通期決算を踏まえた評価点
売上高2,097億円(前年比+6.6%)、営業利益188億円(同+83.5%)と売上・利益とも過去最高を更新。金属部門(鉱山)での銅価格上昇(425→491¢/lb)と生産コスト減、不動産事業での販売用不動産売却が利益を押し上げた。ROE9.4%(+3.0pt)、ROIC6.7%(+2.4pt)と資本効率も改善し、PBRは1.24倍と初の1倍超を達成。
- 金属部門営業利益67億円(前年比+57億円、+613.3%)。銅価格上昇、アタカマ鉱山の可採鉱量増に伴う耐用年数延長で減価償却費12億円減少
- 売上総利益率20.9%(前年比+3.5pt)。売上原価の増加(+33億円)を売上高の増加(+130億円)が上回り、収益性が向上
- 不動産事業営業利益33億円(同+16億円、+97.7%)。販売用不動産売却で利益率69.8%と高水準
- 2026年2月予想比で営業利益+23億円、純利益+35億円と上振れ着地。調査費の後ずれ(+11億円)と金属部門の副産物収益良化が寄与
- 配当は1株71.4円(前年比+26.6円)、配当性向40.0%。総還元性向は40.0%
通期決算を踏まえた懸念点
来期(FY26)は営業利益140億円(▲25.6%)、経常利益115億円(▲43.1%)、純利益120億円(▲14.5%)と減益予想。アルケロス鉱山のコスト先行、不動産売却益の剥落、調査費増加が重なり、利益水準は一段低下する見通し。
- 営業CF75億円(前年比▲101億円、▲57.2%)。主に製錬で棚卸資産161億円増加、売上債権67億円増加が運転資本を圧迫
- 自己資本比率50.7%(▲8.2pt)。長期借入金447億円(前年比+349億円)とアルケロス開発資金の調達で有利子負債が急増
- 来期経常利益115億円には訴訟等関連費用(同3.9億円)など営業外費用の変動リスクが残存
- アルケロス鉱山の開発費用486百万USD(当初396百万USDから+23%)へ増額、操業開始も2026年4月→7-9月へ後ずれ
- 鉱石部門の石灰石販売数量22,118千t(前年比▲290千t)。鉄鋼向け・骨材向けの減少が続く。価格改定でカバーできるか
- アタカマ鉱山の経年によるコスト増
- 政策保有株式の売却で減益幅が圧縮
注目点/今後確認したいポイント
- アルケロス鉱山の操業開始(26年7-9月予定)後のランプアップ速度とC3コスト318¢/lbの実現可否。FY27のフル寄与時に銅生産量が現行の2倍超(アタカマ1.1万t+アルケロス1.5万t)となるかが中期利益水準を決定
- 政策保有株式の縮減(FY25-27で100億円以上)と自社株買い(FY26で上限100億円)の進捗。FY25末時点の保有残高429億円(時価)は純資産対比で高く、FY27に20%以下を達成できるかが資本効率改善の鍵
- 第4次中計における最適資本構成・ROE目標の開示。WACC5.8%に対しROIC6.7%とスプレッドは限定的であり、アルケロス鉱山フル寄与後のROIC水準が持続的にWACCを上回るかの検証が重要
- アルケロス鉱山の操業開始後、フル稼働までの想定期間と歩留まりの見通し
- 開発費用486百万USDの追加的な増額リスクの有無
- アタカマ鉱山の残存可採年数と将来の減価償却費負担の変化
- 来期調整額▲39億円(当期比▲20億円)の調査費内訳とプキオス・Oracle Ridge等への配分
- 製錬事業におけるTC/RC悪化トレンドへの対応策
- 水処理剤「ポリテツ」の台湾工場稼働時期と海外売上構成比目標
- 不動産事業の販売用不動産パイプラインと来期以降の売却益見通し
- 白水越地熱発電プロジェクトの開発スケジュールと投資規模
- 政策保有株式の4月売却31億円以降の年度内売却計画
- 第4次中計でのROE目標・最適資本構成の開示時期
主要業績ハイライト
| 勘定科目 | 数値 | 前年同期比 |
|---|---|---|
| 売上高 | 209,717百万円 | +6.6% |
| 売上総利益 | 43,820百万円 | +28.0% |
| 営業利益 | 18,826百万円 | +83.5% |
| 経常利益 | 20,221百万円 | +76.8% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 14,033百万円 | +55.6% |
| EPS | 178.37円 | +63.1% |
| 包括利益 | 22,068百万円 | +135.7% |
| 売上高営業利益率 | 9.0% | +3.8pt |
| ROE | 9.4% | +3.0pt |
| 総資産経常利益率 | 7.3% | +2.4pt |
| ROIC | 6.7% | +2.4pt |
| 営業CF | 7,580百万円 | ▲57.2% |
| 投資CF | ▲32,834百万円 | - |
| 財務CF | 31,726百万円 | - |
| 現金及び現金同等物期末残高 | 43,236百万円 | +14.4% |
営業利益の前年比+85億円の内訳:銅価格/条件+22億円、為替+4億円、数量▲6億円、単価/ミックス+26億円、減価償却費+9億円、その他コスト+30億円(金属+25、不動産+17、鉱石▲6、環境▲6)、調整額+1億円。
事業セグメント別の業績
| セグメント名 | 売上高 | 前年同期比 | 営業利益 | 前年同期比 | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 鉱石部門 | 66,907百万円 | +5.6% | 8,007百万円 | +10.4% | 12.0% |
| 金属部門 | 120,289百万円 | +5.5% | 6,744百万円 | +613.3% | 5.6% |
| 機械・環境事業 | 15,905百万円 | +7.7% | 2,081百万円 | +0.7% | 13.1% |
| 不動産事業 | 4,746百万円 | +65.1% | 3,318百万円 | +97.7% | 69.9% |
| 再生可能エネルギー事業 | 1,868百万円 | +6.0% | 645百万円 | +35.3% | 34.5% |
- 金属部門(鉱山):銅精鉱売上高255億円(前年比+54億円)。LME銅価格490.59¢/lb(前年比+15.4%)の上昇に加え、アタカマ鉱山の生産コスト減少・可採鉱量増に伴う減価償却費12億円減が利益を押し上げ
- 不動産事業:売上高47億円(同+65.1%)。販売用不動産の売却による一時収益が寄与、セグメント利益率69.9%
- 環境商品:売上高112億円(前年比+11億円)。水処理剤の販売価格上昇と増販が牽引
- 金属部門(製錬):電気銅国内販売価格上昇で電気銅売上789億円(同+74億円)。副産物収入改善、為替影響でも増益
- 鉱石部門(数量面):石灰石販売数量22,118千t(前年比▲291千t)。骨材向け▲368千t、鉄鋼向け▲309千tと主要用途で減少。販売価格上昇(+12億円)で補い増収も、数量トレンドに注意
- 機械部門:産業機械売上高46億円(前年比▲0.4億円)。横ばいにとどまり成長への寄与は限定的
業績予想比の進捗率
2026年2月6日時点の修正予想(売上高2,050億円、営業利益165億円、純利益105億円)に対し、売上高+47億円、営業利益+23億円、純利益+35億円の上振れ着地。金属部門の副産物収益良化、調査費後ずれ(調整額+11億円)が主因。
| 勘定科目 | 通期実績 | 2月時点予想 | 乖離率 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 209,717百万円 | 205,000百万円 | +2.3% |
| 営業利益 | 18,826百万円 | 16,500百万円 | +14.1% |
| 経常利益 | 20,221百万円 | 16,700百万円 | +21.1% |
| 純利益 | 14,033百万円 | 10,500百万円 | +33.6% |
- 主力の資源セグメントでは、鉱石部門は天候や修繕のタイミングから上期に利益が出る傾向。金属部門は銅価格や為替の影響を受ける(季節性はあまりない)
- その他のセグメントにおいては基本的に影響は軽微だが、不動産売却など一時的利益の計上時期が四半期業績を左右
来期の業績予想
売上高は227億円の増収予想であり、主に金属部門 (+244億円)の見通しと、不動産事業(▲20億円)見通しから構成。営業利益は48億円の減益予想であり、主に不動産事業(▲16億円)や 調整額(▲20億円)調査費の増加等による影響。
- 売上:232,500百万円(+10.9%)
- 営業利益:14,000百万円(▲25.6%)
- 経常利益:11,500百万円(▲43.1%)
- 親会社株主に帰属する当期純利益:12,000百万円(▲14.5%)
- 1株当たり当期純利益:152.51円
株主還元への言及
FY25の年間配当は1株71.4円(中間117円+期末48円、株式分割調整後)、配当性向40.0%。配当金総額56億円。総還元性向は40.0%。FY26予想は1株62円(中間31円+期末31円)、配当性向40.7%。2026年2月27日に上限100億円・500万株の自己株式取得枠を設定済。配当下限値は固定額34円/株。
財務状況
アルケロス鉱山開発資金の借入により有利子負債が急増し、自己資本比率は50.7%(▲8.2pt)へ低下。一方、利益剰余金の積み上がり(+65億円)と有価証券評価差額金の増加(+52億円)で自己資本は1,573億円(+11.2%)へ拡大。
- 主要数値
- レバレッジ指標
| 勘定科目 | 数値 | 補足情報 |
|---|---|---|
| 総資産 | 310,412百万円 | 前期比+29.2% |
| └ 流動資産合計 | 130,871百万円 | 前期比+28.3% |
| └ 固定資産合計 | 179,540百万円 | 前期比+29.9% |
| 現金及び預金 | 43,459百万円 | 前期比+14.2% |
| 自己資本 | 157,307百万円 | 前期比+11.2% |
| 有利子負債 | 64,062百万円 | 短期17,587+長期44,719+リース1,756 |
| └ 短期借入金 | 17,587百万円 | 前期比+39.4% |
| └ 長期借入金 | 44,719百万円 | 前期比+357.6% |
| 投資有価証券 | 49,870百万円 | 前期比+27.3% |
| 建設仮勘定 | 47,812百万円 | アルケロス鉱山開発関連 |
| EBITDA | 26,279百万円 | 営業利益18,826+減価償却費7,453 |
足許四半期中の主要発表
- 2026/02/27アルケロス鉱山の開発費用を396百万USDから486百万USDへ引き上げ、生産開始を2026年4月→7-9月へ後ずれ。銅・銀価格前提の見直しにより操業期間全体の収益性は向上見通し (開示事項の経過)チリ共和国におけるアルケロス鉱山開発プロジェクトの一部見直しについて
- 2026/02/27上限5,000,000株・100億円の自己株式取得と全数消却を決議。鉱山開発による中長期キャッシュ創出力や資産売却計画を踏まえた資本効率向上策 自己株式取得に係る事項の決定及び自己株式の消却に関するお知らせ
- 2026/04/20米アリゾナ州Oracle Ridge銅探鉱プロジェクトについてEagle Mountain Miningと参入契約を締結。4年間で総額20百万ドルを支出し、環境許認可、試錐探鉱、実現可能性評価を実施 アメリカ合衆国アリゾナ州Oracle Ridge銅探鉱プロジェクトへの参入契約締結に関するお知らせ
- 2026/04/20Oracle Ridgeプロジェクト参入に伴い、Nittetsu Mining USA LLCへの増資とWedgetail Operations LLC(80%権益)の子会社化を決議。北米鉱物資源への初参入 米国における特定子会社の異動に関するお知らせ
過去1年間の大量保有報告/重要提案
- Continental General Insurance Company: 5.02%→8.58%(2025/05/13~2025/06/05にかけて段階的に取得)- 投資リターン目的。重要提案行為等に該当する行動を行う可能性がある旨を記載
- みずほ銀行等: 5.84%→6.30%(2026/02/27)- 取引関係の強化を図る目的
- 公益財団法人日鉄鉱業奨学会: 7.68%(2025/07/01、変動なし)- 事業遂行のための基本財源としての長期保有
株式会社エンヴァリス(以下「エンヴァリス」といいます。)は、国内外の機関投資家、国内の個人投資家に対して、本邦の上場会社への投資を検討する際に必要な情報を提供することで、グローバルならびに本邦資本市場の発展に貢献することを目的として、専属リサーチ・カバレッジ業務を行っております。
- 目的と投資判断に関する免責
本レポートは、情報提供のみを目的として作成されたものであり、有価証券その他の金融商品の取得、売却、または保有を勧誘するものではありません。また、特定の投資、財務、または税務に関する助言を構成するものでもありません。本レポートに含まれるいかなる意見、判断、または推奨も、投資活動の誘導を意図するものではなく、投資決定は、投資家ご自身の責任と判断に基づき行われるべきものであり、エンヴァリスおよび対象企業は当該投資決定にいかなる関与もしない点、ご留意ください。
- 情報源、正確性、および保証の否認
本レポートは、対象企業からの正式な依頼に基づき、当該企業への取材や提供された情報を利用して作成されています。本レポートの利用にあたっては、以下の点をご承諾いただいたものとみなします。 1. 情報源 エンヴァリスは、公に入手可能な情報、対象企業より開示された情報および取材等で提供された情報が真実かつ信頼できるものである前提で本レポートを作成しています。エンヴァリスにおいて、これらの情報の真実性に関する独自の事実確認や検証は行っておりません。 2. 正確性 本レポートに記載されている提供情報の解釈、分析、およびそれに基づく仮説や結論は、前項の情報を基に、エンヴァリスが独自の視点と分析手法を用いて独立して導き出したものです。 3. 保証の否認 対象企業により開示された情報に誤りや遺漏があった場合、それに起因する本レポートの内容の誤謬について、エンヴァリスおよび対象企業は一切の責を負いかねます。本レポートの正確性、安全性、妥当性、完全性等ならびに対象企業の過去のパフォーマンスや将来のパフォーマンスについて、明示的にも黙示的にもエンヴァリスおよび対象企業はいかなる保証もいたしません。
- 責任の限定
本レポートまたは本レポートから得られた情報を利用したことにより発生したいかなる費用、損害、または損失(直接的、間接的、付随的、結果的、または懲罰的損害を含む)についても、エンヴァリスおよび対象企業は一切の責任を負いません。本レポートの利用者は、その利用が自己の責任において行われることを承諾するものとします。
- 利益相反の可能性
エンヴァリスは、対象企業と、現在または将来において、取引関係を有する可能性があります。したがって、本レポートの客観性に影響を及ぼす可能性のある利益相反が存在する可能性があることを、投資家の皆様はご認識ください。
- 報告内容の変更・更新義務の否認
本レポートの内容および意見ならびに本レポートの作成の前提とした情報は、作成日時点のものであり、今後、予告なく変更される場合があります。エンヴァリスは、本レポートの内容を最新のものに更新する義務を負わず、投資家の皆様は情報の最新性についてご自身でご確認いただく必要がある点、ご留意ください。
- 言語の優先順位
本レポートは、日本語、英語および中国語で作成されていますが、各言語版の内容に相違または解釈上の差異が生じた場合には、日本語版を正本として取り扱い、日本語版の内容が優先されるものとします。
- 著作権
本レポートに関する一切の権利(著作権を含む)はエンヴァリスに帰属します。エンヴァリスの事前の書面による許可なく、本レポートの全部または一部を複製、再配布、またはその他の方法で利用することを禁じます。
- 他の投資商品への利用
本レポートならびにエンヴァリスおよび対象企業の商標および商号は、エンヴァリスが書面により事前に承認した場合を除き、いかなる投資商品(価格、リターン、パフォーマンスが、本レポートに基づいている、または連動している投資商品、例えば金融派生商品、仕組商品、投資信託、投資資産等)の情報配信・取引・販売促進・広告宣伝に関連して使用することを禁じます。