ダイナミックマッププラットフォーム 通期 決算速報

ライセンス型売上が前年比2.2倍の26億円へ急伸、Data for AI需要が収益構造転換を加速させる決算

配信日2026年5月14日 19:35 JST

通期決算を踏まえた評価点

ライセンス型売上が2,594百万円(前年比+121.3%)と倍増し、売上構成比が15.7%→45.6%へ急上昇。法人ライセンス(Data for AI)が牽引し、高粗利ストック収益への転換が鮮明となった。調整後EBITDAは▲501百万円と前年比1億円改善し、Q4単独では786百万円の黒字を達成。

  • ライセンス型売上2,594百万円(前年比+121.3%)、修正予想比でも+194百万円と上振れ。AI学習・検証用途での法人ライセンス契約がウーブンバイトヨタ・海外大手半導体メーカー等で拡大
  • 量産車搭載がHonda「アコード」、SUBARU「アウトバック」、日産「リーフ」など6社/38車種(世界最多)に到達。搭載台数の累積増加による安定収益基盤の構築が進展
  • 営業CF▲61百万円と前年の▲2,269百万円から大幅改善。売掛金回収+1,292百万円が寄与し、資金流出が縮小
  • 北米子会社で22名の人員適正化を実施、2027年3月期に約315百万円の人件費削減効果を見込む。海外固定費構造の改善が進行
  • 測量会社M&Aを2件(日本海測量設計、リカノス)クローズし、垂直統合型のデータ収集体制を整備。ロールアップ戦略が始動

通期決算を踏まえた懸念点

売上高5,686百万円(前年比▲23.8%)と減収幅が大きく、プロジェクト型売上の▲3,201百万円減が全体を押し下げた。営業損失は▲1,876百万円と前年比657百万円拡大しており、ライセンス型の成長だけでは損失をカバーしきれていない状況が続く。

  • プロジェクト型売上3,092百万円(前年比▲50.9%)と半減。政府案件の受注形態変更による縮小に加え、中東・GM向け整備案件の期ずれが重なり、期初予想比でも▲1,608百万円の未達
  • 現金及び預金が8,383百万円→3,658百万円と▲4,725百万円減少。長期借入金返済▲3,651百万円と投資CF▲1,910百万円が圧迫。後発事象として新規借入810百万円を実行済だが、手元流動性の低下に留意
  • 販管費が2,687百万円(前年比+146百万円、+5.7%)と増加。減収下でのコスト増は収益性を圧迫。売上総利益率は14.2%(前年17.7%、▲3.5pt)に低下
  • 米国関税政策によるGMの業績影響から新規整備受注が翌期延期。地政学リスクや自動車業界の投資抑制が継続する場合、プロジェクト型回復の不透明感が残存
  • 利益剰余金は▲4,181百万円と累積損失が拡大。純資産7,229百万円(前年比▲1,729百万円)、あおぞら銀行の財務制限条項(純資産75%維持、連結現預金10億円以上、調整後EBITDA黒字)への抵触リスクに注視

注目点/今後確認したいポイント

  • 2027年3月期の調整後EBITDA黒字化(50百万円)の蓋然性。ライセンス型売上3,000百万円(+15.7%)、プロジェクト型売上4,000百万円(+29.4%)の内訳達成可否、特にGM向け期ずれ案件の受注・売上計上時期
  • Data for AI法人ライセンスのリカーリング化進捗。単発型と並行したサブスク型の立ち上がり、新規顧客パイプラインの具体性
  • M&Aによる測量ネットワーク構築のペースとのれん・投資回収スケジュール。日本海測量設計(のれん128百万円/17年償却)・リカノス(242百万円取得)の連結寄与度とPMI進捗
経営陣への論点
  • 法人ライセンス(Data for AI)のサブスクリプション型/リカーリング型モデルへの転換スケジュールと具体的な契約設計
  • プロジェクト型売上の期初予想比▲1,608百万円の期ずれ分のうち、2027年3月期に確実に回収可能な金額の内訳
  • 米国関税政策のGM向けビジネスへの影響度合いと、他OEM顧客への波及リスク
  • あおぞら銀行の財務制限条項(調整後EBITDA黒字、現預金10億円維持)の充足に向けた具体的な資金計画
  • 測量会社ロールアップM&Aの今後のパイプライン件数・投資規模の目線
  • 3Dデータライセンス(3Dmapspocket®、SRSS等)の立上遅延に対する打開策と収益化時期の見通し
  • 海外子会社の事業運営体制最適化による固定費削減の定量的効果(北米22名削減以外の施策有無)
  • フィジカルAI市場での競合他社に対するデータ品質・価格面での差別化ポイント
  • 来期プロジェクト型40億円のうち、政府案件と民間案件の構成比変化の方向性
  • コミットメントライン(借入極度額2,000百万円)の利用状況と追加調達の可能性

主要業績ハイライト

勘定科目数値前年比
売上高5,686百万円▲23.8%
└ ライセンス型売上2,594百万円+121.3%
└ プロジェクト型売上3,092百万円▲50.9%
売上総利益810百万円▲38.6%
販売費及び一般管理費2,687百万円+5.7%
営業利益▲1,876百万円-
調整後EBITDA▲501百万円+107百万円改善
経常利益▲1,651百万円-
親会社株主に帰属する当期純利益▲1,708百万円-
EPS▲72.30円+9.50円改善
包括利益▲1,729百万円-
減価償却費969百万円+83.4%
研究開発費352百万円+35.9%
売上総利益率14.2%▲3.5pt
売上高営業利益率▲33.0%▲16.7pt
ROE▲21.2%+1.2pt

調整後EBITDA算定: 営業利益▲1,876 + 減価償却費969 + 補助金収入325 + M&A関連費用77 + のれん償却費3 = ▲501百万円(会社開示ベースではのれん償却を含まない定義だが、数値は▲501百万円で一致)。営業損失の拡大(▲657百万円)は減価償却費増+439百万円と補助金収入増+243百万円で相殺され、調整後EBITDAでは前年比+107百万円の改善。

事業セグメント別の業績

セグメント名売上高前年比営業利益前年比利益率
国内1,456百万円▲45.9%▲974百万円--
海外4,229百万円▲11.4%▲917百万円--
好調な事業
  • オートモーティブ法人ライセンス(Data for AI):ウーブンバイトヨタ、海外大手半導体メーカー等との契約締結により計画比◎。AI用途での高精度3次元データ需要が顕在化し、ライセンス型売上全体を前年比2.2倍に押し上げ
  • オートモーティブ量産ライセンス:Honda「アコード」、SUBARU「アウトバック」、日産「リーフ」への新規搭載開始。6社/38車種は世界最多。搭載台数の累積増加が安定的な収益源に
不調な事業
  • 3Dデータプロジェクト(国内):政府案件の受注形態変更により期初予想比▲800百万円と大幅未達。民間物流向けも期ずれ発生し売上貢献は限定的
  • オートモーティブプロジェクト(海外):中東新規整備の当局折衝遅延、米国関税政策によるGM案件の翌期延期が重なり、期初予想比▲773百万円の未達(期ずれ要因全体は国内3D民間プロジェクト▲35百万円を含む▲808百万円)

業績予想比の進捗率

売上高は修正予想5,500百万円に対し5,686百万円(達成率103.4%)と上振れ。調整後EBITDAは修正予想▲1,000百万円に対し▲501百万円と499百万円の改善で着地。ライセンス型の上振れとコスト削減が寄与した。

勘定科目通期実績修正予想(2月)達成率
売上高5,686百万円5,500百万円103.3%
調整後EBITDA▲501百万円▲1,000百万円+499百万円
  • 法人ライセンス案件はQ4(1-3月)に売上が集中する傾向。2026年3月期もQ4単独で23億円(通期の40.7%)を計上。Q1-Q3は売上が低位にとどまりやすい構造

来期の業績予想

2027年3月期はライセンス型の継続成長(3,000百万円、+15.7%)と期ずれ案件の回収を含むプロジェクト型の回復(4,000百万円、+29.4%)により増収を見込む。北米人員削減効果(約315百万円)を含むコスト削減により調整後EBITDAは初の黒字化を計画。営業利益・経常利益・純利益の予想は非開示。

  • 売上高: 7,000百万円 (+23.1%)
  • 調整後EBITDA: 50百万円(黒字転換)

(営業利益、経常利益、純利益、EPSの来期予想は非開示)

株主還元への言及

2026年3月期の年間配当は0円(前期同様)。2027年3月期も年間配当0円を予想。累積損失の解消が優先課題であり、当面は無配が継続する見通し。自己株買いの実施・方針変更に関する言及なし。

財務状況

総資産10,889百万円と前期比▲5,086百万円の縮小。長期借入金返済による現預金減少が主因。自己資本比率は66.2%(前期55.9%、+10.3pt)と改善したが、これは負債圧縮による効果であり、純資産自体は▲1,729百万円減少。後発事象として810百万円の新規借入を実行しており、手元流動性の確保を図っている。

  • 主要数値
  • レバレッジ指標
勘定科目数値補足情報
現金及び預金3,658百万円前期比▲56.4%
売掛金及び契約資産2,708百万円前期比▲31.9%
流動資産合計6,611百万円前期比▲47.4%
無形固定資産3,532百万円前期比+33.6%、ソフトウエア3,359百万円+ソフトウエア仮勘定47百万円+のれん124百万円等
固定資産合計4,277百万円前期比+25.3%
有利子負債合計1,559百万円前期比▲63.2%
└ 1年内返済予定の長期借入金725百万円前期3,491百万円から大幅減
└ 長期借入金780百万円前期比+30百万円
└ リース債務(流動+固定)54百万円-
自己資本7,204百万円前期比▲19.3%
契約負債1,150百万円前期比▲11.5%
EBITDA▲904百万円営業利益▲1,876 + 減価償却費969 + のれん償却3

決算発表と同時に出たニュース

  • 2026/05/12
    日刊工業新聞にてリカノス子会社化に関するM&A戦略・実績が紹介。測量ネットワーク構築に向けたロールアップ型M&Aの第2弾として注目 日刊工業新聞で、リカノスの子会社化について紹介されました

足許四半期中の主要発表

  • 2026/02/17
    カナダ全土の高精度3次元地図データ整備完了。カナダ約20万km、北米全域で約156万km以上に到達。グローバルカバレッジ180万km超へ ダイナミックマッププラットフォーム、カナダ全土のデータ整備を完了 カナダにおける高精度3次元地図データが約20万kmに
  • 2026/02/26
    3代目「日産リーフ」のProPILOT 2.0に高精度3次元地図データが採用。量産車搭載車種拡大の重要案件 3代目「日産リーフ」にダイナミックマッププラットフォームの高精度3次元地図データが採用
  • 2026/03/17
    AOI Pro.、大林組、三菱地所等13社が参画する「高速道路直結型ステーションハブ推進協議会」が本格活動開始。自動運転・物流・エネルギーを横断する次世代モビリティ拠点網構想 「高速道路直結型ステーションハブ推進協議会」本格活動開始のお知らせ
  • 2026/04/27
    UAV測量実績を持つリカノスを完全子会社化。測量ネットワーク構築M&A第2号案件としてドローン技術を取り込み ダイナミックマッププラットフォーム、ドローン測量黎明期からの実績を持つリカノスを子会社化 測量ネットワーク構築に向けたM&A第2弾

過去1年間の大量保有報告/重要提案

  • INCJ(産業革新投資機構): 31.92%→31.33%(2025/07/24) - 共同保有者の増減による変動、重要提案行為なし
  • りそなアセットマネジメント: 5.94%→4.81%(2025/06/30)→5.05%(2025/07/31) - 投資信託・投資一任契約に基づく運用目的
  • 三菱電機: 6.60%→4.91%(2025/12/04) - 政策投資目的、重要提案行為なし
  • 野村證券: 0.00%→5.34%(2026/02/13)→4.18%(2026/04/30) - 証券業務に係る商品在庫としての保有
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