1Q決算を踏まえた評価点
高収益のライセンス型売上が前年比+10.0%と伸長し、売上構成比は56.2%(前年40.2%、当レポート試算)へ上昇。海外大手半導体メーカーからのAI用途法人ライセンス(Data for AI)追加受注、自動運転トラック開発向け受注など、通期計画のライセンス型売上3,000百万円を支えるパイプラインが具体化。プロジェクト型の反動減を受けつつも通期予想は据え置かれ、下期偏重の収益構造を前提とした計画進行にある。
- ライセンス型売上645百万円(前年比+10.0%)、大型案件のあった前年同期を上回り構成比56.2%へ上昇
- 海外大手半導体メーカー向けData for AIが北米に加え欧州・韓国・日本データへ拡大、地域資産のマネタイズが進展
- 量産ライセンスは搭載車種が計6社/39車種に到達、台数成長による積み上げ基盤を確保
- 現金及び預金4,253百万円(前期末比+16.3%)、長期借入736百万円増でネットキャッシュ2,450百万円を積み増し、手元流動性を確保
- 2026年4月にリカノス(UAV測量)を連結、測量会社のネットワーク化(ロールアップ)プロジェクトの第2号案件を実行。データ取得能力の強化と全国的な測量ネットワーク構築を進めている。
1Q決算を踏まえた懸念点
売上高1,147百万円(前年比▲21.3%)に対し売上原価1,445百万円(同+41.4%)と増加し、売上総損失▲297百万円を計上。減価償却費293百万円(前年213百万円)など固定的費用の負担が重く、調整後EBITDAは▲667百万円(前年+24百万円)へ悪化。通期調整後EBITDA+50百万円達成には、残り9カ月で717百万円の調整後EBITDA積み上げが必要。案件計上が後半に集中しやすい収益構造を踏まえ、パイプラインの収益化が焦点。
- 前年大型案件の反動により売上総損益が▲297百万円(前年+436百万円)、営業損失▲999百万円(前年▲196百万円)
- 国内セグメント売上142百万円(前年比▲62.2%)、前年大型案件の反動でセグメント損失▲400百万円に拡大
- 海外はプロジェクト型の北米新規整備完了で売上1,005百万円(同▲7.2%)、セグメント損失▲602百万円
- 自己資本比率60.1%(前期末66.2%)、純損失計上と借入増で6.1pt低下
- 後発事象として令和8年熊本地震で地図データ一部が使用不能、原状回復費用の発生見込み(金額は調査中)
注目点/今後確認したいポイント
- 通期ライセンス型売上3,000百万円に対する1Q実績645百万円の残余進捗。AI用途法人ライセンスのパイプラインの積上が鍵。
- 売上原価の固定費構造。減価償却費293百万円が継続する中、下期の売上増でどこまで粗利率が回復するか。
- 熊本地震に伴う地図データ補修・再作成費用の規模と、通期計画への織り込み状況。
- 通期調整後EBITDA+50百万円達成に必要な下期売上の内訳と確度
- 売上原価の固定費・変動費構成と、ライセンス型粗利率80%超到達の前提条件
- 測量会社ロールアップの投資回収基準と、川下領域M&Aの対象要件
- 国内セグメント黒字化に向けた3Dデータプロジェクトの受注見通し
主要業績ハイライト
| 勘定科目 | 数値 | 前年同期比 |
|---|---|---|
| 売上高 | 1,147百万円 | ▲21.3% |
| └ ライセンス型売上 | 645百万円 | +10.0% |
| └ プロジェクト型売上 | 502百万円 | ▲42.4% |
| 売上原価 | 1,445百万円 | +41.4% |
| 売上総利益 | ▲297百万円 | 前年436百万円 |
| 販売費及び一般管理費 | 702百万円 | +11.1% |
| 営業利益 | ▲999百万円 | 前年▲196百万円 |
| 調整後EBITDA | ▲667百万円 | 前年+24百万円 |
| 経常利益 | ▲997百万円 | 前年▲223百万円 |
| 特別利益(負ののれん発生益) | 20百万円 | 前年計上なし |
| 親会社株主に帰属する四半期純利益 | ▲980百万円 | 前年▲285百万円 |
| EPS | ▲41.48円 | 前年▲12.10円 |
| 減価償却費 | 293百万円 | +37.6% |
| のれん償却額 | 6百万円 | 前年計上なし |
売上減にもかかわらず売上原価が+423百万円増加し、売上総損益が前年比▲733百万円の悪化。調整後EBITDAは営業利益+減価償却費+政府補助金+M&A関連費用(会社定義)。
事業セグメント別の業績
国内はオートモーティブで自動運転システム開発会社向け法人ライセンスに対応、3Dデータで物流自動化案件が進捗した一方、前年同期の大型案件の反動が売上を押し下げ。海外はライセンス型が量産・法人ともに堅調ながら、北米の新規整備事業完了によりプロジェクト型が減少。
セグメント別業績表(売上高は外部顧客への売上高ベース)
| セグメント名 | 売上高 | 前年同期比 | セグメント損益 | 前年同期 | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 国内 | 142百万円 | ▲62.2% | ▲400百万円 | ▲123百万円 | ▲281.7% |
| 海外 | 1,005百万円 | ▲7.2% | ▲602百万円 | ▲76百万円 | ▲59.9% |
| 調整額 | - | - | +3百万円 | ▲0百万円 | - |
| 連結計 | 1,147百万円 | ▲21.3% | ▲999百万円 | ▲196百万円 | ▲87.1% |
利益率は外部顧客売上高に対するセグメント損益比率(当レポート試算)。
- オートモーティブ法人ライセンス(AI用途):海外大手半導体メーカーが北米データの利用実績を踏まえ欧州・韓国・日本データを追加発注、Data for AI需要が地域横断で拡大
- オートモーティブ量産ライセンス:搭載車種が計6社/39車種に到達、搭載済車種の台数成長と新規車種搭載が寄与
- 3Dデータライセンス(不動産開発用途):3Dmapspocket®を東京建物ほか大手不動産会社が採用、眺望・景観・配置検討でのシミュレーション利用が拡大
- オートモーティブプロジェクト(北米):新規整備事業の完了に伴い前年比減
業績予想比の進捗率
売上高進捗率16.4%に対し、前年同期は通期実績比25.7%(当レポート試算)。会社は前期第4四半期に法人ライセンス案件を中心に2,313百万円を計上した実績を示しており、下期偏重の収益構造が続く前提。調整後EBITDAは1Q時点で▲667百万円と通期計画+50百万円に対して先行赤字だが、会社は「マイナス幅は予算内で着地」と説明しており、海外大手半導体メーカー向けData for AI案件など、下期計上を想定する案件パイプラインは着実に積み上がっている様子。
| 勘定科目 | 数値(第1四半期累計) | 通期計画 | 進捗率 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 1,147百万円 | 7,000百万円 | 16.4% |
| ライセンス型売上 | 645百万円 | 3,000百万円 | 21.5% |
| 調整後EBITDA | ▲667百万円 | 50百万円 | - |
- 前期(2026年3月期)は第4四半期に法人ライセンス案件中心で2,313百万円を計上し、四半期別調整後EBITDAもQ4のみ+786百万円と、期後半に収益が集中する傾向
- プロジェクト型は案件検収時期に売上が左右され、四半期間の変動が大きい
業績予想の変更有無
通期連結業績予想は前回公表から変更なし。売上高7,000百万円(前期比+23.1%)、ライセンス型売上3,000百万円(同+15.6%)、調整後EBITDA+50百万円を据え置き。熊本地震に伴う影響範囲および損害額は現在調査中であり、費用の合理的な見積りが困難とされている。一方、2027年3月期通期業績予想は前回公表値から変更されていない。
株主還元への言及
2027年3月期の配当予想は中間・期末ともに0円00銭、年間0円00銭で無配継続。直近公表の配当予想からの修正なし。自己株式の取得に関する記載はなく、期末自己株式数は0株。
財務状況
純損失計上により自己資本比率は60.1%へ低下したものの、現金及び預金4,253百万円が有利子負債1,803百万円を上回るネットキャッシュ状態を維持。長期借入で調達構造を長期化しつつ、コミットメントライン2,000百万円の枠も確保。
主要数値
| 勘定科目 | 数値 | 補足情報 |
|---|---|---|
| 現金及び預金 | 4,253百万円 | 前期末比+16.3% |
| 売掛金及び契約資産 | 1,607百万円 | 前期末比▲40.7% |
| 無形固定資産 | 3,587百万円 | 前期末比+1.6% |
| └ ソフトウエア | 3,213百万円 | 前期末比▲4.3% |
| └ のれん | 287百万円 | リカノス取得で169百万円発生(暫定) |
| 総資産 | 10,521百万円 | 前期末比▲3.4% |
| 契約負債 | 1,420百万円 | 前期末比+23.5% |
| 有利子負債 | 1,803百万円 | 前期末1,505百万円 |
| └ 1年内返済予定の長期借入金 | 287百万円 | 前期末725百万円 |
| └ 長期借入金 | 1,516百万円 | 前期末780百万円 |
| 自己資本 | 6,322百万円 | 前期末比▲12.2% |
EBITDA(営業利益+減価償却費)は▲706百万円(当レポート試算)。会社開示の調整後EBITDAは▲667百万円。
レバレッジ指標
| 指標 | 数値 | 補足 |
|---|---|---|
| Debt/Equity | 0.29倍 | 当レポート試算、有利子負債1,803百万円÷自己資本6,322百万円 |
| ネットキャッシュ | 2,450百万円 | 当レポート試算、現金及び預金-有利子負債 |
| 自己資本比率 | 60.1% | 会社開示、前期末66.2% |
決算発表前後に出たニュース
足許四半期中の主要発表
- 2026/05/18東京流通センター構内の高精度3次元地図データ整備を完了、平和島自動運転協議会会員に共有インフラとして提供 東京流通センターとダイナミックマッププラットフォーム、都心最大級の物流施設の高精度3次元地図データ整備を完了
- 2026/06/08自動車の自動操舵に関する国際基準UN-R79への対応に向けた自動運転・ADAS開発用途として、国内自動車メーカーに高精度3次元地図データを提供 ダイナミックマッププラットフォーム、国内自動車メーカーの国際基準UN-R79対応に向けた自動運転・ADAS開発に高精度3次元地図データを提供
- 2026/06/17フィジカルAI向けデータセット事業を始動、点群・画像・HDマップ・3DGSを統合したサンプルをHugging Faceで公開 ダイナミックマッププラットフォーム、フィジカルAI向けデータセット事業を始動 高精度3次元データを統合したAIネイティブデータのサンプルを公開
- 2026/06/24北米交通当局向け橋梁・トンネル管理ソリューションを提供開始、約150万kmの道路データと約25万件の橋梁情報を活用 ダイナミックマッププラットフォーム、北米交通当局向け橋梁・トンネル管理ソリューションを提供開始
- 2026/07/23Esriパートナーネットワークに参画、北米約156万kmのデータを基盤とする地理空間データをArcGIS経由で提供 Esriパートナーネットワークに参画 北米約156万kmの高精度3次元データを基盤とした地理空間データをArcGISで提供
- 2026/07/28東京建物が3Dmapspocket®を採用、不動産開発の計画立案・景観検討用途で活用 東京建物にてダイナミックマッププラットフォームの3Dmapspocket®が採用 不動産開発用途での活用を推進
過去1年間の大量保有報告/重要提案
- 野村證券(共同保有): 新規5.34%(2026/02/19報告) - 野村證券・ノムラ インターナショナルは証券業務に係る商品在庫、野村アセットマネジメントは信託財産の運用
- 野村證券(共同保有): 5.34%→4.18%(2026/05/11報告) - ポジション減少により5%割れ、保有目的は前回同様
- 三菱電機: 6.60%→4.91%(2025/12/09報告) - 保有目的は政策投資、重要提案行為等は該当なし
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