FRONTEO 1Q 決算速報

AI創薬とアルネッツ寄与で増収も営業損失拡大。通期営業利益300百万円は下期偏重、AI創薬の導出が鍵

配信日2026年8月14日 20:20 JST

1Q決算を踏まえた評価点

売上高1,632百万円(前年比+5.6%)と増収を確保。成長ドライバーと位置付けるAI創薬分野が102百万円(同+58.6%)へ拡大し、共創プロジェクトとDDAIF Innovation Bridgeの案件積み上げが数値として顕在化。販管費削減と特別損失の縮小により、最終損益は前年から改善。

  • AI創薬分野売上102,994千円(前年比+58.6%)、アステラス製薬との共創プロジェクト新規開始とスコヒアファーマとの適応症探索契約締結が寄与
  • 純損失▲105百万円と前年▲161百万円から+55百万円改善。特別損失47百万円→8百万円、為替差損18百万円の解消が主因
  • 販管費810百万円(前年比▲9.2%)。海外事業撤退等のコスト構造改善が全社費用に反映
  • DX事業(アルネッツ)売上694百万円(同+64.4%)、外部顧客売上構成比は27.3%→40.8%へ上昇(当レポート試算)
  • 自己資本比率40.3%(前期末39.7%)。純損失計上下でもその他有価証券評価差額金増加により資本水準を維持

1Q決算を踏まえた懸念点

売上総利益率38.7%(前年比▲13.7pt、当レポート試算)と低下し、営業損失は▲179百万円へ拡大。売上原価が前年比+36.1%と増収率を大きく上回った。会社はAI創薬の研究人員拡充をライフサイエンスAI事業の営業損失拡大要因として説明している。リスクマネジメント事業の減収が続く点も、通期計画の下期集中度を高める要因。

  • 売上原価1,000百万円(前年比+36.1%)。増収率+5.6%を大きく上回り、売上総利益は631百万円(同▲22.1%)へ減少
  • リスクマネジメント事業売上826百万円(同▲18.6%)、営業損益は▲44百万円と前年▲0.05百万円から損失拡大
  • BI・コンプライアンス支援分野234百万円(同▲34.4%)。大手金融機関案件の収益貢献開始も製造業含む大口顧客の解約が上回る
  • 通期営業利益計画300百万円に対し1Q実績は▲179百万円。会社は下期偏重計画で想定通りとするが、残り3四半期での積み上げ負荷は高い
  • 有利子負債3,871百万円に対し現金及び預金1,446百万円(前期比▲16.6%)。EBITDAは▲53百万円(当レポート試算、営業損失+減価償却費107百万円+のれん償却18百万円)

注目点/今後確認したいポイント

  • AI創薬の導出(ライセンスアウト)進捗。エヌビィー健康研究所案件は最短2026年度中の製薬企業導出を目指すとされ、マイルストーン収入の計上時期が通期計画の鍵
  • リスクマネジメント事業の解約影響の底打ち時期。BI・コンプライアンス支援と経済安全保障の下期回復(官公庁案件は下期偏重計画)の確度
  • 2026年5月開設の「KIBIT AI Biology Lab」に伴う研究人員・固定費の増加規模と、ライフサイエンスAI事業の損益分岐点
経営陣への論点
  • 通期営業利益300百万円の四半期別積み上げ前提と、下期偏重を支える受注残・契約済み案件の内訳
  • ライフサイエンスAI事業の営業損失▲135百万円が黒字化に転じる売上規模と時期
  • 大口顧客解約が生じたBI・コンプライアンス支援分野の解約要因と、リカーリング収益の再構築策
  • DX事業(アルネッツ)の営業利益率3.6%への低下要因と、先行投資回収後の目標利益率
  • 有利子負債3,871百万円・短期借入金2,600百万円の返済/借換方針と、AI創薬投資の資金調達バランス

主要業績ハイライト

勘定科目数値前年同期比
売上高1,632百万円+5.6%
売上原価1,000百万円+36.1%
売上総利益631百万円▲22.1%
販売費及び一般管理費810百万円▲9.2%
営業損失▲179百万円前年▲82百万円
経常損失▲138百万円前年▲95百万円
└ 支払利息17百万円+64.9%
└ 受取配当金46百万円+44.4%
特別損失合計8百万円▲82.6%
親会社株主に帰属する四半期純損失▲105百万円前年▲161百万円
EPS▲2.69円前年▲4.10円
減価償却費107百万円+23.9%
のれん償却額18百万円+50.0%

売上総利益率は52.4%→38.7%へ低下(当レポート試算)。低粗利のDX事業が外部顧客売上の40.8%を占めたことに加え、AI創薬の研究人員拡充等の成長投資が利益を圧迫。純損失が営業損失を下回るのは、受取配当金46百万円、為替換算調整勘定取崩額13百万円、法人税等▲23百万円の計上による。なお前年同期はアルネッツ取得に係る暫定的な会計処理の確定を反映した組替後数値。

事業セグメント別の業績

ライフサイエンスAI事業はAI創薬の伸長で+29.2%増収も、成長投資により損失拡大。リスクマネジメント事業は4分野すべてが減収、営業損失は前年同期の▲0.05百万円から▲44百万円へ拡大。DX事業はアルネッツの通期寄与により+64.4%増収も、人員採用の先行投資で減益。

セグメント別業績表(売上高はセグメント間内部売上高を含む「計」ベース)

セグメント名売上高前年同期比営業利益前年同期比利益率
ライフサイエンスAI事業139百万円+29.2%▲135百万円前年▲118百万円▲97.1%
リスクマネジメント事業826百万円▲18.6%▲44百万円前年▲0.05百万円▲5.3%
DX事業694百万円+64.4%24百万円▲31.8%3.6%
調整額▲28百万円-▲24百万円--
連結計1,632百万円+5.6%▲179百万円前年▲82百万円▲11.0%

※当1Qより、ビジネスインテリジェンス・プロフェッショナル支援分野をDX事業からリスクマネジメント事業へ移管。前年同期は組替後数値。

好調な事業
  • AI創薬分野:102,994千円(前年比+58.6%)。共創プロジェクト案件とDDAIF Innovation Bridge案件の積み上げが寄与、アステラス製薬との新規プロジェクト開始
  • DX事業(アルネッツ・DX内製化支援、システム開発):外部顧客売上666,315千円(同+57.7%)。前年はアルネッツ株式取得(2025年4月30日)以降の期間のみ寄与
  • リーガルテックAI分野:491,914千円(同▲3.9%)と小幅減にとどまる。eディスカバリ減少を第三者委員会等のデジタル・フォレンジック案件増加が補完
不調な事業
  • ビジネスインテリジェンス・コンプライアンス支援分野:234,751千円(同▲34.4%)。大手金融機関案件の収益貢献開始も、製造業含む大口顧客の解約が影響
  • 経済安全保障分野:64,762千円(同▲33.0%)。民間企業案件の解約に加え、官公庁案件が下期偏重の計画
  • ビジネスインテリジェンス・プロフェッショナル支援分野:35,393千円(同▲29.3%)。新規案件の獲得に時間を要する状況
  • AI医療機器分野:36,151千円(同▲15.4%)。SDS-881は2025年5月開始の臨床試験段階にあり、収益化前の開発フェーズ

業績予想比の進捗率

売上高進捗率21.5%は前年同期の同水準(前年1Q売上1,546百万円÷前期実績7,643百万円=20.2%、当レポート試算)を上回る。利益面は営業損失計上のため進捗率は算出対象外であり、会社は当初計画を下期偏重で策定し1Qは想定通りの進捗と説明。通期黒字達成にはAI創薬の導出・マイルストーン収入と、リスクマネジメント事業の下期回復が前提となる。

勘定科目数値(第1四半期累計)通期計画進捗率
売上高1,632百万円7,600百万円21.5%
営業利益▲179百万円300百万円-
経常利益▲138百万円250百万円-
親会社株主に帰属する当期純利益▲105百万円150百万円-
EPS▲2.69円3.82円-
  • 会社は当初計画を下期偏重の想定で策定、下期にかけて収益拡大を見込むと明記
  • 経済安全保障分野の官公庁案件は下期偏重の計画

業績予想の変更有無

2027年3月期通期連結業績予想は前回公表時(2026年5月15日)から変更なし。売上高7,600百万円(前期比▲0.6%)、営業利益300百万円(同▲59.4%)、経常利益250百万円(同▲63.0%)、親会社株主に帰属する当期純利益150百万円(同▲72.4%)を据え置き。

株主還元への言及

2027年3月期の配当予想は年間0.00円(無配)を継続、直近公表の配当予想から修正なし。前期も年間0.00円。自己株式は230,859株で前期末から変動なし。

財務状況

売掛金及び契約資産の回収と借入金返済により総資産は8,828百万円へ減少する一方、自己資本比率は40.3%へ小幅上昇。有利子負債3,871百万円に対し現金及び預金1,446百万円と、AI創薬投資に伴う借入依存度の推移が注視点。

  • 主要数値
  • レバレッジ指標
勘定科目数値補足情報
現金及び預金1,446百万円前期比▲16.6%
売掛金及び契約資産1,046百万円前期比▲30.5%
投資有価証券2,295百万円前期比+9.7%
のれん1,020百万円前期比▲1.8%
自己資本3,561百万円前期比▲2.6%
有利子負債3,871百万円前期比▲3.2%、リース債務除く
└ 短期借入金2,600百万円前期末から変動なし
└ 1年内返済予定の長期借入金396百万円前期比▲10.3%
└ 長期借入金875百万円前期比▲8.6%
EBITDA▲53百万円当レポート試算:営業損失▲179+減価償却費107+のれん償却18

※EBITDAが負値のためNet Debt/EBITDA、営業損失計上のためインタレストカバレッジレシオは記載を省略。ネット有利子負債は2,425百万円(当レポート試算)。

決算発表と同時に出た適時開示

該当なし

足許四半期中の主要発表

  • 2026/05/28
    スコヒアファーマとDDAIF活用の新規適応症探索契約を締結、同社への出資も実施しDDAIF Innovation Bridgeを拡大 FRONTEOとスコヒアファーマ、AI創薬支援サービス「DDAIF」を活用した、新規適応症探索に関する契約を締結
  • 2026/07/22
    事業ポートフォリオ最適化の一環で韓国子会社の全株式を譲渡、ライフサイエンスAIへの経営資源集中を鮮明化 FRONTEO、事業ポートフォリオ最適化の一環で韓国子会社を譲渡
  • 2026/07/24
    ライフサイエンスAI事業(AI創薬分野)の成長加速を目的に証書貸付契約及び当座貸越契約を締結 ライフサイエンスAI事業(AI創薬分野)の成長加速を目的とした、証書貸付契約及び当座貸越契約の締結について
  • 2026/08/04
    シミックと協業契約を締結、DDAIFの適応症探索とシミックの開発成立性評価を組み合わせ製薬企業の適応症戦略を支援 FRONTEOとシミック、製薬企業の適応症戦略支援で協業
  • 2026/08/13
    PURMX TherapeuticsとPoC契約を締結、難治性がん領域のマイクロRNA核酸医薬で標的分子候補探索を開始、第三者割当増資も引受 FRONTEOとPURMX Therapeutics、難治性がん領域におけるマイクロRNA核酸医薬の標的分子候補探索・作用機序解明に向けたPoCを開始

過去1年間の大量保有報告/重要提案

  • 守本正宏氏(代表取締役社長): 10.25%→10.25%(2025/10/22、変更報告書No.14) - 保有割合は不変だがSBI証券へ550,000株を担保提供。保有目的は創業者かつ代表取締役として安定株主として保有、重要提案行為等は該当なし
  • キャプスタン・メディカル: 6.99%→5.92%(2026/02/25、変更報告書No.1) - 保有目的はMORIMOTO投資事業有限責任組合1号による純投資、重要提案行為等は該当なし
  • 守本正宏氏: 10.25%→16.16%(2026/03/19、変更報告書No.15) - MORIMOTO投資事業有限責任組合1号から2,332,900株を現物分配で取得、安定株主としての保有
  • キャプスタン・メディカル: 5.92%→0.00%(2026/03/19、変更報告書No.2) - 保有株式を守本正宏氏へ現物分配し保有解消、重要提案行為等は該当なし
  • 守本正宏氏: 訂正報告書(2026/03/23) - 変更報告書No.15の取得資金の内訳欄を訂正、現物分配による取得である旨を追記
  • 重要提案行為: 該当なし(上記各報告書はいずれも重要提案行為等の記載なし)
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