サマリー
2026年6月期通期は売上高83億円(予算比+2.8%)、営業利益2.2億円(同+11.1%)で予算達成、2期連続黒字を確保。INVASE事業は売買モデルへの完全移行を経て初の通期黒字化を達成した一方、モゲチェック事業は金融機関のオンライン広宣費抑制が継続し売上は前期比▲36.8%と縮小したが、CPA半減とROAS 476%への改善で利益を確保。2027年6月期は営業利益+67%を見込み、新サービスCAPSを起点にファイナンスから実需不動産売買への事業領域拡大を明確に打ち出した。
ポイント(決算の要点と成長アクション)
- 経営戦略と市場認識
- 金利のある時代が到来し、金融機関は貸付競争から預金獲得競争へシフト、リアル系銀行の相対的復活が進行
- インフレ進行で不動産価格は都心部中心に上昇、INVASE事業にはフォロー環境が継続
- AIエージェント時代の到来を見据え、モゲチェック機能のMCP化で外部AIからの送客を狙う方針
- 足元の事業進捗と要因
- モゲチェックは広宣費をピーク時の約4分の1に抑制しつつ、SEO上位表示(住宅ローン金利で1-2位)により自然流入を増加させCPA前年同四半期比▲56%を実現
- INVASE事業は3Q途中の銀行審査基準変更で一部案件が後ろ倒しとなり通期予算未達だが、3四半期連続黒字を維持
- 当期純利益308百万円のうち約95百万円は繰延税金資産計上による嵩増しであり、実力は営業利益の2.2億円が適切な指標
- 戦略的な重要施策や変化点
- 2026年7月にマンションAI査定サービスCAPSをリリース、MER 6%台の高精度で全国14.5万棟を対象に無料提供
- 2026年10月にMFSとコンドミニアム社のINVASE事業機能を統合、Web・アプリ統合で月間会員登録数2倍を見込む
- モゲチェックのPhase4として金融機関とのAPI連携によるワンクリック住宅ローン申込を今期中に実現する方針
今後の見通しと戦略
- 2027年6月期は売上高102億円(前期比+23.1%)、営業利益3.7億円(同+67.0%)を予想。両事業とも下期偏重の計画
- モゲチェックは売上微減(12億円)ながら営業利益2億円(前期比+23.7%)を計画、効率重視のマーケティング戦略を継続
- INVASE事業は売上90億円(同+27.9%)、営業利益1.6億円(同+188.7%)を計画。セールス採用による体制強化と型化を推進
- CAPSを軸に3Q以降で実需仲介を開始、4Qには CAPS内売買の実現を目指すが、業績予想には新規施策の収益を一切織り込まず
- 不動産会社100社のモゲチェック利用、診断機能のMCP化、ローン紹介月30百万円の3目標を今期KPIとして設定
- 中計(ビジョン2030)の方針変更はなく、やるべきことをやるスタンスを維持
ポジティブ要因
- モゲチェックのCPAが5,617円(4Q)まで低下、ROAS 476%と収益構造が改善。広宣費率21.0%は過去最低水準
- INVASE売買モデルで月間平均50百万円以上の粗利、月間平均15百万円以上のローン紹介手数料を安定的に確保
- CAPSはMER 6%台の高精度で業界No.1の査定精度を第三者機関調査で獲得、差別化要素が明確
- モゲチェック会員登録数は前年同月比+121千人と堅調に推移、SEOによる自然流入が安定的なリード獲得基盤に
- インフレ下の資産形成ニーズの拡大と金融機関の積極的な投資用融資姿勢がINVASE事業の追い風
- メディア露出が年間200件ペースで継続、ブランド認知の下支えが機能
懸念事項・リスク
- 金利上昇局面でネット銀行の広宣費抑制が継続、モゲチェック売上は前期比▲36.8%と縮小トレンドが続く
- INVASE売買モデルは単価が大きく、案件の後ろ倒しによる四半期業績のボラティリティが課題と経営陣も認識
- 2027年6月期の業績は上期・下期で大きく偏る計画(INVASE営業利益:上期12百万円 vs 下期156百万円)であり、下期の進捗確認が重要
- 政策金利2.0%超のリスクシナリオの蓋然性が高まりつつあり、住宅ローン市場全体への影響に注意
- CAPSによる実需仲介はまだ構想段階であり、収益貢献時期は不透明。不動産仲介領域は競合多数
- モゲチェックのマーケットシェアは0.77%と依然小さく、成長加速の具体的なドライバーはAI化・API化に依存
業績ハイライト
2026年6月期通期の連結売上高は8,317百万円(前期比+185.0%、INVASE売買モデルのグロスアップ影響大)、グロスアップ控除後ベースでは2,295百万円(同▲21.4%)。営業利益222百万円(同+12.7%)、当期純利益308百万円(同+92.8%、繰延税金資産計上95百万円含む)で予算達成。モゲチェック事業は通期黒字化を維持、INVASE事業は初の通期黒字を達成した。
セグメント別業績
| セグメント名 | 売上高 | 前年同期比 | 営業利益 | 前年同期比 |
|---|---|---|---|---|
| モゲチェック事業 | 1,251百万円 | ▲36.8% | 164百万円 | ― |
| INVASE事業 | 7,066百万円 | +654.5% | 58百万円 | ― |
| INVASE事業(グロスアップ控除後) | 1,043百万円 | +91.8% | ― | ― |
| MFSグループ合計 | 8,317百万円 | +185.0% | 222百万円 | +12.7% |
- モゲチェック審査申込数(4Q): 13,279件(前年同四半期比 ▲10.9%)
- モゲチェック審査申込単価(4Q): 26,742円(管理会計ベース 27,000円で安定)
- モゲチェックCPA(4Q): 5,617円(前年同四半期比 ▲56.4%)
- モゲチェック広告宣伝費率(4Q): 21.0%(過去最低水準)
- モゲチェック会員登録数: 前年同月比 +121千人
- INVASE契約件数(4Q): 194件(前年同四半期比 +108.6%)
- INVASE広告宣伝費率(4Q、調整後): 10.7%
- INVASE会員登録数: 前年同月比 +7千人
- 従業員数(期末): 80名(エンジニア・デザイナー23名、比率約29%)
Q&A 一覧
- Q: SEO効果というのがプレゼンテーション内にいくつか出てきているが、そもそもそれは何なのかA: メインとしては住宅ローンもしくは住宅ローン金利といった検索ボリュームの多いキーワードでSEO上位を取っているということ。住宅ローンだと大体2位から3位ぐらい、住宅ローン金利だと1位か2位を争っている状況。月間だいたい30万件ぐらいの検索ボリュームがあり、上位トップ3に入るとそれなりの流入がある。しかもこれが0円で取れるため、今回のCPA低下に大きく寄与している。
- Q: メディアの露出は順調かA: 引き続きメディア露出は好調で、年間200件ぐらいのペースで続いている。今年も9月もしくは10月に日銀利上げがあるのではないかと言われているため、その前後でメディアの住宅ローンへのアテンションが高まり、取材のリードが多く取れる状況になると考えている。
- Q: 2026年6月期に想定外の事はあったかA: あった。まず融資実行時点への売上計上ポイントの変更は、2030年ビジョンを出した時とは想定が大きく変わり、ビジネスモデルが変わるということで予算が読みづらく実績がついてくるかも不確実な中での会話となった。ただその中でも最大限見積もって出した結果、結果の上を行けたのは良かった。INVASE事業については3Qの金融機関の審査基準変更は想定していなかった。決済時期が1〜2ヶ月ずれるのは不動産売買ではよくあるが、単価が大きい物件でそれが起こるとINVASE事業の売上がずれてブレる。このボラティリティの大きさはやや想定外だった。
- Q: 全国保証と提携した件について、その後進展や成果は出ているかA: 今の時点で回答できる内容はないが、全国保証とは新しいスキームについて色々と意見交換させていただいている。発表できるタイミングになり次第お知らせするので、もうしばらく待ってほしい。
- Q: ビジョン2030のスライドがなくなっていたが、説明してほしいA: 何も変わっていない。スライドが多すぎたので抜いただけ。事業計画についても全体としては23%伸びる予定で、INVASE事業は型化、モゲチェック事業はさらなるAI化とAPI化がある。今の時点で何か大きく計画を変えるということは考えていない。
- Q: 販売用不動産のBS上の増加が見られたが、金利急騰時に重しになる可能性はないかA: 結論から言うと大きな影響はない。現金で買っている部分と借り入れで一部回している部分があるが、借り入れは2%前後の低金利。販売用不動産はだいたい2〜3ヶ月で入れ替わるので、収益性を考えると非常に良く回っている。金利が突然5%になれば話は変わるが、徐々に上がるという想定であり、販売用不動産が金利上昇によって影響を受けるということは考えていない。
- Q: CAPSユーザー数を拡大していく上での留意点や現時点での考えはあるかA: あまりお金をかけて力技で取っていくというよりも、モゲチェックやINVASEでそこそこの露出があるし、CAPS独自の分析から出てくるアウトプットで関心の高い情報発信をしながら増やしていきたい。1年間で少なくとも数万件のユーザーを獲得したいと考えており、それぐらいのペースで極力お金をかけずに増やしていく方針。
- Q: CAPSのビジネスモデルの構想はいつ頃から始めたのか。以前から目指していた形かA: CAPSを実需向けにやっていこうと思ったのは今年に入ってからぐらい。元々INVASEで不動産価格の価格モデルは作っていたが、データサイエンティストが相当レベルの高いものを作れることが分かってきて、実用に耐えうると判断し、インベースの顧客だけでなく実需を含む全てのマンション購入者向けに提供することにした。住宅ローンが商流の一番最後にあるプロダクトであることと、モゲチェックがフロービジネスであるという課題感はずっとあった。外部要因によって成長が大きく左右されるという問題を解決する1つの解がCAPSだと考えている。
- Q: CAPSの実需仲介の開始は全国レベルで行う予定か、首都圏等特定の地域からかA: 将来的には全国レベルを考えているが、直近はおそらく首都圏、東京中心になる。現在CAPSに登録しているユーザー数千人は大体が東京都あるいは首都圏の人たちなので、そこから出てくる売りたい・買いたいのニーズもその地域の物件になると考えている。
- Q: 同業他社で不動産の類似サービスが展開されていると考えるが、既存システムとの差別化ポイントを教えてほしいA: よくある一括査定サービスは大体のインディケーションを出した後に個人情報を取り、色々な不動産会社に送客して電話がかかってくるという形式。不動産仲介がやっているサービスもかなりレンジで出されている。CAPSは全国14.5万棟のマンションを対象に大量のデータを使い、MER 6%という1桁台の精度でピンポイントの価格を出せるサービスであり、こうしたサービスは我々ぐらい。さらにヒストリカルの数字として過去5年間の価格や賃料の動きも表示しており、トレンド分析も可能。そうした点でのユニークさがある。
- Q: CAPSの事業はストックビジネスとして展開するにあたり、課金方式は月額会員料を徴収するサービスかA: CAPSは完全に無料で使えるサービス。ストックビジネスと言っているのはSaaS化するという意味ではなく、モゲチェックからもINVASEからもマネタイズ可能な顧客をCAPSを中心として捕まえることでLTVの向上を狙うという意味。サブスクリプション型のサービスを始めるということではない。
- Q: モゲチェックのAI化やAPI連携により、最終的にユーザーはモゲチェック内で情報入力するだけで住宅ローンの借り入れが完了するイメージであっているか。今はモゲチェックから銀行サイトに飛んで情報入力が必要だと認識しているがA: その通りで、それが目指す方向。今AI化のPhase4として金融機関とのAPI連携を強め、モゲチェック上で住宅ローンが申し込める形にしていく。モゲチェックで住宅ローンのアドバイスを受け、申し込みができ、最後に実行までできるサービスにしたいと考えている。
- Q: 2027年6月期のモゲチェックの売上が前年比で若干マイナスであり、2030年ビジョンに対して進捗が遅れているようにも感じる。今期の事業戦略の効果は今期見通しの数字にどの程度見込んでいるかA: 新規施策については全く織り込んでいない。不動産会社連携はまだ社内で回している最中で、売上への貢献額が分かった段階で提示する。診断機能の他AI提供もやっているが相手があっての話のため大きく予算に組み込んでいない。CAPSの実需仲介など不動産売買についても一切入れていない。全く新しいビジネスであり、不動産売買は決済・引渡し完了で初めて売上になるためリードタイムを考えると今期中の大きな成果は不確実であり、事業計画に織り込むことはしていない。
- Q: 2027年6月期においてCAPSは今期の利益の何%ぐらいの収益を生むと想定しているか、それとも今期は立ち上げ段階で赤字想定かA: そもそも収益を今織り込んでいない。赤字になるような要因もない。社内のエンジニアが開発したもので、外部に大きくコストをかけて作ったわけではないため、赤字想定ということもない。
- Q: INVASEの売買モデルが成功した要因は何か。過去に一度売買モデルを撤退していると認識しているが、今回は何が良かったのかA: 過去に撤退したのは仲介モデル。仲介は顧客が物件を欲しいと言っても先に他の買い手が入ると物件がなくなるが、売買モデルは自社で仕入れた物件をそのまま販売できるため、このボトルネックが解消される。また仲介は物件価格の3%が手数料上限だが、売買モデルは割安に仕入れれば3%以上の利益が取れる。うまくいった要因は二つあり、一つはワンルームに手を出さず、比較的高年収の方に大きめの物件を販売するという戦略を採ったこと。大きめの物件は割安で仕入れる可能性があり、高年収帯の顧客に購入いただくチャンスが増えた。この仮説を持って対応したところうまくいった。
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