に完成させられる。第三にCGモデリング。360度のフォトリアリスティックな情報を参照できるため品質が向上し、作業も平準化される。結果として品質・コスト・納期のすべてが改善する。

  • Q

    東京ゲームショウ出展の成果は何で測るのか

    A

    まずはリードをどれだけ獲得できるか。多くの企業と直接対話できる場であり、同社にとっては完全な新領域。売上としてプラスであるうえ、追加の開発工数が大きくないため利益面での寄与も期待できる。エンタメは、既に整備・保有する高精度3次元データを新たな市場で活用する追加的な事業機会と捉えている。東京ゲームショウでは、ゲーム開発会社との接点を増やし、顧客ニーズの把握とライセンス機会の創出を目指す。

  • Q

    用途を追加する際の追加コストと利益率の考え方は

    A

    すでに保有するデータをそのまま利用できる案件は粗利率が極めて高く、社内では80%超を指標に置き、100%に近い水準を目指している。保有していないエリアのデータを新規生成する場合はプロジェクト型となり、粗利率で最低35%、目標50%程度を確保しながら受託する方針。用途分野の違いよりも、既存データ資産を活用できるか否かが収益性を決める。

  • Q

    Data for AIの法人ライセンスはどのような契約構造か

    A

    車載の量産ライセンスのような台数連動ではなく、期間、カバレッジ(エリア)、用途の3軸の組み合わせで課金する。用途は学習、評価(シミュレーション)、補助情報、認証、安全機構(ODD設定)の5類型を定義。同一顧客でもカバレッジのレベルを上げれば金額が積み上がり、学習用から検証用、エッジ側への搭載へと用途が広がるごとに課金機会が増える。顧客も自動車メーカー、半導体企業、AIシステム企業、認証当局へと多層的に広がる。

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