1Q決算を踏まえた評価点
売上高108.5億円(前年比+25.6%)、営業利益21.0億円(同+49.2%)と増収増益。営業利益率は19.4%と前年比+3.0ptの改善を果たし、成長と収益性の両立を実現。通期業績予想の上方修正(売上高205.0~209.1億円、営業利益37.4~41.3億円)も合わせて発表しており、経営の自信がうかがえる。
- 流通総額36,172百万円(前年比+21.0%)、AA数+16.3%、稼働率84.9%(同+0.3pt)とプラットフォームKPIが全面的に改善
- 営業利益の通期予想進捗率57.2%~67.4%(修正前基準)と計画を大幅に上回るペース。既存領域の費用効率化が利益率改善に寄与
- スポットワーク事業の営業利益2,373百万円(前年比+62.2%)と高成長。物流テイクレートもYoY+0.5ptと改善基調
- タイミーキャリアプラス売上72百万円(同3.6倍)、スキマワークス売上316百万円と新規事業が順調に立ち上がり
- 介護福祉業界のAA数YoY+147.6%、流通総額同+115.7%と注力領域が急拡大フェーズに突入
1Q決算を踏まえた懸念点
飲食業界の売上高がYoY▲4.8%とマイナス成長が継続。スポットワーク以外事業は営業赤字▲252百万円を計上しており、新規事業の投資回収フェーズはまだ先。売上総利益率は92.1%(前年比▲2.9pt)とスキマワークス連結影響で低下。
- 飲食業界は流通総額YoY▲3.5%、AA当たり流通総額同▲3.6%と回復の兆しは個社ベースにとどまり、全体の顕著な反転は未確認
- スポットワーク以外事業の営業損失▲252百万円
- 売上総利益率92.1%(前年比▲2.9pt)はスキマワークス連結による構造要因で、今後もミックス悪化が継続する可能性
- 2Qに1Qで創出された利益余力を追加投資に回す方針で、通期営業利益率はYoYでほぼ横ばいに着地する想定
- 短期借入金15,000百万円(前期比+3,890百万円)と立替払い拡大に伴う借入増。金利上昇局面での支払利息負担増に留意
注目点/今後確認したいポイント
- 飲食業界のマイナス成長が長期化する中、長期採用サポートサービスの正式リリース時期とプライシングモデルの決定が、飲食・小売業界の成長再加速に直結。2Qでの具体的な進展開示が注目点
- 介護福祉業界は営業人員倍増・ワーカーマーケ投資を実施中だが、稼働率改善に向けた探索段階
- 2Qへの追加戦略投資の具体的な配分先と規模。1Qの利益余力をどの領域にどの程度振り向けるかで、下期以降の成長軌道が変わる
- 飲食業界のマイナス成長の底打ち時期に関する見通し
- 長期採用サポートサービスのプライシングモデルと正式リリースのタイムライン
- 介護福祉業界の稼働率目標水準
- 2Qの追加戦略投資の具体的な金額レンジと配分先
- スキマワークスの連結影響による売上総利益率の中期的な着地水準
- タイミーキャリアプラスのダイレクトリクルーティングプラットフォーム開発の進捗とリリース時期
- M&A パイプラインの具体的な案件規模感と対象領域の優先順位
- スポットワーク市場における競合の動向が自社KPIに与える影響の定量評価
- FY26-FY30累計営業CF 300億円以上の前提条件と株主還元開始の具体的トリガー
- フィジカルAI時代を見据えた現場データ蓄積戦略の具体的ロードマップ
主要業績ハイライト
| 勘定科目 | 数値 | 前年同期比 |
|---|---|---|
| 売上高 | 10,856百万円 | +25.6% |
| └ スポットワーク手数料 | 10,401百万円 | +20.7% |
| 売上原価 | 853百万円 | - |
| 売上総利益 | 10,002百万円 | +21.8% |
| 売上総利益率 | 92.1% | ▲2.9pt |
| 販売費及び一般管理費 | 7,894百万円 | - |
| 営業利益 | 2,108百万円 | +49.2% |
| 営業利益率 | 19.4% | +3.0pt |
| 経常利益 | 2,082百万円 | - |
| 親会社株主に帰属する四半期純利益 | 1,439百万円 | +10.0% |
| 純利益率 | 13.3% | ▲1.8pt |
| EPS | 14.29円 | - |
| 潜在株式調整後EPS | 13.49円 | - |
| 流通総額 | 36,172百万円 | +21.0% |
| 平均テイクレート | 28.8% | - |
| 稼働率 | 84.9% | +0.3pt |
| 登録ワーカー数 | 1,347万人 | +29.0% |
| 登録クライアント事業所数 | 44.0万拠点 | +28.0% |
| AA数(四半期) | 241千拠点 | +16.3% |
前年比の%は決算説明資料に基づくYoYベース。決算期変更(10月→4月)により短信上は前年同四半期比の記載なし。純利益率▲1.8ptは前期1Qの一過性要因(税効果等)による高水準からの反動。
事業セグメント別の業績
| セグメント名 | 売上高 | 前年同期比 | 営業利益 | 前年同期比 | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| タイミー事業 | 10,539百万円 | - | 2,165百万円 | - | 20.5% |
| その他(スキマワークス) | 316百万円 | - | ▲57百万円 | - | - |
| 連結調整 | 0百万円 | - | - | - | - |
| 連結合計 | 10,856百万円 | +25.6% | 2,108百万円 | +49.2% | 19.4% |
- 物流業界:スポットワーク手数料YoY+25.1%、流通総額同+22.9%。受入負荷軽減PJが本格化して初の最繁忙期を無事通過。注力先大規模企業はQoQで成長率加速、中・小規模企業もQoQで反転
- 小売業界:スポットワーク手数料YoY+22.8%、流通総額同+26.4%。前期3Qからコスト抑制が見られた一部大手グループが徐々に回復。AA当たり流通総額YoY+8.5%と成長率上昇。ドラッグストアが拡大フェーズ
- 介護福祉業界:スポットワーク手数料YoY+114.6%、AA数同+147.6%。マーケティング・営業人員への戦略投資を計画通り実施し、BPR/営業フォロー強化体制が構築
- タイミーキャリアプラス:売上高72百万円(YoY 3.6倍)。キャリアアドバイザー増員、ワーカーマーケの投資対効果を確認
- スキマワークス:売上高316百万円(通期進捗率61.3%)。請負案件が順調に増加、夜間等の人手確保難易度が高い現場にも対応
- 飲食業界:スポットワーク手数料YoY▲4.8%、流通総額同▲3.5%。コスト抑制の影響でマイナス成長が継続。AA数はYoY+0.1%と横ばい。個々の企業では経営/本部へのソリューション提案により好転の兆しはあるが、業界全体の顕著な回復には至らず
業績予想比の進捗率
売上高の通期進捗率はレンジ上限54.3%~下限56.5%、営業利益は上限57.2%~下限67.4%(修正前基準)と共に良好。前年同期の1Q進捗率(売上高52.5%、営業利益43.3%)を上回る。好調な1Q実績と2Qの業績見通しを踏まえ、通期業績予想を上方修正。
| 勘定科目 | 数値 (1Q累積) | 通期計画(修正後) | 進捗率 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 10,856百万円 | 20,503~20,913百万円 | 51.9%~52.9% |
| 営業利益 | 2,108百万円 | 3,746~4,137百万円 | 50.9%~56.3% |
| 経常利益 | 2,082百万円 | 3,706~4,097百万円 | 50.8%~56.2% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 1,439百万円 | 2,754~3,021百万円 | 47.6%~52.3% |
修正後通期計画に対しても営業利益進捗率は50%超と順調。1Qで創出された利益余力を2Qの追加戦略投資に充当する方針。
- 1Q(11~1月)は物流を中心としたクライアントの最繁忙期にあたり、年間で売上高が最も高い四半期。2Q(2~4月)は相対的に閑散期
業績予想の変更有無
本日(2026年3月12日)付で通期連結業績予想を上方修正。前回予想(2025年12月22日公表)からの修正内容は以下の通り。
- 売上高:従来19,228~19,975百万円→新20,503~20,913百万円(+937~1,274百万円)
- 営業利益:従来3,128~3,688百万円→新3,746~4,137百万円(+448~617百万円)
- 経常利益:従来3,078~3,638百万円→新3,706~4,097百万円(+458~627百万円)
- 純利益:従来2,102~2,662百万円→新2,754~3,021百万円(+359~651百万円)
- 修正理由:好調な1Q実績及び2Qの業績見通しを反映。売上高はスポットワーク・スポットワーク以外共に上方修正。利益面は1Qの利益余力を2Q追加投資に回すため、通期営業利益率はYoYでほぼ同水準を想定
株主還元への言及
2026年4月期の配当予想は期末0.00円(年間0.00円)で変更なし。キャピタルアロケーション方針として、成長投資(M&A等)を最優先とし、未消化キャッシュは自社株買いによる株主還元を検討する旨を開示。FY26-FY30累計営業CF 300億円以上を見込み、既存借入極度空枠200億円以上を活用したM&A推進を表明。
財務状況
事業拡大に伴うワーカーへの立替払い増加に対応した短期借入金の積み増しが中心。自己資本比率は42.6%(前期末43.2%)とやや低下も、純資産は利益計上により16,020百万円(同+1,480百万円)へ増加。実質的には立替払いモデルに起因する運転資本需要が資産・負債の両建てで膨張する構造。
- 主要数値
- レバレッジ指標
| 勘定科目 | 数値 | 補足情報 |
|---|---|---|
| 現金及び預金 | 18,107百万円 | 前期末比+3,882百万円 |
| 売掛金 | 3,813百万円 | 前期末比▲46百万円 |
| 立替金 | 11,640百万円 | 前期末比▲205百万円 |
| 総資産 | 37,559百万円 | 前期末比+3,950百万円 |
| 流動資産合計 | 34,288百万円 | 前期末比+3,759百万円 |
| 固定資産合計 | 3,270百万円 | 前期末比+190百万円 |
| 有利子負債合計 | 15,771百万円 | 前期末比+3,850百万円 |
| └ 短期借入金 | 15,000百万円 | 前期末比+3,890百万円 |
| └ 長期借入金(1年内返済含む) | 771百万円 | 前期末比▲40百万円 |
| 自己資本 | 15,997百万円 | 前期末比+1,478百万円 |
| EBITDA | 2,192百万円 | 営業利益2,108+減価償却費71+のれん償却12 |
立替金(11,640百万円)は事業特性上ワーカーへの即日払いに伴う資産。短期借入金はこの立替払い資金を主目的とする借入であり、実質的な事業リスクとしての有利子負債とは性質が異なる点に留意。
決算発表と同時に出たニュース
足許四半期中の主要発表
- 2025/12/22決算期を従来の10月期から4月期へ変更。経過期間として2025年11月~2026年4月の6ヶ月変則決算に 決算期(事業年度の末日)の変更及び定款一部変更に関するお知らせ
- 2025/12/22決算期変更により会計期間が6か月となることを踏まえ、2026年4月期の通期連結業績予想を修正。売上高192.2~199.7億円、営業利益31.2~36.8億円のレンジを公表 決算期変更に伴う通期連結業績予想の修正に関するお知らせ
- 2026/01/28定時株主総会にて決算期変更(事業年度末を10月31日→4月30日)を正式承認 臨時報告書
- 2026/01/29社外取締役2名の新任を含む新経営体制を公表。ガバナンス強化を目的 新経営体制のお知らせ
過去1年間の大量保有報告/重要提案
- FMR LLC(フィデリティ系): 5.38%→8.65%→6.13%→5.82%(直近報告2025/10/07) - 顧客財産の運用目的。2025年5月に新規大量保有報告(5.38%)を提出後、7月に8.65%まで増加したが、9月以降に6.13%→5.82%と縮小
- モルガン・スタンレー(共同保有): 新規報告(2025/10/06) - 証券業務等にかかる保有
- ゴールドマン・サックス(共同保有): 変更報告(2025/05/08、2025/04/07) - 有価証券関連業務の一部としてのトレーディング・有価証券の借入等
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