1Q決算を踏まえた評価点
売上総利益率が21.7%→25.2%へ+3.5pt改善し、売上原価率低下を伴う営業増益を実現。DX不動産価値向上事業の粗利率が10.6%→30.4%へ+19.8pt上昇したことが全社収益を底上げした。棚卸資産708億円(過去最高)と開発パイプライン累計63件・約1,704億円の積み上げにより、2027年度以降を見据えた成長原資も確保。
- 売上総利益2,043百万円(前年比+13.2%)。DX不動産価値向上事業でヘルスケア施設の好採算売却が寄与
- 営業利益1,246百万円(同+6.1%)。粗利率改善+288百万円が販管費増▲166百万円を吸収
- DX再生不動産事業は高額物件「プレミアム・リノベーション」の販売が奏功し売上3,393百万円(同+38.0%)
- 不動産賃貸事業はヘルスケア施設の新規稼働で売上303百万円(同+19.3%)、粗利率60.2%を維持
- 高島屋グループ等と不動産私募ファンド「Sanitas I」を組成、資産流動化と収益機会の多様化を推進
1Q決算を踏まえた懸念点
経常利益900百万円(前年比▲5.9%)、純利益593百万円(同▲11.9%)と営業外費用の増加が利益を圧迫。支払利息が200百万円→309百万円へ+54.6%増加しており、金利上昇局面での調達コスト増が顕在化。通期計画に対する1Q進捗率は営業利益7.1%・純利益5.1%と低水準であり、下期偏重の計画達成には引渡し集中リスクが内在。
- 支払利息309百万円(前年比+54.6%)。有利子負債拡大と金利上昇の二重要因で営業外費用391百万円に膨張
- DX新築不動産事業のセグメント利益393百万円(同▲43.0%)。粗利率29.6%(同▲8.4pt)と案件構成による変動が顕著
- 販管費796百万円(同+26.5%)。人件費・その他販管費の増加が営業利益の伸びを抑制
- 自己資本比率28.0%(前期末29.3%から▲1.3pt)。配当実施に伴う資本剰余金減少1,319百万円が主因
- 短期借入金20,518百万円(前期末比+3,488百万円)。棚卸資産積み上げに伴う当座貸越・コミットメントライン依存
注目点/今後確認したいポイント
- DX不動産価値向上事業の通期計画は売上総利益15,500百万円(粗利率56.2%)と極めて高い水準を想定。1Q実績の粗利率30.4%は高水準だが、年度後半に控える大型案件の採算性と引渡し時期が通期達成の鍵
- 金利上昇局面において有利子負債残高が拡大基調にあり、支払利息の通期着地見通しと借入金利の固定化率・平均調達コストの推移を注視
- 私募ファンド「Sanitas I」を含むヘルスケア不動産のAM事業が収益貢献を開始する時期と規模感。保有資産の流動化による資本効率改善の進捗確認
- DX不動産価値向上事業の通期粗利率56.2%の前提となる案件構成と主要プロジェクトの引渡し時期
- 金利上昇に対するヘッジ戦略(固定金利比率、金利スワップ等)の具体的方針
- 私募ファンド「Sanitas I」の第2号組成の見通しとAMフィー収入の中期的な規模感
- DX新築不動産事業の粗利率が案件ごとに大きく変動する構造への対応策(案件のパイプライン管理手法)
- ドーガンへの出資を通じた地方創生ファンドからの具体的な投資案件獲得の進捗
- 棚卸資産708億円の資金回収サイクルと資金繰り上のリスク管理体制
- 1人当たり営業利益135百万円(計画ベース)を支える人員体制の持続可能性
- 次期TOPIX構成銘柄入りに向けた浮動株時価総額・売買回転率の現状と施策
- 中期経営計画最終年度後の次期中計における成長シナリオの方向性
主要業績ハイライト
| 勘定科目 | 数値 | 前年同期比 |
|---|---|---|
| 売上高 | 8,103百万円 | ▲2.8% |
| 売上原価 | 6,060百万円 | ▲7.2% |
| 売上総利益 | 2,043百万円 | +13.2% |
| 販売費及び一般管理費 | 796百万円 | +26.5% |
| 営業利益 | 1,246百万円 | +6.1% |
| 経常利益 | 900百万円 | ▲5.9% |
| 親会社株主に帰属する四半期純利益 | 593百万円 | ▲11.9% |
| EPS | 77.78円 | ▲28.7% |
| 潜在株式調整後EPS | 76.93円 | ▲28.2% |
| 包括利益 | 596百万円 | ▲12.7% |
| 総資産 | 104,063百万円 | - |
| 純資産 | 29,226百万円 | - |
| 自己資本比率 | 28.0% | - |
EPSの前年比▲28.7%は、2025年12月期中の公募増資等による期中平均株式数増加(6,175千株→7,629千株、+23.5%)が主因であり、純利益の減少幅(▲11.9%)以上に希薄化の影響が表れた点に留意。
事業セグメント別の業績
| セグメント名 | 売上高 | 前年同期比 | セグメント利益 | 前年同期比 | セグメント利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| DX新築不動産事業 | 2,096百万円 | ▲2.6% | 393百万円 | ▲43.0% | 18.8% |
| DX再生不動産事業 | 3,393百万円 | +38.0% | 346百万円 | +9.3% | 10.2% |
| DX不動産価値向上事業 | 2,298百万円 | ▲33.7% | 641百万円 | +104.4% | 27.9% |
| 不動産賃貸事業 | 303百万円 | +19.3% | 136百万円 | +11.3% | 44.9% |
| その他 | 11百万円 | +231.9% | - | - | - |
- DX不動産価値向上事業:売上▲33.7%ながらセグメント利益+104.4%。ヘルスケア施設の好採算売却により粗利率30.4%(前年比+19.8pt)を実現
- DX再生不動産事業:売上+38.0%。高価格帯「プレミアム・リノベーション」シリーズの販売が寄与し売上総利益532百万円(同+14.1%)
- 不動産賃貸事業:売上+19.3%。ヘルスケア施設の新規稼働が貢献し粗利率60.2%(同+0.8pt)を維持
- DX新築不動産事業:セグメント利益▲43.0%。「A*G六本松」等の販売はあったものの、前年の高粗利率案件の反動で粗利率29.6%(前年比▲8.4pt)に低下
業績予想比の進捗率
通期計画に対する1Q進捗率は売上高13.3%、営業利益7.1%、純利益5.1%と低水準。ただし同社は例年1Qの進捗率が低い傾向にあり(過去6年の1Q営業利益進捗率:4.3%〜11.7%)、今期は特に下期偏重の計画構成。1Q末の棚卸資産は70,852百万円と通期計画達成に十分な水準を確保しており、2Q以降の引渡し進捗が計画通りであれば達成可能との会社見解。
| 勘定科目 | 数値 (1Q累計) | 通期計画 | 進捗率 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 8,103百万円 | 61,000百万円 | 13.3% |
| 営業利益 | 1,246百万円 | 17,500百万円 | 7.1% |
| 経常利益 | 900百万円 | 16,700百万円 | 5.4% |
| 純利益 | 593百万円 | 11,600百万円 | 5.1% |
- プロジェクトの引渡し時に収益を認識する特性上、四半期ごとの業績に偏りが生じる。例年1Qの進捗率は低く、3Q・4Qに売上・利益が集中する傾向
- 今期は特に下期に大型案件の引渡しが集中する計画であり、上期までの進捗率は低位で推移する見込み
業績予想の変更有無
2026年12月期の連結業績予想について変更なし。2026年2月13日公表の数値を据え置き。
株主還元への言及
中間配当予想を前回予想175円から177円へ+2円増配修正。期末配当は株式分割(1株→3株、2026年7月1日効力発生)考慮後115円(分割前換算345円)で変更なし。分割前換算の年間配当は522円(前回予想520円から+2円)となり、6期連続増配予想。配当方針にDOE6%下限基準を新たに追加し、配当性向40%目標、ROE20%以上と合わせた3指標体制に移行。株主優待制度を新規導入(100株以上保有でデジタルギフト500円分)。
財務状況
棚卸資産積み上げに伴い総資産は1,040億円に拡大。有利子負債は短期借入金・1年内返済予定の長期借入金を中心に増加したが、自己資本比率28.0%と中計目標の20%以上を維持。
- 主要数値
- レバレッジ指標
| 勘定科目 | 数値 | 補足情報 |
|---|---|---|
| 現金及び預金 | 18,900百万円 | 前期末比▲18.0% |
| 棚卸資産合計 | 70,852百万円 | 前期末比+8.4% |
| └ 販売用不動産 | 27,791百万円 | 前期末比▲1.9% |
| └ 仕掛販売用不動産 | 43,060百万円 | 前期末比+16.2% |
| 有形固定資産 | 9,563百万円 | 前期末比+7.2% |
| 有利子負債合計 | 70,518百万円 | 前期末比+7.5% |
| └ 短期借入金 | 20,518百万円 | 前期末比+20.5% |
| └ 1年内返済予定の長期借入金 | 14,371百万円 | 前期末比+14.5% |
| └ 長期借入金 | 34,708百万円 | 前期末比▲1.1% |
| └ 社債(含1年内償還予定) | 920百万円 | 前期末比±0% |
| 自己資本 | 29,097百万円 | 前期末比▲2.4% |
| EBITDA | 1,317百万円 | 営業利益1,246百万円+減価償却費70百万円 |
決算発表と同時に出たニュース
- 2026/05/14株式分割、株式分割に伴う定款の一部変更および配当予想の修正(増配)に関するお知らせ。1株→3株の株式分割(効力発生日2026年7月1日)、発行可能株式総数を1,700万株→5,100万株に変更、中間配当を175円→177円へ+2円増配修正、年間配当522円(分割前換算)を予想
- 2026/05/14株主優待制度の導入に関するお知らせ。100株以上保有株主にデジタルギフト500円分を進呈、 JPXスタートアップ急成長100指数採用を機に認知度向上・中長期保有株主層の拡充が目的
足許四半期中の主要発表
- 2026/03/05九州・沖縄での事業機会拡大を目的に地方創生ファンド運営会社ドーガンへ出資(第三者割当増資を引受) 株式会社ドーガンへの出資に関するお知らせ
- 2026/03/27東京都江東区・新宿区・港区の開発用地3物件を取得。A*G門前仲町Ⅱ、THE EDGE代々木等として開発予定 DX新築不動産開発「収益不動産開発用地」取得に関するお知らせ
- 2026/03/31高島屋グループ等が参画するヘルスケア施設向け私募ファンド「合同会社 Sanitas I」(資産規模約58億円)に出資、保有不動産を譲渡 私募ファンドへの出資及び保有不動産の譲渡に関するお知らせ
- 2026/03/31東京都・札幌市・名古屋市の開発用地6物件を取得。A*G札幌(北海道初)等のパイプライン拡充 DX新築不動産開発「収益不動産開発用地」取得に関するお知らせ
- 2026/04/09子会社ファンスタイルの分譲マンション「レーヴ」シリーズに顔認証IDプラットフォーム「FreeiD」を沖縄初導入 ファンスタイルの分譲マンション「レーヴ」シリーズへの顔認証IDプラットフォーム「FreeiD」導入に関するお知らせ
過去1年間の大量保有報告/重要提案
- 脇田栄一(代表取締役社長): 13.71%→11.49%(2025/07/30)→11.38%(2026/04/22) - 代表取締役として安定株主目的。共同保有者は資産管理会社
- サマーバンク合同会社: 7.43%→7.34%(2025/11/04) - 純投資
- サマーリバー合同会社: 5.28%→5.22%(2025/11/06) - 純投資
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